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おる おられる おられた おられます〈1〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671

mixi日記2013年06月15日から

「申される」と並んで敬語界の鬼っ子とも言える「おられる」について考えてみたい。
 非常に厄介な話なんで、まず先日紹介してもらったサイトの記述から〝何様モード〟で見てみたい。書き手の誤解に関しても詳しく見ていく。
 下記のコメント[26][30]参照。番号は当方がつけた。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=1109728&comment_count=32&comm_id=90576
================引用開始
否定派
1)http://home.alc.co.jp/db/owa/jpn_npa?sn=175
2)http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/keig/b01.html
3)http://news.mynavi.jp/r_career/level1/yoko/2011/10/post_1260.html
4)http://www.hitachi-solutions.co.jp/column/tashinami/keigo2/(第5位)


肯定派:
5)http://blog.livedoor.jp/s_izuha/archives/6565041.html
6)http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1410312494

(否定派のURLの方を多く示したのは特に意味はなく、そちらの意見が多数であることを意味しません。検索結果として表示された記事の中で、信頼性に乏しいと思われるものはいずれの意見からも外したつもりです。 )
================引用終了

 単なる個人のブログよりは信憑性が高いように見えるけど、さてどうなんでしょう。
 順番に見ていく。


1)「~さんは、おられますか?」という敬語は正しい?
 これ信用できるのだろうか。「丁寧語」の意味を理解していない気がする。「おります」は丁寧語か否か。「おります」は「おる」の丁寧語だろう。問題にすべきは「おる」が謙譲語か否かじゃないかな。
================引用開始
「~さんは、おられますか?」という敬語は正しい?

 まず、「おられます」から尊敬の助動詞「れる」をとった形「おります」について考えてみましょう。

 「おります」は「いる」+丁寧の助動詞「ます」の「いる」が「おる」になったものです。では、「おります」はどのような場面で用いられるのでしょう。「おります」が用いられる典型的な場面は、次の例のように敬意をはらうべき相手に対して、自分の存在を知らせる場合でしょう。

 「鈴木さんはいらっしゃいますか?」「ここにおります」

 ところで、ここで問題となるのは、この場合の「おります」が丁寧語であるか、謙譲語であるかということです。「おります」が丁寧語であれば、「安田さんはいますか?」と言う場面で、同じように「安田さんはおりますか?」と言えるはずですが、これは許容できないように思われます。したがって、「おります」は謙譲語であるとの判断が妥当でしょう。

 このように考えますと、「おられますか」という表現は、謙譲語である「おります」に尊敬の助動詞「れる」をつけた形式であり、矛盾をはらむおかしな言い方であると言えましょう。

 ただし、この問題には方言差も関与しているように思われます。実際私の方言では「いる」の代わりに常に「おる」が用いられるため、「おられます」は尊敬語としてなんら矛盾のない自然な表現として用いられています。
================引用終了

 結論は最後の2段落なのだろうが、論旨不明。「矛盾をはらむおかしな言い方」で終わっているなら「否定派」。
 だがその直後に、〈私の方言では「いる」の代わりに常に「おる」が用いられる〉と書いている。なら「おられる」も問題がないってこと? 「私の方言」って何? おそらく書き手の生地か現在地で使われる方言、ってことなのだろう。
 それがどこなのか書かなきゃ意味がないし、検証のしようもない。
 アルクってもう少しマシな会社だと思っていたんだけど……


2)西川さんはおられますか?
 個人ブログだけど、信用できそうなのでOKにしておく。(←オイオイ)
 小見出しがそのまま結論。「慣用として認めてよい表現だと思います」。これをどんな歪んだ先入観で読んだら「否定派」にできるのか教えてほしい。
 ただ、全面肯定でもない。
================引用開始
  1.「おる」の部分が謙譲語なので相手の動作に使えない
  2.「おら・れる」は、謙譲語と尊敬語を重ねて使っている

という2点で誤用だとする専門書が多く存在しています。ところが、関西地方では昔から「西川さんがいる」を「西川さんがおる」と丁寧な表現として使っているので、目上の人に「おられる」という表現を使っても違和感がなく、公的に使える尊敬表現として広く使われてきました。謙譲語ではない「おる」に「られる」という尊敬語をつけると考えるのならば、文法上の問題はなくなります。
================引用終了
「関西地方では昔から」使われてきたからOKなの? そういうのは一般には「方言」って言うんじゃないかな。


