突然ですが問題です【日本語編103】──「1か月」「1カ月」「1ヵ月」「1箇月」「1個月」「1ヶ月」「1ケ月」
【問題】
下記の1)~7)がどう違うか説明しなさい。
1)1か月
2)1カ月
3)1ヵ月
4)1箇月
5)1個月
6)1ヶ月
7)1ケ月
【解答?例】
単に表記の違い。意味にはまったく違いがない。
個々の違いを説明するととっても長くなります。
【よくわからない解説】
詳しくは下記をご参照ください。
【表記の話11──「1か月」「1カ月」「1ヵ月」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2324.html
以下は一部の抜粋(重言)。
まず辞書の記述を確認する。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=個&stype=0&dtype=0
================================引用開始
か【箇/▽個/×个】
[接尾]助数詞。数を表す漢語に付いてものを数えるのに用いる。「三―月」「五―条」「数―所」
◆「箇」の略体「个」を「ケ」と略したところから、「三ヶ月」のようにも書く。この「ケ」は、「介」から出たかたかなの「ケ」と同形になっているが、起源は異なる。
================================引用終了
これでは何がなんだかわからない。不思議なことではなく、表記の問題に関しては辞書は役に立たないことが多いから、多くを望むほうが間違っている。
この問題はYahoo!知恵袋にも頻繁に出てくる。
毎度毎度先行質問を調べないホニャララと、中途半端なヘニャララのやり取りになっているが、なかには秀逸な回答もある。BAを転載する。
【「1ヶ月」と「1ヵ月」の違いについて、教えてください。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1410606874
================================引用開始
2種類どころか、
「一ヶ月」、「一ケ月」、「1ヵ月」、「一カ月」、「一箇月」、「一個月」、「一か月」
と7種類もあります。
どれが正しいか、というご質問ですが、どれも正しいです。
もともとは「箇」が使われていたようですが(別の説もあります)、「箇」の略字として「ケ」が使われるようになり(そうではなくて「个」という字から取ったとする説もあります)ました。
また、「箇」の音を仮名表示しただけの「カ」「か」も使われるようになりました。
それとは別に、第二次大戦後、国語審議会が「箇」という漢字を当用漢字から外すべきだと言い出して、新聞で「箇」を使わないようにしようというルールができました。そこで、新聞では「箇」の代わりに「個」が使われるようになりました(新聞では今でも「箇所」は「個所」と表記されます)。
このように、いろんな事情でいろんな表記法が生まれましたが、どれが間違っていてどれが正しいという決まりはありませんので、好きな表記法で書かれたらいいと思いますよ。
ちなみに現在は、公文書は「一箇月」、新聞は「一カ月」(大文字のカタカナのカ)と表記しています。(厳密に言えば、新聞は会社によって使い方がマチマチですが、『新聞用字用語集』には「大文字のカタカナで表記する」と書かれています。)
================================引用終了
ただし、下記を見るだけでも諸説ある。根拠はわかりません。
「箇」は常用漢字ではない
「一ヵ所」は好ましくない
「一ケ所」は完全に誤り
公用文は「一か所」
公用文では前の字が漢数字のときは漢字、算用数字のときは平仮名
……etc.……etc.
