8)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび4 】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年03月23日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1832165379&owner_id=5019671

【句読点に関する記述】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3138.html


mixi日記2013年02月08日から
 もういい加減にしよう、とは思いつつ、気になるサイトを見つけるとついチェックしてしまう律儀な性格……。

 まず、下記。
【1】句点「。」と読点「、」の決まりを知る
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110527/360777/

 入門編としては悪くないが、いささか乱暴。困ったことに、こういう断片的な断定調のほうが説得力が感じられる。内容がどんなにムチャでもね。
 句点の打ち方のルールはこんなものだと思う。新聞もこういう流儀にしている。↑の1)【板外編2──句読点の打ち方(読点と使い方の2つの原則と6つの目安)】参照。

 ただし、下記のBAのような説も流布している。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13101493003
 現在の出版界の慣例では、圧倒的に【1】が主流だろう。
「○○は××だと思う。(△△かもしれないが。)」の形は想定すらしていない観がある。この形なら( )を使う必要を感じない。
 結論としては、統一されていればどちらでも「間違い」ではない。

 さて、読点の「ルール」は5つ書かれている。
================引用開始
ルール1 主語の後に打つ。

例:当社は、今期社員増の予定です。
例:私は、彼に感謝した。

ルール2 文と文を分けるところに打つ。

例:佐藤部長は今月分の売り上げ見込み数字を伝え、木下課長は今月の受注数字を伝えた。

ルール3 並列関係にある語句の後に打つ(ただし、最後の語句の後はなし)。

例:その本は北京、上海、台湾で翻訳されている。

ルール4 修飾語がどこにかかるか、わかるところに打つ。

例:1万円の時計のベルトを選んだ。
       ↓
1万円の時計の、ベルトを選んだ。←「1万円の時計」が「ベルト」を修飾
1万円の、時計のベルトを選んだ。←「1万円の」が「ベルト」を修飾

ルール5 接続詞の後に打つ。

例:K社での商談は盛り上がった。しかし、いまだに受注はできていない。
================引用終了

 例によって、本多読本風に検討してみる。↑の2)【第2章 4 句読点の打ち方】参照。

ルール1 主語の後に打つ。
 これは『説得できる文章・表現200の鉄則』の「2)-2 主語の後(ただし、短い文には打たなくてもよい)」に相当する。
 注目してほしいのは「(ただし、短い文には打たなくてもよい)」の注。これがないと単なるデマになりかねない。
→〈不必要だが、これも主観によって「思想のテン」をうちたい筆者であれば「自由のテン」としてどうぞ〉。

ルール2 文と文を分けるところに打つ。
「文と文を分けるところ」って何?
 おそらく「2)-6 複文や重文の結合部」のことなのだろう。
→この【例】は重文の典型なので、〈長い修飾語〉の原則に〈吸収される〉。

ルール3 並列関係にある語句の後に打つ(ただし、最後の語句の後はなし)。
「2)-1 列挙する語句の間」に相当。
→本多読本は〈ナカテンの方がよい〉と主張しているが、「メール・サーバー」みたいに列記する単語のほうにナカテンが入るときはどうするんだろう。やはり「列記のテン」を使うほうが無難なのでは。ちなみに、列記する単語がズラズラ並ぶときは、必然的に主語と述語が離れてしまう。それを防ぐために、箇条書きにするテもある。

ルール4 修飾語がどこにかかるか、わかるところに打つ。
 この【例】は悪文の一種なので、書きかえることをオススメする。一般には「きれいな赤い服を着た少女」のような例文を使っている。
「1)-1 修飾語と被修飾語の関係をはっきりさせる」だろう。
→「きれいな」が「少女」にかかるのなら、テンを打つより「赤い服を着たきれいな少女」にするほうが自然。あえて「きれいな」を前にしたいのなら、〈逆順〉の典型。

ルール5 接続詞の後に打つ。
「2)-3 文頭の接続詞や副詞の後(ただし、短い文には打たなくてもよい)」と同様。
 注目してほしいのは「(ただし、短い文には打たなくてもよい)」の注。これがないと単なるデマになりかねない。
→なくてもいいので「ルール」ではない。ただし、〈逆順〉の場合は必要。

