「~てもいい」「~てはいけない」日本語──ギブアップ
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【5】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1669912728&owner_id=5019671
mixi日記2011年05月03日から
テーマトピは下記。
【て形+も+いいです。/は+いけません】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=62039590&comment_count=2&comm_id=398881
質問の全文を転載する。
================================
て形+も+いいです。/は+いけません
現在、「~てもいいですか」、「~てはいけません」を教えているのですが、学生から以下の質問が出て、頭を抱えています。もしご存知の方がいらっしゃったら、是非教えていただけないでしょうか。
「てもいいです」は、て形+も+いいです に分けられるが、なぜここで「も」がでてくるのか。「も」 の機能は何か。
同じく、
「てはいけません」は、て形+は+いけません に分けられるが、なぜここで「は」がでてくるのか。「は」 の機能は何か。
日本語教育では、てもいいです、てはいけませんという「表現」で教えているので、一塊として覚えましょうね♪と冷や汗をかきながら逃げたつもりですが、賢い学生なので、腑に落ちないようでした。その後、何冊かの教科書を一通り調べたんですが、どこにも書いていない!
多分、とりたて助詞なのではないか・・・と推測しているのですが、推測の域から出ることができません。何故「てはいいです」と言えないのか、何故「してもいけません」と言うと、この「も」はAlsoの意味になって、「してもいいです」の「も」と異なる機能を持つようになるのか・・・。
以上、一緒に考えてくださる方がいれば、幸いです。
================================
細かい部分にツッコミを入れはじめるとキリがないので無視する。
本題はあまりにもいろいろな要素を含むので、キチンと書くととんでもないことになるだろうな。
トピ主の書き方に好感がもてる(←なんつう上から目線!)ので、がんばって書いてみる。
1)「~てもいけない」が成り立つ文脈
トピ主が言うように、「~てもいい」「~てはいけない」って形で使われることが多い気がする。でもそうじゃない例もある。「~てもいけない」は文脈によってはアリ。
1 見てはいけないし、聞いてはいけないし、言ってはいけない
2 見てもいけないし、聞いてもいけないし、言ってもいけない
3 見てはいけないし、聞いてもいけないし、言ってもいけない
どれもOKだけど、しいて言えば「3」がイチバン自然な気がする。次に自然なのは「2」だろう。
2)「~てもいけない」の「も」がalsoなら、「~てもいい」の「も」もalsoでは
「見てもいいし、見なくてもいい」という文脈なら明らかにalsoだろう。このalsoは「もまた」くらいかな。単独で使った場合は文脈しだいとしか言いようがない。
3)なぜ「~てはいい」とは言わないか。
4 見てはいい
5 見てもいい
6 見てはいけない
7 見てもいけない
なぜ「4」だけが不自然なのか。それはきっと、「は」が否定形と仲がいいから……違うって。でも悲しいことに当方の知識ではこんなことしか思いつかない。
一応、下記の「60」~くらいを参照。
続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42113447
4)「~ていい」「~ていけない」に「は」や「も」が挿入されていると考えてみる
8 見ていい
9 見ていけない
「9」はこのままではちょっと不安定な気もするが、とりあえず許容する。
「も」はほかにも選択肢(見てもいいし、見なくてもいい)や事象(見てもいけないし、聞いてもいけない)があることを暗示している。
「は」は、「対比」にしておこうか。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1148330346&owner_id=5019671
ほかのことは別として「とにかくそのことは」ってニュアンス。
……あたりが結論かな。「は」や「も」が挿入されている理由を「なぜ」と訊かれても、当方のレベルでは見当もつかない。
「見てはいい」が不自然な理由もわからない。
5)そもそも「て形+も+いい」「て形+は+いけない」なのか
もちろん、もともとはそうなんだろうけど、これを辞書的に考えるなら、「ても」(接続助詞)と「ては」(Web辞書(『大辞泉』&『大辞林』によると、こっちは連語らしい)ではないか、って気がする。ざっと辞書を読んでもよくわからない。
ギブアップします。
これだと、「こちらで(は/も)いい」のように名詞に続く形が説明できない気がする。やはり4)か。
ちなみに名詞に続く場合でも、10の「こちらではいい」は不自然になる。しかし「こちらでいい」ならさほどおかしくない。
「こちらで( )いけない」の場合は「は」も「も」も省略できない気がするのはなぜだろう。
10 こちらで(は)いい
11 こちらで(も)いい
12 こちらではいけない
13 こちらでもいけない
この「~はいい」は「~ならいい」の形が素直。
見てはいい→見る(だけ)ならいい
こちらではいい→こちらならいい
ただ、「~ては」が後ろに否定形を伴う、ということではないようだ。どちらかと言うと否定形のほうが自然な気もするが……。
