「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671
mixi日記2012年06月20日から
テーマサイトは下記。
【「店員が客に対していう「袋にお入れいたしますか」は、正しい敬語でしょうか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1289262407
質問の全文と当方のコメントを転載する。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
店員が客に対していう「袋にお入れいたしますか」は、正しい敬語でしょうか?
二重敬語ですか??
【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「袋にお入れいたしますか」は正しい敬語か?
結論だけを書くと、「間違い」ではないでしょう。
もう少し詳しく言うなら、「二重敬語」ではありませんが、ほんの少し不自然な感じがあります。
まず、二重敬語ではありません。
「お(ご)……いたす」の「……」の部分に「入れる」を入れたのが「お入れいたす」で、それを丁寧語にしたのが「お入れいたします」です。
これが二重敬語でないことは、文化庁の「敬語の指針」に明記されています。
詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2270.html
以下は一部の抜粋(重言)。長くなるので要点だけに絞ります。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
次に「二重敬語」については次のように書いてある。
「敬語の指針」p.30から====================
(2)「二重敬語」とその適否
一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば,「お読みになられる」は,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「......れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================================
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
……と書いてあまりにも納得がいかないので、「敬語の指針」を読み直してみると、下記の記述があった。
「敬語の指針」p.30~から====================
【補足イ:謙譲語Iと謙譲語IIの両方の性質を併せ持つ敬語】
謙譲語Iと謙譲語IIとは,上述のように異なる種類の敬語であるが,その一方で, 両方の性質を併せ持つ敬語として「お(ご)......いたす」がある。
「駅で先生をお待ちいたします。」と述べる場合,「駅で先生を待ちます。」と同じ 内容であるが,「待つ」の代わりに「お待ちいたす」が使われている。これは,「お待 ちする」の「する」を更に「いたす」に代えたものであり,「お待ちする」(謙譲語I) と「いたす」(謙譲語II)の両方が使われていることになる。この場合,「お待ちする」 の働きにより,「待つ」の<向かう先>である「先生」を立てるとともに,「いたす」 の働きにより,話や文章の<相手>(「先生」である場合も,他の人物である場合も ある。)に対して丁重に述べることにもなる。
つまり,「お(ご)......いたす」は,「自分側から相手側又は第三者に向かう行為につ いて,その向かう先の人物を立てるとともに,話や文章の相手に対して丁重に述べる」 という働きを持つ,「謙譲語I」兼「謙譲語II」である。
================================
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了
ただし、「袋にお入れいたしますか」が自然な敬語なのかは微妙です。元々の形の「お入れする」はあまり言わない気がします。
『敬語再入門』(菊地康人)のP.74~に〈「お/ご~する」といえる語〉の話が詳しく出ています。
ある程度までは理屈で説明できても、最終的には慣習によるところが大きいそうです。
同書には〈「お/ご~する」といえる語〉のリストが出ていますが、「お入れする」はありません。個人的には、「お入れする」にはほんの少し異和感がありますが、「お入れしましょうか」なら、ほとんど異和感がありません。このあたりは微妙です。
仮に「お入れする」がOKなら、「お入れいたします」もOKです。
「(ご自宅に)お送りする」がOKなので、「お送りいたします」もOK(くどいようですが二重敬語ではありません)になるのと同じことです。
このあたりの許容度は個人差もあるでしょう。当方には「ほんの少し不自然な感じ」があり、自分では使いません。でも問題を感じない人もいると思います。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)
[「……に」を高める]
お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)
[「……から」を高める]
お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする
[「……と」を高める]
お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)
[「……のために」を高める]
お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)
[「……について」を高める]
お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了
これだけあげているのに「お入れする」がないってことは、同書は「お入れする」を認めていないのだろう。 だから「お入れする」なんて絶対に言わない、と主張する気はないが。
ちなみに上の分類にあてはめるなら、「お入れする」は[「……のために」を高める]だろう。
下記の【20120521追記】 も関係あるだろう。「お入れになる」は~部が二拍だが特定形がないパターン。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1846415867&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671
mixi日記2012年06月20日から
テーマサイトは下記。
【「店員が客に対していう「袋にお入れいたしますか」は、正しい敬語でしょうか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1289262407
質問の全文と当方のコメントを転載する。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
店員が客に対していう「袋にお入れいたしますか」は、正しい敬語でしょうか?
