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突然ですが問題です【日本語編112】──耳障り 耳触り 耳ざわりがいい

【問題】

【問題】
【問1】
「耳ざわりがいい」という言葉の解釈について、下記の〈参考サイト〉をあまり参考にしないで、1)~3)のなかから適切なものを選びなさい。
  1) 単なる誤用
  2) 誤用ではない
  3) その他

【問2】
「耳ざわりがいい」の言いかえの言葉をあげなさい。

〈参考サイト〉 
【間違い探ししてみます──人を呪わば穴二つ?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2328.html

【○HKのFMラジオ番組を聴いていたところ、女性DJが「みみざわりのよい音楽をよく聴きます」と言った】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1485225824










【解答?例】

【問1】
 微妙ですが、3)で、「誤用とは言えない」ではないかと。
【問2】
「いい」を「よい」にしてもよい。
耳触りがいい
耳当たりがいい
耳通りがいい

「聞こえがいい」「響きがいい」だと意味がかわり、「デブ」を「ポッチャリしている」と言いかえることなんかを指すような。


【よくわからない解説】

 完全に迷路です。

 懺悔の記録かもしれない(泣)。
 以前「耳ざわり」について下記のように書いた。
【間違い探ししてみます──人を呪わば穴二つ?】
================================引用開始
>×耳ざわりのいい
>○耳に心地いい
 一般には「耳当たりがいい」だと思う(個人的には使わないけど)。「心地いい」を使うなら「耳」はいらないでしょ。
「目に心地いい色合い」
「鼻に心地いい香り」
 相当ヘンだと思う。
================================引用終了

 話はそれほど簡単ではないみたい。疑問を感じたのは下記のやり取りを目にしたとき。
【○HKのFMラジオ番組を聴いていたところ、女性DJが「みみざわりのよい音楽をよく聴きます」と言った】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1485225824
 注目したのはBA(ベストアンサー)ではない。2つ目にある回答。なぜこちらがBAにならないんだろう。ホントに理不尽だと思う。
 文化庁の『言葉に関する問答集 総集編』は、「耳触り」と書くならアリにしているらしい。
 そんなぁ。
 念のためWeb辞書をひく。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=みみざわり&stype=0&dtype=0
================================引用開始
みみ‐ざわり〔‐ざはり〕【耳触り】
聞いたときの感じ・印象。「―のよい音楽」
================================引用終了
 
■Web辞書『大辞林』から
================================引用開始
みみざわり[―ざはり] 3 【耳触り】
聞いた時の感じ。
  ―がよい
================================引用終了

 終了でーす(泣)。いつからこんなことになったのだろう。
 ちなみに、『問題な日本語』には「耳ざわり」の項目があり、結論は以下のようになっている。
================================引用開始
「耳ざわりがいい」は、現時点ではまだ誤用だと判断されます。
================================引用終了

 これにはちょっと事情があると思う。P.152には以下のようにある。
================================引用開始
実は国語辞典類においても立場はさまざまで、『明鏡国語辞典』では「耳ざわりがよい」は誤用と明記していますが、「耳障り」(こちらは当然どの辞典にもあり)と「耳触り」の両方を立てて「耳触り」を「俗語」と断るものもあり、特別の注記もなく「耳触り」を容認しているものも見かけます。正誤の判断がゆれている語の一つということになるでしょう。
================================引用終了
 辞書の見解が分かれていても、会社の金看板?に逆らうことはできないもんな。
 ネット検索してさらにトンデモナいものを見つけた。イモヅル式にバックナンバーをたどるとエラいことになる(詳細は↓参照)。とにもかくにも、「誤用」とは言えない、ということになるのだろう。
 この毛糸の帽子は耳触りがいい、なら許容してもいい。しかし、「耳触りのよい音楽」はありえない。これを耳で聞いたとき、誤用か正用か判断できる人がいるのだろうか(こんな例ってほかにあるのだろうか)。こんなに「耳触り」が悪くて「耳障り」な表現も滅多にない。
 そのうち「目触り」のいいコンタクトレンズが開発されるのだろうか。

【◆ことばの話3639「耳通りが良い」】
http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/back/3601-3700/3636.html
================================引用開始
◆ことばの話3639「耳通りが良い」

