「ニ」の特殊用法──「私ニできること」
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671
mixi日記2013年08月15日から
テーマサイトは下記。
【可能動詞の動作主について】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13111604443
================引用開始
可能動詞の動作主について
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」などの様に、可能動詞の動作主を助詞の「に」で示すことがあります。「に」が動作主を示せる場合と示せない場合にはどんな違いがあるのでしょうか?
可能動詞の動作主について
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」などの様に、可能動詞の動作主を助詞の「に」で示すことがあります。ただ、全ての動作主を「に」で示せるかと言うと、そうでもないように思います。例えば、「彼にはスペイン語が話せる」というと、話し手はまだまだスペイン語は苦手だけど、彼にだったらら気兼ねなく話せるというように、「動作主」ではなく「相手」を示すのではないでしょうか。
自分で思いつく例文を考えると、「彼にスペイン語が話せるわけがない」や「そんなこと、僕にだって出来る」の様に、否定表現や限定表現が後ろに着く場合にのみ「に」が可能動詞の動作主を示すのではないかという感じがします。
ただ、まだ確信が持てないのでいろんな方のご意見を伺いたいです。「に」が動作主を示せる場合と示せない場合にはどんな違いがあるのでしょうか?
================引用終了
とりあえず下記のコメントを入れた。
================引用開始
「ニ」の特殊用法。
微妙な質問に考え込んでしまいました。
大前提として、助詞の話はむずかしく、下記の助詞の話7~10のように、辞書には見当たらない用法もあるようです。
【助詞の話】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n200991
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」の場合は「可能」「不可能」がかかわってきますが、そうではない場合もあります。「ここにはない」「わざわざ書くには当たらない」のように。
ウーン。これだと後述の〈動作主を表わさない「ニ」〉ですか。
●「ニ」の働き
話を切り分けるために、まず「ニ」について考えます。
下記の辞書には見当たりませんが、あえて言うなら〈11 比較・割合の基準や、比較の対象を表す。「君―似ている」「一日―三回服用する」〉に近いと思います。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&stype=1&dname=&pagenum=11
「小学生に(も)できること」
「三歳児に(も)できること」
「彼に(も)できること」と並べると、近いような気がしませんか?
●動作主を表わさない「ニ」
「彼にはスペイン語が話せる」の「ニ」は、↑の辞書の〈6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。〉でしょう。「スペイン語が」ではなく「スペイン語で」のほうがわかりやすいと思います。
「彼に(は/なら)スペイン語デ話せる」と考えるとわかりやすいと思います。
いろいろ補足したいことがありますが、ちょっと時間がありません。
週末までお待ちいただければ、時間がとれると思います。
不明点がありましたら、↑のリンク先のブログにお願いします。
================引用終了
中途半端なコメントを入れたあと、どこかで見た記憶があるような気がして脳内検索をかけたら下記がヒットした。質問とコメント[1]をひく。
【「~~にも分かる」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=398881&id=73686631
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「~~にも分かる」
2013年04月09日 02:01
学生からの質問に困っています。
一応、私の考えを書きました。間違っていたら、ご教授ください。
質問1
「子供はもちろん大人にも見て分からない。」という文の意味は「子供はもちろん大人でも見て分からない。」と同じ意味ですか。
私の考え
はい、そうです。でも、「子供はもちろん大人にも見て分からない。」は変な文だと思います。
質問2
「彼にはよく分かっていたが、それをおくびにも出さない。」、この「分かる」人は「彼」ですよね。「(私は)英語がわかる。」の「分かる」人は「私」ですね。どうして前の文は「に」を使っていますか。
私の考え
質問1と同じように「彼にはよく分かっていたが」というには、変だと思います。「わかる」の主語に「に」をつけないような気がします。
結局、うまく説明できない状況です…。
よろしくお願いいたします。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
[1]
2013年04月10日 01:58
「わかる」「できる」その他可能動詞や感情形容詞、形容動詞などの習慣的用法です。