 いつものことだけど、ルール1~ルール5は、個々に見ていくと間違ってはいない。しかし矛盾が生じることが多々ある。たとえば、「ルール5」の例文を見る。
  しかし、いまだに受注はできていない。
「受注は」のあとに読点がないと、「ルール1」に反するんですけど。
「ルール2」の例文も「ルール3」の例文も「ルール1」に反するんですけど。


【2】日本語の読点について
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/5134/1/kyouyoronshu_331_1.pdf

 とんでもない重量級を見つけてしまった。 
 論文だよね。あんまり悪口は書きたくないけど……。
 疑問点をあげていく。

●高信太郎のエッセイの特殊性
 P.3で、読点の少ない例として高信太郎のエッセイをあげている。この手法は初めて見たかも。長くてもわかりにくくない例として吉田健一の文章をあげるのと同様だろう。最初に結論を書いておく。そういう特殊な文体をあげてもあまり意味はない。「作文」の教室でこんな文章を書いたら叱られる。
 読点が異常に少なくて済んでいる理由として下記をあげている。
1)漢字と仮名が混在して語句の切れ目に暖昧さがほとんどない
2)四か所のカギ括弧の使用
3)文の長さ
4)文型の単純さ
 こういう点に注意すれば「読点がなくても決して読みにくい文章とはならないということがわかる」そうだ。
 ということは読点など必要ない……そんなわけないでしょ。
 たいていの日本語の文章は1)だと思うけど、やはり読点は必要だろう。2)~4)はそのとおりだけど、そういうことをすると別の問題が出てくるんですけど。そこは無視ですか?

●案の不備&具体性の欠如
 読点の打ち方のついてこれまで出ている案をあげている。
  1)文部省教科書局調査課 国語調査室(1946)
  2)広田栄太郎(1959)
  3)樺 島 忠夫(1979)
  4)日本語教育学会(1982)

 1)は、本多読本にボロボロに書かれている。読点に関しては「化石」なのでは。
 2)~4)は、真っ先に「主語(主題)の後」をあげている段階で、疑ってかかる必要がある。
 このあとに、本多読本についてもふれている。
================引用開始
 ところで,このような煩雑な規則に対して,本多勝一(1982)は原則を二つに統合し,それ以外は「思想の最小単位を示す自由なテン」とした。その「二大原則」とは,

  第一原則 長い修飾語が二つ以上あるとき,その境界にテンをうつ。
       (重文の境界も同じ原則による。)
  第二原則 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。

 というものであり,「思想の最小単位を示す自由なテン」とは,文部省案の2,3,4,6,7が該当する。本多案は,構文上必要とすぺきテンとそれ以外の(単なる分かち書き的な役割の)テンとを区別しない,これまでの煩雑な規則に対する強い批判の上にできたものであり,その意味で十分に評価されるべきものであると思う。けれども,たとえば,第二原則における原則的語順をどう考えるかはむずかしいところである(5)。また,日本語教育への応用を考えた場合には,具体性に欠ける点が問題となるであろう。
================引用終了

「煩雑な規則」は×だけど、たった2つにしたのも×ですか。
「原則的語順をどう考えるかはむずかしい」……そのとおりだと思う。でも、本多読本はそれを解説するためにクドいほどいろいろ書いてあったけど、それでもダメかな。当方も完全に理解したとは言えないのは、理解力不足とハンカチを噛み締めている。
「日本語教育への応用を考えた場合には,具体性に欠ける点が問題」……だから本多読本はそれを解説するためにクドいほどいろいろ書いてあるんですけど。もう少し具体的に書いてくれないと、ホントに「具体性に欠ける」か否か判断できませんが。
 本多読本の理論に欠点がないとは言わないが、それはまったく別の話だと思う。具体性を示すために、長めの引用をする。

2)【第2章 4 句読点の打ち方】※これは最後に回すのがオススメ
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
================引用開始
 文部省案13項目42の例を1つずつ〈検証〉したあと、本多読本は次のように書く。

【引用部】
 以上の検証によって、二大原則さえあれば文部省案の一三項もの基準は不要であることが理解された。すなわち構文上必要なテンはわずか二つの原則によって律することができる。むろんこれは狭義の文法的な「規範」や「規則」ではない。あくまで「わかりやすい(論理的な)文章」のための構文上の原則である。(p.112)

