「形容詞+です」──何回目だろう
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671
mixi日記2012年02月10日から
テーマサイトは下記。
【「形容詞+です」 という文章を見て、どう感じますか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1181114161
【当方のコメントのバックップ(完全版)】
「形容詞+です」(「~たい+です」も同様)について。
過去に下記のコメントを書いたことがあります。ご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1256554757
今回の質問はよくある質問とちょっと趣旨が違う気がするので、歴史的な経緯などは省略して書きます。
●「○○した方が早いです。」の安直な書きかえ案
1) イチバン安直なのは「○○した方が早いでしょう」にすることでしょう。
これなら文法にうるさい人でもOKのはずです。
2)最後に「か」「ね」「よ」などをつけると、異和感が薄れます。話し言葉的ニュアンスが強くなるからだと思いますが、正確なところはわかりません。質問の例文なら「○○した方が早いですよ。」でいかがでしょうか。
そのあとに出てくる「多いです」なら、「多いですね」あたりかもしれません。フツーなら「多いようです」「多くなります」あたりでしょうか。この場合は「多いノです」もアリだと思います。このあたりはケースバイケースです。
詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
●話し言葉と書き言葉の違いや、使う場面による違い
この点について、長年(笑)新聞を観察しています。
「形容詞+です」は話し言葉としてはかなり普及しています。
当方が例としてよくあげるのは、高校野球の試合後のインタビューです。
勝ったチームの選手の開口一番が「うれしいです」。
負けたチームの選手の開口一番が「悔しいです」。
テレビではよく見聞しますが、新聞にこの形がそのまま出ることは滅多にありません。「です」を省略するか、ほかの表現にかえることが多いようです。
長いインタビューだと、近年は「形容詞+です」も目にする機会が増えています。書き手の苦労がうかがえます。
たとえば下記。冒頭の索引で「しいです」を検索したら5件(なんでこんなに少ないのだろう?)ヒットしました。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-750.html
================================
09-10-6
24日
朝刊b5面に志田未来のインタビュー記事がのっている。松田史朗記者。セリフの語尾だけを並べる。
「ばっかりなので」「楽しいです」「暑いなあと」「感じです」「楽しい」「ひねくれた役」「やってみたい」「ないです」
「い形容詞終止形」が2つ。「い形容詞終止形」+「です」が3つ。こういうのを「変化をつける」と言うのだろうか。ちゃんとした媒体は「い形容詞終止形」+「です」を避ける……と思ったのは幻想だったのかも。
================================
現状では、話し言葉ならほぼ○、書き言葉だと△くらいだと思います。
〈知恵袋という場の回答の文章〉なら、どちらでしょうね。文体にもよると思います。
やわらかい書き方をしているならアリでしょう。
ただ、個人的にはよほどのことがない限り使いませんが……。
●昔の朝日新聞の例
気になって古いデータをリンク先に追記しました。やはり昔は朝日新聞も「形容詞+です」 は避けていたようです。
2000年8月13日の日記から。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
最近新聞を読むときに、コメントの語尾が気になってしかたがない。以前はデアル体一本槍だったような気がするが、最近は微妙にデス・マス体をまぜている。昨日の朝日新聞朝刊に格好の題材が載っているので、全文を引く。スポーツ面の「がんばれ後輩」というコラムで、甲子園球児に対して送った西武の松坂大輔のエール。
================================
プロになっても、やっぱり高校野球は気になります。神奈川大会の決勝へ行き、横浜を応援したけど、久しぶりに興奮した。去年は観戦に行った時に負けたので、今年は勝って本当に良かった。差し入れを考えるのも楽しみです。
今も心がけていますが、夏場は体調管理に気をつけないといけない。水分補給も大事だけど、あまりごくごくと飲み過ぎてもいけない。普段通りに過ごすことが大切です。いい思い出になるのも、ならないのも、本人次第。自分のプレーができるように、みんながんばってほしい。
================================
文末だけを順にあげてみる。
なります/興奮した/良かった/楽しみです/いけない/いけない/大切です/本人次第/ほしい
1番目が「なりマス」で2番目が「興奮しタ」になっている理由は判らない。
その点を別にすると、コメントに見られる特徴はだいたい次のようになる。
1)形容詞などの語尾の「~イ」は、そのままいいきる(「よかったデス」だの「いけなイデス」はやはり日本語ではない)
2)「イデス」の類いを用いるときには「ね」などをつけて不自然さをぼかす(これは、この松坂コメントにはない)
3)「ダ」「デアル」は用いない(さすがに偉そうだもんな)
4)体言止めは多用しない
4)の問題が、昔の印象と異なる。かつては、やたらと体言止めが目立っていたはず。コメント(話し言葉)で体言止めを使うのはホンマに特殊な例なのに、バッカじゃなかろうかと思っていた。あれは「ダ」「デアル」を使わないための苦肉の策だったんだろうな。
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671
