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突然ですが問題です【日本語編7】──「申す」は「言う」の謙譲語なのか 申す 申し上げる 申し込む 申し出る の違い

【問題】

【問1】
次のなかで謙譲語はどれでしょう。
1)申す
2)申し上げる
3)申し込む
4)申し出る

【問2】
3)申し込む、4)申し出ると仲間と考えられる言葉を、理由を添えてあげなさい。






【解答?例】 
 ハッキリ謙譲語と言えるものは2)だけ。
 1)は謙譲語のときもあるが、そうでないときも多い。
 3)4)は謙譲語の意味はない。

【問2】
申し付ける/申し入れる/申し越す/申し立てる……etc.
 理由は、いただいたコメントがわかりやすいので、ほぼそのままいただく。(←オイ!)
「お申しつけ下さい」のように相手の動作に使えるから。

【よくわからない解説】
 詳細は下記をご参照いただきたい。
【「申し込み」「申し出」は謙譲語?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1213.html

 以下は一部の抜粋(重言)。
(辞書の引用は末尾)

「複合語は謙譲の意味が薄れる」以前の問題だった。「申す」の段階で謙譲語でない意味がいろいろある。
『大辞泉』は、「謙譲語」の意味が3番目(笑)。
『大辞泉』の「2」には〈「言う」を改まり重々しくいう〉とあり、『大辞林』の[3]にいたっては「尊大語」orz。

 まあ、「申し出る」は、「申し出てやる」とか「申し出やがって」ってニュアンスはないから「丁寧語」と考えるのが妥当だろう。
 ってことで、「申し出る」は謙譲語ではないので、客に「お申し出ください」などと言うのはまったく問題がない。

 ここから先は例によって余談。
『大辞泉』には〈現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である〉とある。なるほど(これも誤用なのかな?)。そこまでいくと謙譲語なのね。
 そこで気になったこと。「申し○○」って形の複合語はどんなものがあるのだろう。

申し合う/申し合い
申し合わせる/申し合わせ
申し行う/──
申し兼ねる/(申し兼ね)
申し出る/申し出
申し入れる/申し入れ
申し受ける/申し受け
申し置く/(申し置き)
申し遅れる/申し遅れ
申し送る/申し送り
申しかわす/申しかわし
申し聞かす/申し聞かし
申し聞かせる/申し聞かせ
申し越す/申し越し
申し込む/申し込み
申し立てる/申し立て
申しつぐ/申しつぎ
申し付ける/申し付け
申し伝える/申し伝え
申し出る/申し出
申し述べる/申し述べ
申し開く/申し開き
──/申し分
──/申し訳(申し分け)
申し渡す/申し渡し

 予想以上にあった(これでもいくつか省略している)。
 個々の言葉を辞書でひくと、「謙譲語」の意味がのっているものとのっていないものがある。のっていないものは、すでに謙譲のニュアンスがなくなっているんだろう。
「申し遅れる/申し遅れ」「申し兼ねる/(申し兼ね)」「申し述べる/申し述べ」あたりは謙譲のニュアンスが強いと思うけど、そんなことでゴネる気はない。


【追記】
「申す」に関しては「敬語の指針」がふれている。すっかり忘れていた。この書き方には疑問を感じる。
【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2220.html

================引用開始
337)【「ご持参ください」は失礼な言い方か】Yahoo!知恵袋
================================
(前略)「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である。しかし,「御持参ください」,「お申し出ください」,「お申し込みください」などといった表現の中に含まれる「参る」や「申す」は,謙譲語IIとしての働きは持っていないと言ってよい。したがって,これらの表現を「相手側」の行為に用いるのは問題ない。
================================
 少なくとも〈「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である〉はおかしい。「申す」は謙譲語のこともあれば、そうでないこともある。「申し上げる」の形にしないと、謙譲語とは言いきれないはず。
「お申し出」の類いが謙譲語でないのは、複合語だからではなく、「申す」自体が謙譲語でないことがあるからだと思う。
================引用終了


https://kotobank.jp/word/%E7%94%B3%E3%81%99-633322#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
まお・す〔まをす〕【▽申す】

[動サ五(四)]《「まおす」の音変化》
1 主として会話に用い、聞き手に対し、「言う」を改まって丁重に表現する丁寧語。
㋐「言う」対象が聞き手(または尊者)の場合には、対象を敬う気持ちも残るが、現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である。「昨日、先生に―・したとおりです」
㋑単に「言う」を改まり丁重にいう場合。この場合にも、謙譲の気持ちは残るので、敬うべき人の動作には用いない。現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる。「父がこのように―・しております」「私は鈴木と―・します」「一口に日本と―・しましても」
2 1のへりくだる気持ちが失せて、「言う」を改まり重々しくいう。「そうは―・しておらん」
3 動作の対象を敬う謙譲語。
㋐「言う」の謙譲語。申し上げる。古くは、改まって言上する場合に多く用いられた。
㋑神仏、朝廷などにお願い申し上げる。また、所望申し上げる。
㋒その人の名前・官位などを、人々が…と申し上げる。
㋓「する」「なす」の謙譲語。…してさしあげる。「御助勢を―・しましょう」
4 (補助動詞)動詞の連用形、現代語では「お」などを冠した動詞の連用形や動作をいう名詞に付いて、謙譲の意を表す。「お送り―・します」「御相伴―・します」
[可能]もうせる
「(帝ニ)翁(おきな)のありさま―・して」〈竹取〉
「母君の御行くへを知らむと、よろづの神仏に―・して」〈源・玉鬘〉
「いけずき(=馬ノ名)を―・さばやとは思へども」〈平家・九〉
「田邑(たむら)の帝と―・す帝おはしましけり」〈伊勢・七七〉
「路次でお茶なりと―・さう物を」〈虎明狂・餅酒〉
「文覚が流さるる国へ迎へ―・さんずるものを」〈平家・一二〉
==============引用終了

==============引用開始
大辞林 第三版の解説

まをす【申す】

( 動サ四 )
⇒ まおす(動サ四)

もうす【申す】

( 動サ五[四] )
〔上代語「まをす」の転〕

「言う」の謙譲語。動作の及ぶ相手を敬っていう。 「私は田中と-・します」 「父がこう-・しました」

「言う」の丁寧語。聞き手を敬っていう。 「昔から『急がば回れ』と-・しますが…」

「言う」の尊大語。下位者が「言う」行為を上位者が低めて表現する。 「冗談を-・すな」 「名を-・せ/狂言・昆布柿」

「願う」「請う」などの謙譲語。

神仏にお願い申し上げる。 「母君の御行くへを知らむと,よろづの神仏に-・して/源氏 玉鬘」

所望申し上げる。 「いけずきを-・さばやとは思へども/平家 9」

「する」「行う」の謙譲語。 「かねてぞんじたらば,路次でお茶なりと-・さう物を/狂言・餅酒」

(補助動詞) 「お」「御(ご)」を冠した動詞の連用形や動作性の体言の下に付いて,動作の対象に対する敬意を表す。…いたす。もうしあげる。 「車でお宅までお送り-・します」 「会合への出席は御遠慮-・します」 〔① ② ⑥ は,現代語では「ます」を伴って用いるのが普通〕
[可能]もうせる
==============引用終了
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