突然ですが問題です【日本語編156】──敬語の難問3 申される 申された
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671
mixi日記2013年03月05日から
【問題】
下記の言い方の適否を、説明しなさい。
あなたが申されたように……
先生が申されたように……
【解答?例】
「間違い」とまでは言えないという考え方もあるようだが、避けたほうが無難。
通常、「言う」の尊敬語は「おっしゃる」。これを「おっしゃられる」とするのもよく見るが、二重敬語とされる。
【よくわからない解説】
この「申される」は「おられる」と並び、敬語界の双子の鬼っ子みたいな存在だと思う。まあ、それでも「申される」のほうがタチがいいかも。
これに関してはずいぶん前に書いている。
213)「申し込み」「申し出」は謙譲語?
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1494237368&owner_id=5019671
確認の意味をこめて、「申す」を辞書でひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)※一部抜粋(重言)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E7%94%B3%E3%81%99&dtype=0&dname=0na&stype=1&pagenum=1&index=18194300
================引用開始
もう・す〔まうす〕【申す】
[動サ五(四)]《「まおす」の音変化》
1 主として会話に用い、聞き手に対し、「言う」を改まって丁重に表現する丁寧語。
①「言う」対象が聞き手(または尊者)の場合には、対象を敬う気持ちも残るが、現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である。「昨日、先生に―・したとおりです」
②単に「言う」を改まり丁重にいう場合。この場合にも、謙譲の気持ちは残るので、敬うべき人の動作には用いない。現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる。「父がこのように―・しております」「私は鈴木と―・します」「一口に日本と―・しましても」
2 1のへりくだる気持ちが失せて、「言う」を改まり重々しくいう。「そうは―・しておらん」
3 動作の対象を敬う謙譲語。
①「言う」の謙譲語。申し上げる。古くは、改まって言上する場合に多く用いられた。
②神仏、朝廷などにお願い申し上げる。また、所望申し上げる。
③その人の名前・官位などを、人々が…と申し上げる。
④「する」「なす」の謙譲語。…してさしあげる。「御助勢を―・しましょう」
================引用終了
「1」①の「丁寧語」と解釈すれば、「申される」を×にする理由はないだろう。しかし②では〈現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる〉と明記されている。理由は「謙譲の気持ちは残る」かららしい。
どうにも煮え切らない。辞書がこんな態度でいいのだろうか。ちなみに『大辞林』の記述では「申される」を×にする根拠にはなりにくい。たぶん、謙譲語Iと謙譲語IIの違いに踏み込まないと説明できない。パス。
『敬語再入門』http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.htmlのP.156~157に〈「申される」──適否の断じにくい敬語①〉という項目がある。
================引用開始
「申す」は謙譲語(謙譲語II)なので──「プラトンが申しますには」のような丁重語の用法はあるにしても──、聞手やしかるべき人を主語にして、
あなたが(先生が)申しましたように……
などと使うのは誤りです。尊敬語「れる」を添えて、
あなたが(先生が)申されたように……
としても、謙譲語に尊敬語を付けたことになり、誤りに変わりはありません。
================引用終了
歴史的には、「申される」を擁護する要素もあるらしい。
1)現代の「申される」にあたる「申さる」が使われた時期がある
2)元々は謙譲語の「申す」は謙譲語性を失って使われていた時期がある
そうは言っても、現代においては「申される」を使う理由はないだろう。
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【問題】
下記の言い方の適否を、説明しなさい。
あなたが申されたように……
先生が申されたように……
【解答?例】
「間違い」とまでは言えないという考え方もあるようだが、避けたほうが無難。
通常、「言う」の尊敬語は「おっしゃる」。これを「おっしゃられる」とするのもよく見るが、二重敬語とされる。
【よくわからない解説】
この「申される」は「おられる」と並び、敬語界の双子の鬼っ子みたいな存在だと思う。まあ、それでも「申される」のほうがタチがいいかも。
これに関してはずいぶん前に書いている。
213)「申し込み」「申し出」は謙譲語?
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確認の意味をこめて、「申す」を辞書でひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)※一部抜粋(重言)
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================引用開始
もう・す〔まうす〕【申す】
[動サ五(四)]《「まおす」の音変化》
1 主として会話に用い、聞き手に対し、「言う」を改まって丁重に表現する丁寧語。
①「言う」対象が聞き手(または尊者)の場合には、対象を敬う気持ちも残るが、現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である。「昨日、先生に―・したとおりです」
②単に「言う」を改まり丁重にいう場合。この場合にも、謙譲の気持ちは残るので、敬うべき人の動作には用いない。現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる。「父がこのように―・しております」「私は鈴木と―・します」「一口に日本と―・しましても」
2 1のへりくだる気持ちが失せて、「言う」を改まり重々しくいう。「そうは―・しておらん」
3 動作の対象を敬う謙譲語。
①「言う」の謙譲語。申し上げる。古くは、改まって言上する場合に多く用いられた。
②神仏、朝廷などにお願い申し上げる。また、所望申し上げる。
③その人の名前・官位などを、人々が…と申し上げる。
④「する」「なす」の謙譲語。…してさしあげる。「御助勢を―・しましょう」
================引用終了
「1」①の「丁寧語」と解釈すれば、「申される」を×にする理由はないだろう。しかし②では〈現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる〉と明記されている。理由は「謙譲の気持ちは残る」かららしい。
どうにも煮え切らない。辞書がこんな態度でいいのだろうか。ちなみに『大辞林』の記述では「申される」を×にする根拠にはなりにくい。たぶん、謙譲語Iと謙譲語IIの違いに踏み込まないと説明できない。パス。
『敬語再入門』http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.htmlのP.156~157に〈「申される」──適否の断じにくい敬語①〉という項目がある。
================引用開始
「申す」は謙譲語(謙譲語II)なので──「プラトンが申しますには」のような丁重語の用法はあるにしても──、聞手やしかるべき人を主語にして、
あなたが(先生が)申しましたように……
などと使うのは誤りです。尊敬語「れる」を添えて、
あなたが(先生が)申されたように……
としても、謙譲語に尊敬語を付けたことになり、誤りに変わりはありません。
================引用終了
歴史的には、「申される」を擁護する要素もあるらしい。
1)現代の「申される」にあたる「申さる」が使われた時期がある
2)元々は謙譲語の「申す」は謙譲語性を失って使われていた時期がある
そうは言っても、現代においては「申される」を使う理由はないだろう。
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