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タコトガアル/タコトガアリマスの使い方 日本語〈1〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【5】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1669912728&owner_id=5019671

mixi日記2011年06月26日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1742101445&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【た+ことがありますの使い方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63118055&comm_id=398881

 まず例によってトピ主の質問を一部加工して転記する。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
経験の「た+ことがあります」の形について、混乱中なので
どなたかにお知恵をお借りしたいと思い、この場をお借りします。
簡潔に言うと、いつから、「たことがあります。」で表現していいのかということです。

「3年前に、馬に乗ったことがあります。」
は私の感覚としては、OKなのですが

「昨日、馬に乗ったことがあります。」
はNGです。
「昨日」は過去形だと思います。
~前がつけばいいのかというと、2日前や3週間前ではやはりしっくりきません。

ではいったいいつから、経験の表現をしてもいいのかお教えいただければ幸いです。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 おもしろいことを考える人がいるもんだ。
 たしかに、タ形(今回はこの言葉を使ってみる)とタコトガアルでは使い方が違う。
 この違いはどこにあるのか。
 コメント「1」の考察がおもしろいと思った。「タコトガアル」は時期が特定できない場合に使われる傾向がある。
「4」で書籍の記述が紹介された。このコミュでは、こういう原典を示したコメントは珍しい。まあ、どこのコミュでも珍しいんだけど。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
4
2011年06月17日 10:19

スリーエーネットワーク社発行の「初心者を教える人のための日本語文法ハンドブック」によると・・・以下該当ページをコピーします。

--------------------------------------------

「~たことがある」は発生時(「~たことがあった」の場合は基準時)以前に「~」で表される行為をした経験があることを表します。
ただし、この場合「~」の部分には次のような制約があります。

1) そのことが当たり前でないこと
2) そのことが行われた時期が基準時とある程度以上隔たっていること

この二つの制約はある出来事を経験として述べ立てるということにかかわるものです。つまり、当たり前のことや起こってからあまり時間がたっていないことは、経験として述べるのにはふさわしくないのです。

例えば、次の文章は1)の制約に抵触する場合です。
※?私は風邪を引いたことがある→○私は風邪を引いた。

一方、次の文章は2)の制約に抵触する場合です。
※?私は先週アメリカに行ったことがある。→○私は1年前にアメリカに行ったことがある。
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 なんでいまだに機種依存文字を使う人がこんなに多いんだろう。何がなんだかわからなくなることが多いんでやめてほしい。
 こういう解説があるってことは、タコトガアルの使い方はけっこうメジャーな問題なのかもしれない。
 で、この2つの目安はすばらしい、と一瞬思った。
 意地悪く考えると、こんなに曖昧な書き方もないんだけど。
1)「当たり前」か否かはどうやって判断するんだろう?
2)「ある程度以上」ってどの程度?

 ちなみにここまでの素朴な疑問。「去年」だとヘンなのに、「1年前」だとおかしくないのはなぜ?

  コメント「2」から。
  1. X去年行ったことがあります。
  2. ○去年行きました。

  コメント「4」から。
  3. ?私は先週アメリカに行ったことがある。
  4. ○私は1年前にアメリカに行ったことがある。

 アメリカという具体的な地名の有無がかかわっている気もする。1.と2.にアメリカを入れてデアル体にしてみる。
  5. ?去年アメリカに行ったことがある。
  6. ○去年アメリカに行った。
 5.はXではないと思うが、かなりヘン。
 
 このあたりで、「ニ」のアホタレ性を想起した。現在に近い「時」には使いにくいという点は似てなくもない。でもかなり違っている。
360)【板外編16】「カラ」と「ニ」の話】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1641980391&owner_id=5019671
 この件に関して、具体的な数字でないと「ニ」は使いにくい、って説もどこかで目にした。
 たしかに、「来週に発売する」はヘンだけど、「3日後に発売する」はヘンじゃない。「ほとぼりが冷めた頃に発売する」「若い頃に売られていた」はどうなのよ、ってことになるけどね。

 で、トピの話に戻る。
 コメント「5」で〈(単なる)体験〉と〈経験〉の話が出る。
 最初に読んだときは「さすが」と唸った。
 ただ、「5」~「9」のやり取りを何度か読んで、何がなんだかわからなくなった。当方は読解力が決定的に欠けているんだろうか。
 トピ主はホントに理解できているんだろうか。あの感じだと、実際に教えるときには、〈「いつなのか特定しない(できない、記憶にない)」程度だ〉と示すんじゃないかな。

 これ、キーワードは「限定」と「特異性」だと思う。
「限定」されたときと「特異性」があるときにタコトガアルが使われやすい。「特異性」によって「限定」されるんだから、キーワードは「限定」だけとも言える。

