「以後」と「以降」の違い Yahoo!知恵袋
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671
mixi日記2012年03月09日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1828448385&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【「~以後」と、「~以降」ってどのように使い分けるんですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1282912477
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BB%A5%E5%BE%8C&stype=0&dtype=0
================================引用開始
い‐ご【以後/×已後】
1 これから先。今からのち。今後。副詞的にも用いる。「―は班別に行動する」「―気をつけます」
2 その時よりのち。その後。「三時―は在宅しています」⇔以前。
[用法] 以後・以降――「五時以後(以降)、この門は閉まる」「以後(以降)、体力が衰えた」「来月以後(以降)の予定」など、その時を含んで過去・未来を表すことでは相通じて用いられる。◇「以降」は「明治維新以降、日本の近代化は急速に進んだ」など、ある時点からの時の経過に重点を置くことが多い。◇類似の語として「一九五六年以来、彼女はパリにいる」のように、ある時点から現在までずっとの意味を表す「以来」や、「一〇年このかた、彼には会っていない」のように、ある時から今までの意味をもつ「このかた」がある。
================================引用終了
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BB%A5%E9%99%8D&stype=0&dtype=0
================================引用開始
い‐こう〔‐カウ〕【以降/×已降】
ある時からのち。「平安時代―」「四月―」
→以後[用法]
================================引用終了
これでは違いは何もないことになる。
〈「以降」は「明治維新以降、日本の近代化は急速に進んだ」など、ある時点からの時の経過に重点を置くことが多い〉ってどういう意味なんだろう。この例文も「以後」にできると思う。
類語辞書をひく。運がよければ解決することもある。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/15274/m0u/%E4%BB%A5%E5%BE%8C/
================================引用開始
その後(そのご)/以後(いご)/以降(いこう)/以来(いらい)
爾後(じご) 爾来(じらい)
[共通する意味]
★それよりのち。それから。
[英]
after that
[使い方]
〔その後〕▽その後お変わりございませんか▽その後の足どりはつかめない
〔以後〕▽以後、失敗しないように注意します▽それ以後彼とは交際していない
〔以降〕▽午後七時以降は家にいます▽九月以降は新しい電話番号になります
〔以来〕▽卒業以来、全員で集まるのは初めてだ▽風邪をひいて以来体調が思わしくない
[使い分け]
【1】「以来」は、過去のある時点から現在までを表わすのに対し、「以後」「以降」は、過去にも未来にも用いられる。したがって、「来週以後」「来週以降」とはいえるが、「来週以来」とはいえない。「その後」も、「来週渡米します。その後ヨーロッパをまわるつもりです」のように、未来のある時点から先を表わす場合にも用いられる。
【2】「以降」は、「三時以降」「来年以降」のように、いつも他の語と一緒に使う。
【3】「以来」には、「気象庁始まって以来の積雪」のように、話題の事態が、ある時点から現在までで最も程度がはなはだしいことを表わす場合がある。
[反対語]
▼以後⇔以前
[関連語]
◆(爾後) 「その後」「それ以来」の意の文章語。「爾後の予定はまだたっていない」
◆(爾来) 「以来」の意の文章語。「爾来、わが社は新製品の開発に努力してきました」
[対比表]
…彼とは会っていない 明治… 明日…の予定 …のことは不明
その後 ○ - - ○
以後 ○ ○ ○ ○
以降 △ ○ ○ -
以来 ○ ○ - -
================================引用終了
「類語辞書」によると、基本的には「ほぼ同じ」。
唯一の違いは〈「以降」は、「三時以降」「来年以降」のように、いつも他の語と一緒に使う〉という点らしい。
そうなんだろうか。辞書の「対比表」にある「以降、彼とは会っていない」はさほどおかしくない気がする(辞書も△にしている)。「以降のことは不明」も「間違い」とは思えない。
むしろ、「3時以後」「来年以後」はちょっとヘンな気がする。でも、『大辞泉』はOKにしている。ちなみに『大辞泉』は「以後(以降)、体力が衰えた」もOKにしている。つまり「類語辞書」があげた唯一の違いを否定している。
Yahoo!知恵袋のコメントにある「○行目以降」は「○行目以後」にできない、という指摘は同感。「できない」は言いすぎだけど、しにくい印象がある。「3時以後」「来年以後」と同じ異和感だと思う。と言うことは、辞書的にはOKなんだろうな。
