突然ですが問題です【日本語編133】──「AをBに紹介する」は誰に対する敬語か
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671
mixi日記2012年08月日から
【問題】
次の1)~4)について、下記の質問に答えなさい。
1)弟に先生をご紹介した
2)先生を弟にご紹介した
3)先生に弟をご紹介した
4)弟を先生にご紹介した
【問1】
敬語の使い方がヘンなものをあげなさい。
【問2】
イチバン自然に感じられるのはどれですか。
【参考日記】
【電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2450.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671
【解答?例】
【問1】
ヘンなのは1)2)。
【問2】
個人的には、4)。
おそらく、「先生に」と「ご紹介」が近いほうが素直に感じられるからだろう。もちろん、3)でも意味は同じで、「間違い」ではない。
【よくわからない解説】
下記の問題に関して立てたトピで派生したテーマ。
【電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671
1)2)がヘンな理由をキチンと説明するのはむずかしい気がする。納得できない人は『敬語再入門』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671を読んでもらうしかないかも……とでも言うしかない。
当方はよほど敬語の感覚が鈍いのか、いまだに納得はできていない。しかし、「敬語のルール」はそうなっているようなので、逆らう気はない。
『敬語再入門』には下記のように書いてある。
================================引用開始
「先生に弟をご紹介した」は、「先生」を高める問題のない使い方です。もちろん語順を変えて「弟を先生にご紹介した 」とも言えます。これに対し「弟に先生をご紹介した」「先生を弟にご紹介した」は変で、これでは「弟」を高めてしまうことになります。つまり「ご紹介する」は「…に」にあたる人物を高めるのであり、「…を」にあたる人物は高めない、と整理できます(原田信一氏の指摘)。
実は敬語を離れても、「紹介」は、目下のほうを目上に紹介する、という捉え方・述べ方をするのが普通でしょう(さらにいえば、「これが弟です。こちらが○○先生」というように、目下のほうの名を先に述べるのが普通です)。この点を考えると、「ご紹介する」が「…に」のほうだけを高めるのは当然だともいえます。(P.72)
================================引用終了
最後の一文の「当然」はちょっとひっかかる。〈「ご紹介する」が「…に」のほうだけを高める〉と考えるほうが理にかなっている、くらいのことは言えるかも。
『敬語再入門』のP.236~の〈「お/ご~~する」「お/ご~~いたす」といえる主な語〉の[「……に」を高める] 言葉のリストには、「お伝えする」や「ご紹介する」がある。「ご紹介する」に関しては下記のただし書きがついている。
================================引用開始
「先生に家内をご紹介した」は可だが「家内に先生をご紹介した」は不可。「…を」ではなく「…に」を高める。
================================引用終了
これだけしつこく書いているのは、それだけ間違う人が多いからだろう。当方もこの本を読むまでは、こんなメンドーなことは考えたことがなかった。
〈1)弟に先生をご紹介した〉はおかしくないと考える気持ちはよくわかる。「ご紹介した」が先生への敬語になっていると錯覚してしまう(〈2)先生を弟にご紹介した 〉だと錯覚の可能性は低くなるかも)。
これが下記なら、おかしいのは明らかだろう。
5)弟に本をご紹介した
6)弟に本をお貸しした
「本」を「先生のご著作」(相当言いにくい)にかえたところで、事情はかわらないってこと。以下がヘンなのも同じ理由だろう。「先生に~」なら問題がない。ただ、このあたりになるとかなり微妙な気がする。
7)弟に先生の(ご)伝言をお伝えした
8)弟に先生の(お)電話をおつなぎした(こんな状況あるのか?)
