【表記の話12──「ください」と「下さい」をめぐるホニャララ合戦】
「ください」をどう表記するのが一般的か。
表記の問題なので、例によって漢字にしても平仮名で書いても間違いではない。
●表記に関する話
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=50340503
================引用開始
表記(漢字の使い分けなど)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。
1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合
たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。
一方、「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。
================引用終了
以前、テレビ番組で「こう使い分けるのが正しい」と紹介していた記憶があるが、多くの場合「一般的な使い分け」はあっても「正しい使い分け」などは存在しない。
一般的には本動詞?は漢字で書き、補助動詞は平仮名で書くことが多い(例外は多いけど)。少なくとも公用文に関しては補助動詞の「~ください」はひらがな書きにするルールがあるようだ。
『公用文における漢字使用等について』(平成22年11月30日/内閣訓令第1号)の「別表」に次のようにある。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/pdf/kunreibesshi_h221130.pdf
================引用開始(抜粋)
1 漢字使用について
(略)
(2) 「常用漢字表」の本表に掲げる音訓によって語を書き表すに当たっては,次の事項に留意する。
(略)
キ 次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
(略)
・・・てください(問題点を話してください。)
================引用終了
下記のサイトを信用するなら、文部省&文部科学省の基準も同様らしい(そりゃそうだろう)。
http://plaza.rakuten.co.jp/econavi/diary/200811270000/comment/write/
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1184403156
↑の2つ目のコメントに出てきた例文が気になる。この件に関してネット検索すると、特徴的な例文が2パターン出てくる。キーワードで検索するとウジャラウジャラすごいことになる。引用サイトは一例。
●パターンA
9月11日までに報告してください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10100157540
●パターンB
一つわたしにクダサイな(文部省唱歌)&あけてクダサイ。(北原白秋「お月夜」)
http://blogs.yahoo.co.jp/shouinjuku/50960402.html
※パターンAも使われてる?
これって単なる偶然? こういうのは少し調べると、【ネタ元】がわかる。これに関してはちょっと苦戦した。苦戦の原因は、無断転載しているホニャララが多すぎることと思われる。
しかるべき資料から抜粋したのに、出典を明かさないのはどういう了見なんだろう。想像するに、ホニャララサイトをさらに無断でホニャララするから、大元がわからなくなるんだろうな。こういうのはなんて言うのだろう。「またホニャララ」? 「まごホニャララ」?
素人さんのしでかすことなんだから多少のホニャララも大目に見るべきなんだろうが、これはあまりにもヒドい。もう少し節度をもってくれないかな。
「9月11日までに報告してください」の大元は北海道庁のサイトらしい。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/bsh/words/yougo.htm
================引用開始
「下さい」と「ください」の使い分け
「ください」には、大きく分けて二つの意味があります。一つは、「(物)を与え
る」という意味の本動詞として尊敬・丁寧を表現する場合で「下さい」と書きます。
もう一つは、動作を表す名詞や動詞の次に付ける補助動詞で、他の人に動作
を依頼するときや動作をする人に対する敬意を表現する場合で、「(~して)くだ
さい」と書きます。
例 不用になった古新聞を下さい。 資料を下さい。
9月11日までに報告してください。 問題点を話してください。
多数の方が御出席くださいますよう御案内申し上げます。
================引用開始
「桃太郎さん」&北原白秋の大元は『言葉に関する問答集・総集編』らしい。
http://seisaku.dip.jp:8080/BLOG/archives/2010_4.html
================引用開始
2010年4月26日
「ください」と「下さい」
本市における公用文の表記の中で、最も多い間違いの一つに「~(して)下さい」があります。正しくは、「~(して)ください」と表記します。
「助詞及び助動詞並びにそれらと類似した語句は、原則として平仮名で表記する」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)とされています。「下さい」と表記すると、動詞「くれる・くれ」の尊敬・丁寧表現になります。
良い例が「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)に掲載されていますので、引用します。
「⑴ 桃太郎さん桃太郎さん
お腰につけた黍団子
一つわたしにクダサイな(文部省唱歌)
⑵ トン、トン、トン
あけてクダサイ。
わたしです。(北原白秋「お月夜」)」
⑴が「下さい」で、⑵が「ください」です。
投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:21 | 文書事務 |
================引用終了
下記のBAをたどると有力そうなサイトがある(おなじみのホニャララ回答もある)。内容は同じようなものだけど。↑のようなホニャララ例文は出てこない。アタリマエだ。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10101057325
【「下さい」と「ください」 どう違う?】(ことばの宝船―NHKアナウンサールーム)
http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/55134.html
【自治体広報広聴活動調査広報研究ノート】
http://www.koho.or.jp/useful/qa/hyouki/hyouki06.html
ちなみに、↑の『公用文における漢字使用等について』によると、下記あたりもひらがな書きが原則らしい。問題になるのは「~続ける」などの補助動詞や「等」なんだけど、そこには基準がないのね(泣)。
================引用開始
ある(その点に問題がある。)
いる(ここに関係者がいる。)
こと(許可しないことがある。)
できる(だれでも利用ができる。)
とおり(次のとおりである。)
とき(事故のときは連絡する。)
ところ(現在のところ差し支えない。)
とも(説明するとともに意見を聞く。)
ない(欠点がない。)
なる(合計すると1万円になる。)
ほか(そのほか...,特別の場合を除くほか...)
