よくある誤用11~15
【よくある誤用11──ことわざの迷走2 他山の石 枯れ木も山の賑わい 君子は豹変す】
下記の続きです。
【よくある誤用2──ことわざの迷走 情けは人のためならず 犬も歩けば棒に当たる 隗より始めよ】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n114824
他山の石
正 戒め(反面教師)になる他者の失敗
誤 手本になる他者のすぐれた言動 「他山の石以て玉を攻むべし」と続く。質の悪い石でもいい石を磨くのに役立つ、くらいの意味。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=他山の石&stype=0&dtype=0
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他山(たざん)の石(いし) よその山から出た、つまらない石。転じて、自分の修養の助けとなる他人の誤った言行。「他社の不祥事を―として会計の透明化をはかる」→他山の石以て玉を攻むべし
◆質の悪い石でも玉を磨くのに役立つということから、良い言行を手本にする意味で使うのは誤り。 文化庁が発表した平成16年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味である「他人の誤った言行も自分の行いの参考となる」で使う人が26.8パーセント、間違った意味「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」で使う人が18.1パーセントという結果が出ている。
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詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-905.html
下記のようなやり取りは「他山の石」にできるかも。 なぜこれがBAになるのか? 「他山の石」と「反面教師」は、ほぼ同じ意味だろう。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1280361162
枯れ木も山の賑わい
正 つまんないものでも、ないよりはマシ 誤 人がたくさん集まれば賑やかになってよい 昔、「枯れ木も山の賑わいと言いますから是非ご出席ください」と恩師を誘った●●がいる、という笑い話を聞いた。「笑い話」ではなくなっているらしい。 そう言えば最近、「人数合わせ」って言葉も見聞するなぁ。そんな言葉あるんだろうか。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=枯れ木&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=03744100&pagenum=1
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枯(か)れ木(き)も山(やま)の賑(にぎ)わい 《枯れ木も山に風情を添えるのに役立つ意から》つまらないものでも、ないよりはましであることのたとえ。
◆文化庁が発表した平成16年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味である「つまらないものでも、ないよりはまし」で使う人が38.6パーセント、間違った意味「人が集まればにぎやかになる」で使う人が35.5パーセントという結果が出ている。
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君子は豹変す 正 態度が急に悪いほうにかわること 誤 立派な人ほど自分の過ちを潔く認めて改めること
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1093873645 http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1301.html
【よくある誤用12──もはや誤用とは言えない2 こだわる/こだわり 生き様 さらなる】
たまーに、「誤用」という意見を見聞するけど「それはちょっと……」と思う例。個人的にはできるだけ使わないようにしていますが……。
こだわる/こだわり 本来は悪い意味。「つまらないないことにこだわる」のように使われた。いまでは善い意味で使われるほうが多いだろう。「こだわりの味」などの使い方を頻繁に見る。あまりにも便利なので、使うことがある。乱用するのはやめましょう。
生き様 「様(ざま)」は元々、罵り言葉に近い。「ざまを見ろ」などと使う。「死に様」はただの「死に方」ではなく「ろくでもない死に方」のニュアンスが強かった。ところが、いつもの間にか「生き様」という言葉ができ、しかも善い意味で使われるようになった。「彼の生き様に感動した」……本来はありえない。「オレの生き様を見せてやる」……勝手にどうぞ。 作家の小林信彦が「嫌いな言葉」としてあげていた記憶がある。「忌み嫌っていた」と言ってもいいかも。
さらなる これは辞書を見ても何も問題を感じない。経済学者の野口悠紀雄が忌み嫌っている。 「野口悠紀雄 さらなる」で検索するといろいろ出てくる。根拠がイマイチわからないまま、要注意の言葉のリストに入れている。 http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2326757.html
もしかすると、翻訳調に感じられるのが不評の原因かもしれない。その意味では「より速く」の「より」に似ているかも。これも「more」の直訳だからという理由で嫌われていた時期があった。いまはそういう意見は少数派になってしまった。
http://biztranslator.blog108.fc2.com/blog-entry-610.html
【よくある誤用13──かなり微妙な線 破天荒 助長 鳥肌が立つ】