【数える単位で漢字では1個なのにカナでは1ケ なの?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1071592585
【一か所と、一ヶ所は、一箇所はどれが正しい表現ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1476446244
【ゴミ箱4】【病院を数える助数詞】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2726.html
個々の違いをもう少し詳しく見ていく。
厳密にはこのほかに、「カ」「ケ」のようにいわゆる半角カタカナを使う方法もあるのだろう。「ヵ」や「ヶ」の半角もあるのかもしれない。そんなものまで関知する気はない。
1)1か月
イチバン標準的と言うか、イチバン素直な書き方だろう。適切な漢字がないからひらがなで書く……きわめて当たり前の考え方。マスコミでもこの書き方をしているところが多い気がする。
ただ、この書き方を嫌う人もいる(いろいろな表記があるのもそのせいだろう)。「か」が「or」に見えるという説も聞いたことがあるが、そんな可能性があるのだろうか(あったら教えてね)。「数か所」だと「カズかトコロ」に見えるかもしれない。
2)1カ月
「か」がまぎらわしいということで出てきた?のかもしれないのが「カ」。これだって「力(ちから)」に見えるぞ(笑)。文中に埋もれがちな文字や、漢字がピンと来ないときにカタカナで書くのはありがちなテ。新聞社は「カ」を採用していることが多い。
3)1ヵ月
「カ」が「力(ちから)」に見えてまぎらわしいということで出てきた?のかもしれないのが「ヵ」。実際のところ、どこから出てきたのかよくわからない。個人的には嫌いではない。昔仕事をした出版社がこれを使っていたので、慣らされた(毒された?)のかもしれない。
4)1箇月
本来のルールで考えるなら、これが素直。常用漢字なんだから使って悪い理由はない。新聞社は「箇」のかわり「個」を使うことにしながら、「1個所」と書かずに「1カ所」と書く。そのため「箇」の代用の「個」の出番は、「個条書き」「(問題の)個所」など限られる。それしか使い道がないなら素直に「箇」を使えばいいと思う。
「箇」は不幸な字で、新聞社に嫌われたせいか、「常用漢字ではない」と思い込んでいる人が多い。↑の【ゴミ箱4】にあるように、当方も数年前までそう思い込んでいた。こういう貴重なトピが削除されずに現存していれば、ホニャララな人は減ったかもしれない……。
5)1個月
新聞社のルールに従うなら、こう書くのもアリだろう。でもその新聞社は「カ」を使っているのだから、実際には滅多にお目にかからない。
6)1ヶ月
7)1ケ月
「ヶ/ケ」の起源に関しては諸説ある。↑のBAの書き方が参考になる。
私的な文章ではよく見るが、マトモな出版物では滅多に目にしない。元々は「職」を「耺」と書いたり、「門」を略して書いたりするのと同様で、手書き限定の略字の類いだと思う。だからマトモな出版物には出てこないのだろう。
ちなみに、「歳」を「才」と書くのは同列には扱えない。教育漢字の制限の関係で、「歳」を「才」で代用することや、「年齢」を「年令」で代用することが認められていることもある(はず)。
「ヶ」と「ケ」がどう違うのかはかなり微妙な問題になる。
「ヶ」は文字ではない、という説を聞いたことがある。たしかにカタカナの50音表にはないし、漢字でもない……。それを言うと「ヵ」の正体もあやしくなるのだが。カタカナでも漢字でもないから文字じゃないって……なんて無慈悲な。最近人気の「ゎ」は どうなる。あれは可愛いから許してあげて……やかましいわ。
「ヶ/ケ」は地名にもよく使われる。仕事を始めたばかりのことだから、もう10年以上前(一片のウソもない)の話。大先輩の校正者が、地名の「ヶ」をすべて「ケ」に統一していた。各自治体に問い合わせれば「ヶ」というところが多かった気がするが、とにかく容赦なく「ケ」。
根拠は郵便番号簿が「ケ」だから。オカミの方針に合わせる……それはそれで正しいと思う。オオカミの方針に合わせる……赤ずきんちゃんが食われる。その後、地図や旅行ガイドの世界では「ヶ」が圧倒的に主流(重言?)であることを知った。
最新の郵便番号簿はどうなっているのだろう(あるのか?)。日本郵政のサイトは、全部「ヶ」になっているようだ。さてどうしたらよいのだろう。