もの(正しいものと認める。)
ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
わけ(賛成するわけにはいかない。)
・・・かもしれない(間違いかもしれない。)
・・・てあげる(図書を貸してあげる。)
・・・ていく(負担が増えていく。)
・・・ていただく(報告していただく。)
・・・ておく(通知しておく。)
・・・てください(問題点を話してください。)
・・・てくる(寒くなってくる。)
・・・てしまう(書いてしまう。)
・・・てみる(見てみる。)
・・・てよい(連絡してよい。)
・・・にすぎない(調査だけにすぎない。)
・・・について(これについて考慮する。)
================引用終了
表記の話13──補助動詞&ほぼ補助動詞(後項動詞)の表記
まず「補助動詞」とは何か、という話から。
これは珍しく?Wikipediaがよさそう。
■Wikipediaから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%8B%95%E8%A9%9E
================引用開始
形式上の補助動詞
普通は、別の動詞(または助動詞などが後続したもの)の連用形に、接続助詞「て」を介して後続する動詞を、補助動詞と称する。これは言語学上の助動詞に当たる(学校文法での助動詞とは違う)。
「知っている」「掛けてある」「笑ってしまう」「見ていく」「変わってくる」「代わってくださる」「行ってもらう」などの太字の部分。 例えば、「行く」は、「途中で彼女と落ち合って行きます」という場合には「どこかへ移動する」という意味で使われる。しかし「これから見て行くように…」という場合には空間的に移動する意味はなく、時間的変化または近未来の行為を示している。後者の「行く」が補助動詞であるが、これはひらがなで「いく」と表記することが多い。この表記によって例えば「箱を開けて見る」(中を見る)と「箱を開けてみる」(試しに開ける)のような異なる意味を区別することもできる。
例
状態や動作の態様を表し、時間的意義などを含む(言語学的には相に当たる)「いる」「ある」「いく」「くる」「しまう」「おく」
受益表現の「くれる」「やる」「あげる」「もらう」
その他:「みる」「みせる」
このほか希望を表す「ほしい」などの補助形容詞も同様の性格を持つ。
「ている」「ておく」「ていく」「てしまう」「でしまう」などは、話し言葉では「てる」「とく」「てく」「ちまう、ちゃう」「じまう、じゃう」と短縮されて助動詞的に用いられる(文法化)。
機能上の補助動詞
機能的には、動詞の連用形や、形容詞・形容動詞の語幹などに直接後続する「笑いあう」「動き出す」「明るすぎる」なども補助動詞に近い。これらは一般には全体で複合動詞として扱っている(後続する部分は後項動詞という)。しかし、「押し付ける」「引き離す」「たたき起こす」など一般の複合動詞の場合と比較すると、本来の意味を必ずしも保っていない、前の動詞などとの組合せはあまり限定されない、「掃除させ始める」のように助動詞が介入する場合も多い(従って助動詞だけを独立の品詞とするのは整合性がない)、など大きな違いがあり、上記の補助動詞との共通点が多いため、広義で補助動詞ということもある。
「保障しかねる」のように本来とかけ離れた意味を表すものもあり、これなどは助動詞に近い。また「動き出す」のように本来の用法と異なる(「出す」は他動詞、「動き出す」となると自動詞)場合も多い。