対象が「が」、主体が「に」でマークされます。
ごく一般的な日本語表現です。
三上風に言えば、
「彼に英語がわかるコト」「そのコックさんに日本料理ができるコト」
「その人に自動車の運転が可能なこと」「その子供に英語の本が読めるコト」
「彼にその知らせが嬉しいコト」
などなど。
会話での例。
「え? あんな遠くの看板が読めるのですか。」
「はい、私にははっきり見えます。」
「上に書いてあることもわかりますか。」
「はい、私にはわかります。」
>質問1
>「子供はもちろん大人にも見て分からない。」という文の意味は
>「子供はもちろん大人でも見て分からない。」と同じ意味ですか。
その通りです。
>「子供はもちろん大人にも見て分からない。」は変な文だと思います。
日本語として間違いではありません。
ただ、私には「見て」がやや不自然な気がします。
「子供はもちろん大人にも分からない。」ならば違和感はありません。
「見て」を使う場合、私ならば、
「子供はもちろん大人が見ても分からない。」と言うでしょう。
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コメント[1]でほぼ解決しているけど、ちょっとだけ補足を。
〈対象が「が」、主体が「に」でマーク〉される例。
彼に英語がわかるコト……「わかる」「できる」その他可能動詞
彼にその知らせが嬉しいコト……感情形容詞
彼に不思議なコト……形容動詞
そのとおりだけど、これらの例はちょっと言葉足らずの印象で、これが成立するためにはやや特殊な文脈が必要だろう。
「この文章を読んでわかるのはどんなことでしょうか」
「彼に英語がわかるコト(です)」
こういうやり取りなら何も問題はない。
そういう文脈を外して考えると、「彼に英語がわかるコトが(私には)不思議でならない」のような構造になるのが一般的だろう。仮に「複文構造」と呼んでおく(正確に書こうとするとメンドーなことになる)。
これが「には」「にも」になると、「複文構造」でなくても、ずっと自然になる。理由はよくわからない。主体を表わさないフツーの「ニ」の用法と同じように見えるからかもしれない。
私{には/にも}理由がわからない……「わかる」「できる」その他可能動詞
私{には/にも}おもしろかった……感情形容詞
私{には/にも}不思議だった……形容動詞
この場合の「は」や「も」の働きは「強調」らしい。
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E3%81%AB%E3%81%AF&stype=0&dtype=0
================引用開始
に‐は
[連語]
【1】《格助詞「に」+係助詞「は」》
1 「に」の付いた部分を強める意を表す。「僕―わかっている」「ここ―ない」「わざわざ出向く―当たらない」
================引用終了
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E3%81%AB%E3%82%82&stype=0&dtype=0
================引用開始
に‐も
[連語]
《格助詞「に」+係助詞「も」》
1 格助詞「に」に並列・列挙や強調などの意を加える。「ぼく―わかる」「被害額は数億円―のぼる」
================引用終了
個人的にはこの場合の「は」は「強調」ではなく「対比」って気がするけど、メンドーなのでパス。
詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2842.html
辞書の例文を見るに、主体を表わす「ニ」(「僕ニハわかっている」/「ぼくニモわかる」)と、それ以外を区別している気配はない。まあ、そうだろう。
ここで元々の例文についてい考えてみる。
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」
これは最後の動詞が「ない」なのでウッカリしそうだが、複文構造になっている。複文構造を外すと、「彼にはスペイン語が話せるわけ」だろう。
ふむ。おもしろいことに気がついた。「彼にはスペイン語が話せるわけ」だと、作品タイトルなんかにありそう。しかも「は」を外してもおかしくない……と言うより「は」を外したほうが自然な気がする。「わけ」を「理由」にするとわかりやすいかも。
「彼にはスペイン語が話せる理由」
「彼にスペイン語が話せる理由」
ほかの例文を同様の形にしてみる。
「彼に英語がわかる理由」……「わかる」「できる」その他可能動詞
「彼にその知らせが嬉しい理由」……感情形容詞
「彼に不思議な理由」……形容動詞
最後の例だけは少しヘンだな。理由は不明。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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テーマサイトは下記。
【可能動詞の動作主について】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13111604443
================引用開始
可能動詞の動作主について
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」などの様に、可能動詞の動作主を助詞の「に」で示すことがあります。「に」が動作主を示せる場合と示せない場合にはどんな違いがあるのでしょうか?