ついでに書いておくと、八百屋などの店頭で「6ヶ/ケ500円」とか書いてある「ヶ/ケ」は、「個」のことなんだろう。元々「ヶ/ケ」は「箇」だから、誤解がいくつか積み重なった結果って気がする。
さらについでに書いておくと「数か所」は別として、どんなときに助数詞の「か」を使うのか、という問題がある。
「~か日」「~か月」「~か年」「~か条」……ほかに何があって、どんな法則性があるのだろう。
『言葉に関する問答集 総集編』という書籍に詳しい話がのっているそうです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1194937816
突然ですが問題です【日本語編】のバックナンバー
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2570.html
下記の1)~7)がどう違うか説明しなさい。
1)1か月
2)1カ月
3)1ヵ月
4)1箇月
5)1個月
6)1ヶ月
7)1ケ月
【解答?例】
単に表記の違い。意味にはまったく違いがない。
個々の違いを説明するととっても長くなります。
【よくわからない解説】
詳しくは下記をご参照ください。
【表記の話11──「1か月」「1カ月」「1ヵ月」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2324.html
以下は一部の抜粋(重言)。
まず辞書の記述を確認する。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=個&stype=0&dtype=0
================================引用開始
か【箇/▽個/×个】
[接尾]助数詞。数を表す漢語に付いてものを数えるのに用いる。「三―月」「五―条」「数―所」
◆「箇」の略体「个」を「ケ」と略したところから、「三ヶ月」のようにも書く。この「ケ」は、「介」から出たかたかなの「ケ」と同形になっているが、起源は異なる。
================================引用終了
これでは何がなんだかわからない。不思議なことではなく、表記の問題に関しては辞書は役に立たないことが多いから、多くを望むほうが間違っている。
この問題はYahoo!知恵袋にも頻繁に出てくる。
毎度毎度先行質問を調べないホニャララと、中途半端なヘニャララのやり取りになっているが、なかには秀逸な回答もある。BAを転載する。
【「1ヶ月」と「1ヵ月」の違いについて、教えてください。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1410606874
================================引用開始
2種類どころか、
「一ヶ月」、「一ケ月」、「1ヵ月」、「一カ月」、「一箇月」、「一個月」、「一か月」
と7種類もあります。
どれが正しいか、というご質問ですが、どれも正しいです。
もともとは「箇」が使われていたようですが(別の説もあります)、「箇」の略字として「ケ」が使われるようになり(そうではなくて「个」という字から取ったとする説もあります)ました。
また、「箇」の音を仮名表示しただけの「カ」「か」も使われるようになりました。
それとは別に、第二次大戦後、国語審議会が「箇」という漢字を当用漢字から外すべきだと言い出して、新聞で「箇」を使わないようにしようというルールができました。そこで、新聞では「箇」の代わりに「個」が使われるようになりました(新聞では今でも「箇所」は「個所」と表記されます)。
このように、いろんな事情でいろんな表記法が生まれましたが、どれが間違っていてどれが正しいという決まりはありませんので、好きな表記法で書かれたらいいと思いますよ。
ちなみに現在は、公文書は「一箇月」、新聞は「一カ月」(大文字のカタカナのカ)と表記しています。(厳密に言えば、新聞は会社によって使い方がマチマチですが、『新聞用字用語集』には「大文字のカタカナで表記する」と書かれています。)
================================引用終了
ただし、下記を見るだけでも諸説ある。根拠はわかりません。
「箇」は常用漢字ではない
「一ヵ所」は好ましくない
「一ケ所」は完全に誤り
公用文は「一か所」
公用文では前の字が漢数字のときは漢字、算用数字のときは平仮名
……etc.……etc.