例
相を表す「始める」「出す」「続ける」「終わる」「過ぎる」
相互の行為を表す(態)「あう」
位置変化・存在を表す「出す」「込む」
敬語の「なさる」
可能性・容易性を表す「う(得)る」「かねる」
また複合形容詞・形容動詞を形成する「やすい」「にくい」「がちだ」なども同様の性格を持つ。
================引用終了
■補助動詞はひらがなで書く
ある程度活字に親しんでいる人なら、ひらがなのほうが自然に感じるだろう。こういうのを感じで書きたがるのは、本は読まないで我流で文章を書いている人が多い。悪いことは言わないからよしなさい。
【表記の話12】で見た公文書のルールにしても、新聞社の用字用語にしても、原則的にひらがなにしているはず。
微妙な例をあげておく。
・「~して下さい」と「~してください」
これを漢字にしたがる人は多い。別に漢字で書いてもさほど異和感はないけど、世間の風潮に逆らうならそれなりの覚悟をもちましょう。
・「箱を開けて見る」(中を見る)と「箱を開けてみる」(試しに開ける)の違い
Wikipediaにあった例。これはそのとおりだけど、「基本ステップのお手本を踊ってミせる」だとどっちですかね(笑)。
■ほぼ補助動詞(後項動詞)は微妙なものが多い
「後項動詞」という言葉は初めて見た。要は、「笑い合う」の「合う」の部分のこと。これは補助動詞とは言わないらしい。「準補助動詞」とか呼ぶと文法用語に見えると言われそうなんで、「ほぼ補助動詞」とでも呼ぼうか。
どういう事情か知らないが、こちらは漢字で書くのが一般的らしい。
手元の『記者ハンドブック』(第12版)を見ると、「ください」「みる」の項に「補助動詞はひらがな」と明記されているが、「ほぼ補助動詞」のことは何も書いていない。
ほかを探すとP.116~にひらがなで書く言葉が並んでいて「助動詞・補助用言」〔動詞・形容詞の本来の意味、用法が薄れて上にくる文節の補助の働きをするもの〕がある(あれ、説明中の「上にくる」はひらがななんだ)。これがいろいろなものをごっちゃにしている。
ごとき たい べきだ ようだ・ようです(様) そうだ・そうです(相) …という(言) …である(有) …でない(無) …している・しておる(居) …そてあげる(上) …していく(行) …しておく(置) してくる・なってくる(来) …にすぎない(過) …になる(成) …かもしれない(知) …してみる・…とみられる・…とみる(見)
『朝日新聞の用語の手びき』(第1版)のP.4では「補助動詞」はひらがな書きにするとある。
================引用開始
〔例〕…である(…でない) …していく …している …しておく …してみる …になってくる
〈注〉「手に取ってみる」「友達が遊びに来る」など、本来の意味に使う場合は、漢字書きでよい
================引用終了
これを見ても、接続助詞「て」を使わない「遊びに来る」も補助動詞と考えている。
■ほぼ補助動詞(後項動詞)を漢字書きしにくい例
仕事の文章は、↑の原則に従う。ただ、個人的な文章だと、ほぼ補助動詞もできるだけひらがなにしている。
まず気になるのは、ひらがなを挟まずに漢字が連続する場合。
「見続ける」「見終わる」「見始める」「見出す」(なんて読むんだ?)……etc.
もっと美しくないのは下記。
「し続ける」「し終わる」「し始める」「し出す」……etc.
