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突然ですが問題です【日本語編76】──「雨模様」の意味

【問題】

【問1】
 下記の辞書の記述を参考に、「雨模様」の意味を1)~4)のなかから選びなさい。

  1)雨が降りそうな空の様子
  2)雨が降っているらしい様子
  3)雨が降っている様子
  4)雨が降ったりやんだりしている様子

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=あめもよう&stype=0&dtype=0
================================
あめ‐もよう〔‐モヤウ〕【雨模様】
1 雨の降りそうな空の様子。あまもよう。「―の雲」
2 雨が降っているらしいようす。あまもよう。「山間部は―らしい」

◆1が本来の意味。2は新しい意味で、近年はさらに「現に雨が降っている」意にも使う。
文化庁が発表した平成15年度「国語に関する世論調査」では、「外は雨模様だ」を、「雨が降りそうな様子」の意味で使う人が38.0パーセント、「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味で使う人が45.2パーセントという結果が出ている。
================================

【問2】
「雪催い」の読みと意味を答えなさい。








【解答?例】

 雷が道でバッタリ会った雪にコボしました。
「また今年も空梅雨でよー。ちゃんと仕事をしてくれないと困るんだよ。雨もよぅ」

 一部の地域では水玉模様を雨の雫に見立てて、「雨模様」と言うとか言わないとか……メルヘンやなぁ。


【問1】
『大辞泉』の記述に従うと、下記のようになる。
  1)雨が降りそうな空の様子→本来の意味
  2)雨が降っているらしい様子→新しい意味
  3)雨が降っている様子→さらに近年の意味
  4)雨が降ったりやんだりしている様子→こう考える人は多いが「誤用」

【問2】
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=雪催い&stype=0&dtype=0
================================
ゆき‐もよい〔‐もよひ〕【雪▽催い】
今にも雪の降りそうな空模様。雪模様。《季 冬》「湯帰りや灯ともしころの―/荷風」
================================

【よくわからない解説】
 こんなことを調べはじめたキッカケは、いままでに何度か取り上げた平成22年度の「国語に関する世論調査」。
 詳しいことは下記を見てほしい。
 今回の調査結果では、下記のようになっている。
(略)
================================
 本来の意味とされる(ア)「雨が降りそうな様子」と答えた人が43.3%,本来の意味ではない(イ)「小雨 が降ったりやんだりしている様子」と答えた人が47.5%となった。過去の調査(平成15年度調査)と比較する と,(ア)「雨が降りそうな様子」が5ポイント増加し,(ア)と(イ)の両方と答えた人が,5ポイント減少し た。
================================

 平成15年度の調査に比べて、本来の意味を答えた人が5ポイントも増えている。これは誤差の範囲なんだろうな。こんな言葉の本来の意味が広まったとは考えにくい。
 まず細かい話。
 下記のリンクは何が違うんだろう。通常見るのは上のパターンだけど、今回どこかで下のパターンを見た。リンク先は同じ。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=あめもよう&stype=0&dtype=0
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0na/00497300/

 でね。『大辞泉』の記述で真っ先に気になるのは「ノ」と「ガ」の使い方の不統一。「雨の降りそうな空の様子」が〈ノ〉なのに、なぜ「雨が降っているらしいようす」なのは〈ガ〉になっている(ハハ。「様子」と「ようす」だ)。むしろ、「雨の降りそうな空の様子」のほうが「ノ」がダブるので「ガ」にしたいくらいなんだけど。
 まあ、意味はかわらないけどさ。
【助詞の話──「ノ」と「ガ」 Yahoo!知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1862.html

 もっと気になるのは、「雨が降っているらしいようす」ってどんな様子のことで、こういう言葉を使うのはどんな状況なのかってこと。
『大辞林』にのっている例文の「山間部は雨模様らしい」ってどういう意味? 文字どおりだと「山間部は雨が降っているらしいようすらしい」になる。意味わかんない。
 ネット検索して、下記のブログを見つけた。
【「雨模様」──すっきりしないのは天候だけではない】
http://club.japanknowledge.com/jk_blog/nihongo/20100726_017.html
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「雨模様」──すっきりしないのは天候だけではない

 みなさんは「外は雨模様だ」と言われると、どのような天気を思い描くであろうか。
 平成15(2003)年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、「雨が降りそうな様子」の意味で使う人が38.0パーセント、「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味で使う人が45.2パーセントという結果が報告されている。
 ところが面白いことにこの語は、少数派となった「雨が降りそうな様子」のほうが本来の意味なのである。そのため、『岩波国語辞典』では「雨の降る様子は誤用」としている。だが、45.2%もいた「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味を選んだ人たちの存在をどう考えるべきなのか。そのような状況を勘案して、筆者が編集を担当した『現代国語例解辞典』では、「雨が降ったりやんだりすることにもいう」という意味を、すでに1985年刊行の初版から載せている。さらに『大辞泉』によれば、近年では「降ったりやんだり」どころか、「現に雨が降っている」意にも使われているという。
 このようにこの語は使う人によって意味が揺れているため、NHKなど放送、特に天気予報では避ける語としているようだ。
 なお、この語は意味ばかりでなく読み方も「あめもよう」「あまもよう」の両用あって揺れている。ただしこちらは、どちらの読みでも誤用ということはなさそうである。
================================

 書き手は小学館の辞書編集者らしい。こういう人がもっと情報を発信してほしい。
 ただ、この記述は意味がわからないところがある。〈そのため、『岩波国語辞典』では「雨の降る様子は誤用」としている。〉って、「どのため」? おそらく、誤用のほうが威張ってきているので、「注記している」「明記している」ってことなんだろうな。
『大辞泉』の〈近年はさらに「現に雨が降っている」意にも使う〉は疑ってかかったほうがよさそうだ。そもそも、そういう意味があるのなら、なぜ「3」として記載しない?
『現代国語例解辞典』では「雨が降ったりやんだりすることにもいう」としている。
 以上を踏まえて元々の選択肢を見る。

  1)雨が降りそうな空の様子
  2)雨が降っているらしい様子
  3)雨が降っている様子
  4)雨が降ったりやんだりしている様子

 1)は本来の意味。これはかわらないだろう。そりゃどんなに言葉はナマモノでも、「本来の意味」がかわっちゃ困る。
 2)は『大辞林』の主張だけど意味不明。こういう表現がふさわしい場面があったらご自由にお使いください。
 3)はなんとも言えない。『岩波国語辞典』は「誤用」としている。『大辞林』は「注」扱いで採用している。どちらを信じるべきかわからないが、そもそもこんな解釈がどこから出てきたのかは不明。
 4)は「誤用」のはずなんだけど、1985年刊行の初版から『現代国語例解辞典』は認めているらしい。
 ここで問題です。
「今日は一日雨模様だった」と書いてあったらどういう天気だったのでしょう。
「雪模様」が意味不明で使えなくなくなるのは何年後のことでしょうか。
 ……知らんわ。


突然ですが問題です【日本語編】のバックナンバー
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2570.html
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