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突然ですが問題です【日本語編46】──防寒対策 節電対策 復興対策【解答?編】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【5】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1669912728&owner_id=5019671

mixi日記2011年06月04日から

 まず問題を再掲する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1730972535&owner_id=5019671

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【問題】
 次の1)~6)のなかで、言葉の使い方が不自然なものをあげ、その理由を簡単に書きなさい。
1)節電対策
2)防寒対策
3)受験対策
4)税金対策
5)復興対策
6)復興対策本部

 ヒントになりそうなサイトは下記あたりか。
【「節電対策」という言葉に違和感を覚えます。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1062025790
【"防寒対策"って...】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1253286552
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【解答?例】
 1)2) 
 やや不自然。最近問題視されている表現だが、けっこう目にする。

 3)4)
 フツーに使われている言葉。さすがにこれは問題がないだろう。

 5)6)
 そこはかとなく異和感がある。


 最近、誤用の指摘を目にするようになった言葉に「節電対策」というのがある。
「誤用」とまでは言えない気がするが、異和感があるのはたしか。
 フツーに考えるなら、「節電(のための)策」が自然。
 そもそも電力不足のための対策が「節電」だから……と考えると「節電対策」は奇異な印象になる。
 少しひねって考えると、OKかもしれない。たとえば、「節電対策に保冷剤をタオルで包んで首に巻く」はアリかもしれない。
 節電目的でエアコンを使わない状態を考えてほしい。これは「節電(のための)策」。暑さをしのぐために、保冷剤を活用する。これは「節電」のためのエアコン不使用への対策と言える。つまり「節電対策」(笑)。
 ……閑話休題(「ムダ話はやめて」とでも読んでください)。
 まずムダと思いつつ辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%AF%BE%E7%AD%96&stype=0&dtype=0
================================
たい‐さく【対策】
1 相手の態度や事件の状況に対応するための方法・手段。「人手不足の―を立てる」「―を練る」「税金―」
2 律令制で、官吏登用試験の一。文章(もんじょう)博士が問題を出して文章得業生(とくごうしょう)に答えさせるもの。また、その答案。
================================
 ほら、ヤッパリムダだ。
 ……閑話休題。(←オイ!)
 方針をかえて、「節電」と同様の言葉を探す。

【節○】
節電←電力不足対策
節水←水不足対策
節税←税金対策
節煙←??対策

【防○】
防寒←寒さ対策
防犯←犯罪対策
防虫←害虫対策
防災←災害対策
防水←水濡れ?対策

【除○】
除菌←菌対策
除湿←湿気対策
除雪←雪対策
除草←雑草対策
除霊←霊対策

【省○】
省エネ←エネルギー不足?対策
省力←??対策
 
 なんとなくだけど、言葉の成り立ちがわかる気がする。なかにはなんの対策なのかわからないものもあるが、おおむね何かの対策のために「節約したり」「防いだり」「除いたり」「省いたり」している。それに改めて「対策」をつけるから、なんかヘンな感じになる。「策」とか「方法」ならおかしくない。
 つまり、「節電」のような言葉は、「節電(のための)策」とは言えても、「節電対策」だと、なんかヘンな感じになる。この並びだと「節税←税金対策」がちょっと異質な気がするが、よくわからないのでスルーする。
 ここで考えなければならないのは、「○○対策」の「○○」に入る言葉の性質。
 どうも、「よろしくないもの」「難儀なもの」が入る傾向がありそうだ。
 ↑に並べたものは、ほぼそうなっているはず。
「益虫」だって「防虫」の対象だろう、とか屁理屈は言わないように。
「節電」のような形にならないものもある。
「五月病」「疫病」などの病気関係の対策は「○病」にはなりにくい気がする。「食中毒」も含めて、ちょっとイレギュラーだけど病気関係はみんな「予防」にしようか。「難儀なもの」の代表格は「受験対策」かな。
 たとえば、ジャニーズ事務所だと「写真週刊誌対策」とか考えているだろう。「ストーカー対策」も考えているだろう。「ファン対策」も考えているだろうな。この場合、「ファン」をどういうものととらえているのか問いつめたい。
 世間にはもっと微妙な「対策」の対象もある。
「復興対策」ってどうなんだろう。
「災害対策」(これは「防災」と考えるのは乱暴かな)ならわかる。でも「復興対策」って、「復興」をどういうものととらえているんだろう。まあ、「よろしくないもの」ではないけど、「難儀なもの」なんだろうな。
「受験(のための)策」「復興(のための)策」あたりならアリって気もする。なぜ「ファン策」だと珍妙なのかは不明。
 これが「復興対策本部」になると、もっと微妙な気がする。これは言葉の構造として「復興対策」+「本部」ではなく、「復興」+「対策本部」だと思う。
 刑事ドラマなんかで見るよね。「○○殺人事件対策本部」とか(『踊る大捜査線』で、こういうのを戒名とか言っていたような)。なんにでも「対策本部」をつけている気がする。こういう場合の「対策本部」ってどういうニュアンスなんだろう。だって事件への「対策」ってなんかヘンだよ。それは「捜査」でしょ。「連続殺人事件」なら、次の犯行を防ぐための「対策」ってことなら許してやってもいいけど。