 まず、「場所」と「時」は分けて考えるほうがよいのでは。
「場所」を明記したときは、タコトガアルが使いやすい。「場所」によって限定されると、「時」が比較的近くてもOK。8.のような形なら、さらに自然になる。
  7.そのハンバーガーなら、先週アメリカで食べたことがある。
  8.そのハンバーガーなら、先週アメリカに行ったときに食べたことがある。
 ただし、7.も8.をタコトガアルにする必要性はない。タ形でも何もおかしくない。

「時」だけの「限定」だと、すでに出ているように「ある程度以上」隔たっていないとタコトガアルは使いにくい。ただし、比較的最近のことでも、「限定」できない場合なら使える(けっこう特殊だけどね)。
  9.それは先週、何かで見たことがある。
  10.これは最近たしかに食べたことがある味だ。
 ただし、9.も10.をタコトガアルにする必要性はない。タ形でも何もおかしくない。
 
 ここで重要になるのがもうひとつのキーワードの「特異性」。「当たり前でないこと」を言いかえただけだろ、ってツッコミは禁止。
 要は、自分の体験の「特異性」を主張したいときにタコトガアルを使う傾向があるってこと。
「風邪を引いたことがある」だとヘンだけど以下ならOKだろう。
  アメリカで風邪を引いたことがある。
  肺炎になりかけるほど悪性の風邪をひいたことがある。
  3年連続で正月に風邪で寝込んだことがある。
 当然このあとには「だから~」とか「そのときに~」といった話が続く。タ形でもおかしくないけど、タコトガアルにするほうが「特異性」を強調できるってことだろう。

 コメント「10」「11」について考えると話がグチャグチャになりそうなので、無視する。ソンナァ。


【追記】
〈「ニ」のアホタレ性〉に関しては下記参照。
【時を表す助詞「に」について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41033748&comment_count=16&comm_id=19124



タコトガアル/タコトガアリマスの使い方 日本語〈2〉(仮)──タコトガナイの乱入

mixi日記2011年07月02日から

 下記にいただいたコメントを前に何日も苦吟している。苦しいながらも吟じます、と下ネタに行けたらラクなんだろうけど……。
【タコトガアル/タコトガアリマスの使い方 日本語】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1742101445&owner_id=5019671

 タコトガアルに関しては一応説明できるできるような気になった……のもつかの間、タコトガナイとの関連性を考えはじめて泥沼に(泣)。とりあえず(仮)です。

 いただいたコメントをヒントに下表のような考え方をした。

コトガアル


「当たり前のこと」「やや特異なこと」「特異なこと」のうまい例を思いつかない(この段階でダメダメ)。
 はじめは、「生まれたこと」「死にかけたこと」「死んだこと」にしたが、あまりにも「特異」すぎて……。
 次に「蜂の子を食べたこと」「河豚の肝を食べたこと」で考えた。長野県だと……、味噌に長期間漬ければ……etc.と雑念が入って却下した。
 自然か否かのほかに、「確率」といういい加減な尺度を加味している。
 で、ポイント。

■当たり前のこと
「アル」は不自然。あまりにも当たり前でフツーの人なら100%経験していることを「アル」と言うからには、よほどの事情が必要。「限定」の条件(場所、時……etc.)をつけると自然になる。
「当たり前のこと」なのにナイだと、日本語としては不自然ではなくなる。ちゃんと説明ができるなら、話題性も抜群。ただし、ウソツキ扱いされる可能性が高い。
 ナイに「限定」の条件がつくと、当然確率は上がる。文章としては「アメリカでは」と「は」がつくほうが自然。

■やや特異なこと
 特異の程度によって確率がかわる(そりゃそうだ)。
 一応2択なんで50%にしておく(ムチャすぎる)。
 アルでもナイでもおかしくはない。「限定」するとアルの確率は下がるけど、どちらでもおかしくはない。

■特異なこと
 これも特異の程度によってかなりかわってくる。
 どんなに特異なことでも、本当に体験しているのならアルは不自然ではない。ちゃんと説明ができるなら、話題性も抜群。ただし、ウソツキ扱いされる可能性が高い。このあたりは、2)(当たり前のことがナイ)と同様。
 一方特異なことをナイと主張するのは当たり前すぎて不自然。このあたりは1)(当たり前のことがアル)と同様。ここらへんまではある程度コトガアルとコトガナイの対照ができている気がする。
 問題は特異なことの「限定」。
 ただでさえ特異なアルを「限定」にすれば、当然特異さは増す。
 一方当たり前のナイを「限定」にすればさらに当たり前になる。こうなるとかなり不自然。
「とにかくナイって言ってるんだから、アメリカででも日本ででも、3日前にでも、1年前にでもナイに決まってんだろうが!」


タコトガアル/タコトガアリマスの使い方 日本語〈3〉(仮)──そして迷路へ

mixi日記2011年07月10日から

 本題はどこかに行ってしまったまま、トピhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63118055の展開は当方の理解力を超えていこうとしている。何が問題になっていて、どこに向かおうとしているのだろうか。厳密に考えれば考えるほど、本題から離れていく気がする。
 テーマがいくつかありそうなので、順番に見ていく。

