「閉店」「閉園」「閉館」の二義性 日本語
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1737578274&owner_id=5019671
mixi日記2011年07月28日から
テーマトピは下記。
【「閉店」って言われてどう解釈する?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63994176
(略)
後半は提案だな。ご自由にどうぞ。
前半の質問を要約する。「閉店」という言葉には、A「廃業」(店自体の営業終了)とB「その日の営業終了」の2つの意味があってわかりにくい(「閉園」「閉館」も同様)。区別がつきやすい表現はないのか。
まず、「閉店」の意味。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E9%96%89%E5%BA%97&stype=0&dtype=0
================================
へい‐てん【閉店】
[名](スル)
1 商売をやめて店を閉じること。⇔開店。
2 その日の営業を終えて店をしめること。「平日は六時に―する」⇔開店。
================================
2つの意味があることを示しているが、辞書はなんの使い分けも注意も記載していない。ちゃんと書くのは難問だもんね。
「閉園」「閉館」も同様で、「開店」「開園」「開館」もほぼ同様だろう。
じゃあまぎらわしくて困るかと言うと、さほどの不便はない。たいていの場合、文脈でわかるから。
「1)5月末で閉店する」なら誰が考えてもA「廃業」。「2)午後7時で閉店する」ならB「その日の営業終了」。廃業の最後の日って解釈もできなくはないけど。
「あの店は閉店した」(やっぱ重言かな?)は、Aと考えるのが自然だろう。Bととる感覚は相当異様。
ではトピに出てきた以下の例(少し形をかえた)はAかBか。
3) 午後7時頃に行ったけど閉店していた
4) 終わっていた
5) 閉まっていた
6) 開(あ)いていなかった
3) ほぼBだろう。いつもは午後7時くらいは営業している店が、なんらかの理由で早仕舞いしたと思われる。意地悪に考えると、通常何時まで営業しているかわからないと判断できない、とも言える。年中無休で午後6時に開店している店の場合はAの可能性もある。
4) ほぼBだろう。個人的には使わない。閑古鳥が鳴いている状況を「終わっている」とは言うかもしれないが、これは相当俗語っぽい。
5)6) ほぼ同じニュアンスで、AB両方の可能性がある。フツーはBで臨時休業だが、Aの可能性もある。そういう場合は張り紙とかがあるもんだが、そうとも限らない。
先日、近所の八百屋が廃業した。家人が7月25日に見たときにはなんの張り紙もなかったがシャッターが下りていた。家人はその状態を「閉まっていた」と言った。「開いていなかった」「やっていなかった」……etc.でもほぼ同義だろう。27日に見ると、閉店(廃業)を告げる張り紙がしてあった。つまりAだったってこと。ややイレギュラーかもしれないが、「事実」なんだから、誰にも文句はつけられない(笑)。
「開店」の場合も「開業」と「その日の営業開始」の両方の意味がある。
ただ、最近の傾向だと「開業」の場合は「オープン」のほうが一般的かな。もちろん「開店」でも間違いではないが。
「オープン」も「開店」とほぼ同様に使える。「クローズ」はどうだろうな。比較的新しい言い方のような気がしてよくわからない。
さらに話をグチャグチャにしよう。
こういうのは、話に「深み」が出ると言うより「深み」にはまる……うるさいわ。
「閉店」と似た感じで2通りの意味があるのが「退社」。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E9%80%80%E7%A4%BE&stype=0&dtype=0
================================
たい‐しゃ【退社】
[名](スル)
1 勤務している会社を辞めること。「一身上の都合で―する」「定年―」⇔入社。
2 その日の勤めを終えて会社から退出すること。「五時半に―する」⇔出社。
================================
就業時間を過ぎてから会社に電話をすると「○○は退社いたしました」と言われることがある。自分で使ったことはないけど、一般的に使われている。これは間違いではないけど、言葉足らずだと思う。
「退職」したのなら「○○は、●月いっぱいで退社いたしました」くらいかな。
「帰宅」したのなら「○○は、本日は退社いたしました」くらいかな。
問題は、「帰宅」の意味の「退社」のうまい言いかえがないこと。「退出」はかなりヘン。便宜的に使った「帰宅」もあやしい。家に帰ったのか遊びに行ったのか、寄り道しているか否かなんてわかるわけがない。「帰路に着きました」は正確かもしれないが、話し言葉としては異様。だから「退社」って言うんだろうな。
個人的にはどう言うか。
「本日は帰りました」「本日は失礼させていただきました」くらいだろう。
こういうときに「~させていただきました」はヘンなのかもしれない。でも「本日は失礼しました」には異和感がある。「本日は失礼いたしました」ならマシだけど、なんかイヤかも。「せっかくお電話をいただいたのに、あいにく……」って気持ちが、丁寧な表現につながるのだろう。意味をよく考えるとヘンって気もするが、挨拶の慣用句だからなぁ。
突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55354855
で、もうひとつ注目してほしいこと。
「出」の反対語って一般になんでしょう。
「退」の反対語って一般になんでしょう。
これは別の問題にしたほうがよさそうだな。
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