↓の辞書の例文を見ても、肯定形が出てくる。
けが人が出ては大変だ
知られては都合の悪いことが山ほどある
あんなに強くしかっては、お子さんがかわいそうですよ
ちなみに「ても」「ては」の項は下記。
「ても」の説明中にある〈逆接の確定条件を表す助詞「ては」に対応して〉ってどういう意味なんだろう(ここでは「連語」ではなく「助詞」になっている)。
下記の類語辞書を見る限り、「ては」は「順接」だろう。「ては」違いなんだろうか。
http://dictionary.goo.ne.jp/srch/thsrs/%E3%81%A6%E3%81%AF/m0u/
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A6%E3%82%82&dtype=0&dname=0na&stype=1&index=15487212783300&pagenum=1
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ても
[接助]《接続助詞「て」+係助詞「も」から》動詞・形容詞と一部の助動詞の連用形に付く。ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞に付く場合は「でも」となる。
1 未成立の事柄を仮定条件として述べ、その条件から考えられる順当な結果と対立する内容の文へ結びつける意を表す。たとえ…したとしても。「失敗し―あきらめはしない」「煮―焼い―食えない」
2 既定的な事柄を述べ、その条件から考えられる順当な結果と対立する内容の文へ結びつける意を表す。…たにもかかわらず。「知ってい―知らぬ顔をする」
3 (多く「にしても」「としても」の形で)ある事柄を仮定条件として認めて、下の文の叙述を起こす意を表す。「自信があるにし―、試験を受けるのはいやな気分だ」
◆接続助詞としての「ても」は中世以降用いられ、近世になると、逆接の確定条件を表す助詞「ては」に対応して、仮定条件を表現する「ても」が話し言葉の領域で多く用いられるようになり、それが現代語へと引き継がれた。「ても」はこのほか、「なんとしても」「どうしても」「とても」など、多くの慣用語をつくった。
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■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%A6%E3%81%AF&stype=1&dtype=0
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て‐は
[連語]《接続助詞「て」+係助詞「は」。上に付く語によっては「では」とも》
1 危惧・不都合などの感情をもたらす条件を仮定して示す。…たら。「けが人が出―大変だ」「死んではなんにもならない」
2 反駁(はんぱく)・感心などの強い感情をもたらす原因となる条件を示す。…たからには。「そこまで言われ―黙っていられない」「これだけやっつけられ―反論する気も起きない」
3 二つの動作・作用などが対になって繰り返される意を表す。「幼い頃は電車を見―喜んでいた」「姉はいつも洋服を脱いでは着て楽しんでいる」
4 その条件のもとでは必ず、または常に同じ結果になる場合の、その条件を示す。「慢心してい―勝てない」「せい―事を仕損じる」「遊んではよい成果が得られない」
5 (「…てはみる」の形で)よい結果が期待できない、あるいは自信がもてない状況のもとで、あることを行う意を表す。「考え―みるよ」「修理し―みるけれど完全に直るかどうか」
6 (多く「…てはどうか」の形で)ある事柄をするよう勧める意を表す。「書いてみ―どうだろう」
◆うちとけた会話では「ちゃ」「じゃ」「ちゃあ」「じゃあ」となることもある。
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【トピへのコメントを日記形式で書く理由──返信コメントは原則的にトピにお願いします】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1468087432&owner_id=5019671
※あくまで原則論
マイミクさんは例外
なんらかの理由でトピには書きにくい場合も例外
こうして例外がふえていく(泣)
【20110506追記】
つらつら考えるに、「こちらで(は/も)いい」の話はまったく無関係ではない(「は/も」の使われ方って面では似ている)けど、別の話と考えるべきだな。
これはこれで「では」「でも」という連語(たぶん)と考えるのがよさそう。
もうダメ。頭グチャグチャ(泣)。
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て形+も+いいです。/は+いけません
現在、「~てもいいですか」、「~てはいけません」を教えているのですが、学生から以下の質問が出て、頭を抱えています。もしご存知の方がいらっしゃったら、是非教えていただけないでしょうか。
「てもいいです」は、て形+も+いいです に分けられるが、なぜここで「も」がでてくるのか。「も」 の機能は何か。
同じく、
「てはいけません」は、て形+は+いけません に分けられるが、なぜここで「は」がでてくるのか。「は」 の機能は何か。
日本語教育では、てもいいです、てはいけませんという「表現」で教えているので、一塊として覚えましょうね♪と冷や汗をかきながら逃げたつもりですが、賢い学生なので、腑に落ちないようでした。その後、何冊かの教科書を一通り調べたんですが、どこにも書いていない!