■ほぼ補助動詞(後項動詞)の表記が微妙な例
「笑い合う」の「合う」はどう表記するべきか。Wikipediaはなぜかひらがなにしている。フツーは漢字だろう。「話しあう」なんて見たことないぞ。
朝日新聞は「遊びに来る」は漢字にしている。ということは「遊びに行く」なのかな。ひらがな書きが多い気がする。これが「買いにいく」になるとさらに微妙になる。「買い物に行く」で「買いにいく」では統一感がない。あまり悩むのはやめよう。
「動き出す」……これも相当イヤ。まず、こういう場合の「~出す」をどう考えるか。「~始める」にするべき、って説も目にしたことがある。それも一理ある。「~出す」を漢字にするのはヘンだと思うが、けっこう漢字になっている。なぜなんだろう。「言い出す」(現実には「話し出す」だろうな)は異様。「彼女の言い出しは唐突だった」ならアリ。
最難関とも言えるのが「言いかえ」とか「書きかえ」。一般には「換え」を使うみたい。当方はこういうのを悩むのがイヤなので、メンドーなのはだいたいひらがなで書くことにしている(笑)。
「入れかえ」は「替え」だろうな。これもひらがなで書くことにする「着替え」はさすがに漢字だな(笑)。
■『公用文における漢字使用等について』の方針
↑で引用した『公用文における漢字使用等について』がひらがな書きを推奨しているものを再度転記しておく。
これも相当訳がわからない。(本来の意味を失った)形容詞やら、(本来の意味を失った)動詞やら、補助動詞やら、形式名詞やらのゴッタ煮状態(笑)。「について」なんて漢字で書くとどうなるの? 「就いて」なんて見たことないぞ。
ある(その点に問題がある。)
いる(ここに関係者がいる。)
こと(許可しないことがある。)
できる(だれでも利用ができる。)
とおり(次のとおりである。)
とき(事故のときは連絡する。)
ところ(現在のところ差し支えない。)
とも(説明するとともに意見を聞く。)
ない(欠点がない。)
なる(合計すると1万円になる。)
ほか(そのほか...,特別の場合を除くほか...)
もの(正しいものと認める。)
ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
わけ(賛成するわけにはいかない。)
・・・かもしれない(間違いかもしれない。)
・・・てあげる(図書を貸してあげる。)
・・・ていく(負担が増えていく。)
・・・ていただく(報告していただく。)
・・・ておく(通知しておく。)
・・・てください(問題点を話してください。)
・・・てくる(寒くなってくる。)
・・・てしまう(書いてしまう。)
・・・てみる(見てみる。)
・・・てよい(連絡してよい。)
・・・にすぎない(調査だけにすぎない。)
・・・について(これについて考慮する。)
表記の問題なので、例によって漢字にしても平仮名で書いても間違いではない。
●表記に関する話
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=50340503
================引用開始
表記(漢字の使い分けなど)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。
1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合
たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。
一方、「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。
================引用終了
以前、テレビ番組で「こう使い分けるのが正しい」と紹介していた記憶があるが、多くの場合「一般的な使い分け」はあっても「正しい使い分け」などは存在しない。
一般的には本動詞?は漢字で書き、補助動詞は平仮名で書くことが多い(例外は多いけど)。少なくとも公用文に関しては補助動詞の「~ください」はひらがな書きにするルールがあるようだ。
『公用文における漢字使用等について』(平成22年11月30日/内閣訓令第1号)の「別表」に次のようにある。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/pdf/kunreibesshi_h221130.pdf
================引用開始(抜粋)
1 漢字使用について
(略)
(2) 「常用漢字表」の本表に掲げる音訓によって語を書き表すに当たっては,次の事項に留意する。
(略)
キ 次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
(略)
・・・てください(問題点を話してください。)
================引用終了
下記のサイトを信用するなら、文部省&文部科学省の基準も同様らしい(そりゃそうだろう)。
http://plaza.rakuten.co.jp/econavi/diary/200811270000/comment/write/
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1184403156
↑の2つ目のコメントに出てきた例文が気になる。この件に関してネット検索すると、特徴的な例文が2パターン出てくる。キーワードで検索するとウジャラウジャラすごいことになる。引用サイトは一例。
●パターンA
9月11日までに報告してください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10100157540
●パターンB
一つわたしにクダサイな(文部省唱歌)&あけてクダサイ。(北原白秋「お月夜」)
http://blogs.yahoo.co.jp/shouinjuku/50960402.html
※パターンAも使われてる?
これって単なる偶然? こういうのは少し調べると、【ネタ元】がわかる。これに関してはちょっと苦戦した。苦戦の原因は、無断転載しているホニャララが多すぎることと思われる。
しかるべき資料から抜粋したのに、出典を明かさないのはどういう了見なんだろう。想像するに、ホニャララサイトをさらに無断でホニャララするから、大元がわからなくなるんだろうな。こういうのはなんて言うのだろう。「またホニャララ」? 「まごホニャララ」?
