そういう そのような それ そこ そっち そちら
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671
mixi日記2012年06月日から
テーマサイトは下記。
【「そういう」と「そのような」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1288833562
まず質問を一部加工して転載する。
================================引用開始
「そういう」と「そのような」では、「そのような」のほうが、丁寧な気がしますがいかがでしょうか。
でも、感覚だけでなく、何か根拠がありますか。
「そういう」は話し言葉ですか?
================================引用終了
当方の語感だと「そういう」と「そのような」では、後者のほうが丁寧な気がする。菊地康人の言葉を借りるなら、「そのような」のほうが「改まり語」に近い。
ただ、これを論理的に説明するのはけっこうむずかしい。
とりあえず類語辞書を見たが、それらしい解説はない。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/15773/m0u/
こうなると主観の泥仕合を回避するための屁理屈が必要になる。ものの順番として、「そちら」の話から始める。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%9D%E3%81%A1%E3%82%89&stype=0&dtype=0&dname=0na
================================引用開始
そち‐ら【×其▽方】
[代]
1 中称の指示代名詞。
聞き手に近い方向をさす。「―は遠回りですよ」
聞き手のいる、またはその方向にある場所をさす。「私のほうから―に伺います」「―はもう暖かくなりましたか」
聞き手の近くにある物をさす。「―はお買い得ですよ」
2 二人称の人代名詞。聞き手自身、また聞き手の側をさす。「―の意見を聞かせてください」
3 三人称の人代名詞。聞き手のすぐそばにいる人をさす。同等以上の人に用いる。その人。「―を私に紹介してください」
◆「そっち」よりも丁寧な言い方。
================================引用終了
〈「そっち」よりも丁寧な言い方〉と注がある。これはちょっと言葉足らずだろう。
実際には「そちら」は「それ」「そこ」の丁寧な言い方(いわゆる「丁寧語」ではなく)でもある。
これは、「どちら」が「どっち」「どれ」「どこ」の丁寧な言い方であることと同様だろう。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1636.html
『敬語再入門』(http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html参照)に、下記の記述がある。
================================引用開始
元々は方向を指す表現が、人を直接指さずに遠回しに指す表現として使われ、敬意の表現に転ずることがあります。人を指す「こちら・そちら・あちら」(巻末の敬語ミニ辞典参照)、「人」の意の「方」などはその例です。(P.151)
================================引用終了
つまり、両方を併用している「そちらの方」などは、きわめて敬度の高い表現とうことになる。で、「敬語ミニ辞典」を見ると次のようにある。
================================引用開始
そちら ①「そこ」の意の丁寧語的な表現。「そちらにお席を用意してございます」 ②「それ」の意の丁寧語的な表現。「そちらのほうがよくお似合いです」 ③(「そちらの」で)「その」の丁寧語的な表現。「そちらのお品」 ④「その人」の尊敬語的な表現。「その方」とほぼ同じ。「こちらが○○社長です。そちらがXX理事長です」(以上①〜④は、「こちら」と並行的) ⑤相手方を尊敬語的に指す表現。「そちらのご都合に合わせます」→「あちら」「こちら」(P.260)
================================引用終了
うーむ。スゴい。ここまで詳細に書いていて、どこが「ミニ辞典」なんだろう。
で、ここまで書いて、やっと「そういう」と「そのような」の話になる。やはり両者には敬度の違いがあり、「それ」と「そちら」の違いに近いものを感じる。敬度の差はかなり微妙だが。
たとえば親が子供をたしなめるとする。
「そんなことを言ってはダメです」
「そういうことを言ってはダメです」
「そのようなことを言ってはダメです」
あとの言い方ほど上品なイメージがある。「そのような」だと「そのようなことを言ってはいけません」にしたくなる。
かなり主観的だけど、理由は2つ考えられる。
「そのような」と比べると、「そういう」のほうが省略した言葉という印象があること。これが「そんな」になるとその印象がもっと強くなる。一般に、省略した言い方よりも省略しない言い方のほうが、丁寧で敬度が高い。
もうひとつが、「そういう」より「そのような」のほうが、対象をボカした印象があること(「〜のような」を含むんだから当然だろう。↑の引用に〈元々は方向を指す表現が、人を直接指さずに遠回しに指す表現として使われ、敬意の表現に転ずる〉ことがあるとあった。それと同様だと思う。一般にボカした表現のほうが丁寧な印象がある。
余談だけど、この「ボカした表現のほうが丁寧」ってのが曲者。バイト敬語の大半は、この考え方をねじ曲げた(ダジャレになってしまった?)産物って気がする。
●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html
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mixi日記2012年06月日から
テーマサイトは下記。
【「そういう」と「そのような」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1288833562
まず質問を一部加工して転載する。
================================引用開始
「そういう」と「そのような」では、「そのような」のほうが、丁寧な気がしますがいかがでしょうか。
でも、感覚だけでなく、何か根拠がありますか。
「そういう」は話し言葉ですか?