可能動詞の動作主について
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」などの様に、可能動詞の動作主を助詞の「に」で示すことがあります。ただ、全ての動作主を「に」で示せるかと言うと、そうでもないように思います。例えば、「彼にはスペイン語が話せる」というと、話し手はまだまだスペイン語は苦手だけど、彼にだったらら気兼ねなく話せるというように、「動作主」ではなく「相手」を示すのではないでしょうか。
自分で思いつく例文を考えると、「彼にスペイン語が話せるわけがない」や「そんなこと、僕にだって出来る」の様に、否定表現や限定表現が後ろに着く場合にのみ「に」が可能動詞の動作主を示すのではないかという感じがします。
ただ、まだ確信が持てないのでいろんな方のご意見を伺いたいです。「に」が動作主を示せる場合と示せない場合にはどんな違いがあるのでしょうか?
================引用終了
とりあえず下記のコメントを入れた。
================引用開始
「ニ」の特殊用法。
微妙な質問に考え込んでしまいました。
大前提として、助詞の話はむずかしく、下記の助詞の話7~10のように、辞書には見当たらない用法もあるようです。
【助詞の話】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n200991
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」の場合は「可能」「不可能」がかかわってきますが、そうではない場合もあります。「ここにはない」「わざわざ書くには当たらない」のように。
ウーン。これだと後述の〈動作主を表わさない「ニ」〉ですか。
●「ニ」の働き
話を切り分けるために、まず「ニ」について考えます。
下記の辞書には見当たりませんが、あえて言うなら〈11 比較・割合の基準や、比較の対象を表す。「君―似ている」「一日―三回服用する」〉に近いと思います。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&stype=1&dname=&pagenum=11
「小学生に(も)できること」
「三歳児に(も)できること」
「彼に(も)できること」と並べると、近いような気がしませんか?
●動作主を表わさない「ニ」
「彼にはスペイン語が話せる」の「ニ」は、↑の辞書の〈6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。〉でしょう。「スペイン語が」ではなく「スペイン語で」のほうがわかりやすいと思います。
「彼に(は/なら)スペイン語デ話せる」と考えるとわかりやすいと思います。
いろいろ補足したいことがありますが、ちょっと時間がありません。
週末までお待ちいただければ、時間がとれると思います。
不明点がありましたら、↑のリンク先のブログにお願いします。
================引用終了
中途半端なコメントを入れたあと、どこかで見た記憶があるような気がして脳内検索をかけたら下記がヒットした。質問とコメント[1]をひく。
【「~~にも分かる」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=398881&id=73686631
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「~~にも分かる」
2013年04月09日 02:01
学生からの質問に困っています。
一応、私の考えを書きました。間違っていたら、ご教授ください。
質問1
「子供はもちろん大人にも見て分からない。」という文の意味は「子供はもちろん大人でも見て分からない。」と同じ意味ですか。
私の考え
はい、そうです。でも、「子供はもちろん大人にも見て分からない。」は変な文だと思います。
質問2
「彼にはよく分かっていたが、それをおくびにも出さない。」、この「分かる」人は「彼」ですよね。「(私は)英語がわかる。」の「分かる」人は「私」ですね。どうして前の文は「に」を使っていますか。
私の考え
質問1と同じように「彼にはよく分かっていたが」というには、変だと思います。「わかる」の主語に「に」をつけないような気がします。
結局、うまく説明できない状況です…。
よろしくお願いいたします。
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[1]
2013年04月10日 01:58
「わかる」「できる」その他可能動詞や感情形容詞、形容動詞などの習慣的用法です。
対象が「が」、主体が「に」でマークされます。