『ウェブはバカと暇人のもの~現場からのネット敗北宣言』(中川淳一郎、光文社新書:2009、4、20)を読んでいたら、
「『日本企業の特徴』について語るときに年功序列・終身雇用は耳通りが良いのでよく使われるだけ」
という一文が出てきました。この中で使われている、
「耳通りが良い」
は、初めて「耳」にしました。よく、
「耳触りが良い」「耳あたりが良い」
などと使われる言葉と、ほぼ同じ意味でしょうね。「耳ざわりが良い」は、「間違った使いかただ」と随分、叩かれますが、この「耳通りがよい」だと、なんだかスッキリ聞こえる気がしますね。Google検索だと(6月16日)
「耳通りが良い」 = 123件
「耳通りがよい」 =   9件
「耳触りが良い」 = 945件
「耳触りがよい」 = 638件
「耳ざわりが良い」=1300件
「耳ざわりがよい」= 324件
「耳当たりが良い」=1010件
「耳当たりがよい」= 364件
「耳あたりが良い」=1080件
「耳あたりがよい」= 393件
で、「耳通りが良い(よい)」は件数が少なく、新しく作られた言葉だと思われます。
一番多いのは「耳ざわりが良い」、ついで「耳あたりが良い」、そして「耳当たりが良い」。ここまでが1000件以上。いずれも決して多いとは言えない件数ですね。
(「耳ざわり」に関しては、「平成ことば事情176」「185」「258」で書きました。)
・・・と、ここまで書いて、既に「平成ことば事情258耳ざわり3」の「追記10」に「耳通りが良い」を書いたことに気付きましたが・・・ま、いいか!項目立てておいた方が。
2009/6/16
(追記)

似たような意味の別の表現としては、
「耳心地の良さ」(『週刊文春』2001年6月28日号・近田春夫のコラム)
「聞こえのいいこと」(伊坂幸太郎『魔王』講談社文庫:2008)
のほか、2009年7月30日の日経新聞「社会保障政策 厚労相に聞く」という記事でも、舛添要一構成労働大臣(当時)が、翌31日の自民党のマニフェスト(政権公約)発表を控えて、
「政権党として国民に聞こえのいい政策ばかり並べるべきではない」
と「聞こえのいい」という表現を使っています。それを日経新聞も、
「聞こえのよい政策 財政滅ぼす」
と大きな見出しにしていました。
================================引用終了

 で、「平成ことば事情176」を検索すると、さらにスゴいことに……(泣)。この記事は「2000/9/1」のもの。この段階で、多くの辞書が採用しているってことは、すでに「誤用」とは言えないだろう。
【平成ことば事情】(176)
http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/
================================引用開始
また国語辞典では、「大辞林」「新明解国語辞典」には、「俗用」として「耳触り」は載っていますが、「広辞苑」や「日本語大辞典」は採用していません。(つまり載っていない。)

他の辞書も調べてみました。その結果を整理すると、

(“耳触り”を載せていた辞書)5冊
・ 「日本国語大辞典(小学館)縮刷版」1981年
・ 「国語大辞典(小学館)」1982年
・ 「新明解国語辞典・第3版(三省堂)」1985年
・ 「辞林21(三省堂)」1993年
・ 「大辞泉(小学館)」1995年

(“耳触り”を載せていない辞書)8冊
・ 「新訂・大言海(冨山房)」1963年
・ 「新明解国語辞典・第2版(三省堂)」1978年
・ 「角川国語大辞典(角川書店)」1982年
・ 「広辞林・第6版(三省堂)」1984年
・ 「学研国語大辞典(学習研究社)」1984年
・ 「岩波国語辞典第4版(岩波書店)」1986年
・ 「日本語大辞典(講談社)」1989年
・ 「広辞苑第5版(岩波書店)」1998年

ここまでのところ、「耳触り」を認めている辞書と認めていない辞書の対決は5対8で、載せていない方がやや優勢です。また「耳触り」を一番早く載せたのは、1981年の「日本国語大辞典(縮刷版)」ということになります。あっ、載せている辞書はすべて「小学館」と「三省堂」のものですね。三省堂は1984年の「広辞林」では載せていないのに、1985年の「新明解国語辞典・第3版」では載せています。このあたりで「何か」があったのでしょうか?
================================引用終了

突然ですが問題です【日本語編】のバックナンバー
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2570.html
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