【数える単位で漢字では1個なのにカナでは1ケ なの?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1071592585
【一か所と、一ヶ所は、一箇所はどれが正しい表現ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1476446244
【ゴミ箱4】【病院を数える助数詞】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2726.html
個々の違いをもう少し詳しく見ていく。
厳密にはこのほかに、「カ」「ケ」のようにいわゆる半角カタカナを使う方法もあるのだろう。「ヵ」や「ヶ」の半角もあるのかもしれない。そんなものまで関知する気はない。
1)1か月
イチバン標準的と言うか、イチバン素直な書き方だろう。適切な漢字がないからひらがなで書く……きわめて当たり前の考え方。マスコミでもこの書き方をしているところが多い気がする。
ただ、この書き方を嫌う人もいる(いろいろな表記があるのもそのせいだろう)。「か」が「or」に見えるという説も聞いたことがあるが、そんな可能性があるのだろうか(あったら教えてね)。「数か所」だと「カズかトコロ」に見えるかもしれない。
2)1カ月
「か」がまぎらわしいということで出てきた?のかもしれないのが「カ」。これだって「力(ちから)」に見えるぞ(笑)。文中に埋もれがちな文字や、漢字がピンと来ないときにカタカナで書くのはありがちなテ。新聞社は「カ」を採用していることが多い。
3)1ヵ月
「カ」が「力(ちから)」に見えてまぎらわしいということで出てきた?のかもしれないのが「ヵ」。実際のところ、どこから出てきたのかよくわからない。個人的には嫌いではない。昔仕事をした出版社がこれを使っていたので、慣らされた(毒された?)のかもしれない。
4)1箇月
本来のルールで考えるなら、これが素直。常用漢字なんだから使って悪い理由はない。新聞社は「箇」のかわり「個」を使うことにしながら、「1個所」と書かずに「1カ所」と書く。そのため「箇」の代用の「個」の出番は、「個条書き」「(問題の)個所」など限られる。それしか使い道がないなら素直に「箇」を使えばいいと思う。
「箇」は不幸な字で、新聞社に嫌われたせいか、「常用漢字ではない」と思い込んでいる人が多い。↑の【ゴミ箱4】にあるように、当方も数年前までそう思い込んでいた。こういう貴重なトピが削除されずに現存していれば、ホニャララな人は減ったかもしれない……。
5)1個月
新聞社のルールに従うなら、こう書くのもアリだろう。でもその新聞社は「カ」を使っているのだから、実際には滅多にお目にかからない。
6)1ヶ月
7)1ケ月
「ヶ/ケ」の起源に関しては諸説ある。↑のBAの書き方が参考になる。
私的な文章ではよく見るが、マトモな出版物では滅多に目にしない。元々は「職」を「耺」と書いたり、「門」を略して書いたりするのと同様で、手書き限定の略字の類いだと思う。だからマトモな出版物には出てこないのだろう。
ちなみに、「歳」を「才」と書くのは同列には扱えない。教育漢字の制限の関係で、「歳」を「才」で代用することや、「年齢」を「年令」で代用することが認められていることもある(はず)。
「ヶ」と「ケ」がどう違うのかはかなり微妙な問題になる。
「ヶ」は文字ではない、という説を聞いたことがある。たしかにカタカナの50音表にはないし、漢字でもない……。それを言うと「ヵ」の正体もあやしくなるのだが。カタカナでも漢字でもないから文字じゃないって……なんて無慈悲な。最近人気の「ゎ」は どうなる。あれは可愛いから許してあげて……やかましいわ。
「ヶ/ケ」は地名にもよく使われる。仕事を始めたばかりのことだから、もう10年以上前(一片のウソもない)の話。大先輩の校正者が、地名の「ヶ」をすべて「ケ」に統一していた。各自治体に問い合わせれば「ヶ」というところが多かった気がするが、とにかく容赦なく「ケ」。
根拠は郵便番号簿が「ケ」だから。オカミの方針に合わせる……それはそれで正しいと思う。オオカミの方針に合わせる……赤ずきんちゃんが食われる。その後、地図や旅行ガイドの世界では「ヶ」が圧倒的に主流(重言?)であることを知った。
最新の郵便番号簿はどうなっているのだろう(あるのか?)。日本郵政のサイトは、全部「ヶ」になっているようだ。さてどうしたらよいのだろう。
ついでに書いておくと、八百屋などの店頭で「6ヶ/ケ500円」とか書いてある「ヶ/ケ」は、「個」のことなんだろう。元々「ヶ/ケ」は「箇」だから、誤解がいくつか積み重なった結果って気がする。
さらについでに書いておくと「数か所」は別として、どんなときに助数詞の「か」を使うのか、という問題がある。
「~か日」「~か月」「~か年」「~か条」……ほかに何があって、どんな法則性があるのだろう。
『言葉に関する問答集 総集編』という書籍に詳しい話がのっているそうです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1194937816
突然ですが問題です【日本語編】のバックナンバー
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