電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」(メモ10扱い)

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671

mixi日記2012年08月02日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【ある会社に、外部の人から電話がありました。電話を受けた従業員が……】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1491291189

 よくわからないんでトピも立ててみた。
【電話の敬語「お代わりします」「おつなぎします」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=70747813

 かなり微妙な話なんで、いつも以上にオネオネと書く。
 Aさんが電話で顧客と話していて、上司のことが話題になったとする……。

●お伝えします
「上司への伝言を顧客に頼まれたとき」に「お伝えします」と言うのはアリか。
 相当微妙だけど、やはり×だろう。信頼に値する書籍にそういう記述がある。
【言葉の取扱説明書3 ○○のわりに(は)  お伝えしておきます  協力するにやぶさかでない 】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1837388275&owner_id=5019671
================================引用開始
 1つ目が「お伝えします」の是非。典型的なのは、外部の人から連絡を貰い、「(席を外している社内の人間に)お伝えします」と言う場合。『問題な日本語4』で扱っていた(先日書店で手にしたけど、内容が薄くて買う気にはなれなかった)。
「お伝えします」は謙譲語I(+丁寧語の話は省略)。伝える人の、伝える相手への敬意(菊地康人流に言うなら「主語の補語に対する敬意」?)を示す。したがって、身内を高めることになるので×。
 だと思うが、「お伝えします」だとアリって気もするのは「定着しているから」なのかもしれない(なんの基準もなく「定着しているから」OKとか言われるとどうしようもない)。「あなた様の伝言」を伝えるんだから、「お」をつけるべきって論理も筋が通っている気になる。「伝えます」と「お伝えします」を比べると、後者のほうが丁寧な感じになる。
 これを〈外部の人に対して「(身内と)ご相談します」〉にすると、相当ヘンなことがわかる。理由は不明。理屈としては「あなた様の案件」を相談するんだから……と言えなくはないけどさ。
================================引用終了

【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)3】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854649541&owner_id=5019671
================================引用開始
【引用部】
敬語を使い慣れた人でも、話題にしようとする人物を身内扱いすべきかどうか迷うことは少なくないし、使い慣れないと、つい、主婦が家族以外の人に、あるいは会社員や公務員が部外の人に
  主人(部長)がそうおっしゃいました。/主人の母(部長)にそうお伝えしました。
などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。(P.426)
 やはりそういうことなのだろう。
 余計な部分を省略して、当方の積年の課題に限って書きかえると、下記のようになる。
 会社員が部外の人に「部長にそうお伝えしました」などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。
「絶対敬語」と「相対敬語」に関しては本書を読んでもらうほうがいいだろう。現代の敬語は「相対敬語」と考えてよいはず。ただ、部外の人に「部長にご相談します」がヘンなのはスンナリ理解できるが、「部長にお伝えします」だと異和感がぐんと弱くなる理由は不明のまま。
================================引用終了


●お代わりします
「上司に電話を代わるように顧客に頼まれたとき」に、「お代わりします」と言うのはアリか。
 2つのポイントがある。
 1つ目は、↑の「お伝えします」と同様の問題。もうひとつは、「代わる」を「お~する」の形にできるのか、という問題。
『敬語再入門』のP.236~の「お/ご~する」にできる動詞のリストのなかに、「おかわりする」はない。

【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1853506079&owner_id=5019671
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
 お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)

[「……に」を高める]
 お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)

[「……から」を高める]
 お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする

[「……と」を高める]
 お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)

[「……のために」を高める]
 お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)

[「……について」を高める]
 お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了

 これだけあげているのに「お入れする」がないってことは、同書は「お入れする」を認めていないのだろう。だから「お入れする」なんて絶対に言わない、と主張する気はないが。
 ちなみに上の分類にあてはめるなら、「お入れする」は[「……のために」を高める]だろう。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了

「おかわりする」がないのは、「ご飯をお代わりする」との混同を避けたものか否かは、言葉の神様に訊かないとわからない。
 ちなみに、↑の「お伝えする」は[「……に」を高める] に入っている。[「……を」を高める] ではない。やはり「お客様の伝言を上司にお伝えします」は×ってこと。


●おつなぎします
 元々のYahoo!知恵袋のサブテーマとして登場した。
 同様の状況で「おつなぎします」と言えるか否か。
「お伝えします」と同様と考えるなら×だろう。しかし、「おつなぎします」のほうがずっと異和感が弱い。
 ↑のリストに「おつなぎする」はない。そんなに使用頻度が低いかな?

