2014年02月の朝日新聞から
【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
【索引】
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●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html
●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html
【2014年02月】
14-02-01
15日
すぐれた作品は社会批評としての射程が長い。(朝刊40面)
板垣麻衣子記者。『星新一ミステリーSP』の紹介記事。ショートショートをオムニバスドラマに仕上げるのは無理があるなぁ……って話を書いている場合ではない。この「射程」は「射程距離」にしなかったとう意味では○。ただ、「社会批評としての射程が長い」って、どういう意味なんだろう。この場合、ただ単に「すぐれた文学作品は寿命が長い」ってことじゃないのかね。
14-02-02
19日
別の委員から「そういう物言いはおかしい」と反発する声があがり、浜田健一郎委員長がぶぜんとして「終わります」と委員会を打ち切ったという。(朝刊38面)
川本裕司編集委員。この「ぶぜん」が正用(悄然)か誤用(不機嫌そうに)かは、微妙。ただ、雰囲気からすると誤用だろうな。どうやら相撲の担当記者以外にもこの誤用の使い手がいるようだ。
14-02-03
21日
東京都の舛添要一知事は21日、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が、浅田真央選手について「大事な時には必ず転ぶんですよね」と述べたことに対し「若干困ったことだ。今後はおっしゃらない方がいいとやんわり進言したい」と苦言を呈した。(夕刊19面)
記者不明。記事のタイトルは「森氏発言に苦言」。なんでこんなに一文が長いんだ? かなり微妙。ネット記事で芸能人が「苦言を呈する」よりはまともな使い方だが、舛添知事と森喜朗元首相の政治家としての格を考えると……。「おっしゃらない方がいいと」「やんわり」「進言したい」立場なら、「苦言」はナシだと思う。
14-02-04
19日
知識や権威筋によらず自分の感性に頼り切るあたり、この人らしく潔い。(「天声人語」)
最近まめにチェックしているサイトで教えてもらった。引用する。
http://blog.goo.ne.jp/goonosh100/e/6cea868580ccada6f433eb1f73f98d9c
================引用開始
絵画についてだが、作家の開高健が「感動のきっかけは最初の一瞥(いちべつ)にある」と書いていた。そこで自分をとらえてくれなかったものは凡作であると。知識や権威筋によらず自分の感性に頼り切るあたり、この人らしく潔い。賞の意味など、どこかに消える。
(2014/02/19 朝日新聞 天声人語)
「総理大臣賞」などの権威に対する弱さを扱ったコラムの最後の方からの引用です。ここで「権威筋」という言葉が使われていますが、辞書にによると、その意味は次のとおりです。
けんい‐すじ 〔ケンヰすぢ〕 【権威筋】(デジタル大辞泉)
ある分野や事柄に精通している人や機関。報道などで、情報源を公表しないとき、情報の信頼度が高いことを示すのに用いる。
上の文中で「権威筋」という言葉がどのような意味で使われているのか、今一つはっきりしません。「総理大臣賞のような権威を感じさせるもの」なのかもしれませんし、辞書に書かれているとおり、「ある分野や事柄に精通している人や機関」なのかもしれません。どうも前者のような気もしますが、はっきりしません。
さて、この「権威筋」という言葉の使用状況を日本語コーパス「少納言」で調べてみました。すると、恐らく「権力者」の意味で使用しているであろうと思われるものが見つかりました。幾つか挙げておきます。辞書のとおりの意味とはっきりわかるものは、見当たらないようでした。
================引用終了
そもそも、「権威筋」という言葉が当方の語彙にない。聞いたことがあるのは「消息筋」あたりかな。Web辞書を引くと「信頼すべき筋」って項目があり、「消息筋」や「権威筋」に近いらしい。「信頼すべき筋」って辞書に立項されるような言葉なんだろうか。
14-02-05
23日
動詞形の張るを手元の辞書でひくと、もともとは糸や布などをたるみのないように延ばしたり広げたりすることらしい(天声人語)
異字同訓の使い分けに関して文化庁がまとめたらしい。それ自体は悪いことではないと思う。ただ、ホントにそんなことが必要なんだろうか。新聞社あたりの用字用語にまかせておくべきでは。そんなことよりほかにやるべきことがあるのでは。句読点の打ち方の目安とか……。
ここで問題です。「糸や布などをたるみのないようにノばしたり」は「延」でしょうか「伸」でしょうか。さっそく文化庁のサイトを確認してみた。
================引用開始
【伸ばす・伸びる・伸べる】まっすぐする。増す。そのものが長くなる。差し出す。手足を伸ばす。旅先で羽を伸ばす。伸び伸びと育つ。勢力を伸ばす。輸出が伸びる。学力が伸びる。草が伸びる。身長が伸びる。救いの手を差し伸べる。
【延ばす・延びる・延べる】遅らす。つながって長くなる。重複も認め合計する。広げる。出発を延ばす。開会を延ばす。支払いが延び延びになる。地下鉄が郊外まで延びる。寿命が延びる。終了時間が予定より10分延びた。延べ1万人の観客。金の延べ棒。
================引用終了
はっきり書こう。これじゃわからないと思う。手元の共同通信社の『記者ハンドブック』によると、「糸」は「伸ばす」。「布」は不明。「しわがのびる」らしいから、「布」も「のばす」かな。ことほどさように微妙なものは手に負えない。こんなものを一般人に広めて何かいいことあるのかな。
【メモ】
【「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)】
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/bunkasingi/pdf/ijidoukun_140221.pdf
【漢字小委員会の審議状況について(経過報告)】H25.11.12