ただ、「二次元的に使うことができる」のは「以降」だけとは思えない。「○行目に出てくるだけで、{以降/以後}は出てこない」ならどちらもOKだろう。これは「○行目に出てくるだけだ。{以降/以後}は出てこない」にもできそう。やはり〈いつも他の語と一緒に使う〉とは限らないようだ。こうなると、例によって〈基本的には「ほぼ同じ」〉としか言いようがない。
あえて言うなら、辞書の例にある(注意を受けたときなどに言う)「以後、失敗しないように注意します」。これは「以降、失敗しないように注意します」とは言わない気がするが、×とまでは言えないだろう。
「以後」と「以降」の違い Yahoo!知恵袋〈2〉
直接的には下記の続きだろうな。
【「以後」と「以降」の違い Yahoo!知恵袋】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1828448385&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【「以降」、「以後」の違いは何ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1492037479
なんと言うか気持ちが暗くなる。
ちょっと事情の説明が必要だろう。
Yahoo!知恵袋で「以後」「以降」の話を見るのは2回目。【前回】はリンクも張った下記で、このときのベストアンサーには疑問が残った。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1282912477
【今回】の質問に対して、kaijin21_1さんが現状とはまったく違うコメントを書いた。詳しくは覚えていないが、出典を示さず『類語例解辞典』を孫引きしていた。このかたは、さまざまな資料を駆使して回答する人なので、出典を示さなかったのは単純ミスだろう。
『類語例解辞典』の記述にはいろいろ不備が感じられる。だから、当方は以前に書いたコメントを転載した。すると、kaijin21_1さんはコメントを全面的にサシカエしてしまった。そういうのってアリなの?
今度もってきたのは、文化庁編集の『言葉に関する問答集 総集編』。ただし参考文献としているので、どこまでが孫引きで、どこが意見なのかはサッパリわからない。
問題は、この『言葉に関する問答集 総集編』を参考にしたコメントが、【前回】のベストアンサーと酷似していること。フツーに考えれば、【前回】のベストアンサーを書いた人がパクったんだろう。ただし、この人が直接パクったのか、ほかの人がどこかでパクったものを転載したのかはわからないorz。なんせネットは無法地帯だから。
それに対して当方は〈↑のベストアンサーが参考になるかもしれません(個人的には疑問です)〉と書いている。それなのに、【今回】後出しのサシカエで同じようなもの(微妙に違うからタチが悪い)をもってこられると困るんですけど。まるで当方がほかのコメントを読んでいないような印象になる。
こういうことをあの場で書くとすごく感じが悪いので、書かないことにしている(書いている人も多いけど)。「ドイツもイタリアも……」なんてことは決して書かない。
で、出典が明らかにされている【今回】のコメントを例に、どこが疑問か具体的に書いてみる。
〈「以」がつくときの意味は、「以上・以下」などのように、基準となるものを含むことになります。〉。厳密に言うと、まずここが違う。
【「以上」「以下」の解釈】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=18857670&comm_id=6251
『広辞苑』の記述は『大辞泉』とほぼ同じようだ。
フツーに辞書をひけばわかる問題だろう。下記の「1」に明記されている。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BB%A5%E4%B8%8A&stype=0&dtype=0
================================引用開始
い‐じょう〔‐ジヤウ〕【以上/×已上】
[名]
1 数量・程度・優劣などの比較で、それより上の範囲であること。数量では、その基準をも含む。「七〇歳―の老人」「期待―の大活躍」「君―の実力がある」⇔以下。
2 それより前に述べたこと。「―のとおり相違ありません」⇔以下。
3 合わせて。合計。「男性八名、女性五名、―一三名」
4 手紙・目録・箇条書きなどの末尾に記して「終わり」の意を表す。
5 (活用語の連体形に付いて接続助詞のように用いる)…の上は。…からには。「決定した―、変更しない」
6 「御目見(おめみえ)以上」の略。
[副]どうしても。まるっきり。
================================引用終了
「数量」の場合は「基準点を含む」。「程度・優劣」の場合は「それより上」。
辞書の例文を見ればわかる。
「七〇歳以上の老人」は「70歳」を含む。
「君以上の実力がある」は「君」を含まない。なんでそんなことになっているのかは、言葉の神様でないとわからない。
「以降」(「以後」も同様)も同様だろう。
「4月以降」なら「4月」を含む。
「松中選手以降、三冠王は出ていない」「松中選手以降、ろくな選手がいない」なら「松中選手」を含まない。「松中選手」を含むと形容矛盾みたいで訳のわからないことになる。
これはたいした問題ではないので、無視してもいい。(←オイ!)