ごく一般的な日本語表現です。
三上風に言えば、
「彼に英語がわかるコト」「そのコックさんに日本料理ができるコト」
「その人に自動車の運転が可能なこと」「その子供に英語の本が読めるコト」
「彼にその知らせが嬉しいコト」
などなど。
会話での例。
「え? あんな遠くの看板が読めるのですか。」
「はい、私にははっきり見えます。」
「上に書いてあることもわかりますか。」
「はい、私にはわかります。」
>質問1
>「子供はもちろん大人にも見て分からない。」という文の意味は
>「子供はもちろん大人でも見て分からない。」と同じ意味ですか。
その通りです。
>「子供はもちろん大人にも見て分からない。」は変な文だと思います。
日本語として間違いではありません。
ただ、私には「見て」がやや不自然な気がします。
「子供はもちろん大人にも分からない。」ならば違和感はありません。
「見て」を使う場合、私ならば、
「子供はもちろん大人が見ても分からない。」と言うでしょう。
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コメント[1]でほぼ解決しているけど、ちょっとだけ補足を。
〈対象が「が」、主体が「に」でマーク〉される例。
彼に英語がわかるコト……「わかる」「できる」その他可能動詞
彼にその知らせが嬉しいコト……感情形容詞
彼に不思議なコト……形容動詞
そのとおりだけど、これらの例はちょっと言葉足らずの印象で、これが成立するためにはやや特殊な文脈が必要だろう。
「この文章を読んでわかるのはどんなことでしょうか」
「彼に英語がわかるコト(です)」
こういうやり取りなら何も問題はない。
そういう文脈を外して考えると、「彼に英語がわかるコトが(私には)不思議でならない」のような構造になるのが一般的だろう。仮に「複文構造」と呼んでおく(正確に書こうとするとメンドーなことになる)。
これが「には」「にも」になると、「複文構造」でなくても、ずっと自然になる。理由はよくわからない。主体を表わさないフツーの「ニ」の用法と同じように見えるからかもしれない。
私{には/にも}理由がわからない……「わかる」「できる」その他可能動詞
私{には/にも}おもしろかった……感情形容詞
私{には/にも}不思議だった……形容動詞
この場合の「は」や「も」の働きは「強調」らしい。
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E3%81%AB%E3%81%AF&stype=0&dtype=0
================引用開始
に‐は
[連語]
【1】《格助詞「に」+係助詞「は」》
1 「に」の付いた部分を強める意を表す。「僕―わかっている」「ここ―ない」「わざわざ出向く―当たらない」
================引用終了
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E3%81%AB%E3%82%82&stype=0&dtype=0
================引用開始
に‐も
[連語]
《格助詞「に」+係助詞「も」》
1 格助詞「に」に並列・列挙や強調などの意を加える。「ぼく―わかる」「被害額は数億円―のぼる」
================引用終了
個人的にはこの場合の「は」は「強調」ではなく「対比」って気がするけど、メンドーなのでパス。
詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2842.html
辞書の例文を見るに、主体を表わす「ニ」(「僕ニハわかっている」/「ぼくニモわかる」)と、それ以外を区別している気配はない。まあ、そうだろう。
ここで元々の例文についてい考えてみる。
「彼にはスペイン語が話せるわけがない」
これは最後の動詞が「ない」なのでウッカリしそうだが、複文構造になっている。複文構造を外すと、「彼にはスペイン語が話せるわけ」だろう。
ふむ。おもしろいことに気がついた。「彼にはスペイン語が話せるわけ」だと、作品タイトルなんかにありそう。しかも「は」を外してもおかしくない……と言うより「は」を外したほうが自然な気がする。「わけ」を「理由」にするとわかりやすいかも。
「彼にはスペイン語が話せる理由」
「彼にスペイン語が話せる理由」
ほかの例文を同様の形にしてみる。
「彼に英語がわかる理由」……「わかる」「できる」その他可能動詞
「彼にその知らせが嬉しい理由」……感情形容詞
「彼に不思議な理由」……形容動詞
最後の例だけは少しヘンだな。理由は不明。
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