二重敬語ですか??
【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「袋にお入れいたしますか」は正しい敬語か?
結論だけを書くと、「間違い」ではないでしょう。
もう少し詳しく言うなら、「二重敬語」ではありませんが、ほんの少し不自然な感じがあります。
まず、二重敬語ではありません。
「お(ご)……いたす」の「……」の部分に「入れる」を入れたのが「お入れいたす」で、それを丁寧語にしたのが「お入れいたします」です。
これが二重敬語でないことは、文化庁の「敬語の指針」に明記されています。
詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2270.html
以下は一部の抜粋(重言)。長くなるので要点だけに絞ります。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
次に「二重敬語」については次のように書いてある。
「敬語の指針」p.30から====================
(2)「二重敬語」とその適否
一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば,「お読みになられる」は,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「......れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
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……と書いてあまりにも納得がいかないので、「敬語の指針」を読み直してみると、下記の記述があった。
「敬語の指針」p.30~から====================
【補足イ:謙譲語Iと謙譲語IIの両方の性質を併せ持つ敬語】
謙譲語Iと謙譲語IIとは,上述のように異なる種類の敬語であるが,その一方で, 両方の性質を併せ持つ敬語として「お(ご)......いたす」がある。
「駅で先生をお待ちいたします。」と述べる場合,「駅で先生を待ちます。」と同じ 内容であるが,「待つ」の代わりに「お待ちいたす」が使われている。これは,「お待 ちする」の「する」を更に「いたす」に代えたものであり,「お待ちする」(謙譲語I) と「いたす」(謙譲語II)の両方が使われていることになる。この場合,「お待ちする」 の働きにより,「待つ」の<向かう先>である「先生」を立てるとともに,「いたす」 の働きにより,話や文章の<相手>(「先生」である場合も,他の人物である場合も ある。)に対して丁重に述べることにもなる。
つまり,「お(ご)......いたす」は,「自分側から相手側又は第三者に向かう行為につ いて,その向かう先の人物を立てるとともに,話や文章の相手に対して丁重に述べる」 という働きを持つ,「謙譲語I」兼「謙譲語II」である。
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ただし、「袋にお入れいたしますか」が自然な敬語なのかは微妙です。元々の形の「お入れする」はあまり言わない気がします。
『敬語再入門』(菊地康人)のP.74~に〈「お/ご~する」といえる語〉の話が詳しく出ています。
ある程度までは理屈で説明できても、最終的には慣習によるところが大きいそうです。
同書には〈「お/ご~する」といえる語〉のリストが出ていますが、「お入れする」はありません。個人的には、「お入れする」にはほんの少し異和感がありますが、「お入れしましょうか」なら、ほとんど異和感がありません。このあたりは微妙です。
仮に「お入れする」がOKなら、「お入れいたします」もOKです。
「(ご自宅に)お送りする」がOKなので、「お送りいたします」もOK(くどいようですが二重敬語ではありません)になるのと同じことです。
このあたりの許容度は個人差もあるでしょう。当方には「ほんの少し不自然な感じ」があり、自分では使いません。でも問題を感じない人もいると思います。
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【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)
[「……に」を高める]
お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)
[「……から」を高める]
お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする
[「……と」を高める]
お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)
[「……のために」を高める]
お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)
[「……について」を高める]
お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了
これだけあげているのに「お入れする」がないってことは、同書は「お入れする」を認めていないのだろう。 だから「お入れする」なんて絶対に言わない、と主張する気はないが。
ちなみに上の分類にあてはめるなら、「お入れする」は[「……のために」を高める]だろう。
下記の【20120521追記】 も関係あるだろう。「お入れになる」は~部が二拍だが特定形がないパターン。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1846415867&owner_id=5019671
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