素人さんのしでかすことなんだから多少のホニャララも大目に見るべきなんだろうが、これはあまりにもヒドい。もう少し節度をもってくれないかな。
「9月11日までに報告してください」の大元は北海道庁のサイトらしい。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/bsh/words/yougo.htm
================引用開始
「下さい」と「ください」の使い分け
「ください」には、大きく分けて二つの意味があります。一つは、「(物)を与え
る」という意味の本動詞として尊敬・丁寧を表現する場合で「下さい」と書きます。
もう一つは、動作を表す名詞や動詞の次に付ける補助動詞で、他の人に動作
を依頼するときや動作をする人に対する敬意を表現する場合で、「(~して)くだ
さい」と書きます。
例 不用になった古新聞を下さい。 資料を下さい。
9月11日までに報告してください。 問題点を話してください。
多数の方が御出席くださいますよう御案内申し上げます。
================引用開始
「桃太郎さん」&北原白秋の大元は『言葉に関する問答集・総集編』らしい。
http://seisaku.dip.jp:8080/BLOG/archives/2010_4.html
================引用開始
2010年4月26日
「ください」と「下さい」
本市における公用文の表記の中で、最も多い間違いの一つに「~(して)下さい」があります。正しくは、「~(して)ください」と表記します。
「助詞及び助動詞並びにそれらと類似した語句は、原則として平仮名で表記する」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)とされています。「下さい」と表記すると、動詞「くれる・くれ」の尊敬・丁寧表現になります。
良い例が「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)に掲載されていますので、引用します。
「⑴ 桃太郎さん桃太郎さん
お腰につけた黍団子
一つわたしにクダサイな(文部省唱歌)
⑵ トン、トン、トン
あけてクダサイ。
わたしです。(北原白秋「お月夜」)」
⑴が「下さい」で、⑵が「ください」です。
投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:21 | 文書事務 |
================引用終了
下記のBAをたどると有力そうなサイトがある(おなじみのホニャララ回答もある)。内容は同じようなものだけど。↑のようなホニャララ例文は出てこない。アタリマエだ。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10101057325
【「下さい」と「ください」 どう違う?】(ことばの宝船―NHKアナウンサールーム)
http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/55134.html
【自治体広報広聴活動調査広報研究ノート】
http://www.koho.or.jp/useful/qa/hyouki/hyouki06.html
ちなみに、↑の『公用文における漢字使用等について』によると、下記あたりもひらがな書きが原則らしい。問題になるのは「~続ける」などの補助動詞や「等」なんだけど、そこには基準がないのね(泣)。
================引用開始
ある(その点に問題がある。)
いる(ここに関係者がいる。)
こと(許可しないことがある。)
できる(だれでも利用ができる。)
とおり(次のとおりである。)
とき(事故のときは連絡する。)
ところ(現在のところ差し支えない。)
とも(説明するとともに意見を聞く。)
ない(欠点がない。)
なる(合計すると1万円になる。)
ほか(そのほか...,特別の場合を除くほか...)
