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複合動詞の「~アゲル」と「~アガル」の違い〈1〉

 テーマトピは下記。
【完了を表す「動詞+上げる」「動詞+上がる」について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=73353807&comm_id=398881

 まず、質問を一部加工して転載する。
================引用開始
きょうは、N3レベルの文法についてお伺いいたします。

「レポートが書き上がる」「レポートを書き上げる」
「ごはんが炊き上る」「ごはんを炊き上げる」

など、「完了」の意味を表す「上がる/上げる」は、動詞のます形に接続して複合動詞となり、「~上がる」は自動詞、「~上げる」は他動詞として文を作ることができます。
多くは、上記の「書き上がる/書き上げる」のように自他動詞がペアになっていて、文を言い換えることができます。

しかし、一部言い換えができないものがあります。
例えば「できあがる」は言いますが、「できあげる」はありません。これは、「できる」という動詞が自発的なもの(自動詞)なので、後ろに他動詞をつけると意味が通じないからかなと思ったのですが、

では他動詞+他動詞である「子どもを育て上げる」は言いますが、「子どもが育て上がる」と言わないのはどうしてなのでしょうか。
「作り上げる」は言いますが「作り上がる」というのも言わないような気がします。
ほかにも、「徹底的に調べ上げた」は使えますが、「ぜんぶ調べ上がった」というのも、わたしは使わないと思うのです。

「書く」や「編む」などは言い変えができて、「育てる」や「作る」は言い換えられないのには、なにか明確な理由があるのでしょうか。
また、どのような動詞のときに「上げる(もしくは“上がる”)」だけが使えるでしょうか。

 *お尋ねしたいのは、「上方向への移動」の意味ではなく、「動作や現象が完了する」意味での「上がる/上げる」です。
 “上方向の移動”=浮き上がる、立ち上がる、飛び上がる(自動詞+上がる)/打ち上げる、持ち上げる(他動詞+上げる)
================引用終了

 質問文を読んで以来、ずうっと気になっていたが、バタバタしていたせいもあって棚上げにしていた。
 これ、あまりにもいろいろなことが関係していて、一筋縄には行かないと思う。
 とりあえず、関係しそうな既出質問(あんまり関係ないかな~)。

 複合動詞の前半部とアゲル/アガルの「自他のネジレ」に関しては下記が参考になるだろう。
【関連トピ紹介】4──立ち上げる(「自動詞」と「他動詞」を組み合わせた「複合動詞」)は不自然なのか?
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41778919

 下記も参考になるとは思うのだが……。
112)【「見つける」と「見つかる」独り言です52くらい──日本語教師関連編25くらい※全体公開】2009年12月23日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1370388644&owner_id=5019671

 トピのコメントを回収しておく。
 いやぁ、いろいろな意味でmixiに慣れていないことがわかる。当時はこのコミュも活性化していたのね……。
【複合動詞の格についてのチェックをお願いしたいです】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=1&comm_id=19124&id=21710714

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2007年08月11日 02:10
初めまして、いつも楽しく拝見させて頂いています。

私は将来日本語教師になることを視野に入れつつ、現在大学院で言語学を学んでいるものです。

日本語教師とは直接関係のないトピックであることは重々承知の上でのお願いなのですが、今、複合動詞のとる格について調べている中、内省では判断できかねるものがあり、ぜひ言語感覚に鋭い皆様にご協力して頂けないかと思って書き込みしております。

勝手なお願いですが、もし今日(土曜)中に2,3人の方にチェックして頂けたら非常に助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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下の①~⑥の文で、全くダメだと思われたら*マークを、違和感があるが全くダメとは言えないものに?マークを、番号の前にマークして下さい。問題なくOKだと思われるものには何もマークせずにおいて下さい。
複合動詞の目的語についている「に」がOKかどうかのみに注目してお考え下さい。「は」や「を」の方が自然であるものもあります。また文末を「ている」や「てきた」などに変えずに考えて下さい。

①彼のくだらない冗談に聞き飽きた。
②病室の窓から見える殺風景な景色に見飽きた。
③子供向けの漫画に読み飽きた。
④日本に10年住んでいるので生魚に食べ慣れた。
⑤ロンドンに10年住んでいるのでイギリス英語に聞き慣れた。
⑥最初は驚いたが、今では彼女の風変わりな髪型や服装に見慣れた。

以上です。ありがとうございます!

