謙譲語性──申し訳がございません 申し訳ございません おそれいります かしこまりました
少し前から、「謙譲語性」ってことを考えている。
【ともども 共々 もろとも 諸共 辞書】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2973.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1922130460&owner_id=5019671
「謙譲語」とは言えないが、なんとなく「謙譲語」っぽい性質……くらいのニュアンスだろうか。
きっかけになったのは「承知」。
「承知。」って言いきりは時代劇でたまに見る。根拠はないけど、武士言葉って気がする。町人言葉だと「合点承知の助」になる。(←オイ!)
いつの間にか、軍隊用語の「了解。」のほうが優勢になり、現代語では「承知。」って言いきりはギャグでしかない。
「承知です」は文法的には間違ってないが、ほとんど見ない。
「承知した」「承知しました」にどの程度の謙譲語性があるか……と言うと、感じ方は個人差があるだろう。「ほとんど謙譲語」と考える人もいれば、「謙譲語ではないのだから謙譲語性はない」と考える人もいるだろう。どこまで行っても「主観」だから、そんなことで言い争ってもラチはあかない。この話は食傷気味なので強制終了する。
やはり下記が正解としか言えない。
【「了解」「了解です」「了解しました」「了解いたしました」〈4〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2957.html
================引用開始
【引用部】
なお、「持参」「承知」は、「参」「承」という字を含むので、謙譲語性が感じられる面もある(とくに「持参いたしました」「承知いたしました」「承知いたしております」というような場合は、もちろん「いたす」の力にたすけられるところもあろうが、謙譲語性は感じられよう)。が、「昼食は各自持参のこと」「上記の金額を……持参人へお支払いください」(小切手の文面。ちなみに「持参人」という語は関係法規にも見える)、「あなたも承知しておいてください」などのように、謙譲語とは言えない使い方をする場合も少なくない。さらに「ご持参ください」「ご承知の通り」のように尊敬語として使う場合もある(私自身の感覚では、相手とくに目上に「ご持参ください」と言うのは抵抗があり、使わないほうが無難だという気はするが)。結局、謙譲語性はすでに薄く(あるいは失い)、ただ改まった言い方として使われていると捉えるべきことになろう。(P.346~347)
どこで切ったらよいかわからず、ズルズルと引用してしまった。この「どこで引用をやめたらいいかわからん感覚」は、清水読本の読書感想文を書いたときに近い。
「参」「承」は謙譲語性は薄い、ということを、著者の文体で書くとこういうことになるのだろう。こうなる最大の原因は、著者の知識量があまりにも多いこと。こういう書き方をすると批判しているようにも見えるかもしれないが、決してそんなつもりはない。批判に読めるとしたら、書き手の人損?だろう。
================引用終了
で、謙譲語性が感じられる言葉には、2種類あるような気がする……ってのが本題。
ひとつは「ごめんなすって系」。
いろいろある。
「申し訳(が)ございませんが~」「失礼ですが~」「おそれいりますが~」「恐縮ですが~」
「申し訳(が)ございません。」「失礼(しました)。」だと謝罪の言葉だろう。これに「が~」がつくと、正体不明の前置きになる。「失礼」の語尾変化?に関してはスルーしておく。
「おそれいります。」「恐縮です。」だと感謝の言葉だろう。これも「が~」がつくと、正体不明の前置きになる。
ヌエ的なものに「済みません。」がある。単独で使うと、謝罪のニュアンスが強いが、感謝の言葉として通用しなくはない。
これらの言葉は謙譲語性をもっていると思うが「謙譲語」かと言うとNOだろう。謝罪の言葉や感謝の言葉は、「謙譲語」とは異なる系列なのかもしれない。もし「謙譲語」としている辞書類があったら教えてほしい。
で、もうひとつが「よくわからない系」。
「承知する」あたりがこれ。「承諾する」「承認する」「承服・承伏する」にどの程度の謙譲語性があるのかは言葉の神様に訊いてください。
もっと微妙なのが「かしこまりました」。
意外なことに、これを謙譲語とする根拠が見当たらない。