もの(正しいものと認める。)
ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
わけ(賛成するわけにはいかない。)
・・・かもしれない(間違いかもしれない。)
・・・てあげる(図書を貸してあげる。)
・・・ていく(負担が増えていく。)
・・・ていただく(報告していただく。)
・・・ておく(通知しておく。)
・・・てください(問題点を話してください。)
・・・てくる(寒くなってくる。)
・・・てしまう(書いてしまう。)
・・・てみる(見てみる。)
・・・てよい(連絡してよい。)
・・・にすぎない(調査だけにすぎない。)
・・・について(これについて考慮する。)
================引用終了
表記の話13──補助動詞&ほぼ補助動詞(後項動詞)の表記
まず「補助動詞」とは何か、という話から。
これは珍しく?Wikipediaがよさそう。
■Wikipediaから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%8B%95%E8%A9%9E
================引用開始
形式上の補助動詞
普通は、別の動詞(または助動詞などが後続したもの)の連用形に、接続助詞「て」を介して後続する動詞を、補助動詞と称する。これは言語学上の助動詞に当たる(学校文法での助動詞とは違う)。
「知っている」「掛けてある」「笑ってしまう」「見ていく」「変わってくる」「代わってくださる」「行ってもらう」などの太字の部分。 例えば、「行く」は、「途中で彼女と落ち合って行きます」という場合には「どこかへ移動する」という意味で使われる。しかし「これから見て行くように…」という場合には空間的に移動する意味はなく、時間的変化または近未来の行為を示している。後者の「行く」が補助動詞であるが、これはひらがなで「いく」と表記することが多い。この表記によって例えば「箱を開けて見る」(中を見る)と「箱を開けてみる」(試しに開ける)のような異なる意味を区別することもできる。
例
状態や動作の態様を表し、時間的意義などを含む(言語学的には相に当たる)「いる」「ある」「いく」「くる」「しまう」「おく」
受益表現の「くれる」「やる」「あげる」「もらう」
その他:「みる」「みせる」
このほか希望を表す「ほしい」などの補助形容詞も同様の性格を持つ。
「ている」「ておく」「ていく」「てしまう」「でしまう」などは、話し言葉では「てる」「とく」「てく」「ちまう、ちゃう」「じまう、じゃう」と短縮されて助動詞的に用いられる(文法化)。
機能上の補助動詞
機能的には、動詞の連用形や、形容詞・形容動詞の語幹などに直接後続する「笑いあう」「動き出す」「明るすぎる」なども補助動詞に近い。これらは一般には全体で複合動詞として扱っている(後続する部分は後項動詞という)。しかし、「押し付ける」「引き離す」「たたき起こす」など一般の複合動詞の場合と比較すると、本来の意味を必ずしも保っていない、前の動詞などとの組合せはあまり限定されない、「掃除させ始める」のように助動詞が介入する場合も多い(従って助動詞だけを独立の品詞とするのは整合性がない)、など大きな違いがあり、上記の補助動詞との共通点が多いため、広義で補助動詞ということもある。
「保障しかねる」のように本来とかけ離れた意味を表すものもあり、これなどは助動詞に近い。また「動き出す」のように本来の用法と異なる(「出す」は他動詞、「動き出す」となると自動詞)場合も多い。
例
相を表す「始める」「出す」「続ける」「終わる」「過ぎる」
相互の行為を表す(態)「あう」
位置変化・存在を表す「出す」「込む」
敬語の「なさる」
可能性・容易性を表す「う(得)る」「かねる」
また複合形容詞・形容動詞を形成する「やすい」「にくい」「がちだ」なども同様の性格を持つ。
================引用終了
■補助動詞はひらがなで書く
ある程度活字に親しんでいる人なら、ひらがなのほうが自然に感じるだろう。こういうのを感じで書きたがるのは、本は読まないで我流で文章を書いている人が多い。悪いことは言わないからよしなさい。
【表記の話12】で見た公文書のルールにしても、新聞社の用字用語にしても、原則的にひらがなにしているはず。
微妙な例をあげておく。
・「~して下さい」と「~してください」
これを漢字にしたがる人は多い。別に漢字で書いてもさほど異和感はないけど、世間の風潮に逆らうならそれなりの覚悟をもちましょう。
・「箱を開けて見る」(中を見る)と「箱を開けてみる」(試しに開ける)の違い
Wikipediaにあった例。これはそのとおりだけど、「基本ステップのお手本を踊ってミせる」だとどっちですかね(笑)。
■ほぼ補助動詞(後項動詞)は微妙なものが多い
「後項動詞」という言葉は初めて見た。要は、「笑い合う」の「合う」の部分のこと。これは補助動詞とは言わないらしい。「準補助動詞」とか呼ぶと文法用語に見えると言われそうなんで、「ほぼ補助動詞」とでも呼ぼうか。