〈しかし、「後」が「のち」という名詞であるのに対し、「降」のほうは「くだる」という動詞の意味を持っています。〉……それはそのとおりだろう。問題は、そのことによって意味や用法にどのような違いが出るか。
〈以後……「4月以後の大事故」「4月以後の募集」〉
〈以降……「4月以降の交通事故」「4月以降の警戒態勢」〉
この4例で「以後」と「以降」の違いがあるのだろうか。どれも互換性がある気がする。
以降(以後)の記述でも、当方には違いが理解できない。
「従来」と「従前」なんてのも同様と考えられる。「来」は動詞で「前」は名詞。そういう概念的な意味合いも重要なのかもしれないが、意味や用法に具体的な違いがないなら、あまり意味はない。
〈したがって、「以後」の場合はその事柄が1回だけであっても差支えありませんが、「以降」の方は、その事柄が継続して行われる場合の使い方になります。〉……意味がわからない。
関東大震災{以後/以降}、関東は地震で壊滅的な被害は受けていない。
基準点が含まれないのはすでに書いたとおり。「以降」でも「以後」でも大差がない。 1回だけ」とか「継続して」とか、何が関係があるのだろう。
この例文は下記のようにもできる。
関東大震災では約○○人の死者が出た。(略){以後/以降}、関東は地震で壊滅的な被害は受けていない。
つまり、「以降」は「○○以降、」と基準になる言葉とセットで使うことが多いが、そうでないこともあるってこと。
微妙な違いについて、【今回】当方があげた例文で見てみよう。
こういう微妙な話になると、語感に関して個人差もあるだろう。
1)3時{以後/以降}。
個人的には「以降」だと思う。しかし、『大辞泉』も『言葉に関する問答集 総集編』も「以後」をOKにしている。
2){以後/以降}、彼とは会っていない。
どっちも○だろう。文脈によっては違いが出てくるかも。「{以後/以降}、彼とは会わないようにします」なら、下記の3)と同様になる。
3){以後/以降}、失敗しないように注意します。
4){以後/以降}のことは不明。
こういう用法だと、「以降」は少しだけ不自然な気がする。「間違い」と主張する気はない。
おそらく、「いま直面している時点よりもあと」の意味で使う場合は「以降」はちょっと不自然なのだろう。そう考えると、(どちらかと言うと)「以後」は主観的で、「以降」は客観的なのかも。さらに言うと、「以降」のほうが物事を長いスパンでとらえている印象がある。
4)も文脈によってかわる気がする。
今日の3時にいまの作業が終了します。現段階では以後のことは不明です。
これは「以後」のほうが自然だろう。「以降」でも「間違い」ではない。
彼の足どりは、3年前の3月3日までは確認されている。以降のことは不明です。
これは「以降」のほうが自然だろう。「以後」でも「間違い」ではない。
〈「○○」と「△△」の違い〉という質問があると、とにかく微妙な違いを見つけて、訳のわからない理屈で無理矢理説明している例が多すぎる気がする。まぁ、当方のようになんでもかんでも「大差なし」にしてしまうと芸がないんだろうな。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
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■Web辞書『大辞泉』から
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================================引用開始
い‐ご【以後/×已後】
1 これから先。今からのち。今後。副詞的にも用いる。「―は班別に行動する」「―気をつけます」
2 その時よりのち。その後。「三時―は在宅しています」⇔以前。
[用法] 以後・以降――「五時以後(以降)、この門は閉まる」「以後(以降)、体力が衰えた」「来月以後(以降)の予定」など、その時を含んで過去・未来を表すことでは相通じて用いられる。◇「以降」は「明治維新以降、日本の近代化は急速に進んだ」など、ある時点からの時の経過に重点を置くことが多い。◇類似の語として「一九五六年以来、彼女はパリにいる」のように、ある時点から現在までずっとの意味を表す「以来」や、「一〇年このかた、彼には会っていない」のように、ある時から今までの意味をもつ「このかた」がある。
================================引用終了