多分、とりたて助詞なのではないか・・・と推測しているのですが、推測の域から出ることができません。何故「てはいいです」と言えないのか、何故「してもいけません」と言うと、この「も」はAlsoの意味になって、「してもいいです」の「も」と異なる機能を持つようになるのか・・・。
以上、一緒に考えてくださる方がいれば、幸いです。
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細かい部分にツッコミを入れはじめるとキリがないので無視する。
本題はあまりにもいろいろな要素を含むので、キチンと書くととんでもないことになるだろうな。
トピ主の書き方に好感がもてる(←なんつう上から目線!)ので、がんばって書いてみる。
1)「~てもいけない」が成り立つ文脈
トピ主が言うように、「~てもいい」「~てはいけない」って形で使われることが多い気がする。でもそうじゃない例もある。「~てもいけない」は文脈によってはアリ。
1 見てはいけないし、聞いてはいけないし、言ってはいけない
2 見てもいけないし、聞いてもいけないし、言ってもいけない
3 見てはいけないし、聞いてもいけないし、言ってもいけない
どれもOKだけど、しいて言えば「3」がイチバン自然な気がする。次に自然なのは「2」だろう。
2)「~てもいけない」の「も」がalsoなら、「~てもいい」の「も」もalsoでは
「見てもいいし、見なくてもいい」という文脈なら明らかにalsoだろう。このalsoは「もまた」くらいかな。単独で使った場合は文脈しだいとしか言いようがない。
3)なぜ「~てはいい」とは言わないか。
4 見てはいい
5 見てもいい
6 見てはいけない
7 見てもいけない
なぜ「4」だけが不自然なのか。それはきっと、「は」が否定形と仲がいいから……違うって。でも悲しいことに当方の知識ではこんなことしか思いつかない。
一応、下記の「60」~くらいを参照。
続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです
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4)「~ていい」「~ていけない」に「は」や「も」が挿入されていると考えてみる
8 見ていい
9 見ていけない
「9」はこのままではちょっと不安定な気もするが、とりあえず許容する。
「も」はほかにも選択肢(見てもいいし、見なくてもいい)や事象(見てもいけないし、聞いてもいけない)があることを暗示している。
「は」は、「対比」にしておこうか。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1148330346&owner_id=5019671
ほかのことは別として「とにかくそのことは」ってニュアンス。
……あたりが結論かな。「は」や「も」が挿入されている理由を「なぜ」と訊かれても、当方のレベルでは見当もつかない。
「見てはいい」が不自然な理由もわからない。
5)そもそも「て形+も+いい」「て形+は+いけない」なのか
もちろん、もともとはそうなんだろうけど、これを辞書的に考えるなら、「ても」(接続助詞)と「ては」(Web辞書(『大辞泉』&『大辞林』によると、こっちは連語らしい)ではないか、って気がする。ざっと辞書を読んでもよくわからない。
ギブアップします。
これだと、「こちらで(は/も)いい」のように名詞に続く形が説明できない気がする。やはり4)か。
ちなみに名詞に続く場合でも、10の「こちらではいい」は不自然になる。しかし「こちらでいい」ならさほどおかしくない。
「こちらで( )いけない」の場合は「は」も「も」も省略できない気がするのはなぜだろう。
10 こちらで(は)いい
11 こちらで(も)いい
12 こちらではいけない
13 こちらでもいけない
この「~はいい」は「~ならいい」の形が素直。
見てはいい→見る(だけ)ならいい
こちらではいい→こちらならいい
ただ、「~ては」が後ろに否定形を伴う、ということではないようだ。どちらかと言うと否定形のほうが自然な気もするが……。
↓の辞書の例文を見ても、肯定形が出てくる。
けが人が出ては大変だ
知られては都合の悪いことが山ほどある
あんなに強くしかっては、お子さんがかわいそうですよ
ちなみに「ても」「ては」の項は下記。
「ても」の説明中にある〈逆接の確定条件を表す助詞「ては」に対応して〉ってどういう意味なんだろう(ここでは「連語」ではなく「助詞」になっている)。