どういう事情か知らないが、こちらは漢字で書くのが一般的らしい。
手元の『記者ハンドブック』(第12版)を見ると、「ください」「みる」の項に「補助動詞はひらがな」と明記されているが、「ほぼ補助動詞」のことは何も書いていない。
ほかを探すとP.116~にひらがなで書く言葉が並んでいて「助動詞・補助用言」〔動詞・形容詞の本来の意味、用法が薄れて上にくる文節の補助の働きをするもの〕がある(あれ、説明中の「上にくる」はひらがななんだ)。これがいろいろなものをごっちゃにしている。
ごとき たい べきだ ようだ・ようです(様) そうだ・そうです(相) …という(言) …である(有) …でない(無) …している・しておる(居) …そてあげる(上) …していく(行) …しておく(置) してくる・なってくる(来) …にすぎない(過) …になる(成) …かもしれない(知) …してみる・…とみられる・…とみる(見)
『朝日新聞の用語の手びき』(第1版)のP.4では「補助動詞」はひらがな書きにするとある。
================引用開始
〔例〕…である(…でない) …していく …している …しておく …してみる …になってくる
〈注〉「手に取ってみる」「友達が遊びに来る」など、本来の意味に使う場合は、漢字書きでよい
================引用終了
これを見ても、接続助詞「て」を使わない「遊びに来る」も補助動詞と考えている。
■ほぼ補助動詞(後項動詞)を漢字書きしにくい例
仕事の文章は、↑の原則に従う。ただ、個人的な文章だと、ほぼ補助動詞もできるだけひらがなにしている。
まず気になるのは、ひらがなを挟まずに漢字が連続する場合。
「見続ける」「見終わる」「見始める」「見出す」(なんて読むんだ?)……etc.
もっと美しくないのは下記。
「し続ける」「し終わる」「し始める」「し出す」……etc.
■ほぼ補助動詞(後項動詞)の表記が微妙な例
「笑い合う」の「合う」はどう表記するべきか。Wikipediaはなぜかひらがなにしている。フツーは漢字だろう。「話しあう」なんて見たことないぞ。
朝日新聞は「遊びに来る」は漢字にしている。ということは「遊びに行く」なのかな。ひらがな書きが多い気がする。これが「買いにいく」になるとさらに微妙になる。「買い物に行く」で「買いにいく」では統一感がない。あまり悩むのはやめよう。
「動き出す」……これも相当イヤ。まず、こういう場合の「~出す」をどう考えるか。「~始める」にするべき、って説も目にしたことがある。それも一理ある。「~出す」を漢字にするのはヘンだと思うが、けっこう漢字になっている。なぜなんだろう。「言い出す」(現実には「話し出す」だろうな)は異様。「彼女の言い出しは唐突だった」ならアリ。
最難関とも言えるのが「言いかえ」とか「書きかえ」。一般には「換え」を使うみたい。当方はこういうのを悩むのがイヤなので、メンドーなのはだいたいひらがなで書くことにしている(笑)。
「入れかえ」は「替え」だろうな。これもひらがなで書くことにする「着替え」はさすがに漢字だな(笑)。
■『公用文における漢字使用等について』の方針
↑で引用した『公用文における漢字使用等について』がひらがな書きを推奨しているものを再度転記しておく。
これも相当訳がわからない。(本来の意味を失った)形容詞やら、(本来の意味を失った)動詞やら、補助動詞やら、形式名詞やらのゴッタ煮状態(笑)。「について」なんて漢字で書くとどうなるの? 「就いて」なんて見たことないぞ。
ある(その点に問題がある。)
いる(ここに関係者がいる。)
こと(許可しないことがある。)
できる(だれでも利用ができる。)
とおり(次のとおりである。)
とき(事故のときは連絡する。)
ところ(現在のところ差し支えない。)
とも(説明するとともに意見を聞く。)
ない(欠点がない。)
なる(合計すると1万円になる。)
ほか(そのほか...,特別の場合を除くほか...)
もの(正しいものと認める。)
ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
わけ(賛成するわけにはいかない。)
・・・かもしれない(間違いかもしれない。)
・・・てあげる(図書を貸してあげる。)
・・・ていく(負担が増えていく。)
・・・ていただく(報告していただく。)
・・・ておく(通知しておく。)
・・・てください(問題点を話してください。)
・・・てくる(寒くなってくる。)
・・・てしまう(書いてしまう。)
・・・てみる(見てみる。)
・・・てよい(連絡してよい。)
・・・にすぎない(調査だけにすぎない。)
・・・について(これについて考慮する。)
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