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突然ですが問題です【日本語編52】Yahoo!知恵袋ver.──~{を/から}いただきます ~{を/から}お預かりします

【問題】  

 次の表の3)~8)の「お釣りがある場合」「お釣りがない場合」を埋めなさい。

 おおよその基準。
  ○=問題なし
  △=ちょっとヘンだが、まあいいか
  X=それはさすがに問題があるだろ

                     お釣りが お釣りが
                     ある場合 ない場合
1) 1万円(を)頂きます         X    ○
2) 1万円から頂きます          ○    △
3) 1万円(を)お預かりします
4) 1万円からお預かりします
5) 1万円ちょうど(を)頂きます
6) 1万円ちょうどから頂きます
7) 1万円ちょうど(を)お預かりします
8) 1万円ちょうどからお預かりします
「頂戴します/頂戴いたします」は「頂きます」に準ずる。




【解答例】
                     お釣りが お釣りが
                     ある場合 ない場合
1) 1万円(を)頂きます         X    ○
2) 1万円から頂きます          ○    △※
3) 1万円(を)お預かりします      ○    △
4) 1万円からお預かりします       △※   △※
5) 1万円ちょうど(を)頂きます     X    ○
6) 1万円ちょうどから頂きます      X    △※
7) 1万円ちょうど(を)お預かりします  X    △
8) 1万円ちょうどからお預かりします   X    △※
「頂戴します/頂戴いたします」は「頂きます」に準じます。

【よくわからない解説】
 大前提として、「頂戴します/頂戴いたします」は「頂きます」に準ずる。個人的には、「頂戴」は語感が古いうえに妙な色がついている気がするからイヤ。さらに言えば「ちょうど」との相性も悪い気がする。まあ、そんなことを強く主張する気はない。
 順番に見ていこう。

1)1万円頂きます/1万円を頂きます
 お釣りがあるときに、「頂きます」はX。極端なことを言うと、100円に買い物をしたときに「1万円頂きます」と言われたら、「ちょっと待て」ってことになる。

2) 1万円から頂きます
 お釣りがない場合に「から」はちょっとヘン(相当ヘンかもしれない)。ただ、「から」の語呂のよさ(後述)もあってXにはしにくい。これをXにするなら、4)はどんな場合にもXにしないと筋が通らない。

3)1万円お預かりします/1万円をお預かりします
 お釣りがない場合に「預かる」はちょっとヘン。ただし、これを正当化する屁理屈もある。
  A 商品の受け渡しが完了するまでは「預かる」である。
  B 消費税分は「預かる」ものである
 AやBの考え方にどこまで正当性があるのかは不明。まあいいんじゃないか、と思う。

4)1万円からお預かりします
 厳密に考えるなら、お釣りがあってもなくても、「からお預かりします」はちょっとヘン。ただ、これが世の中のスタンダードになっている気がする。どう考えても誤用、とまで断言する自信はない。「から」の特殊性(後述)と関係があるのかないのか?

5)~8)
 お釣りがある場合に「ちょうど」はさすがにX。もらった金額が「1万500円」ではなく「1万円」ポッキリだからという屁理屈も成り立つかな。やはりその場合は「ちょうど」はいらないだろう。
 問題はお釣りがない場合。6)と8)はホントはXにしたいが、ほかとのバランスを考えるとこうしないとヘンだろう。お釣りがない場合の6)をXにするなら、2)もXになる。8)をXにするなら、4)は両方ともXになる。このあたりを全部Xにしたいんだけどさぁ。
 お釣りがない場合の7)が△になるのは、3)と同じ理由。

 1)と2)を理解したうえでちゃんと使い分けられるなら、「頂きます」を使ってもいいだろう。
 使い分けがメンドーな人や、間違えそうな人は、3)か4)を使うのが無難じゃないかね。
 個人的には3)がイチバンいいと思う。でも世間は4)を使う人が多いみたい。こんだけ叩かれてるのに使用例が減らないのは、何か理由があるんだろうね。
 こういう書き方をしていると、「誤用例のほうが多いなら、誤用ではない」みたいな論調と同じことを言っているような気がして憂鬱になる。
 そういうことじゃないの。
 当方がこの場合の「から」を許容(あくまでも「許容」)してもいいと思うのは、誤用と考える明確な根拠が見つからないから。広く通用している表現を「誤用」と主張するには、明確な根拠が必要だと思う。そりゃ、「まったく異和感がないのか」と訊かれたら、「(けっこう)ある」と答えるしかないけど。


■「から」の特殊性の話
 1)~8)のうち、「から」が出てくる使用例が4×2で8つある。そのうち5つが△(※印)になっている。ホントはこれは全部Xにしたい。だが、そこまで強気になる根拠がない。
 以前から気になっていたのだが、「から」って相当曲者だと思う。2つの例をあげておく。

1.「従来から」「古来から」
「誤用」(正確には「重言」?)と指摘されることが多いのに、減る気配がない。このまま認められてしまうかもしれない。
 詳しくは下記をご参照ください。
【伝言板 板外編4──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html

2.「来月から発売」「会議が3時から始まる」
 これも論理的に考えると「に」にしないとおかしいはず。でも一般には認められている。
 詳しくは下記をご参照ください。
360)【板外編16】「カラ」と「ニ」の話】
(略)

 こういう例を考えると、「から」は治外法権って気がする。たぶん、すごく語感がいいんだろう。そうとでも考えないと納得できない。
 厳密に考えるとおかしくても、「から」は許される。だから「から」がらみの5つの△(※印)はXにしにくい。
 ……とでも言うしか。

 やはりK-POP(K-pop)は強い……なんのこっちゃ。



突然ですが問題です【日本語編】のバックナンバー
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2570.html
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