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mixi日記2011年07月28日から
テーマトピは下記。
【「閉店」って言われてどう解釈する?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63994176
(略)
後半は提案だな。ご自由にどうぞ。
前半の質問を要約する。「閉店」という言葉には、A「廃業」(店自体の営業終了)とB「その日の営業終了」の2つの意味があってわかりにくい(「閉園」「閉館」も同様)。区別がつきやすい表現はないのか。
まず、「閉店」の意味。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E9%96%89%E5%BA%97&stype=0&dtype=0
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へい‐てん【閉店】
[名](スル)
1 商売をやめて店を閉じること。⇔開店。
2 その日の営業を終えて店をしめること。「平日は六時に―する」⇔開店。
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2つの意味があることを示しているが、辞書はなんの使い分けも注意も記載していない。ちゃんと書くのは難問だもんね。
「閉園」「閉館」も同様で、「開店」「開園」「開館」もほぼ同様だろう。
じゃあまぎらわしくて困るかと言うと、さほどの不便はない。たいていの場合、文脈でわかるから。
「1)5月末で閉店する」なら誰が考えてもA「廃業」。「2)午後7時で閉店する」ならB「その日の営業終了」。廃業の最後の日って解釈もできなくはないけど。
「あの店は閉店した」(やっぱ重言かな?)は、Aと考えるのが自然だろう。Bととる感覚は相当異様。
ではトピに出てきた以下の例(少し形をかえた)はAかBか。
3) 午後7時頃に行ったけど閉店していた
4) 終わっていた
5) 閉まっていた
6) 開(あ)いていなかった
3) ほぼBだろう。いつもは午後7時くらいは営業している店が、なんらかの理由で早仕舞いしたと思われる。意地悪に考えると、通常何時まで営業しているかわからないと判断できない、とも言える。年中無休で午後6時に開店している店の場合はAの可能性もある。
4) ほぼBだろう。個人的には使わない。閑古鳥が鳴いている状況を「終わっている」とは言うかもしれないが、これは相当俗語っぽい。
5)6) ほぼ同じニュアンスで、AB両方の可能性がある。フツーはBで臨時休業だが、Aの可能性もある。そういう場合は張り紙とかがあるもんだが、そうとも限らない。
先日、近所の八百屋が廃業した。家人が7月25日に見たときにはなんの張り紙もなかったがシャッターが下りていた。家人はその状態を「閉まっていた」と言った。「開いていなかった」「やっていなかった」……etc.でもほぼ同義だろう。27日に見ると、閉店(廃業)を告げる張り紙がしてあった。つまりAだったってこと。ややイレギュラーかもしれないが、「事実」なんだから、誰にも文句はつけられない(笑)。
「開店」の場合も「開業」と「その日の営業開始」の両方の意味がある。
ただ、最近の傾向だと「開業」の場合は「オープン」のほうが一般的かな。もちろん「開店」でも間違いではないが。
「オープン」も「開店」とほぼ同様に使える。「クローズ」はどうだろうな。比較的新しい言い方のような気がしてよくわからない。
さらに話をグチャグチャにしよう。
こういうのは、話に「深み」が出ると言うより「深み」にはまる……うるさいわ。
「閉店」と似た感じで2通りの意味があるのが「退社」。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E9%80%80%E7%A4%BE&stype=0&dtype=0
================================
たい‐しゃ【退社】
[名](スル)
1 勤務している会社を辞めること。「一身上の都合で―する」「定年―」⇔入社。
2 その日の勤めを終えて会社から退出すること。「五時半に―する」⇔出社。
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就業時間を過ぎてから会社に電話をすると「○○は退社いたしました」と言われることがある。自分で使ったことはないけど、一般的に使われている。これは間違いではないけど、言葉足らずだと思う。
「退職」したのなら「○○は、●月いっぱいで退社いたしました」くらいかな。
「帰宅」したのなら「○○は、本日は退社いたしました」くらいかな。
問題は、「帰宅」の意味の「退社」のうまい言いかえがないこと。「退出」はかなりヘン。便宜的に使った「帰宅」もあやしい。家に帰ったのか遊びに行ったのか、寄り道しているか否かなんてわかるわけがない。「帰路に着きました」は正確かもしれないが、話し言葉としては異様。だから「退社」って言うんだろうな。
個人的にはどう言うか。
「本日は帰りました」「本日は失礼させていただきました」くらいだろう。
こういうときに「~させていただきました」はヘンなのかもしれない。でも「本日は失礼しました」には異和感がある。「本日は失礼いたしました」ならマシだけど、なんかイヤかも。「せっかくお電話をいただいたのに、あいにく……」って気持ちが、丁寧な表現につながるのだろう。意味をよく考えるとヘンって気もするが、挨拶の慣用句だからなぁ。
突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」
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で、もうひとつ注目してほしいこと。
「出」の反対語って一般になんでしょう。
「退」の反対語って一般になんでしょう。
これは別の問題にしたほうがよさそうだな。
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