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スパイ ペット の訳語 ペットは亡くなるのか

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671

mixi日記2012年07月23日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1860568299&owner_id=5019671

 今夏、フジテレビ系列で『ぼくの夏休み』という昼ドラをやっている。
 たま~に見るのだが、おもしろいセリフを聞いた。
■Wikipediaから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%81%AE%E5%A4%8F%E4%BC%91%E3%81%BF
================================引用開始
現代っ子で甘やかされて育った兄が、妹と共に過去にタイムスリップして過去の時代を生き抜き、更に病気になった妹のために奮闘し、精神的に成長する姿を描く。
================================引用終了

 現代から昭和19年にタイムスリップした兄妹の会話を、婆ちゃん役のうつみ宮土理がとがめる。
「ペットってなんだ? そんな言葉を使っていたら……スパイだって疑われるぞ!」
 みたいなことを言った。
 そんな小さい子はスパイとは疑われないないだろう、ってツッコミはスルー。
「スパイ」は使っていいのか、ってブーイングはのみこむ。
「スパイ」の訳語は「サワー」だろ、ってボケも封印する。

 で、スパイとペットの訳語はなんだろう……って話。
 スパイは、Web辞書で見る限り、「間諜」「密偵」。「かんちょう」は耳で聞くとまずわからないだろうな。「間者」は忍者の時代って気がする。
 あと思いつくのは「諜報員」くらいだろうか。
 いろいろ考えると、「密偵」が素直かな。これはこれで時代がかっているけど。

 もっと悩ましいのは、「ペット」の訳語。
 正確なのは「愛玩動物」だと思うが、話し言葉としては疑問。
 昔は「飼い犬」「飼い猫」と言った気がする。ほかのペットは珍しかった。「愛犬」なんて言い方はわりに新しいのでは。「愛猫」って定着したのだろうか。「愛玩動物」の総称としては……なんて言ったのだろう。
「飼い犬」「飼い猫」と「ペット」とでは、かなりニュアンスが違う気がする。
「餌(主として残飯)」を「やる」が「ペットフード」を「あげる」にかわったあたりから混迷が深まった。「ペットが死んだ」が乱暴な言い方になるのも時間の問題って気がする。ウカツに「餌をやる」なんて言うと血相かえるペット愛好家に、「死んだ」なんて言うと叱られるんだろうな。
 上野動物園のパンダの赤ちゃんがご逝去の際には、「亡くなりました」なんて口走るアナウンサーがいて、物議を醸したらしい。
【「やる」 「あげる」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1523098273&owner_id=5019671
【関連トピ紹介】37──敬語の話4 なくなる 亡くなる
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=70674276
【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)2】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854649412&owner_id=5019671
 これはさすがに長いので、該当箇所だけ抜粋しておく。
================================引用開始
【引用部】
 ただ、こうした傾向が将来進むところまで進んでしまうと、〈「やる」が普通の表現で「あげる」は《上品》な美化語〉という関係ではなく、〈「あげる」が普通の表現で「やる」は粗雑あるいは《卑俗》な言葉〉ということになり、「あげる」は美化語だとさえ言いにくくなっていくことになる(このような先例としては「食う」に対する「食べる」がある。三九頁参照)。(P.339)
 P.333のテーマは〈5 「さしあげる」(謙譲語I)と「あげる」(謙譲語I/美化語)〉。
本来は謙譲語Iだった「あげる」は美化語になりつつあるらしい。世間はもう少し進んで、すでに〈「やる」は粗雑あるいは《卑俗》な言葉〉になっている気がする。
246)【「やる」 「あげる」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1378.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1523098273&owner_id=5019671
589)突然ですが問題です【日本語編72】──「食う」を使う慣用句 「食べる」を使う慣用句 【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2163.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1781571782&owner_id=5019671 

【引用部】
 ちなみに、「ももたろう」の歌には「おこしにつけたきびだんご、ひとつわたしにくださいな」と請われた桃太郎が「やりましょう、やりましょう」と歌う歌詞と「あげましょう、あげましょう」と歌う歌詞とがある。余談ながら、このことに触れてみよう。(P.340)
 ↑のコメント欄で教えてもらった話。こんなヨタ話まで引用するから、どんどん長くなるorz。
 以下、著者が調べた限り(これで?)の結果を時系列で箇条書きにする。
・初めて採用された1911年の『尋常小学唱歌 第一学年』は「やりませう」
・1932年の同新訂版も「やりませう」
・戦後の教科書には見当たらない(「これからおにのせいばつに」がよくなかった?)
・1954年検定の教科書(教育出版)に再登場。「やりましょう、やりましょう、これからおにをこらしめに……」
・1957年検定の教科書(教育芸術社)。「あげましょう、あげましょう、これからおにをこらしめに」
・1960年検定の教科書(教育出版)。「やりましょう……せいばつに」
・1973年検定(76年度まで使用)の教科書。「やりましょう……せいばつに」(音楽之友社)、「やりましょう……こらしめに」
・これを最後に「ももたろう」は教科書から姿を消す。
================================引用終了