mixi日記2012年02月10日から
テーマサイトは下記。
【「形容詞+です」 という文章を見て、どう感じますか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1181114161
【当方のコメントのバックップ(完全版)】
「形容詞+です」(「~たい+です」も同様)について。
過去に下記のコメントを書いたことがあります。ご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1256554757
今回の質問はよくある質問とちょっと趣旨が違う気がするので、歴史的な経緯などは省略して書きます。
●「○○した方が早いです。」の安直な書きかえ案
1) イチバン安直なのは「○○した方が早いでしょう」にすることでしょう。
これなら文法にうるさい人でもOKのはずです。
2)最後に「か」「ね」「よ」などをつけると、異和感が薄れます。話し言葉的ニュアンスが強くなるからだと思いますが、正確なところはわかりません。質問の例文なら「○○した方が早いですよ。」でいかがでしょうか。
そのあとに出てくる「多いです」なら、「多いですね」あたりかもしれません。フツーなら「多いようです」「多くなります」あたりでしょうか。この場合は「多いノです」もアリだと思います。このあたりはケースバイケースです。
詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
●話し言葉と書き言葉の違いや、使う場面による違い
この点について、長年(笑)新聞を観察しています。
「形容詞+です」は話し言葉としてはかなり普及しています。
当方が例としてよくあげるのは、高校野球の試合後のインタビューです。
勝ったチームの選手の開口一番が「うれしいです」。
負けたチームの選手の開口一番が「悔しいです」。
テレビではよく見聞しますが、新聞にこの形がそのまま出ることは滅多にありません。「です」を省略するか、ほかの表現にかえることが多いようです。
長いインタビューだと、近年は「形容詞+です」も目にする機会が増えています。書き手の苦労がうかがえます。
たとえば下記。冒頭の索引で「しいです」を検索したら5件(なんでこんなに少ないのだろう?)ヒットしました。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-750.html
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09-10-6
24日
朝刊b5面に志田未来のインタビュー記事がのっている。松田史朗記者。セリフの語尾だけを並べる。
「ばっかりなので」「楽しいです」「暑いなあと」「感じです」「楽しい」「ひねくれた役」「やってみたい」「ないです」
「い形容詞終止形」が2つ。「い形容詞終止形」+「です」が3つ。こういうのを「変化をつける」と言うのだろうか。ちゃんとした媒体は「い形容詞終止形」+「です」を避ける……と思ったのは幻想だったのかも。
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現状では、話し言葉ならほぼ○、書き言葉だと△くらいだと思います。
〈知恵袋という場の回答の文章〉なら、どちらでしょうね。文体にもよると思います。
やわらかい書き方をしているならアリでしょう。
ただ、個人的にはよほどのことがない限り使いませんが……。
●昔の朝日新聞の例
気になって古いデータをリンク先に追記しました。やはり昔は朝日新聞も「形容詞+です」 は避けていたようです。
2000年8月13日の日記から。
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最近新聞を読むときに、コメントの語尾が気になってしかたがない。以前はデアル体一本槍だったような気がするが、最近は微妙にデス・マス体をまぜている。昨日の朝日新聞朝刊に格好の題材が載っているので、全文を引く。スポーツ面の「がんばれ後輩」というコラムで、甲子園球児に対して送った西武の松坂大輔のエール。
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プロになっても、やっぱり高校野球は気になります。神奈川大会の決勝へ行き、横浜を応援したけど、久しぶりに興奮した。去年は観戦に行った時に負けたので、今年は勝って本当に良かった。差し入れを考えるのも楽しみです。
今も心がけていますが、夏場は体調管理に気をつけないといけない。水分補給も大事だけど、あまりごくごくと飲み過ぎてもいけない。普段通りに過ごすことが大切です。いい思い出になるのも、ならないのも、本人次第。自分のプレーができるように、みんながんばってほしい。
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文末だけを順にあげてみる。
なります/興奮した/良かった/楽しみです/いけない/いけない/大切です/本人次第/ほしい
1番目が「なりマス」で2番目が「興奮しタ」になっている理由は判らない。
その点を別にすると、コメントに見られる特徴はだいたい次のようになる。
1)形容詞などの語尾の「~イ」は、そのままいいきる(「よかったデス」だの「いけなイデス」はやはり日本語ではない)
2)「イデス」の類いを用いるときには「ね」などをつけて不自然さをぼかす(これは、この松坂コメントにはない)
3)「ダ」「デアル」は用いない(さすがに偉そうだもんな)
4)体言止めは多用しない
4)の問題が、昔の印象と異なる。かつては、やたらと体言止めが目立っていたはず。コメント(話し言葉)で体言止めを使うのはホンマに特殊な例なのに、バッカじゃなかろうかと思っていた。あれは「ダ」「デアル」を使わないための苦肉の策だったんだろうな。
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