3)■謙譲語の誤用
================引用開始
「社長は事務所におられますか?」、「何時にまいられますか?」

「謙譲語とは自分の動作をへりくだるときに使う言葉です。『おる』は『居る』の謙譲語、『まいる』は『行く』の謙譲語ですから、相手の動作に対して使うのは間違いです。

『おられる』というのは、謙譲語に敬語表現の「れる」がついているので、敬語のような印象があり、最近はかなり普及している表現です。正しいと思って使っている人が多いようですが、自分から進んで使わないように心がけたい言葉ですね」(大嶋さん)

どちらも正しくは、「いらっしゃいますか?」です。
================引用終了

 明確に否定している。コメントをしているのは、ビジネスコミュニケーション講師の大嶋利佳氏。
 偏見を承知で書くと、こういうデザインのネット記事はいい加減なものが多いので鵜呑みにするのは危険だと思う。最近ウサンクササが感じ取れるようになってきた。コメントした人の責任とも言い切れなくて、こういう微妙な問題を簡潔に片づけると不十分な説明になりがち。
 この場合も、相当あやしい。「おる」と「参る」を同列に扱うのもどうかと思う。


4)今さら聞けない敬語のマナー
 3)と同様。この書き方では不十分。しかもこれは3)と同じ人の主張なので2説にはできない。

 ということは、1)~4)は否定派2、肯定派1になる。
 次は肯定派。


5)「おられる」は尊敬語か-2
 この個人ブログはどこまで信用できるのだろう。この体裁と文体を見ただけで×にしたい。
 頑張って読んでみた。
================引用開始
「おる」 の尊敬語が 「おられる」 というのは間違っておりません。
 ただ 「おる/をり」 は「いる/あり/ゐる」 の謙譲語、または、卑語であることも確かです。
================引用終了

 消極的な肯定派ってことだろうか。ただなぁ。もう少しちゃんと書いてくれないかなぁ。
 文中の大江健三郎の話は必要なの?


6)~しておられる」という言い方は正しいのでしょうか?
 Yahoo!知恵袋はさぁー、と思ったがベストアンサーはきわめてまとも。
 回答者の名前に記憶がないけど、このかたは信用できそう。 
 何よりちゃんと辞書をひいている。↑のリンク先では辞書の記述はお目にっからなかった(笑)。辞書をひけば一目瞭然なのに。
 おそらく、1)~6)のなかで一番信用できるのはこれだろうな。
================引用開始
正しいですよ。
まず、大辞林を引用しておきます。

お・る ヲル【居る】[1](動ラ五[四])
[一]人・動物が存在する。そこにある。また、そこにとどまっている。
(ア)自分の動作を卑下したり他人の言動をさげすんだりする気持ちの含まれることが多い。時には尊大な物言いに用いられることもある。
(イ)「おります」で丁寧な言い方、「おられる(おられます)」で尊敬の言い方として用いられる。「きょうは一日じゅう家に―・ります」「先生は昔、仙台に―・られたことがある」

つまり、「おる」単独は謙譲語としての意味合いを持ち、「おります」の形では謙譲の意味のない丁寧体であり、「おられます」の形では尊敬語になるのです。
これが標準語で、広く用いられている形です(だから辞書にも載っている)。

ただし、西日本諸方言(関西、中国、九州、四国)では、「おる」単独に謙譲の意味合いはなくなっていて東日本諸方言の「いる」と同じレベルで用います。また、関東諸方言では、「おります」「おられます」にも謙譲語の意味合いが残存しています。
最近「おられます」は謙譲+尊敬だから正しくないという人や、「おる」はもともと謙譲語ではないという人がいますが、それはそれぞれ関東方言、西日本方言の感覚で判断されているからです。

標準語では、引用した大辞林の説明のように、「おります」「おられます」はそれぞれ丁寧語、尊敬語としての意味合いをもち、謙譲語ではないので、「~しておられる」はもちろん正しい形です。

動詞「おる」の敬語レベルがこのように用法によって異なる例は、ほかにも、例えば、

連用形で文を中止するとき、「~し、」はいえますが、「~をしてい、」はわかりにくいので、代わりに「~しており、」ということが多いです。この「しており」にも謙譲の意味はありません。

「もってられる」は「もってる」の尊敬語形です。「もってる」は「もっている」の「い」を省略した「イ抜き言葉」です。だから、「もっている」の規則的な尊敬語形は「もっていられる」となるはずですが、これだと可能形の意味になるので、区別するために「もっておられる」を用いるのです。このときの「おられる」は上述のとおり、尊敬語として正しい形です。

回答日時:2006/12/22 13:39:18 編集日時:2006/12/22 13:41:31
================引用終了

 疲れたんで中断。(つづく)
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