「誤用」なのか「誤用でない」のか微妙すぎて、何がなんだかわからなくなっている言葉もあります。新しい意味で使われることが多いのに、辞書はそんな意味を認めていない……こうなると使い方がわからず、結局使えない言葉になってしまいます。 破天荒 ドラマの常識外の主人公を形容するときなどにおなじみです。本来は違う意味ですが、新聞などでも目にするので、もう許容されているのかも。現段階では辞書は新しい使い方を認めていないようなので、「型破り」くらいに言いかえるべきでしょう。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=はてんこう&stype=0&dtype=0
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は‐てんこう〔‐テンクワウ〕【破天荒】 [名・形動]前人のなしえなかったことを初めてすること。また、そのさま。前代未聞。未曽有(みぞう)。「―の試み」「―な大事業」 ◆「天荒」は未開の荒れ地の意。唐の時代、官吏登用試験の合格者が1名も出なかった荊州は人々から「天荒」といわれていたが、劉蛻(りゅうぜい)が初めて合格して「天荒を破った」といわれたという、「唐言」「北夢瑣言」の故事から。 文化庁が発表した平成20年度「国語に関する世論調査」では、「彼の人生は破天荒だった」を、本来の意味である「だれも成し得なかったことをすること」で使う人が16.9パーセント、間違った意味「豪快で大胆な様子」で使う人が64.2パーセントという逆転した結果が出ている。
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助長
これも誤用の例としてあげられることが多い言葉です。どんな意味で使われるのか不明になり、結局使えない言葉になっているような……。 誤用のしかたは2パターンあるようです。 まず、本来の意味は下記の辞書の[2] です。手助けしようとして裏目に出る、くらいの意味です。この意味で使っている例はほとんど見ません。いまは、[1]の意味で使われているようです。しかし、よく見ると[1]の意味は2通りあります。どちらも力を添えることですが、方向性が2つあります。 「発言力を助長する」だと「善い方向」です。「不良性向を助長する」だと「悪い方向」です。元々の意味からかわってきた当初は、「悪い方向」限定だったはずです。いまでは「善い方向」にも使えるような……。 こんな訳のわからない言葉を正確に使う自信がないので、自分では使いません。
■Web辞書『大辞林』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=じょちょう&dtype=0&dname=0ss&stype=0&index=109764100000&pagenum=1
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じょちょう[―ちやう] 0 【助長】 (名) スル [1] 力を添えて、成長・発展を助けること。ある傾向をさらに著しくすること。 発言力を―する 不良性向を―する [2] 〔補説〕 苗の生長を助けようとして無理に引き伸ばし、根を抜いてしまったという「孟子(公孫丑上)」の故事から 不要な助力をして、かえってそこなうこと。
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鳥肌が立つ
本来「鳥肌」は、恐怖や嫌悪感や寒さで「立つ」ものでした。いまは「感動」でも立つような。きっと、人体の皮膚の構造がかわってきたのでしょう(笑)。辞書はまだ本来の意味しか認めていないようです。これは自分でも使うかも……。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=とりはだ&stype=0&dtype=0
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とり‐はだ【鳥肌】 1 皮膚が、羽をむしり取った鳥の皮のようにぶつぶつになる現象。また、その肌。寒さや恐怖などによって立毛筋が収縮し毛が立って起こる。粟(あわ)はだ。「―が立つ」 2 ざらざらしている皮膚。鮫肌(さめはだ)。
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【よくある誤用14──なんかカッコいいからね すべからく 欲しいまま 組みしやすい】
「よくある誤用」2と11のように、ことわざを間違って使うのは「誤用」のなかでもかなりみっともない例でしょう。同じくらいみっともないのは、文語調の言葉を使って間違ってしまう例です。気持ちはわかります。文語調の言葉ってカッコいいんですよね。恥をかきたくなかったら、使う前に辞書をひきましょう。 カッコよさそうな言葉を使って間違う代表格は、「よくある誤用1」で見た「役不足」でしょうね。 個人的には、こんな言葉は使いません……と言うより使えません(泣)。
すべからく
文化庁の平成22年度「国語に関する世論調査」に、「すべからく」の解釈に関する調査結果がのっています。 「全て、皆」を選んだ人が38.5% 「当然、是非とも」を選んだ人が41.2% 正しい意味をわかっている人のほうが多いのは、ちょっと意外な気がしました。当方が見聞する例は、ほとんどが「すべて」の意味で使っているからです。 ただし、厳密に言うと「すべからく」は「すべからく~すべし」としなければなりません。ここから派生して「すべからく……しなければならない」のような形も認められているようです。なにしろ、あの丸谷才一が使うくらいですから。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=すべからく&stype=0&dtype=0
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すべから‐く【▽須く】 [副]《動詞「す」に推量の助動詞「べし」の付いた「すべし」のク語法から。漢文訓読による語》多くは下に「べし」を伴って、ある事をぜひともしなければならないという気持ちを表す。当然。「学生は―学問を本分とすべきである」