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BB%A5%E9%99%8D&stype=0&dtype=0
================================引用開始
い‐こう〔‐カウ〕【以降/×已降】
ある時からのち。「平安時代―」「四月―」
→以後[用法]
================================引用終了
これでは違いは何もないことになる。
〈「以降」は「明治維新以降、日本の近代化は急速に進んだ」など、ある時点からの時の経過に重点を置くことが多い〉ってどういう意味なんだろう。この例文も「以後」にできると思う。
類語辞書をひく。運がよければ解決することもある。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/15274/m0u/%E4%BB%A5%E5%BE%8C/
================================引用開始
その後(そのご)/以後(いご)/以降(いこう)/以来(いらい)
爾後(じご) 爾来(じらい)
[共通する意味]
★それよりのち。それから。
[英]
after that
[使い方]
〔その後〕▽その後お変わりございませんか▽その後の足どりはつかめない
〔以後〕▽以後、失敗しないように注意します▽それ以後彼とは交際していない
〔以降〕▽午後七時以降は家にいます▽九月以降は新しい電話番号になります
〔以来〕▽卒業以来、全員で集まるのは初めてだ▽風邪をひいて以来体調が思わしくない
[使い分け]
【1】「以来」は、過去のある時点から現在までを表わすのに対し、「以後」「以降」は、過去にも未来にも用いられる。したがって、「来週以後」「来週以降」とはいえるが、「来週以来」とはいえない。「その後」も、「来週渡米します。その後ヨーロッパをまわるつもりです」のように、未来のある時点から先を表わす場合にも用いられる。
【2】「以降」は、「三時以降」「来年以降」のように、いつも他の語と一緒に使う。
【3】「以来」には、「気象庁始まって以来の積雪」のように、話題の事態が、ある時点から現在までで最も程度がはなはだしいことを表わす場合がある。
[反対語]
▼以後⇔以前
[関連語]
◆(爾後) 「その後」「それ以来」の意の文章語。「爾後の予定はまだたっていない」
◆(爾来) 「以来」の意の文章語。「爾来、わが社は新製品の開発に努力してきました」
[対比表]
…彼とは会っていない 明治… 明日…の予定 …のことは不明
その後 ○ - - ○
以後 ○ ○ ○ ○
以降 △ ○ ○ -
以来 ○ ○ - -
================================引用終了
「類語辞書」によると、基本的には「ほぼ同じ」。
唯一の違いは〈「以降」は、「三時以降」「来年以降」のように、いつも他の語と一緒に使う〉という点らしい。
そうなんだろうか。辞書の「対比表」にある「以降、彼とは会っていない」はさほどおかしくない気がする(辞書も△にしている)。「以降のことは不明」も「間違い」とは思えない。
むしろ、「3時以後」「来年以後」はちょっとヘンな気がする。でも、『大辞泉』はOKにしている。ちなみに『大辞泉』は「以後(以降)、体力が衰えた」もOKにしている。つまり「類語辞書」があげた唯一の違いを否定している。
Yahoo!知恵袋のコメントにある「○行目以降」は「○行目以後」にできない、という指摘は同感。「できない」は言いすぎだけど、しにくい印象がある。「3時以後」「来年以後」と同じ異和感だと思う。と言うことは、辞書的にはOKなんだろうな。
ただ、「二次元的に使うことができる」のは「以降」だけとは思えない。「○行目に出てくるだけで、{以降/以後}は出てこない」ならどちらもOKだろう。これは「○行目に出てくるだけだ。{以降/以後}は出てこない」にもできそう。やはり〈いつも他の語と一緒に使う〉とは限らないようだ。こうなると、例によって〈基本的には「ほぼ同じ」〉としか言いようがない。
あえて言うなら、辞書の例にある(注意を受けたときなどに言う)「以後、失敗しないように注意します」。これは「以降、失敗しないように注意します」とは言わない気がするが、×とまでは言えないだろう。
「以後」と「以降」の違い Yahoo!知恵袋〈2〉
直接的には下記の続きだろうな。