1)無生物主語にタコトガアルを使った場合は「経験」ではないのか?
 有生物主語?の場合は「経験」で、無生物主語の場合は単なる「事実」ってことだと思う。別に「記録」でも構わないし、擬人的に考えたら「経験」とも言えなくはないような。まあ、「事実」にしておこう。

2)タ形だと{ハ/ガ}が使えるが、タコトガアルだと「ガ」が使いにくい
 タコトガアルで「ガ」を使うのは「ほかのナニモノでもない○○ガ」のニュアンス。これは「ガ」の用法の典型だろう。
 これを深く考えはじめると「ガ」と「ハ」の泥沼が待っているのでパス。
 どんな例文にすれば「ガ」が自然になるだろうか。

  2)-1 イチローなど数選手ガ、シーズン200本安打を記録しタコトガアル。

 ちなみに、「タコトガナイ」だとさらに「ガ」は使いにくくなる。これは〈「ハ」が否定形と仲がいいから〉。違うのかなぁ? いろいろな場面でこの現象が出てくるから、やはりなんらかの関連性がある気がする。
 下記の3)参照。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1716012602&owner_id=5019671

3)「昨日」「さっき」だとタコトガアルが使いにくい
 これは〈1〉で書いたとおり、「場所」によって限定されると「時」が比較的近くてもOKだけど、あんまり近いとダメってことだろう。ただ、これもすでに書いたように「昨日」は相当ヘンだけど、1日前ならやや自然。24時間前ならもっと自然な気がする。理由は不明。

4)効いてるのは、限定とか特異とかいうことか
「16」のコメントにあった疑問だけど、これは当方の「14」に対しての疑問なんだろうか? よくわからない。
 当方が「限定」と書いたのは、「限定」の条件をつけたほうがタコトガアルが使いやすいということ(ただし、タ形でもおかしくはない)。
「特異」と書いたのは、タコトガアルを使ったほうが特異性を強調できるってこと(ただし、タ形でもおかしくはない)。
「効いている」って?

5)「誰だって」の類いがつくと……
 これは虚をつかれた。強力な例外だと思う。これが「ちょっとした例外」なのか「ここまでの前提らしきものをくつがえす例外」なのかは不明。
「誰だって」「みんな」「~のは当たり前だ」……の類いの言葉がつくと、「当たり前」のことを記述してもおかしくなくなる。強調用法になるからだろうか?
 
  5)-1 誰だって失敗しタコトガアル。
  5)-2 一度や二度失敗しタコトガアルのは当然だ。

 文脈としては、「だから気にするな」とかかな。「ところが私の場合は……」だとスゴい展開になる(超特異)。
 ほぼ同じことが言えるのが、「特異なことをしタコトガナイ」。自然な例文が浮かばないorz。
  
  5)-3 誰だって死んだコトガナイのは当然だ。
  5)-4 フツーの人生を送っているなら、人を殺しタコトガナイはずだ。

6)タコトガアルとテイル
 避けて通りたかったが、やはりテイルがからんでくる気がする。

 無生物主語の「事実」は、どちらかと言うとテイルのほうが自然なのでは。
  6)-1 ○○地方は過去に2回大地震に見舞われタコトガアル。
  6)-2 ○○地方は過去に2回大地震に見舞われテイル。

 有生物主語の「経験」は、どちらかと言うとタコトガアルのほうが自然なのかもしれない(かなり微妙)。
  6)-3 私は過去に2回大地震に見舞われタコトガアル。
  6)-4 私は過去に2回大地震に見舞われテイル。
  6)-5 私は過去に2回大きな手術を受けタコトガアル。
  6)-6 私は過去に2回大きな手術を受けテイル。

 6)-4、6)-6もおかしくはないが、どこか他人事めいているような……。有生物主語でテイルを使うと、「経験」とはちょっと違うニュアンスが加わる気がする。下記は某所に書いたコメント。
================================
 テイルは「経験」ではありませんか。あえて言えば「報告」ですか。
 当方は「確認」(「検証」かも)って気がしていました。
 よくあるケースは、事件当日のアリバイを訊かれて、手帳を見ながら……
「その日は地方に出張しテイマスね」
 そんなもん「よくある」か!
================================

 テイルに「報告」「確認」「検証」などのニュアンスがあるため、〈無生物主語の「事実」〉と相性がいい気がする。
 ただ、前にも書いたように当方はタ形のかわりにテイルを使う癖があるので、語感がよく働かない。
 ↑の2)-1も、テイルのほうが自然に感じる。

  2)-1 イチローなど数選手ガ、シーズン200本安打を記録しタコトガアル。
  2)-2 イチローなど数選手ガ、シーズン200本安打を記録しテイル。
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