『敬語再入門』のP.237の[「……に」を高める] 言葉のリストを確認すると、「ご紹介する」はかなりレアな気がする。
「AをBにご紹介する」のような形になるものがほかに見当たらない。
「…を」が「先生のご著作」「先生のご伝言」「先生のお電話」などになることはあっても、人物自体は入らない。「先生のご著作」などはいわゆる「所有者敬語」(所有物などを高めることで所有者への敬意を表す)だから、人物と同じように考えていいのだろうが、ニュアンスはかなり違う。
個人的な語感で判定するなら下記くらいだと思う。
弟に先生の(ご)伝言をお伝えした→△
弟に先生の(お)電話をおつなぎした→○
弟に先生をご紹介した→○
しかし、専門家が「変」と断定していることに、個人的な語感だけを根拠に反論する勇気はない。
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mixi日記2012年08月日から
【問題】
次の1)~4)について、下記の質問に答えなさい。
1)弟に先生をご紹介した
2)先生を弟にご紹介した
3)先生に弟をご紹介した
4)弟を先生にご紹介した
【問1】
敬語の使い方がヘンなものをあげなさい。
【問2】
イチバン自然に感じられるのはどれですか。
【参考日記】
【電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2450.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671
【解答?例】
【問1】
ヘンなのは1)2)。
【問2】
個人的には、4)。
おそらく、「先生に」と「ご紹介」が近いほうが素直に感じられるからだろう。もちろん、3)でも意味は同じで、「間違い」ではない。
【よくわからない解説】
下記の問題に関して立てたトピで派生したテーマ。
【電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671
1)2)がヘンな理由をキチンと説明するのはむずかしい気がする。納得できない人は『敬語再入門』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671を読んでもらうしかないかも……とでも言うしかない。
当方はよほど敬語の感覚が鈍いのか、いまだに納得はできていない。しかし、「敬語のルール」はそうなっているようなので、逆らう気はない。
『敬語再入門』には下記のように書いてある。
================================引用開始
「先生に弟をご紹介した」は、「先生」を高める問題のない使い方です。もちろん語順を変えて「弟を先生にご紹介した 」とも言えます。これに対し「弟に先生をご紹介した」「先生を弟にご紹介した」は変で、これでは「弟」を高めてしまうことになります。つまり「ご紹介する」は「…に」にあたる人物を高めるのであり、「…を」にあたる人物は高めない、と整理できます(原田信一氏の指摘)。
実は敬語を離れても、「紹介」は、目下のほうを目上に紹介する、という捉え方・述べ方をするのが普通でしょう(さらにいえば、「これが弟です。こちらが○○先生」というように、目下のほうの名を先に述べるのが普通です)。この点を考えると、「ご紹介する」が「…に」のほうだけを高めるのは当然だともいえます。(P.72)
================================引用終了
最後の一文の「当然」はちょっとひっかかる。〈「ご紹介する」が「…に」のほうだけを高める〉と考えるほうが理にかなっている、くらいのことは言えるかも。
『敬語再入門』のP.236~の〈「お/ご~~する」「お/ご~~いたす」といえる主な語〉の[「……に」を高める] 言葉のリストには、「お伝えする」や「ご紹介する」がある。「ご紹介する」に関しては下記のただし書きがついている。
================================引用開始
「先生に家内をご紹介した」は可だが「家内に先生をご紹介した」は不可。「…を」ではなく「…に」を高める。
================================引用終了
これだけしつこく書いているのは、それだけ間違う人が多いからだろう。当方もこの本を読むまでは、こんなメンドーなことは考えたことがなかった。
〈1)弟に先生をご紹介した〉はおかしくないと考える気持ちはよくわかる。「ご紹介した」が先生への敬語になっていると錯覚してしまう(〈2)先生を弟にご紹介した 〉だと錯覚の可能性は低くなるかも)。
これが下記なら、おかしいのは明らかだろう。
5)弟に本をご紹介した
6)弟に本をお貸しした
「本」を「先生のご著作」(相当言いにくい)にかえたところで、事情はかわらないってこと。以下がヘンなのも同じ理由だろう。「先生に~」なら問題がない。ただ、このあたりになるとかなり微妙な気がする。
7)弟に先生の(ご)伝言をお伝えした
8)弟に先生の(お)電話をおつなぎした(こんな状況あるのか?)
『敬語再入門』のP.237の[「……に」を高める] 言葉のリストを確認すると、「ご紹介する」はかなりレアな気がする。
「AをBにご紹介する」のような形になるものがほかに見当たらない。
「…を」が「先生のご著作」「先生のご伝言」「先生のお電話」などになることはあっても、人物自体は入らない。「先生のご著作」などはいわゆる「所有者敬語」(所有物などを高めることで所有者への敬意を表す)だから、人物と同じように考えていいのだろうが、ニュアンスはかなり違う。
個人的な語感で判定するなら下記くらいだと思う。
弟に先生の(ご)伝言をお伝えした→△
弟に先生の(お)電話をおつなぎした→○
弟に先生をご紹介した→○
しかし、専門家が「変」と断定していることに、個人的な語感だけを根拠に反論する勇気はない。
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