【スパイ ペット の訳語 ペットは亡くなるのか】〈2〉
──パンダが死亡 パンダが死ぬ パンダが亡くなる

 参考資料として、下記をあげておく。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=70674276
================================引用開始
【引用部】
Q.「なくなる」は「死ぬ」の尊敬語ですか。
 「死ぬ」という直接的な表現を避けて婉曲に述べた故人への配慮の表現ですが、身内にも使うので、普通の意味での尊敬語とはいえません。むしろ美化語(→§52)系でしょう。「なくなられる」「おなくなりになる」と言って初めて尊敬語になり、これは身内には使えません。(P.61)
 ひとつ疑問が解けた。「なくなる」自体はやはり尊敬語ではない。
【「なくなる」「亡くなる」考】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1600713314&owner_id=5019671
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1684998175&owner_id=5019671
================================引用終了

 上野動物園のパンダの赤ちゃんが死んだことを、マスコミはどう伝えていたか。
 ネット検索してみた。
「パンダ “亡くな”」の検索結果。
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80+%E2%80%9C%E4%BA%A1%E3%81%8F%E3%81%AA%E2%80%9D&aq=-1&oq=&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&x=wrt
 まともな媒体はなさそうだ。そりゃそうだろう。素人さんが「パンダが亡くなった」と書く分には咎める気はない。「パンダが亡くなられた」まで行くとさすがに異和感があるが……。

 手元の『記者ハンドブック』(共同通信社/第12版)のP.500には、誤用の例として「(パンダが)死亡」があげられている。「人間の場合に使う語。原則として動物の場合には使わない」とある。これが常識的な考え方だろう。「パンダが亡くなった」と書くことの是非については記載がない。常識以前の問題なんだろうか。
 ちなみに、「死亡」という言葉は「亡」を含むので「亡くなる」と同様に敬語的になニュアンスがある……といった意見を目にすることがあるが、真偽のほどはわからない。「逃亡」「亡骸」「未亡人」「亡失」「亡国」……にも敬語的になニュアンスがあるのかないのか。
 ネット社会では、そういう常識は通用しないらしい。
「パンダ 死」の検索結果。
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80%E3%80%80%E6%AD%BB&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=0&oq=%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80+%E6%AD%BB
「死亡」と書いている媒体もある多いようだ。さすがに日経のタイトルは「パンダの赤ちゃん、肺炎で死ぬ」。毎日新聞のタイトルは「パンダ:赤ちゃん死ぬ」になっている。

 一方で、下記のような報告もある。まさに今回の話題を取り上げている。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1190691681

================================引用開始
宮根誠司もミヤネ屋の中で、「亡くなった」を何回か使ったあと、こりゃまずいなと気づいたのか、ディレクターから指示が出たのか、「死んだ」に切り替えていました。
================================引用終了

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1190536816
================================引用開始
上野動物園のお知らせ看板には、
「4月11日の朝
残念ながら
パンダの赤ちゃんが
亡くなりましたので
お知らせ致します
恩賜上野動物園」(原文のまま)
と記載されていました。
================================引用終了

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1190650966
================================引用開始
NHK放送文化研究所が1998年に調査したところ、当時パンダの死を報じたNHKニュースでは「死亡」が5回、「死ぬ」が6回使われていたということです。また他の動物でも、種類によって差はあるものの「死亡」「死ぬ」両方が使われています。
NHK放送文化研究所は他のマスメディアでの使われ方も踏まえ、「死んだことそのものがニュースになる場合と、何らかの事件事故による死で、事件事故の方にニュースの比重がある場合で違うのではないか」という見方を示しています。

読売テレビの道浦アナはコラムで「本来『死亡』と言う言葉は『亡くなる』という一種の敬語が入っていますから、人間様にしか使われなかった」と動物に「死亡」を使うのはおかしいとの見解を示しています。

NHK放送文化研究所が行ったアンケートでは
動物に「死亡」を使うのはおかしいと思うか
おかしい・・・44%
おかしくない・・・45% とほぼ拮抗しています。
================================引用終了

 まあ、話し言葉だと「パンダが死にました」と言いにくい心情はわからなくはない。
 でもやっぱりヘンだと思う。
 昔、地方紙の記事を切り抜く仕事していた時期がある。ホニャララな性格の後輩が、気になった誤植をスクラップしていた。なかでも記憶に残っているもの。
  殴られ
  老人、死ぬ
 こうなるべきところが、「ぬ」が「ね」になっていた。「死亡」にしておけばこんなことはなかったのに……。


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