【「以後」と「以降」の違い Yahoo!知恵袋】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1828448385&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【「以降」、「以後」の違いは何ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1492037479
なんと言うか気持ちが暗くなる。
ちょっと事情の説明が必要だろう。
Yahoo!知恵袋で「以後」「以降」の話を見るのは2回目。【前回】はリンクも張った下記で、このときのベストアンサーには疑問が残った。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1282912477
【今回】の質問に対して、kaijin21_1さんが現状とはまったく違うコメントを書いた。詳しくは覚えていないが、出典を示さず『類語例解辞典』を孫引きしていた。このかたは、さまざまな資料を駆使して回答する人なので、出典を示さなかったのは単純ミスだろう。
『類語例解辞典』の記述にはいろいろ不備が感じられる。だから、当方は以前に書いたコメントを転載した。すると、kaijin21_1さんはコメントを全面的にサシカエしてしまった。そういうのってアリなの?
今度もってきたのは、文化庁編集の『言葉に関する問答集 総集編』。ただし参考文献としているので、どこまでが孫引きで、どこが意見なのかはサッパリわからない。
問題は、この『言葉に関する問答集 総集編』を参考にしたコメントが、【前回】のベストアンサーと酷似していること。フツーに考えれば、【前回】のベストアンサーを書いた人がパクったんだろう。ただし、この人が直接パクったのか、ほかの人がどこかでパクったものを転載したのかはわからないorz。なんせネットは無法地帯だから。
それに対して当方は〈↑のベストアンサーが参考になるかもしれません(個人的には疑問です)〉と書いている。それなのに、【今回】後出しのサシカエで同じようなもの(微妙に違うからタチが悪い)をもってこられると困るんですけど。まるで当方がほかのコメントを読んでいないような印象になる。
こういうことをあの場で書くとすごく感じが悪いので、書かないことにしている(書いている人も多いけど)。「ドイツもイタリアも……」なんてことは決して書かない。
で、出典が明らかにされている【今回】のコメントを例に、どこが疑問か具体的に書いてみる。
〈「以」がつくときの意味は、「以上・以下」などのように、基準となるものを含むことになります。〉。厳密に言うと、まずここが違う。
【「以上」「以下」の解釈】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=18857670&comm_id=6251
『広辞苑』の記述は『大辞泉』とほぼ同じようだ。
フツーに辞書をひけばわかる問題だろう。下記の「1」に明記されている。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BB%A5%E4%B8%8A&stype=0&dtype=0
================================引用開始
い‐じょう〔‐ジヤウ〕【以上/×已上】
[名]
1 数量・程度・優劣などの比較で、それより上の範囲であること。数量では、その基準をも含む。「七〇歳―の老人」「期待―の大活躍」「君―の実力がある」⇔以下。
2 それより前に述べたこと。「―のとおり相違ありません」⇔以下。
3 合わせて。合計。「男性八名、女性五名、―一三名」
4 手紙・目録・箇条書きなどの末尾に記して「終わり」の意を表す。
5 (活用語の連体形に付いて接続助詞のように用いる)…の上は。…からには。「決定した―、変更しない」
6 「御目見(おめみえ)以上」の略。
[副]どうしても。まるっきり。
================================引用終了
「数量」の場合は「基準点を含む」。「程度・優劣」の場合は「それより上」。
辞書の例文を見ればわかる。
「七〇歳以上の老人」は「70歳」を含む。
「君以上の実力がある」は「君」を含まない。なんでそんなことになっているのかは、言葉の神様でないとわからない。
「以降」(「以後」も同様)も同様だろう。
「4月以降」なら「4月」を含む。
「松中選手以降、三冠王は出ていない」「松中選手以降、ろくな選手がいない」なら「松中選手」を含まない。「松中選手」を含むと形容矛盾みたいで訳のわからないことになる。
これはたいした問題ではないので、無視してもいい。(←オイ!)