================================引用終了
当方の語感だと「そういう」と「そのような」では、後者のほうが丁寧な気がする。菊地康人の言葉を借りるなら、「そのような」のほうが「改まり語」に近い。
ただ、これを論理的に説明するのはけっこうむずかしい。
とりあえず類語辞書を見たが、それらしい解説はない。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/15773/m0u/
こうなると主観の泥仕合を回避するための屁理屈が必要になる。ものの順番として、「そちら」の話から始める。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%9D%E3%81%A1%E3%82%89&stype=0&dtype=0&dname=0na
================================引用開始
そち‐ら【×其▽方】
[代]
1 中称の指示代名詞。
聞き手に近い方向をさす。「―は遠回りですよ」
聞き手のいる、またはその方向にある場所をさす。「私のほうから―に伺います」「―はもう暖かくなりましたか」
聞き手の近くにある物をさす。「―はお買い得ですよ」
2 二人称の人代名詞。聞き手自身、また聞き手の側をさす。「―の意見を聞かせてください」
3 三人称の人代名詞。聞き手のすぐそばにいる人をさす。同等以上の人に用いる。その人。「―を私に紹介してください」
◆「そっち」よりも丁寧な言い方。
================================引用終了
〈「そっち」よりも丁寧な言い方〉と注がある。これはちょっと言葉足らずだろう。
実際には「そちら」は「それ」「そこ」の丁寧な言い方(いわゆる「丁寧語」ではなく)でもある。
これは、「どちら」が「どっち」「どれ」「どこ」の丁寧な言い方であることと同様だろう。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1636.html
『敬語再入門』(http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html参照)に、下記の記述がある。
================================引用開始
元々は方向を指す表現が、人を直接指さずに遠回しに指す表現として使われ、敬意の表現に転ずることがあります。人を指す「こちら・そちら・あちら」(巻末の敬語ミニ辞典参照)、「人」の意の「方」などはその例です。(P.151)
================================引用終了
つまり、両方を併用している「そちらの方」などは、きわめて敬度の高い表現とうことになる。で、「敬語ミニ辞典」を見ると次のようにある。
================================引用開始
そちら ①「そこ」の意の丁寧語的な表現。「そちらにお席を用意してございます」 ②「それ」の意の丁寧語的な表現。「そちらのほうがよくお似合いです」 ③(「そちらの」で)「その」の丁寧語的な表現。「そちらのお品」 ④「その人」の尊敬語的な表現。「その方」とほぼ同じ。「こちらが○○社長です。そちらがXX理事長です」(以上①〜④は、「こちら」と並行的) ⑤相手方を尊敬語的に指す表現。「そちらのご都合に合わせます」→「あちら」「こちら」(P.260)
================================引用終了
うーむ。スゴい。ここまで詳細に書いていて、どこが「ミニ辞典」なんだろう。
で、ここまで書いて、やっと「そういう」と「そのような」の話になる。やはり両者には敬度の違いがあり、「それ」と「そちら」の違いに近いものを感じる。敬度の差はかなり微妙だが。
たとえば親が子供をたしなめるとする。
「そんなことを言ってはダメです」
「そういうことを言ってはダメです」
「そのようなことを言ってはダメです」
あとの言い方ほど上品なイメージがある。「そのような」だと「そのようなことを言ってはいけません」にしたくなる。
かなり主観的だけど、理由は2つ考えられる。
「そのような」と比べると、「そういう」のほうが省略した言葉という印象があること。これが「そんな」になるとその印象がもっと強くなる。一般に、省略した言い方よりも省略しない言い方のほうが、丁寧で敬度が高い。
もうひとつが、「そういう」より「そのような」のほうが、対象をボカした印象があること(「〜のような」を含むんだから当然だろう。↑の引用に〈元々は方向を指す表現が、人を直接指さずに遠回しに指す表現として使われ、敬意の表現に転ずる〉ことがあるとあった。それと同様だと思う。一般にボカした表現のほうが丁寧な印象がある。
余談だけど、この「ボカした表現のほうが丁寧」ってのが曲者。バイト敬語の大半は、この考え方をねじ曲げた(ダジャレになってしまった?)産物って気がする。
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