 論理的に間違っていないが、小さな欠点がある(「重大な欠点」かもしれない)。論理的に必要のないテンを使わないと、テンの数はどんどん減っていく。語順などを工夫すれば、さらに減る。それでも論理的に正しいからわかりにくくはならないが、読みにくくなる。そのことは、この引用部を見ればわかる。4つの文の中に、テンが1つしかない。1つだけあるテンは〈逆順〉に従ったもので、次のように書きかえれば、このテンさえ必要なくなる。

【テンを削除した例】
 二大原則さえあれば文部省案の一三項もの基準は不要であることが以上の検証によって理解された。

 こうなると相当読みにくい。「思想のテン」は個人的な趣味の問題になるのを承知で書くと、このぐらいの長さの一文にはテンがあったほうが読みやすい。元の文章に戻り、少し「思想のテン」を加えてみよう。それだけで、多少読みやすくなる。

【「思想のテン」を加えた例】
 以上の検証によって、二大原則さえあれば文部省案の一三項もの基準は不要であることが理解された。すなわち構文上必要なテンは、わずか二つの原則によって律することができる。むろん、これは狭義の文法的な「規範」や「規則」ではない。あくまで「わかりやすい(論理的な)文章」のための構文上の原則である。

 なんのことはない。「主語のあとに打つ」「文頭の接続詞や副詞のあとに打つ」って話に戻っている。
 だからといって、2つの原則が無意味ってことではない。最優先されるのは2つの原則で、それだけでは不足なら〈思想のテン〉を打つってことだ。その場合には、一般的なテンの打ち方に従えばいい。ふだんはあまり意識しなくてもいいが、微妙な判断をするためには非常に有効だ。
================引用終了

●これが結論?
 P.15~に「まとめ」がある。
================引用開始
 これまでの議論を踏まえて,試案として次のように読点の規則を整理してみる。
○構文上のテンとして
 1文頭の接続語のあとに打つ。
 2文の中止を示すために打つ。
 3限定・条件を示すために打つ。
※以上のテンは,文が短かったり単純だったりして意味が明らかな場合は打たなくてもいい。
○語句の並列を示すテンとして
 4並列する語句を示すために打つ。
※中テン,括弧など,他の符号を用いる方法もある。
○読み誤りを防ぐテンとして
 5語句の意味的まとまりを示し,語句と語句の関係を分かりやすくするために打つ。
※5は一続きの語句の区切りを示すためのもので,引用文,文の倒置,挿入などを他の部分と区別する。1,2,3,4は,適切な例を示せば,ほぼ誰にでも打つことができるテンであり,5はある程度訓練を積んで習得させる必要があるテンの用法である。

 テンの打ち方についての問題を考え,その規則の整理を試みたが,テンの位置については,依然として確たる規則を持つには至っていない。しかしながら,論述文作成において,文章のリズム,作者の息づかいを示すものとしてのテンはその重要性が減じ,論理的構成のためのテンが重要性を増しつつあることは否定し得ない事実であり,句読法も文構造をより分明にするために少しずつ改良が成されて行くであろう。
 本稿では,とくに日本語教育の観点を念頭に読点の原則を整理してみたが,規則の普遍性が重視される言語教育上の問題として読点を考えることは,テンの規範を作り上げていく上で役に立つと考える。
================引用終了

 ウーン。なんかずいぶん平凡な結論になったような。このテの心得の是非に関してはさんざん書いてきたのでスルーしておく。
 つまり、「1」~「3」は原則として打つが、「意味が明らかな場合」はなくてもいい、と。「2」は打つべきだし、「1」も打つほうがいいと思う。「3」はケースバイケース。
「5」を論理立てて解説したのが本多読本だと思うのだが、本多読本を否定して始めた論が、最後に本多読本によりかかるのはどうなんだろう。
 さらに言うと、「5」の解説中に大胆な意見がある。アンマリだと思う。
「こうした暖昧さは,もし次のような分け書き(いわゆる「分かち書き」ではない)が許されるなら,解決されることも指摘しておきたい。」
「これらも分け書きを行えば問題が解決するものであり,わざわざ読点を用いるほどのこともないものであるが,そ うした表記上の工夫が進まない間は,具体的な例を出してテソの打ち方を工夫させるといった教育上の訓練が必須である。」
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