http://www.bunka.go.jp/kokugo%5Fnihongo/syoiinkai/iinkai%5F05/pdf/sanko.pdf
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●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html
【2014年02月】
14-02-01
15日
すぐれた作品は社会批評としての射程が長い。(朝刊40面)
板垣麻衣子記者。『星新一ミステリーSP』の紹介記事。ショートショートをオムニバスドラマに仕上げるのは無理があるなぁ……って話を書いている場合ではない。この「射程」は「射程距離」にしなかったとう意味では○。ただ、「社会批評としての射程が長い」って、どういう意味なんだろう。この場合、ただ単に「すぐれた文学作品は寿命が長い」ってことじゃないのかね。
14-02-02
19日
別の委員から「そういう物言いはおかしい」と反発する声があがり、浜田健一郎委員長がぶぜんとして「終わります」と委員会を打ち切ったという。(朝刊38面)
川本裕司編集委員。この「ぶぜん」が正用(悄然)か誤用(不機嫌そうに)かは、微妙。ただ、雰囲気からすると誤用だろうな。どうやら相撲の担当記者以外にもこの誤用の使い手がいるようだ。
14-02-03
21日
東京都の舛添要一知事は21日、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が、浅田真央選手について「大事な時には必ず転ぶんですよね」と述べたことに対し「若干困ったことだ。今後はおっしゃらない方がいいとやんわり進言したい」と苦言を呈した。(夕刊19面)
記者不明。記事のタイトルは「森氏発言に苦言」。なんでこんなに一文が長いんだ? かなり微妙。ネット記事で芸能人が「苦言を呈する」よりはまともな使い方だが、舛添知事と森喜朗元首相の政治家としての格を考えると……。「おっしゃらない方がいいと」「やんわり」「進言したい」立場なら、「苦言」はナシだと思う。
14-02-04
19日
知識や権威筋によらず自分の感性に頼り切るあたり、この人らしく潔い。(「天声人語」)
最近まめにチェックしているサイトで教えてもらった。引用する。
http://blog.goo.ne.jp/goonosh100/e/6cea868580ccada6f433eb1f73f98d9c
================引用開始
絵画についてだが、作家の開高健が「感動のきっかけは最初の一瞥(いちべつ)にある」と書いていた。そこで自分をとらえてくれなかったものは凡作であると。知識や権威筋によらず自分の感性に頼り切るあたり、この人らしく潔い。賞の意味など、どこかに消える。
(2014/02/19 朝日新聞 天声人語)
「総理大臣賞」などの権威に対する弱さを扱ったコラムの最後の方からの引用です。ここで「権威筋」という言葉が使われていますが、辞書にによると、その意味は次のとおりです。
けんい‐すじ 〔ケンヰすぢ〕 【権威筋】(デジタル大辞泉)
ある分野や事柄に精通している人や機関。報道などで、情報源を公表しないとき、情報の信頼度が高いことを示すのに用いる。
上の文中で「権威筋」という言葉がどのような意味で使われているのか、今一つはっきりしません。「総理大臣賞のような権威を感じさせるもの」なのかもしれませんし、辞書に書かれているとおり、「ある分野や事柄に精通している人や機関」なのかもしれません。どうも前者のような気もしますが、はっきりしません。
さて、この「権威筋」という言葉の使用状況を日本語コーパス「少納言」で調べてみました。すると、恐らく「権力者」の意味で使用しているであろうと思われるものが見つかりました。幾つか挙げておきます。辞書のとおりの意味とはっきりわかるものは、見当たらないようでした。
================引用終了
そもそも、「権威筋」という言葉が当方の語彙にない。聞いたことがあるのは「消息筋」あたりかな。Web辞書を引くと「信頼すべき筋」って項目があり、「消息筋」や「権威筋」に近いらしい。「信頼すべき筋」って辞書に立項されるような言葉なんだろうか。
14-02-05
23日
動詞形の張るを手元の辞書でひくと、もともとは糸や布などをたるみのないように延ばしたり広げたりすることらしい(天声人語)
異字同訓の使い分けに関して文化庁がまとめたらしい。それ自体は悪いことではないと思う。ただ、ホントにそんなことが必要なんだろうか。新聞社あたりの用字用語にまかせておくべきでは。そんなことよりほかにやるべきことがあるのでは。句読点の打ち方の目安とか……。
ここで問題です。「糸や布などをたるみのないようにノばしたり」は「延」でしょうか「伸」でしょうか。さっそく文化庁のサイトを確認してみた。
================引用開始
【伸ばす・伸びる・伸べる】まっすぐする。増す。そのものが長くなる。差し出す。手足を伸ばす。旅先で羽を伸ばす。伸び伸びと育つ。勢力を伸ばす。輸出が伸びる。学力が伸びる。草が伸びる。身長が伸びる。救いの手を差し伸べる。
【延ばす・延びる・延べる】遅らす。つながって長くなる。重複も認め合計する。広げる。出発を延ばす。開会を延ばす。支払いが延び延びになる。地下鉄が郊外まで延びる。寿命が延びる。終了時間が予定より10分延びた。延べ1万人の観客。金の延べ棒。
================引用終了
はっきり書こう。これじゃわからないと思う。手元の共同通信社の『記者ハンドブック』によると、「糸」は「伸ばす」。「布」は不明。「しわがのびる」らしいから、「布」も「のばす」かな。ことほどさように微妙なものは手に負えない。こんなものを一般人に広めて何かいいことあるのかな。
【メモ】
【「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)】
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/bunkasingi/pdf/ijidoukun_140221.pdf
【漢字小委員会の審議状況について(経過報告)】H25.11.12
http://www.bunka.go.jp/kokugo%5Fnihongo/syoiinkai/iinkai%5F05/pdf/sanko.pdf
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