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日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い1

【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html


 少し前に下記のトピが立った。
 しばらくしたら、この日記のリンクを張ろうと思う。このままではtobirisuが恥をかいてしまう可哀想、と思う心優しい方は、補足のコメントをください。

自然に、と 自然と、 の違い】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41239142&comment_count=4&comm_id=398881

 トピ主の質問は以下のとおり(一部勝手に加工する)。
================================
自然「に」友達になりました。自然「と」友達になりました。
この二つの「に」と「と」の
違いを聞かれました。
「に」はプロセスに焦点、「と」は結果に焦点と答えましたが、
どなたか、明確なお答えをお願いいたします。
================================

「プロセス」とか「焦点」とか説明して理解できるのだろうか。微妙すぎて少なくとも当方は理解できない。ほぼ同じとしか思えない。
「○○に行く」と「○○へ行く」の違い、って問題と似ている気がする。「目的地」と「方向」の違いとか説明されても、そんな微妙なことは当方には理解できない。ほぼ同じだと思う。
 こういうのは「個人の感覚」「個人の意見」でしかないだろう。そんなことを断言する根拠はなんなのだろう。ちなみに「語感」とかを根拠に断言する人が多いけど、それだけでは根拠にはなりにくい。そんなことを言い合っても、水掛け論にしかならない。
 この質問はいくつかの要素を含む難問だけど、書いてみる。

 トピを見ると辞書もひかずに思いつきで書いているコメントがある。きっとすごい上級者なんだろう。こんな問題を辞書もひかずに答えられるなんて。
 まずネット辞書から抜粋する。コメントの「2」で引いているが、不完全な気がする。「4」※のコメントも一面的。こういう微妙なものの場合は、疑問を感じたら複数の辞書をひくべきだろう。
 ※読み返して間違いに気づいた。「4」ではなく「6」です。申し訳ない。
 当方が見た3種の辞書は副詞を採用している。とはいえ、副詞なのか「副詞的に使う」なのかは、この場合はたいした問題ではない。

『大辞泉』===========================
し‐ぜん【自然】
[形動][文][ナリ]
1 言動にわざとらしさや無理のないさま。「気どらない―な態度」「―に振る舞う」
2 物事が本来あるとおりであるさま。当然。「こうなるのも―な成り行きだ」
3 ひとりでにそうなるさま。「―にドアが閉まる」

[副]
1 ことさら意識したり、手を加えたりせずに事態が進むさま。また、当然の結果としてそうなるさま。おのずから。ひとりでに。「無口だから―(と)友だちも少ない」「大人になれば―(と)わかる」

『大辞林』===========================
(形動)
行為や態度がわざとらしくないさま。
―な動作
―な反応

(副)
(「に」や「と」を伴うこともある)ひとりでに。おのずと。
―に体が震えてくる
世の中のことが次第に分るにつれ―と心に合点が行き〔出典: 谷間の姫百合(謙澄)〕
―祖母が一家の実権を握つてゐた〔出典: 平凡(四迷)〕
================================

 手元の『広辞林』だと「形容動詞」はのせていない。副詞で「―(に・と)ねむくなる」の例をのせている。『大辞林』とほぼ同じと考えていいだろう。どちらも「自然に」と「自然と」の違いは書いていない。辞書的には同じってことなんだろう。
 やっぱりこういう問題は辞書をひかないとダメだな。調べるまでは「自然と」は△と思っていたが、そんなことはないようだ。


1)副詞の働きをする「○○に」と「○○と」の違い
 同じように両方の形をとるものとして思いつくもの。
  「意外に」「意外と
  「割合に」「割合と
  「割に」「割と
 以前は「意外に」「割合に」「割に」が正しい日本語で、「意外と」「割合と」「割と」は俗語、話し言葉の類いとされていたはず。最近は採用している辞書もあるらしい。古い話は記憶に頼っているだけなので、強く主張する気はない。
自然に」「自然と」も、ほぼ同様だと思っていた。古い用例があるから、「自然と」もアリなんだろう。ただ、個人的には、「自然と」は使いにくい。原則として「自然に」を使う。ほかも同様で、「○○に」が自然な日本語だと思う。