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%90&dtype=0&dname=0na&stype=0
================================引用開始
つな・ぐ【×繋ぐ】
《名詞「綱」の動詞化》

【1】[動ガ五(四)]

①ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにする。「犬を―・ぐ」「鎖で―・ぐ」
②相手の気持ちなどが離れていかないようにする。「彼女の心を―・ぐために一芝居打つ」
2 一定の所に留め置いて外へ出さないようにする。拘禁したり、拘束したりする。「獄に―・がれる」
3 結びつけてひと続きのものにする。「車両を―・ぐ」
4 離れているもの、切れているものを続け合わせて一つにする。また、そのようにして通じるようにする。「手を―・ぐ」「電話を―・ぐ」
5 なんとか長く、切れないようにたもたせる。たえないようにする。「望みを―・ぐ」「命を―・ぐ」「座を―・ぐ」
6 足跡などをたどって行方を追い求める。
  「射ゆ鹿(しし)を―・ぐ川辺のにこ草の」〈万・三八七四〉
[可能] つなげる
================================引用終了

 もしかすると、「電話をつなぐ」という言い回しがイレギュラーなのかもしれない。『大辞泉』を見ると、ほかに「おつなぎする」と言えそうな例はない。「犬をつなぐ」「獄につなぐ/つながれる」のイメージが強いせいだろうか。
 そうは言っても、現実に「電話をつなぐ」って言い回しはあり、「電話をおつなぎする」と言えそうなんだからしかたがない(泣)。

 ここで考えなければならないのは、逆方向の可能性があること。
「あなたの電話を上司におつなぎします」ではなく、
「上司をあなたの電話におつなぎします」ってこと。
 これなら何も問題はないけど、この解釈はさすがに苦しいかな。

 もうひとつ考える必要があるのは、「上司に」をつけて「上司におつなぎします」にすると、異和感が強くなること(これは「お伝えします」も同様)。
 おそらく、単に「おつなぎします」だと「顧客(の電話)をおつなぎします」と解釈できそうだからだろう。これなら顧客に対する敬語になっている感じがある。
 現実には、省略されていても「伝える」先にあたるのは「上司」だから、やはり避けたほうがいい表現なんだろう。
 論理的に考えると下記が正解ってことになってしまう。
「(顧客の)ご伝言」を「上司」に「伝える」
「(顧客の)お電話」を「上司」に「つなぐ」


「弊社の担当者にお伝えします」
 に対するNHKの判定は下記。これはさすがに×だろうな。
【ウチとソトの逆転敬語】弊社の担当者にお伝えします 弊社の担当者に申し伝えます 了解しました
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3065.html


【20150711追記】
「おつなぎします」あたりは、けっこう使われている気がする。でも正当化するしっかりとした典拠が見つからないのなら△だろう。たとえば↑のリストに出ていれば、それが典拠になりうる。
 ただ、それが見つかったところでOKとは言えない。質問板の類いで何回か見た気がするってことは、異和感を持つ人が増えているってこと。こうなると要注意。「OKでしょうか」と訊かれたら「避けるほうが無難」と言うしかない。仮に電話を相手が「おつなぎする」なんてもってのほかと考えていたらどうするんだ?
 さらに言うなら、「おつなぎします」ってどんなときに使うのだろう。昔は大企業には電話交換手がいて、かかってきた電話を各部署に「つないで」いた(はず)。
 そんなシステムはもうないのでは、誰かに電話をかわるなら、「○○に代わります」(やはり「お代わりします」はヘン)で十分だろう。あるいは
「少々お待ちください」
 でいいのでは。「お待ちいただけますか」のほうが敬度が高いけど、ケースバイケース。こういう場合に「しばらく」は×って説もどこかで目にしたなぁ。最近はホントにいろいろな話を聞くから油断できない(泣)。
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