2012年1月の朝日新聞から
【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html
●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html
【2012年1月】
12-01-01
1日
久保は中飛車に振ってから▲6六歩(図)と角道を止め、得意とする角交換を辞さない構えを避けた。(朝刊37面)
諏訪景子記者。後半が相当わかりにくい。「得意とする角交換」なら、そりゃフツーは辞さない。その構えを避ける? 「角交換」を得意とする棋士とか「角交換」を苦手とする棋士なんているの? 「角換わり」って戦形が得意な棋士や、角づかいが得意な棋士ならいるけど。これ、「得意とする」のは「角交換を辞さない構え」なのよ。この対局ではあえてそれを避けたってこと。ちなみに、「角交換を辞さない振り飛車」は最近のスタンダードとも言え、別に久保二冠の「得意」ではないはず。この記者の名前は初見。今後注目かも。
12-01-02
5日
平田容疑者が出頭前の大みそかの夜、警察庁のオウム真理教特別手配容疑者の専用フリーダイヤルに電話をかけたとしている件で警視庁の捜査本部は4日、「現時点ではその記録はない」と話した。(朝刊39面)
記者不明。平田容疑者は10回ほどかけたが話し中でつながらなかったと主張している。しかも話し中の場合も記録が残る仕組みらしい。機械の故障でなければ、容疑者がウソをついていることになる。しかし、ウソつく理由はないだろう。そうなると、可能性は……。そんな大事なフリーダイヤルが機能していないことは問題にならないのね。
で、本題。「現時点ではその記録はない」……こういう言い方は聞くことがある気がする。でもさぁ。「現時点で記録がない」ならそれは「ない」ってことで、どこまでいっても記録はないでしょ。「(記録が)確認できていない」でも言うべきでは。この先記録が生まれたら怪奇現象だよ。
12-01-03
7日
向井理演じる荒くれ者の英介は、降りかかる困難にハングリー精神で立ち向かう。(朝刊b6面)
新ドラマ『ハングリー』の紹介記事。記者不明。「荒くれ者」ですか。ギャグまじりで「やさぐれる」は使ったことがあるけど、「荒くれ者」は使った記憶がない。「乱暴者」ならアリかな。
12-01-04
11日
無頼の空気を漂わせる刑事に永作の不敵な笑みがよく似合う。(朝刊40面)
田玉恵美記者。新ドラマ『ダーティ・ママ』の紹介記事。「無頼」も自分では使った記憶がない。女性を形容したのを見るのは初めてかも。このクールは外道な主人公が多いらしい(笑)。
12-01-05~10
14日
朝刊35面に「55プラス」って連載記事がある。この「夢のワイナリー2」の文章がヒドいと、とあるコミュで教えてもらった。書き手は、たぶん「1」と同様岩崎賢一記者。全文を引きたいとことだが、気になった部分だけ抜き書きする。
日本食に合うと評判な甲州種ブドウの白ワイン。(05)
異業種からの参入者にとって、畑の借り方すらわからない。(06)
高野さんは、故郷の荒れていくブドウ畑を憂えてブドウづくりを始めていた。(07)
だから、ワイン好きな人は、ブドウ栽培から醸造まで一貫して取り組みたいと考える人が多い。(08)
高野さんには時々、地元農家が高齢を理由にブドウ畑を管理してほしいという相談が舞い込む。(09)
比較的質のいいブドウが採れたり、耕作依頼が来たりする畑は傾斜地が多い。高齢になればなるほど傾斜地の作業がきつくなるためだ。(10)
順番に見ていく。
「05」は冒頭の文。冒頭に紋切り型に近い体言止めが来ることに対する感想はパス。問題は「評判な」と言うか否か。これはちょっと微妙で、一般に「評判」は形容動詞でもあるのでOKとも言える。これは「08」に出てくる「ワイン好きな人」も同様だと思う。
【板外編9】文法はお好きですか?──そんな物好きな人はいません
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1207215683&owner_id=5019671
「06」。主語と述語がヨレてないか? 「異業種からの参入者(に)は、畑の借り方すらわからない」「異業種からの参入者にとって(は)、畑を借りる方策も大きな問題だ」くらいかな? まだなんかヘンだ。
「07」。「憂えて」にちょっと驚く。合ってる。(←オイ!)