◆近年、「すべて」の意で使う例が多くあるが、誤り。文化庁が発表した平成22年度「国語に関する世論調査」では、「学生はすべからく勉学に励むべきだ」を、本来の意味である「当然、ぜひとも」で使う人が41.2パーセント、間違った意味「すべて、皆」で使う人が38.5パーセントという結果が出ている。
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欲しいまま
「天才の名を欲しいままにする」……よく見る言い回しですが、誤用です。この「ほしいまま」は「欲しい」とは別の言葉です。 「天才の名をほしいままにする」ならどうか。これも本来は誤用です。周囲が「天才」と認めている、では元の意味とかけ離れてしまいます。自分で自分のことを「天才」と言いつづけているなら、正用かもしれませんが。とは言え、新聞でも目にするので、そのうち許容されるんでしょうね。ε= (´∞` ) ハァー
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=ほしいまま&stype=0&dtype=0
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ほしい‐まま【▽縦/▽恣/×擅】 [形動][文][ナリ]《「ほしきまま」の音変化》思いのままに振る舞うさま。自分のしたいようにするさま。「権力を―にする」「―な空想にひたる」
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組みしやすい 「組みしやすい相手と侮る」……よく見る言い回しですが、誤用です。漢字で書くなら「組み」ではなく「与」です。おそらく「組みやすい」(これも相当ヘンな言い方ですが……)と勘違いしたのでしょう。「くみしやすい」なら、誤用ではありません(個人的には疑問もありますが……)。でも、こんな古くさい言葉を使う必要がありますか?
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=くみしやすい&stype=0&dtype=0
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くみし‐やす・い【▽与し▽易い】 [形][文]くみしやす・し[ク]相手として扱いやすい。相手として恐れるに足りない。「―・い相手」
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【よくある誤用15──清濁の問題 まぬかれる ぎごちない くらい/ぐらい】
世の中は 澄むと濁るで大違い 刷毛に毛があり ハゲに毛がなし
こういうのは「俗謡」でよいのでしょうか? 正確な呼称をご存じのかた、教えてください。
言葉のちょっとした違いに注目して「どちらが正しいのか?」というのはネット上でよく見る質問です。ちょっとした違いでまったく意味がかわることもありますが、大差がないこともあります。以前、「まぬかれる」や「ぎごちない」は聞いたことがないので方言、という主張を見て呆れてしまったことがあります。調べもせずにこういう乱暴なことを書くと恥をかきます。
まぬかれる/まぬがれる
どちらもフツーの日本語です。いまは「まぬがれる」が優勢のようですが、本来の形は「まぬかれる」でした。常用漢字表が改定される前には、「免れる」は「まぬかれる」としか読めないルールでした。改定されて、やっと〈「まぬがれる」とも〉読めることになりました。
ぎこちない/ぎごちない
どちらもフツーの日本語です。いまは「ぎこちない」が圧倒的に優勢のようですが、本来の形は「ぎごちない」でした。
くらい/ぐらい
これも「どちらが正しいのか攻撃」を受けているのを見たことがあります。どちらでも同じようなものです。「くらい」が正しいと主張する人もいるようなので、厳密には「くらい」と読むべきかもしれません。「この・その・あの・どの」などの後ろに来るときは「くらい」とする説もあります。個人的には、どんな場合も「ぐらい」でいい気がします。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1826.html
清濁の問題でとんでもないのは、「すさまじい」。いろいろな形が許容されているようです。いかんなぁ。こんなしょうもない雑学に走っては……。
■Wikipediaから http://ja.wikipedia.org/wiki/三省堂国語辞典
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『三国』独特の項目
『三省堂国語辞典』が、いち早く新しい語や用法を取り入れた例を、以下に若干挙げる。なお、これらのうちには、後に他の国語辞典も採用するようになったものも含まれる。 「あっけらかんと」 以前は「口をあけてぼんやりしているようす」という意味しかなかった。ところが、「明るくてこだわらないようす」という意味や、「あけっぱなしでかくさないようす」という意味が生まれていることが用例で分かり、第3版から収録された。 「気が置けない」 「気がね・遠慮しなくていい」という意味のほかに、「気がゆるせない」の意味で使う者が現れた。第3版以降、この意味が「〔誤って〕」と冠して収録された。 「すさまじい・すさましい・すざましい・すざまじい」 いずれも、実際にある語形である(「すさまじい」の項目に列記されている)。これらの語形をすべて収録した辞書は、いまだにないと思われる。実際に用例を確認しなければ、このような記述はできない。第3版から収録された。 (以下略)
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バックナンバーは下記。 【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365
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