〈しかし、「後」が「のち」という名詞であるのに対し、「降」のほうは「くだる」という動詞の意味を持っています。〉……それはそのとおりだろう。問題は、そのことによって意味や用法にどのような違いが出るか。
〈以後……「4月以後の大事故」「4月以後の募集」〉
〈以降……「4月以降の交通事故」「4月以降の警戒態勢」〉
この4例で「以後」と「以降」の違いがあるのだろうか。どれも互換性がある気がする。
以降(以後)の記述でも、当方には違いが理解できない。
「従来」と「従前」なんてのも同様と考えられる。「来」は動詞で「前」は名詞。そういう概念的な意味合いも重要なのかもしれないが、意味や用法に具体的な違いがないなら、あまり意味はない。
〈したがって、「以後」の場合はその事柄が1回だけであっても差支えありませんが、「以降」の方は、その事柄が継続して行われる場合の使い方になります。〉……意味がわからない。
関東大震災{以後/以降}、関東は地震で壊滅的な被害は受けていない。
基準点が含まれないのはすでに書いたとおり。「以降」でも「以後」でも大差がない。 1回だけ」とか「継続して」とか、何が関係があるのだろう。
この例文は下記のようにもできる。
関東大震災では約○○人の死者が出た。(略){以後/以降}、関東は地震で壊滅的な被害は受けていない。
つまり、「以降」は「○○以降、」と基準になる言葉とセットで使うことが多いが、そうでないこともあるってこと。
微妙な違いについて、【今回】当方があげた例文で見てみよう。
こういう微妙な話になると、語感に関して個人差もあるだろう。
1)3時{以後/以降}。
個人的には「以降」だと思う。しかし、『大辞泉』も『言葉に関する問答集 総集編』も「以後」をOKにしている。
2){以後/以降}、彼とは会っていない。
どっちも○だろう。文脈によっては違いが出てくるかも。「{以後/以降}、彼とは会わないようにします」なら、下記の3)と同様になる。
3){以後/以降}、失敗しないように注意します。
4){以後/以降}のことは不明。
こういう用法だと、「以降」は少しだけ不自然な気がする。「間違い」と主張する気はない。
おそらく、「いま直面している時点よりもあと」の意味で使う場合は「以降」はちょっと不自然なのだろう。そう考えると、(どちらかと言うと)「以後」は主観的で、「以降」は客観的なのかも。さらに言うと、「以降」のほうが物事を長いスパンでとらえている印象がある。
4)も文脈によってかわる気がする。
今日の3時にいまの作業が終了します。現段階では以後のことは不明です。
これは「以後」のほうが自然だろう。「以降」でも「間違い」ではない。
彼の足どりは、3年前の3月3日までは確認されている。以降のことは不明です。
これは「以降」のほうが自然だろう。「以後」でも「間違い」ではない。
〈「○○」と「△△」の違い〉という質問があると、とにかく微妙な違いを見つけて、訳のわからない理屈で無理矢理説明している例が多すぎる気がする。まぁ、当方のようになんでもかんでも「大差なし」にしてしまうと芸がないんだろうな。
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