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[10]
2007年08月12日 00:32
tobirisu
 当方の意見を初めに書いておくと、あげられた例文に関してはすべて「*」です。ただし、文脈によっては「?」ということもあるかもしれません。
 そもそも複合動詞を形成しているそれぞれの動詞がどんな助詞を伴うか、ということから考えてみました。たとえば「走り続ける」なら、「走る」も「続ける」が両方とも同じような助詞を伴うので、「走り続ける」も同様になり、迷う余地はないと思います。
 例文をすべて検討すると煩雑になるので、「聞き飽きた」を例に考えましょう。語感に多少の違いはあっても、ほかも同様だと思います。
     ~に  ~を  ~は  ~も
聞いた  ×    ○    ○   ○
飽きた  ○   △    ○   ○
 原則としては、両方の動詞が伴いうる助詞でなければ使いにくいのではないでようか。
「に」を使うと異和感があるのは、「聞いた」が「に」を伴わないからだと思います。この観点もあって、当方の語感では「には」にしてもすべて「*」です。一方、「を」だとさほど異和感がないのは、
1)「飽きた」が「を」を伴うことも可能だから(どちらかというと「に」が自然ですが)
2)直接助詞と結びつく「聞いた」が「を」伴うのが自然だから(あるいは、「聞いた」が主、「飽きた」が従、という考え方もできるかもしれません)
 両方の動詞と結びつく「は」「も」は文としては成り立ちますが、当然のことながら「限定」「累加」などの意味合いが付加されるので、文脈によっては不自然になります。

 いずれにしても、文脈しだいのところがあります。
 6のコメント中にあった
「虫は春からこの方、ずっと青葉に食べ飽きて、」
 なら、「は」は「虫は」と重複感があって少しヘンでしょう。間を省略して「虫は青葉は食べ飽きて」とすると、あきらかにヘンになります。「も」もほかに食べ飽きたものが出てこないのならヘンです。この場合なら「に」もアリかなと思います。個人的な語感では「を」ですが。
 そもそも、他動詞的な「聞く」と自動詞的な「飽きる」が結びついた「聞き飽きる」がイレギュラーな表現な気がします。よく指摘される「並び替え」(「並べ替え」が正しい表現でしょう)のような気持ちの悪さがあります。
 8のコメントあるように、「必須格であるニ格・ヲ格を用いている例が案外少ない」のも、この気持ちの悪さと関係があると思います。
 素人考えで長々と失礼しました。土曜日中のタイムリミットを少し過ぎてしまいましたが、ご参考までに。

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[19]
2007年08月12日 19:34
tobirisu
 まず、いまさらながらひとつ提案です。当方はMacintosh環境で見ているため、冒頭の例文のマルイチ、マルニと思われるものが化けています。 16の〈???では、「にも」とすると〉あたりになると、判読できません。ということで、改めて下記のようにしました。さしさわりがあるなら、修正してください。

1)彼のくだらない冗談に聞き飽きた。
2)病室の窓から見える殺風景な景色に見飽きた。
3)子供向けの漫画に読み飽きた。
4)日本に10年住んでいるので生魚に食べ慣れた。
5)ロンドンに10年住んでいるのでイギリス英語に聞き慣れた。
6)最初は驚いたが、今では彼女の風変わりな髪型や服装に見慣れた。
 
 当方の考えは保守的なのかもしれませんが、「にも」にすると、
  1)2)3)(~にも○○飽きた)は「*」
  4)5)6)(~にも○○慣れた)は「?」
 です。いずれも、「にも」にするなら、「も」にするべきという気がします。

「ている」「てきた」にすると「に」がOKというのは、最初はそう思いました。
 おそらく、「ている」「てきた」にすると、それだけ、「飽きる」「慣れる」の部分の字面が重くなるので、それだけ、「に」との親和性が強まるからでしょう。
 ただし、じいっと眺めているうちに感じが違ってきました。やはりすべて「*」です。もはや当方の語感は何の判断力ももたなくなったようです(泣)。
 やはり通常の形は「~を」でしょうが、原因不明の気持ちの悪さは感じるので、自分では極力使わないと思います。こうして使えない表現がまたひとつ増えてしまいました。

17のコメント中の
「そこらの中華料理に食べ飽きている人はぜひ行ってみてください。」
 に関しては、この文脈なら「に食べ飽きている人」でも「に食べ飽きた人」でもさほどおかしくないかな、と思います。個人的な語感ではどちらも「を」ですが。
 このあたりの語感の問題は、水掛け論になる気がします。

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複合動詞の「~アゲル」と「~アガル」の違い〈2〉

mixi日記2013年04月06日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1898206024&owner_id=5019671

 前半部の動詞とアゲル/アガルの自他がねじれる件に関しては下記の2リンクを追加した。どちらも勉強になる。
【2008 年「春の研究発表」特集】
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2008_06/080603.pdf
【2007-09-05 「立ち上げる」はパソコンから生まれた新語?!】
http://d.hatena.ne.jp/hiiragi-june/20070905

 テーマトピのコメントを見てみる。
【完了を表す「動詞+上げる」「動詞+上がる」について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=73353807&comm_id=398881

 おそらく、日本語教師的にはコメント[1]で話が終わっている。
 外国人に教えるのなら、これで十分だろう。
================引用開始
1)人為的活動の完了
 ~を~あげる 例:子供を立派に育て上げる
2)人為的でない事象の完了
 ~が~あがる 例:晴れあがる
3)成果物がある場合
 ~を~あげる/~が~あがる 例:レポートを書き上げる/レポートが書きあがる
================引用終了