NHKの見解1
http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/125487.html
================引用開始
"節電対策"は間違い?
2012年7月 5日(木)

今日は、「節電対策」ということばに注目です。このことばに何か違和感を覚えたことはありませんか?「節電対策」は“電力を節約するための策”という意味で使われていますよね。しかし、“対策”ということばには、“状況や相手の態度に応じてとる方法や手段”という意味があります。たとえば、「紫外線対策」「熱中症対策」のように、“対策”の前には、具体的な問題や本来好ましくないものがきますよね。しかし、“対策”の前に“実行するべき目標”のようなことばが入ってしまうと、「節電対策」は“節電に対して対策する”というような、おかしな意味になってしまうのでは?というのが違和感の元になっているようです。このようなお便りも届いています。「防犯対策」ということば。“防犯”に“対策”がつくと、“犯罪を防ぐ策”という意味とは逆の意味になってしまうのでは?と、いただきました。このような表現は間違いなのでしょうか。しかし、その一方で、“対策”の「対」には“応じる・答える”という意味もあります。このことから考えると、「節電対策」は「節電に応じるための策」、「防犯対策」は「防犯に応じるための策」と捉えると、表現として間違いではない、といえるのかもしれません。色々な捉え方がありますが、これらのことばは、すでに多くの人が使っているので、“定着したことば”ですよね。最後に、この「節電」の次を担うことばとして注目を浴びつつあるのが「適電」(てきでん)。昨年、大手出版社が全国の小中高生を対象として「国語辞典にのせたいことば」を募集し、最優秀作品賞10作品の中に、この「適電」がノミネートされました。電気を使わないのではなく、“適材適所の電気を使おう”という意味のことばです。どこかで耳にする機会もあるかもしれませんね。
================引用終了

NHKの見解2
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/kotobax3/pdf/079.pdf
================引用開始
「節電対策」は,間違いか?

 今年1年を振り返ってみると,話題になったことばには,東日本大震災に関連したものが多い。そのひとつに「節電対策」がある。節電のため,白熱電球をLED電球に交換したり,冷暖房の設定温度を控えめにしたりすることを指すが,中には,このことばに違和感を持つ人もいる。
「○○対策」の○○には,「暴力団対策」「紫外線対策」などのように,本来【好ましくないもの】【克服すべき対象】が入るはずだという発想が,その違和感のもとになっているようだ。「○○対策」とは,「○○の害が及ぶのを避けるため」あるいは「○○に打ち勝つため」の「対策」なのであり,○○に【実行すべき目標】が入るのは,おかしいという考え方である。この考え方にのっとって「節電対策」を強引に解釈すれば,例えば,夏場,節電のため冷房の入っていない電車の中で,暑さをしのごうと首のまわりに保冷タオルを巻くことこそ,まさに「節電対策」ということになる。
「節電対策」以外にも,こうした表現は数多くある。「防犯対策」や「防寒対策」,「セキュリティー対策」など,これらは,いずれも,「暴力団対策」「紫外線対策」の使い方とは異なっている。とりわけ目立つのは,「防~対策」「省~対策」「節~対策」などのパターンだ。すべてというわけではないが,国や自治体など,行政機関が使い始め広がったケースが多いと思われる。
「節電対策」に違和感を持つ人たちの主張に,もし律儀に従うのであれば,防犯対策は「犯罪対策」,防寒対策は「寒さ対策」,セキュリティー対策は「コンピューターウイルス対策」などにそれぞれ置きかえなくてはならない。それにならえば「節電対策」は「電力不足対策」とでも言うことになるのだろうか。
 しかし,「節電対策」と「電力不足対策」では,その言わんとするところには,かなり違いがある。「具体的にこんなことをすれば,節電につながりますよ!」という呼びかけのニュアンスが,良くも悪しくも「節電対策」には,含まれていないだろうか。
 このような使われ方がされる要因はいくつかありそうだ。「○○(を推し進めるための)対策」を省略したと考えることもできるし,「対策」の意味を「対応策」から,より範囲が広い「方策」の意味でとらえていると考えることもできるかもしれない。いずれにせよ,これを間違いだとするのは,いささか無理があるだろう。
 この種の「○○対策」について,多くの人は,「安全対策」に見られるよう,定着した用法ととらえ,気に止めていない。ただ一方で,中には誤用だと強く主張する人もいる。異る受け止め方がある以上,このことばの取り扱いには,慎重な「対策」が必要かもしれない。 田中伊式(たなかいしき)
================引用終了
【20130212追記】
 この記事は、ついさっき下記で知った。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14101898394

 おいおい。
・節電のため冷房の入っていない電車の中で,暑さをしのごうと首のまわりに保冷タオルを巻くことこそ,まさに「節電対策」
・「○○対策」の○○には,「暴力団対策」「紫外線対策」などのように,本来【好ましくないもの】【克服すべき対象】が入るはずだ
・とりわけ目立つのは,「防~対策」「省~対策」「節~対策」などのパターンだ

 ここまで似ていたらパクリと言われても文句は言えない。
 この記事が発表されたのは、2011年12月らしい。
 よかった。当方のほうが早い。 

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