突然ですが問題です【日本語編80】──「腹をくくる」「腹をすえる」「肝をすえる」「腰をすえる」【解答?編】尻を捲る シリを捲る ケツを捲る
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671
mixi日記2011年11月14日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1795416059&owner_id=5019671
まず問題を再掲する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1791639461&owner_id=5019671
================================
【問題】
【問1】
下記のホニャララなやり取りを参考にしないで、1)~8)のなかから「こんなの聞いたことない」という慣用句を選びなさい。
【腹をくくる…は、腹をすえる+高をくくる…が混同してしまっている言葉ですが……】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1074601485
1)腹をくくる
2)高をくくる
3)高がしれる
4)腹をすえる
5)肝をすえる
6)腰をすえる
7)お灸をすえる
8)煙草がすえる
【問2】
下記の慣用句の読みと意味を書きなさい。
尻を捲る
================================
【解答?例】
【問1】
1)~8)は、いずれも辞書にのっているフツーの慣用句。
個人的には疑問があるし、4)5)あたりは滅多に見聞しないが、辞書に逆らう気はない(今回は)。
詳しくは下記をご参照ください。
慣用句の話──「腹をくくる」「腹をすえる」「肝をすえる」「腰をすえる」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2193.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1793238483&owner_id=5019671
【問2】
「けつをまくる」「しりをまくる」のどちらも間違いとは言い切れない。
Web辞書をひくと、「しりをまくる」は『大辞泉』『大辞林』の両方に出ている。ただし、「尻(けつ)をまくる」は『大辞林』にしかのっていない。『大辞泉』に出ているのは「穴(けつ)を捲る」だけ(ちょっと驚いた。この「穴(けつ)」とはなんのことなんだろう)。ということは「しりをまくる」と読んでおくほうが安全なのだろうか(笑)。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%91%E3%81%A4%E3%82%92%E6%8D%B2%E3%82%8B&stype=0&dtype=0
================================
穴(けつ)を捲(まく)・る
《ならず者が着物の裾(すそ)をまくって、その場に座り込むところから》追い詰められて、逆におどすような態度をとる。居直る。尻を捲る。
================================
ちなみに、「尻を捲る」はよく誤用される。典型的な例は、会社を辞めた人間に対して「尻を捲りやがった」と使ったりする。
感じは出ているが、現段階では誤用なのでオススメはできない。
この誤用が生まれた背景はちょっと複雑かもしれない。
まず、個人的には「しりをまくる」には異和感がある。元々は「けつをまくる」だったが、「ケツ」は下品な印象があるために「シリ」になったのでは……。このあたりは慣用句の「食う」が「食べる」に移行するのに近い印象がある。
589)突然ですが問題です【日本語編72】──「食う」を使う慣用句 「食べる」を使う慣用句 【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1781571782&owner_id=5019671
一方「シリ」関係の慣用句には「シリを端折る」「シリをからげる」がある。これは、時代劇で町人が走るシーンなどに出てくる「着物の端を折って帯に挟む」行為。武士がシリを端折るのをあまりみないのは、ナンバ走りをするからなんだろうか? 堀部安兵衛はどんなふうに走ったっけ。何も記憶がない。
この「シリを端折って走る」ことの連想から、「シリを捲る」が「走って逃げる」などの意味にすりかわったのでは。本来の「ケツを捲る」のままだったら、こんな混乱は生まれなかった気がする。
「尻を捲る」……なんて不憫な子。「スカートを捲る」だったらもっと愛されたのに。
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まず問題を再掲する。
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【問題】
【問1】
下記のホニャララなやり取りを参考にしないで、1)~8)のなかから「こんなの聞いたことない」という慣用句を選びなさい。
【腹をくくる…は、腹をすえる+高をくくる…が混同してしまっている言葉ですが……】
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1)腹をくくる
2)高をくくる
3)高がしれる
4)腹をすえる
5)肝をすえる
6)腰をすえる
7)お灸をすえる
8)煙草がすえる
【問2】
下記の慣用句の読みと意味を書きなさい。
尻を捲る
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【解答?例】
【問1】
1)~8)は、いずれも辞書にのっているフツーの慣用句。
個人的には疑問があるし、4)5)あたりは滅多に見聞しないが、辞書に逆らう気はない(今回は)。
詳しくは下記をご参照ください。
慣用句の話──「腹をくくる」「腹をすえる」「肝をすえる」「腰をすえる」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2193.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1793238483&owner_id=5019671
【問2】
「けつをまくる」「しりをまくる」のどちらも間違いとは言い切れない。
Web辞書をひくと、「しりをまくる」は『大辞泉』『大辞林』の両方に出ている。ただし、「尻(けつ)をまくる」は『大辞林』にしかのっていない。『大辞泉』に出ているのは「穴(けつ)を捲る」だけ(ちょっと驚いた。この「穴(けつ)」とはなんのことなんだろう)。ということは「しりをまくる」と読んでおくほうが安全なのだろうか(笑)。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%91%E3%81%A4%E3%82%92%E6%8D%B2%E3%82%8B&stype=0&dtype=0
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穴(けつ)を捲(まく)・る
《ならず者が着物の裾(すそ)をまくって、その場に座り込むところから》追い詰められて、逆におどすような態度をとる。居直る。尻を捲る。
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ちなみに、「尻を捲る」はよく誤用される。典型的な例は、会社を辞めた人間に対して「尻を捲りやがった」と使ったりする。
感じは出ているが、現段階では誤用なのでオススメはできない。
この誤用が生まれた背景はちょっと複雑かもしれない。
まず、個人的には「しりをまくる」には異和感がある。元々は「けつをまくる」だったが、「ケツ」は下品な印象があるために「シリ」になったのでは……。このあたりは慣用句の「食う」が「食べる」に移行するのに近い印象がある。
589)突然ですが問題です【日本語編72】──「食う」を使う慣用句 「食べる」を使う慣用句 【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1781571782&owner_id=5019671
一方「シリ」関係の慣用句には「シリを端折る」「シリをからげる」がある。これは、時代劇で町人が走るシーンなどに出てくる「着物の端を折って帯に挟む」行為。武士がシリを端折るのをあまりみないのは、ナンバ走りをするからなんだろうか? 堀部安兵衛はどんなふうに走ったっけ。何も記憶がない。
この「シリを端折って走る」ことの連想から、「シリを捲る」が「走って逃げる」などの意味にすりかわったのでは。本来の「ケツを捲る」のままだったら、こんな混乱は生まれなかった気がする。
「尻を捲る」……なんて不憫な子。「スカートを捲る」だったらもっと愛されたのに。
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