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ほとんどの人が間違っている「前門の虎、後門の狼」の意味

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2014年02月日から

 最近知ったブログに、言葉に関するおもしろい話がいろいろのっている。
 まともなコメントがめっきり減った某SNSより有用な気さえする。(←オイ!)
 バックナンバーを見ていくと興味深い話が多々あるが、先日ビックリしたのが下記。
【前門の虎、後門の狼。(ダイヤモンドオンライン)】
http://blog.goo.ne.jp/goonosh100/e/5b4ef2f715dbbf8ddbc45a4472ed58d2

「前門の虎、後門の狼」……誰でも知っている諺(正確には「故事成語」だと思うが、メンドーなので諺にしておく)だろう。
 意味は下記のとおり。
http://kotobank.jp/word/%E5%89%8D%E9%96%80%E3%81%AE%E8%99%8E%E5%BE%8C%E9%96%80%E3%81%AE%E7%8B%BC?dic=daijisen&oid=10666000
================引用開始
前門(ぜんもん)の虎(とら)後門(こうもん)の狼(おおかみ) 【前門の虎後門の狼】

《趙弼「評史」から》一つの災いを逃れても別の災いにあうたとえ。
================引用終了
 
 そうなんだ。手元の『成語林』も同様。
 言いかえるなら、「一難去ってまた一難」が近そうだ。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
「複数の強敵に(挟み撃ちで)攻撃されることのたとえ」で使われていると思っていた。↑のブログを見ると、使用例は全滅。よかった。ホニャは当方だけではなかった。
 調べてみると、奇妙なことがわかった。
 下記を見てほしい。語釈はほかの辞書と同じだが、問題は「解説」の部分。

【故事ことわざ辞典】
http://kotowaza-allguide.com/se/zenmonnotora.html
================引用開始
前門の虎、後門の狼
【読み】 ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ
【意味】 前門の虎後門の狼とは、一つの災難を逃れても、またもう一つの災難が襲ってくることのたとえ。

【前門の虎後門の狼の解説】
【注釈】 趙弼『評史』 にある「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む(表門で虎の侵入を防いでいるときに、裏門からは狼が侵入してくるの意味)」から。
前後から虎と狼に挟み撃ちされては、勇者であってもたち打ちできないということ。
【出典】 趙弼 『評史』
【注意】 「前門の狼後門の虎」は誤り。
【類義】 一難去ってまた一難/追っ手を防げば搦め手へ回る/虎口を逃れて竜穴に入る/前虎後狼/火を避けて水に陥る/禍去って禍また至る
【対義】 -
【英語】 A precipice in front, a wolf behind.(前に絶壁、後ろに狼)
【用例】 「コストは上がるし売り上げは下がるしで、うちの会社は前門の虎後門の狼という状態だ」
================引用終了

 元々の趙弼『評史』 の状況は、「挟み撃ち」にしか見えない。
 しかも用例の「コストは上がるし売り上げは下がるしで、うちの会社は前門の虎後門の狼という状態だ」も「挟み撃ち」の意味で使ってるとしか思えない(笑)。
「一難去ってまた一難」なら、「コストの上昇を経営の合理化でなんとかしのいだと思ったら、今度は売り上げの減少かよ」くらいだろう。
 要するに、原典は「挟み撃ち」の意味だが、なぜか辞書は「一難去ってまた一難」の意味にしていて、世間は「挟み撃ち」の意味で使っている。
 これは「誤用」が元々の意味になっているってこと?
 訳わかんねえ(泣)。

 ヨタ話をもう少し。
 難を避けようとしてもっとヒドい状態になることをなんと言うか。
 これは前に調べたことがある。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1440119954
================引用開始
水たまりを避けて電柱に激突するみたいな話ですよね(笑)。
一応「小難を逃れて大難に遭う」というみたいです。あまり聞かないことわざですが。

英語だと下記のように言うそうです。
>Jump from the frying pan into the fire.
>フライパンから火の中へ。状況がますます悪化すること。
http://www.rondely.com/zakkaya/prv/prov2-2.htm

この直訳の「フライパンから火の中へ」でもよいのでは。これを「一難去ってまた一難」と訳すこともあるようですが、「小難を逃れて大難に遭う」とはちょっと違うと思います。
================引用終了
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