 これを原則にしても、どうしても例外が出てくる。そこをどの程度までフォローするかは、学習者のレベルにもよるだろう。
 トピでは下記あたりが問題になっている。
4)【~を調べアゲル】(「~が調べアガル」は△)
 成果物があるから3)のはずなので、「~を調べアゲル/~が調べアガル」のはずだが。
5)【~を作りアゲル】(「~が作りアガル」は△)
 成果物があるから3)のはずなので、「~を作りアゲル/~が作りアガル」のはずだが。
6)【~が出来アガル】(「~を出来アゲル」は△)
 成果物があるから3)のはずなので、「~を出来アゲル/~が出来アガル」のはずだが。
 いろいろな問題を含んでいて、Web辞書レベルでは、なんとなく糸口みたいなものが見える気にしかなれない。


【辞書の記述とメモ】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B&stype=0&dtype=0
================引用開始
あ・げる【上げる/揚げる/挙げる】
[動ガ下一][文]あ・ぐ[ガ下二]

13 動詞の連用形のあとに付いて複合語をつくる。
①その動作が終わる意を表す。「仕事を早くし―・げる」「一日で織り―・げる」
②十分に、しっかり、などの意を添える。「丁稚(でっち)からたたき―・げる」「調べ―・げる」
③他に分かるようにはっきりと言葉で示す。「共同宣言としてうたい―・げる」
④(「申す」「存ずる」などに付いて)へりくだった意味を表す。「お願い申し―・げます」「右のように存じ―・げております」
================引用終了

http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B&stype=0&dtype=0
================引用開始
あが・る【上がる/揚がる/挙がる】
[動ラ五(四)]

13 動詞の連用形のあとに付いて複合語をつくる。
①その動作が終わる意を表す。しおわる。「新聞が刷り―・る」
②いきつくところまでいっている状態を表す。すっかり…する。「晴れ―・る」「おどされて震え―・る」
③さげすみ、ののしる意を表す。しくさる。しやがる。
================引用終了

 4)【~を調べアゲル】(「~が調べアガル」は△)は、アゲルの②になっている。①の「完了」とは別物にしているようだ。「完了」のニュアンスもある気がするが、微妙すぎてわからない。「しめアゲル」などもこれに類するのだろう。このアゲルの②は、アガルの②と対になっている観がある。
 5)【~を作りアゲル】と6)【~が出来アガル】に関しては、強力な例外のセットと考えるのがよいのでは。つまり、「作る」(「築く」なども同様)の「アガル」形が「出来アガル」。さすがに強引かな。

 例外はほかにもいろいろあり、考えはじめるとドツボにはまる。

●「完了」と「上方向への移動」が曖昧な例
 たとえば、「荷物を持ちアゲル」は「上方向への移動」だが、「問題が持ちアガル」だと「完了」だろう。「荷物が持ちアガル」(これは文脈によっては可能かも)、「問題を持ちアゲル」とは言わない。
 同じような例に、有名なのがある。「子供が立ちアガル」と「{会社/コンピュータ}~を立ちアゲル」
 これについては〈1〉にリンクを張った。考えはじめると迷路が待っている。
 下記も訳がわからない。おそらく、本来は「上方向への移動」だが、比喩的な意味合いの場合はニュアンスがかわるのだろう。
「荷物を吊りアゲル」/「責任者を吊るしアゲル」
「荷物を積みアゲル」(これは「荷物が積みアガル」もアリだろう)/「実績を積みアゲル」

●アガル/アゲルの両方がある例
 ~が組みアガル/~を組みアゲル
  これは「成果物」があるだろう。
 ~が繰りアガル/~を繰りアゲル
  「日程」などを「成果物」と考えることができるか否か。
 ~が舞いアガル/~を舞いアゲル
  「上方向への移動」と考えるべきかもしれない。
 ~が盛りアガル/~を盛りアゲル

●なんじゃこりゃ?
 ~を召しアガル/~を召しアゲル
 アガル/アゲルの両方ともが他動詞的になっている。意味はかなり違う。こんな例がほかにもあるんだろうか。

 以下は、いろいろ悩んだ残骸。おおむね、アゲルは「人為的活動の完了」で、アガルは「人為的でない事象の完了」になっている。「完了」か否か微妙なものあるけど、詳しいことはわかりません。キッパリ<( ̄- ̄)>


腫れアガル/禿げアガル/縮みアガル/怯えアガル/すくみアガル
躍りアガル
思いアガル
織りアガル
切れアガル
つけアガル
のしアガル
乗りアガル→上へ
燃えアガル
湧きアガル

売りアゲル
数えアゲル
刈りアゲル
借りアゲル
切りアゲル
縛りアゲル
築きアゲル
取りアゲル

~を(と)申しアゲル→2)?
~を差しアゲル→1)
~を召しアゲル→1)
~に入れアゲル→1)?

~が炊きアガル/△~を炊きアゲル→2)
~が茹でアガル/~を茹でアゲル→3)

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