さまざまなところで、「了解いたしました」「承知いたしました」よりも謙譲語性が高い言葉として扱われている。個人的な感覚では、謙譲語だと思う。しかし、あれほど敬語の話を網羅している菊地本(『敬語』『敬語再入門』)がいっさいふれていない。
ちなみにWeb辞書を見ると、「謙譲語」とは言っていないが、ほぼ謙譲語って気がするが……。
http://kotobank.jp/word/%E7%95%8F%E3%81%BE%E3%82%8B?dic=daijisen&oid=03205500
■Web辞書『大辞泉』から
================引用開始
かしこま・る 【▽畏まる】
[動ラ五(四)]
3 命令・依頼などを謹んで承る意を表す。承りました。「はい、―・りました」
================引用終了
■Web辞書『大辞林』から
================引用開始
かしこまる【畏まる】
( 動ラ五[四] )
〔形容詞「かしこし」と同源〕
②(目上の人の言葉を)つつしんで承る。(依頼・指示などを)承諾する。 「はい,-・りました」 「太刀を持って来い。-・った/狂言・入間川」
================引用終了
気がかりなことがが2つある。
まず、『大辞林』の記述。「(目上の人の言葉を)つつしんで承る」なら謙譲語だろう。しかし「(依頼・指示などを)承諾する」だと謙譲語とは言いきれない。
もうひとつの気がかりは、過去にいくつも例をあげたように、Web辞書の敬語に関する記述はあてにならないこと。だから菊地本を頼りにしているのだが、今回は……。
1051)【参る 参ります 参りましょうか 参りましょう】辞書
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2877.html
1062)突然ですが問題です【日本語編171】──敬語の難問6 尊敬語 謙譲語 丁寧語 おる 申す【解答?編】辞書
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2867.html
1081)【「あげる」「~てあげる」は敬語なのか】辞書
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2909.html
【ともども 共々 もろとも 諸共 辞書】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2973.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1922130460&owner_id=5019671
「謙譲語」とは言えないが、なんとなく「謙譲語」っぽい性質……くらいのニュアンスだろうか。
きっかけになったのは「承知」。
「承知。」って言いきりは時代劇でたまに見る。根拠はないけど、武士言葉って気がする。町人言葉だと「合点承知の助」になる。(←オイ!)
いつの間にか、軍隊用語の「了解。」のほうが優勢になり、現代語では「承知。」って言いきりはギャグでしかない。
「承知です」は文法的には間違ってないが、ほとんど見ない。
「承知した」「承知しました」にどの程度の謙譲語性があるか……と言うと、感じ方は個人差があるだろう。「ほとんど謙譲語」と考える人もいれば、「謙譲語ではないのだから謙譲語性はない」と考える人もいるだろう。どこまで行っても「主観」だから、そんなことで言い争ってもラチはあかない。この話は食傷気味なので強制終了する。
やはり下記が正解としか言えない。
【「了解」「了解です」「了解しました」「了解いたしました」〈4〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2957.html
================引用開始
【引用部】
なお、「持参」「承知」は、「参」「承」という字を含むので、謙譲語性が感じられる面もある(とくに「持参いたしました」「承知いたしました」「承知いたしております」というような場合は、もちろん「いたす」の力にたすけられるところもあろうが、謙譲語性は感じられよう)。が、「昼食は各自持参のこと」「上記の金額を……持参人へお支払いください」(小切手の文面。ちなみに「持参人」という語は関係法規にも見える)、「あなたも承知しておいてください」などのように、謙譲語とは言えない使い方をする場合も少なくない。さらに「ご持参ください」「ご承知の通り」のように尊敬語として使う場合もある(私自身の感覚では、相手とくに目上に「ご持参ください」と言うのは抵抗があり、使わないほうが無難だという気はするが)。結局、謙譲語性はすでに薄く(あるいは失い)、ただ改まった言い方として使われていると捉えるべきことになろう。(P.346~347)
