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突然ですが問題です【日本語編73】──接続詞の謎 だって でも

【問題】
 相当かなりきわめて危険が危ない危機感を感じながら……。
「だって」に関する下記の辞書の記述を参考に、【問】に答えなさい。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=だって&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=11522900&pagenum=1
================================
だって
[接]《助詞「だって」の接続詞化したもの》相手に反論したり、相手の反対を予想しつつ理由や言い訳を述べる場合に用いる。そうはいっても。でも。なぜかというと。「とても間に合いません。―人手が足りません」
================================
※辞書が「片たり」ってどういう了見だ?

■Web辞書(『大辞林』から)
================================
だって1
(接続)
〔補説〕 助詞「だって」が接続詞化したもの
相手の言葉に反対したり、相手の反対を予想したりして、そうなった事情を説明する時に用いる。そうではあるが。でも。
  『なぜ遅れた』『―、電車が故障したんだもの』
  私は行けません。―、病気なんです
================================

【問1】
 下記の例文の「だって」を、別の接続詞に書きかえなさい。
  1) とても間に合いません。だって人手が足りません。
  2) 「なぜ遅れた」「だって、電車が故障したんだもの」
  3) 私は行けません。だって、病気なんです。

【問2】
 Web辞書によると、接続詞「だって」には「でも」の意味があるそうです。
  1) 【問1】の「だって」を「でも」にできるか否か考えなさい。
  2) このようなホニャララなことになった理由を考えなさい。







【解答?例】

【問1】
 接続詞の「だって」の書きかえは、基本的に「なぜなら(ば)」あたりが無難。
 2)のように話し言葉のニュアンスが強くなると、少し不自然になる。「なぜって」「なぜかと言うと」などに言いかえることはできるが、どちらも一般に接続詞としては認められていない。

【問2】
 1)
 できない。なぜなら、「だって」は順接(っぽい)、「でも」は逆接と役割が違うから。
 2)
 以下は単なる憶測。


【よくわからない解説】
 接続助詞と接続詞の両方の働きがある言葉は多い。たいていの場合、意味はかわらない。1例だけあげておく。
  あいつはバカだけれど、可愛げがある。(接続助詞)
  あいつはバカだ。けれど可愛げがある。(接続詞)
 こんなこといちいち考えるまでもない……はずなのよ。ところが、「だって」は違うようだ。
「でも」と比べるとよくわかる。
  バカでも可愛げがあるなら許せる。
  バカだ。でも可愛げがあるなら許せる。
  バカだって可愛げがあるなら許せる。
  バカだ。???可愛げがあるなら許せる。

 接続助詞の「だって」と「でも」はほぼ同じ意味で互換性があることが多いのに、接続詞の「だって」と「でも」は意味が逆になることが多い。なんでこんなことになるのかはわからない。
 辞書も混乱していることがうかがえる。
『大辞泉』は接続詞の「だって」の意味に「でも」と「なぜかというと」をあげている。すでに見たように、かなりニュアンスはかわるけど「なぜかというと」はアリ。しかし「でも」はありえないでしょ。
『大辞林』は接続詞の「だって」の意味に「そうではあるが」と「でも」をあげている。これはどっちもありえないでしょ。
 これはすでに書いたように、「だって」が特殊だからだろう。
 接続助詞の「だって」(たって)と「でも」(ても)のWeb辞書の例文を抜き書きしてみる。

■Web辞書(『大辞泉』から)
  ここなら泳い(だって)かまわない。
  笑われ(たって)かまわない。
  いくら捜し(たって)いるはずがない。
  死ん(でも)死にきれない。
  いくら呼ん(でも)返事がない。
  失敗し(ても)あきらめはしない。
  煮(ても)焼い(ても)食えない。
  知ってい(ても)知らぬ顔をする。
  自信があるにし(ても)、試験を受けるのはいやな気分だ。

 全部互換性がある。さらに言うと、係助詞のほうもほとんどが互換性があるのだが、煩雑になるので省略する。
「だって」(たって)も「でも」(ても)も、接続助詞として使われる場合は、ほぼ逆接になる。ところが、接続詞になったとたん「だって」だけが順接っぽくなる。理由はわかりません。
 実生活で考えると、「だって」を逆接っぽく使う例がある。
 母親に「遊んでばかりいないで勉強しないとダメでしょ!」と叱られた子供の口ごたえ。
「でも、○○ちゃんも遊んでるよ」
「だって、○○ちゃんも遊んでるよ」
 一応どちらも成立する気がする。しかし厳密に言うと、この「だって」は論理的に破綻している。「だって」は「なぜかというと」くらいの意味なのだから。これが次のような応答なら筋が通っている。
「なんで勉強しないで遊んでばかりいるの!」
「だって、○○ちゃんも遊んでるよ」

 結論。
 Web辞書の論理性は子供のダダ並み。


突然ですが問題です【日本語編】のバックナンバー
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