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自動詞と他動詞〈2〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2014年03月08日から

 動詞は、おおざっぱに言うと自動詞と他動詞がある。
 日本語の場合、自動詞と他動詞(以下「自他」と書く)の話がどこまで正確なのかわからないところがあるが、ここでは無視する。↑にあった定義に従っておく。例外については【自動詞と他動詞〈1〉】http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2936.html参照。
http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/1h93fy/jita.html
================引用開始
自動詞
〈「を」+動詞〉の形にならない動詞

他動詞(たどうし)
〈「を」+動詞〉の形になる動詞
================引用終了

 複合動詞(「付けかえる」などのような動詞を便宜的にこう呼ぶ)の場合、前半と後半の自他が一致するほうが自然なことが多い(はず)。後半のほうが支配力が強いという説も聞くし、例外はいろいろあるが……。
  立ち直る(自+自)○
  立ち直す(自+他)△
  立て直る(他+自)△
  立て直す(他+他)○

■「立ち上げる」
 例外のトップに上げたいのが「立ち上げる」。「会社を立ち上げる」「パソコンを立ち上げる」などと使う。
 法則性で考えると下記になるはず。
  立ち上がる(自+自)○
  立ち上げる(自+他)△
  立て上がる(他+自)△
  立て上げる(他+他)○

 転んだ子供が「立ち上がる」という用法のほか、先にあげた「立ち上げる」も広く使われる。そのためか、「立て上げる」のほうはあまり見ない。「(建築物を)を建て上げる」なら問題はなさそうだが、これもあまり見ない。

■「並び替わる」と「並べ替える」
 法則に従うなら下記のようになる。
  並び替わる(自+自)○
  並び替える(自+他)△
  並べ替わる(他+自)△
  並べ替える(他+他)○ 

「数字が自動的に並び替わる」「数字を並べ替える」が自然だろう。
 理由は不明だが「並び替え(る)」とする例をかなり見る。mixiのExcelのコミュでは「並び替え」という言葉がたびたび問題になっていた。Excelに限れば、「並べ替え」でないとおかしい。法則性云々ではなく、Excelのプルダウンメニューが「データ」→「並べ替え」になっているから。
「並び」を「替える」と考えれば「並び替え」でもおかしくはない、という説を目にすることもある。まあ、Excelの仕様を別にして日本語の問題と考えるなら、そういう考え方もアリかもしれない。
 個人的には相当気持ちが悪く感じる。某テレビ番組で「並び替え川柳」という言葉が使われるたびに引っかかるものがあり、投書をしようかと半ば本気で考えている。

■「聞き飽きる」
 これは↓のmixiのトピで教えてもらった。
「他+自」の形になっているので不自然なはずだが、書きかえようがない(泣)。

■少し関係しそうなトピ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=21710714&comm_id=19124

 コメントを回収しておく。
================引用開始
[10] 2007年08月12日 00:32

tobirisu
 当方の意見を初めに書いておくと、あげられた例文に関してはすべて「*」です。ただし、文脈によっては「?」ということもあるかもしれません。
 そもそも複合動詞を形成しているそれぞれの動詞がどんな助詞を伴うか、ということから考えてみました。たとえば「走り続ける」なら、「走る」も「続ける」が両方とも同じような助詞を伴うので、「走り続ける」も同様になり、迷う余地はないと思います。
 例文をすべて検討すると煩雑になるので、「聞き飽きた」を例に考えましょう。語感に多少の違いはあっても、ほかも同様だと思います。
     ~に  ~を  ~は  ~も
聞いた  ×   ○    ○   ○
飽きた  ○   △    ○   ○
 原則としては、両方の動詞が伴いうる助詞でなければ使いにくいのではないでようか。
「に」を使うと異和感があるのは、「聞いた」が「に」を伴わないからだと思います。この観点もあって、当方の語感では「には」にしてもすべて「*」です。一方、「を」だとさほど異和感がないのは、
1)「飽きた」が「を」を伴うことも可能だから(どちらかというと「に」が自然ですが)
2)直接助詞と結びつく「聞いた」が「を」伴うのが自然だから(あるいは、「聞いた」が主、「飽きた」が従、という考え方もできるかもしれません)
 両方の動詞と結びつく「は」「も」は文としては成り立ちますが、当然のことながら「限定」「累加」などの意味合いが付加されるので、文脈によっては不自然になります。

 いずれにしても、文脈しだいのところがあります。
6:accoさんのコメント中にあった
「虫は春からこの方、ずっと青葉に食べ飽きて、」
 なら、「は」は「虫は」と重複感があって少しヘンでしょう。間を省略して「虫は青葉は食べ飽きて」とすると、あきらかにヘンになります。「も」もほかに食べ飽きたものが出てこないのならヘンです。この場合なら「に」もアリかなと思います。個人的な語感では「を」ですが。
 そもそも、他動詞的な「聞く」と自動詞的な「飽きる」が結びついた「聞き飽きる」がイレギュラーな表現な気がします。よく指摘される「並び替え」(「並べ替え」が正しい表現でしょう)のような気持ちの悪さがあります。
 8:ichamonologystさんのコメントあるように、「必須格であるニ格・ヲ格を用いている例が案外少ない」のも、この気持ちの悪さと関係があると思います。
 素人考えで長々と失礼しました。土曜日中のタイムリミットを少し過ぎてしまいましたが、ご参考までに。
================引用終了

================引用開始
[19]
2007年08月12日 19:34

tobirisu
 まず、いまさらながらひとつ提案です。当方はMacintosh環境で見ているため、冒頭の例文のマルイチ、マルニと思われるものが化けています。 16: Crane Ugoさんの〈???では、「にも」とすると〉あたりになると、判読できません。ということで、改めて下記のようにしました。さしさわりがあるなら、修正してください。

1)彼のくだらない冗談に聞き飽きた。
2)病室の窓から見える殺風景な景色に見飽きた。
3)子供向けの漫画に読み飽きた。
4)日本に10年住んでいるので生魚に食べ慣れた。
5)ロンドンに10年住んでいるのでイギリス英語に聞き慣れた。
6)最初は驚いたが、今では彼女の風変わりな髪型や服装に見慣れた。
 
 当方の考えは保守的なのかもしれませんが、「にも」にすると、
  1)2)3)(~にも○○飽きた)は「*」
  4)5)6)(~にも○○慣れた)は「?」
 です。いずれも、「にも」にするなら、「も」にするべきという気がします。

「ている」「てきた」にすると「に」がOKというのは、最初はそう思いました。
 おそらく、「ている」「てきた」にすると、それだけ、「飽きる」「慣れる」の部分の字面が重くなるので、それだけ、「に」との親和性が強まるからでしょう。
 ただし、じいっと眺めているうちに感じが違ってきました。やはりすべて「*」です。もはや当方の語感は何の判断力ももたなくなったようです(泣)。
 やはり通常の形は「~を」でしょうが、原因不明の気持ちの悪さは感じるので、自分では極力使わないと思います。こうして使えない表現がまたひとつ増えてしまいました。

17: accoさんのコメント中の
「そこらの中華料理に食べ飽きている人はぜひ行ってみてください。」
 に関しては、この文脈なら「に食べ飽きている人」でも「に食べ飽きた人」でもさほどおかしくないかな、と思います。個人的な語感ではどちらも「を」ですが。
 このあたりの語感の問題は、水掛け論になる気がします。
================引用終了
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