「10」もそうだが、この記者はキッチリ「片たり」も避けている。欲を言えばもうひと工夫欲しいが。いったいどういう感覚なんだろう。
【『同期の桜―お言葉ですが…8』】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=513760066&owner_id=5019671
「08」
「人」がダブっている。「だから、ワイン好きは、ブドウ栽培から醸造まで一貫して取り組みたいと考える人が多い」もしくは「だから、ワイン好きな人(ママ)は、ブドウ栽培から醸造まで一貫して取り組みたいと考えることが多い」くらいか。
「09」。相当ヨレている。「高野さんには時々、高齢を理由にブドウ畑を管理してほしいという地元農家(から)の相談が舞い込む」くらいか。
「10」。どうしたものか。「傾斜地は比較的質のいいブドウが採れる。しかし、高齢になればなるほど(傾斜地の)作業がきつくなるため、耕作依頼の多いのも傾斜地の畑だ」くらいか。なんかヘンだな。
「耕作依頼が来る畑は傾斜地が多い。傾斜地は比較的質のいいブドウが採れるが、高齢になればなるほど作業がきつくなるからだ」くらいか。
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●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
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●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
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【2012年1月】
12-01-01
1日
久保は中飛車に振ってから▲6六歩(図)と角道を止め、得意とする角交換を辞さない構えを避けた。(朝刊37面)
諏訪景子記者。後半が相当わかりにくい。「得意とする角交換」なら、そりゃフツーは辞さない。その構えを避ける? 「角交換」を得意とする棋士とか「角交換」を苦手とする棋士なんているの? 「角換わり」って戦形が得意な棋士や、角づかいが得意な棋士ならいるけど。これ、「得意とする」のは「角交換を辞さない構え」なのよ。この対局ではあえてそれを避けたってこと。ちなみに、「角交換を辞さない振り飛車」は最近のスタンダードとも言え、別に久保二冠の「得意」ではないはず。この記者の名前は初見。今後注目かも。
12-01-02
5日
平田容疑者が出頭前の大みそかの夜、警察庁のオウム真理教特別手配容疑者の専用フリーダイヤルに電話をかけたとしている件で警視庁の捜査本部は4日、「現時点ではその記録はない」と話した。(朝刊39面)
記者不明。平田容疑者は10回ほどかけたが話し中でつながらなかったと主張している。しかも話し中の場合も記録が残る仕組みらしい。機械の故障でなければ、容疑者がウソをついていることになる。しかし、ウソつく理由はないだろう。そうなると、可能性は……。そんな大事なフリーダイヤルが機能していないことは問題にならないのね。
で、本題。「現時点ではその記録はない」……こういう言い方は聞くことがある気がする。でもさぁ。「現時点で記録がない」ならそれは「ない」ってことで、どこまでいっても記録はないでしょ。「(記録が)確認できていない」でも言うべきでは。この先記録が生まれたら怪奇現象だよ。
12-01-03
7日
向井理演じる荒くれ者の英介は、降りかかる困難にハングリー精神で立ち向かう。(朝刊b6面)
新ドラマ『ハングリー』の紹介記事。記者不明。「荒くれ者」ですか。ギャグまじりで「やさぐれる」は使ったことがあるけど、「荒くれ者」は使った記憶がない。「乱暴者」ならアリかな。
12-01-04
11日
無頼の空気を漂わせる刑事に永作の不敵な笑みがよく似合う。(朝刊40面)
田玉恵美記者。新ドラマ『ダーティ・ママ』の紹介記事。「無頼」も自分では使った記憶がない。女性を形容したのを見るのは初めてかも。このクールは外道な主人公が多いらしい(笑)。
12-01-05~10
14日
朝刊35面に「55プラス」って連載記事がある。この「夢のワイナリー2」の文章がヒドいと、とあるコミュで教えてもらった。書き手は、たぶん「1」と同様岩崎賢一記者。全文を引きたいとことだが、気になった部分だけ抜き書きする。
日本食に合うと評判な甲州種ブドウの白ワイン。(05)
異業種からの参入者にとって、畑の借り方すらわからない。(06)
高野さんは、故郷の荒れていくブドウ畑を憂えてブドウづくりを始めていた。(07)
だから、ワイン好きな人は、ブドウ栽培から醸造まで一貫して取り組みたいと考える人が多い。(08)
高野さんには時々、地元農家が高齢を理由にブドウ畑を管理してほしいという相談が舞い込む。(09)
比較的質のいいブドウが採れたり、耕作依頼が来たりする畑は傾斜地が多い。高齢になればなるほど傾斜地の作業がきつくなるためだ。(10)
順番に見ていく。
「05」は冒頭の文。冒頭に紋切り型に近い体言止めが来ることに対する感想はパス。問題は「評判な」と言うか否か。これはちょっと微妙で、一般に「評判」は形容動詞でもあるのでOKとも言える。これは「08」に出てくる「ワイン好きな人」も同様だと思う。
【板外編9】文法はお好きですか?──そんな物好きな人はいません
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「06」。主語と述語がヨレてないか? 「異業種からの参入者(に)は、畑の借り方すらわからない」「異業種からの参入者にとって(は)、畑を借りる方策も大きな問題だ」くらいかな? まだなんかヘンだ。
「07」。「憂えて」にちょっと驚く。合ってる。(←オイ!)
「10」もそうだが、この記者はキッチリ「片たり」も避けている。欲を言えばもうひと工夫欲しいが。いったいどういう感覚なんだろう。
【『同期の桜―お言葉ですが…8』】
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「08」
「人」がダブっている。「だから、ワイン好きは、ブドウ栽培から醸造まで一貫して取り組みたいと考える人が多い」もしくは「だから、ワイン好きな人(ママ)は、ブドウ栽培から醸造まで一貫して取り組みたいと考えることが多い」くらいか。
「09」。相当ヨレている。「高野さんには時々、高齢を理由にブドウ畑を管理してほしいという地元農家(から)の相談が舞い込む」くらいか。
「10」。どうしたものか。「傾斜地は比較的質のいいブドウが採れる。しかし、高齢になればなるほど(傾斜地の)作業がきつくなるため、耕作依頼の多いのも傾斜地の畑だ」くらいか。なんかヘンだな。
「耕作依頼が来る畑は傾斜地が多い。傾斜地は比較的質のいいブドウが採れるが、高齢になればなるほど作業がきつくなるからだ」くらいか。
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