下記の類語辞書を見る限り、「ては」は「順接」だろう。「ては」違いなんだろうか。
http://dictionary.goo.ne.jp/srch/thsrs/%E3%81%A6%E3%81%AF/m0u/
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A6%E3%82%82&dtype=0&dname=0na&stype=1&index=15487212783300&pagenum=1
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ても
[接助]《接続助詞「て」+係助詞「も」から》動詞・形容詞と一部の助動詞の連用形に付く。ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞に付く場合は「でも」となる。
1 未成立の事柄を仮定条件として述べ、その条件から考えられる順当な結果と対立する内容の文へ結びつける意を表す。たとえ…したとしても。「失敗し―あきらめはしない」「煮―焼い―食えない」
2 既定的な事柄を述べ、その条件から考えられる順当な結果と対立する内容の文へ結びつける意を表す。…たにもかかわらず。「知ってい―知らぬ顔をする」
3 (多く「にしても」「としても」の形で)ある事柄を仮定条件として認めて、下の文の叙述を起こす意を表す。「自信があるにし―、試験を受けるのはいやな気分だ」
◆接続助詞としての「ても」は中世以降用いられ、近世になると、逆接の確定条件を表す助詞「ては」に対応して、仮定条件を表現する「ても」が話し言葉の領域で多く用いられるようになり、それが現代語へと引き継がれた。「ても」はこのほか、「なんとしても」「どうしても」「とても」など、多くの慣用語をつくった。
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■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%A6%E3%81%AF&stype=1&dtype=0
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て‐は
[連語]《接続助詞「て」+係助詞「は」。上に付く語によっては「では」とも》
1 危惧・不都合などの感情をもたらす条件を仮定して示す。…たら。「けが人が出―大変だ」「死んではなんにもならない」
2 反駁(はんぱく)・感心などの強い感情をもたらす原因となる条件を示す。…たからには。「そこまで言われ―黙っていられない」「これだけやっつけられ―反論する気も起きない」
3 二つの動作・作用などが対になって繰り返される意を表す。「幼い頃は電車を見―喜んでいた」「姉はいつも洋服を脱いでは着て楽しんでいる」
4 その条件のもとでは必ず、または常に同じ結果になる場合の、その条件を示す。「慢心してい―勝てない」「せい―事を仕損じる」「遊んではよい成果が得られない」
5 (「…てはみる」の形で)よい結果が期待できない、あるいは自信がもてない状況のもとで、あることを行う意を表す。「考え―みるよ」「修理し―みるけれど完全に直るかどうか」
6 (多く「…てはどうか」の形で)ある事柄をするよう勧める意を表す。「書いてみ―どうだろう」
◆うちとけた会話では「ちゃ」「じゃ」「ちゃあ」「じゃあ」となることもある。
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【トピへのコメントを日記形式で書く理由──返信コメントは原則的にトピにお願いします】
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※あくまで原則論
マイミクさんは例外
なんらかの理由でトピには書きにくい場合も例外
こうして例外がふえていく(泣)
【20110506追記】
つらつら考えるに、「こちらで(は/も)いい」の話はまったく無関係ではない(「は/も」の使われ方って面では似ている)けど、別の話と考えるべきだな。
これはこれで「では」「でも」という連語(たぶん)と考えるのがよさそう。
もうダメ。頭グチャグチャ(泣)。
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