どこで切ったらよいかわからず、ズルズルと引用してしまった。この「どこで引用をやめたらいいかわからん感覚」は、清水読本の読書感想文を書いたときに近い。
「参」「承」は謙譲語性は薄い、ということを、著者の文体で書くとこういうことになるのだろう。こうなる最大の原因は、著者の知識量があまりにも多いこと。こういう書き方をすると批判しているようにも見えるかもしれないが、決してそんなつもりはない。批判に読めるとしたら、書き手の人損?だろう。
================引用終了
で、謙譲語性が感じられる言葉には、2種類あるような気がする……ってのが本題。
ひとつは「ごめんなすって系」。
いろいろある。
「申し訳(が)ございませんが~」「失礼ですが~」「おそれいりますが~」「恐縮ですが~」
「申し訳(が)ございません。」「失礼(しました)。」だと謝罪の言葉だろう。これに「が~」がつくと、正体不明の前置きになる。「失礼」の語尾変化?に関してはスルーしておく。
「おそれいります。」「恐縮です。」だと感謝の言葉だろう。これも「が~」がつくと、正体不明の前置きになる。
ヌエ的なものに「済みません。」がある。単独で使うと、謝罪のニュアンスが強いが、感謝の言葉として通用しなくはない。
これらの言葉は謙譲語性をもっていると思うが「謙譲語」かと言うとNOだろう。謝罪の言葉や感謝の言葉は、「謙譲語」とは異なる系列なのかもしれない。もし「謙譲語」としている辞書類があったら教えてほしい。
で、もうひとつが「よくわからない系」。
「承知する」あたりがこれ。「承諾する」「承認する」「承服・承伏する」にどの程度の謙譲語性があるのかは言葉の神様に訊いてください。
もっと微妙なのが「かしこまりました」。
意外なことに、これを謙譲語とする根拠が見当たらない。
さまざまなところで、「了解いたしました」「承知いたしました」よりも謙譲語性が高い言葉として扱われている。個人的な感覚では、謙譲語だと思う。しかし、あれほど敬語の話を網羅している菊地本(『敬語』『敬語再入門』)がいっさいふれていない。
ちなみにWeb辞書を見ると、「謙譲語」とは言っていないが、ほぼ謙譲語って気がするが……。
http://kotobank.jp/word/%E7%95%8F%E3%81%BE%E3%82%8B?dic=daijisen&oid=03205500
■Web辞書『大辞泉』から
================引用開始
かしこま・る 【▽畏まる】
[動ラ五(四)]
3 命令・依頼などを謹んで承る意を表す。承りました。「はい、―・りました」
================引用終了
■Web辞書『大辞林』から
================引用開始
かしこまる【畏まる】
( 動ラ五[四] )
〔形容詞「かしこし」と同源〕
②(目上の人の言葉を)つつしんで承る。(依頼・指示などを)承諾する。 「はい,-・りました」 「太刀を持って来い。-・った/狂言・入間川」
================引用終了
気がかりなことがが2つある。
まず、『大辞林』の記述。「(目上の人の言葉を)つつしんで承る」なら謙譲語だろう。しかし「(依頼・指示などを)承諾する」だと謙譲語とは言いきれない。
もうひとつの気がかりは、過去にいくつも例をあげたように、Web辞書の敬語に関する記述はあてにならないこと。だから菊地本を頼りにしているのだが、今回は……。
1051)【参る 参ります 参りましょうか 参りましょう】辞書
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2877.html
1062)突然ですが問題です【日本語編171】──敬語の難問6 尊敬語 謙譲語 丁寧語 おる 申す【解答?編】辞書
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2867.html
1081)【「あげる」「~てあげる」は敬語なのか】辞書
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