 念のため、ネット辞書と手元の『広辞林』(1988年版)で調べてみる。
     大辞泉  大辞林  広辞林
意外と  有    無※1  無
割合と  無    無※2  無
割と   有※3  有    有
※1 なぜか調べることさえできない(泣)
※2 「割と」の意味に「わりあいと」があるのに項目がない(笑)
※3 「割に」と同じ、とあるからフツーに考えれば「割に」が本筋だろう。

 辞書も錯綜気味?
 辞書に項目がないからといって、「意外と」「割合と」が間違いとは言いきれない。下記の2)のような考え方もできるからだ。


2)「自然」と「自然と」の違い
 副詞の「と」に関しては以前同じコミュでトピが立っている。
【「机の上に本を山と積む」の「と」について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=37186676&comment_count=1&comm_id=398881
 このときにも辞書もひかないコメントが入っている。きっとすごい上級者なんだろう。このトピの流れは細かい部分で疑問があるが、パスする。

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A8&dtype=0&dname=0na&stype=1&index=12961900&pagenum=11
================================
[格助]名詞、名詞的な語、副詞などに付く。
1 動作をともにする相手、または動作・関係の対象を表す。「子供―野球を見に行く」「友達―けんかをした」「苦痛―闘う」
「しぐれ降る暁月夜紐解かず恋ふらむ君―居(を)らましものを」〈万・二三〇六〉
2 (文や句をそのまま受けて)動作・作用・状態の内容を表す。引用の「と」。「正しい―いう結論に達する」
「名をばさかきの造(みやつこ)―なむいひける」〈竹取〉
3 比較の基準を表す。「君の―は比べものにならない」「昔―違う」
「思ふこといはでぞただにやみぬべき我―ひとしき人しなければ」〈伊勢・一二四〉
4 動作・状態などの結果を表す。「有罪―決定した」「復讐(ふくしゅう)の鬼―化した」
「年をへて花の鏡―なる水は散りかかるをやくもるといふらむ」〈古今・春上〉
5 (副詞に付いて新たな副詞をつくり)ある状態を説明する意を表す。「そろそろ―歩く」「そよそよ―風が吹く」
「ほのぼの―春こそ空に来にけらし天のかぐ山霞たなびく」〈新古今・春上〉
(以下略)
================================

「自然と」の「と」は上記の「5」だろう。手元の『広辞林』だと、同じことを「状態を強めていう」としている。「そろそろ」「そろそろと」のように「と」があってもなくてもどちらもアリってことらしい。
 そう考えれば、「自然」も「自然と」もアリ。厳密に言うと、「自然と」は1語の副詞ではなく、副詞の「自然」に助詞の「と」がついたと考えるべきではないだろうか。まあ、1語でも2語でも大きな違いはないけど。 


3)結果などを表わす「と」と「に」の使い分け
 これは前に別のトピで書いた。
【来る人がいない?/ご参考ください の違和感】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39728414&comment_count=11&comm_id=19124
================================
>0
>「参考に」と「参考と」のニュアンスの違いはなんなんでしょうか。
 諸説あるようですが、個人的には意味はほとんど同じと考えています。
「と」のほうが少し堅苦しいニュアンスがあると感じるので、自分では極力「に」を使うことにしています。ただし、「一丸となる」の場合などは、「と」のほうが自然でしょう。
 この話もキチンと書こうとするとかなり長くなるので省略します。
================================

 こういう用法(『大辞泉』の「と」の項の「4」とほぼ同じ)だと、基本的には「と」でも「に」でも大きな違いはない。「と」には意志が感じられると書いてある本があったけど、ちゃんとした根拠があるとは思えない。当方は原則「に」を使うけど、「と」が好きな人は「と」を使えばいい。「と」のほうが「少し堅苦しいニュアンスがある」ってことは、「少しだけ格調が高く感じられる」と言いかえることもできる。
 ただし、どちらでもいい場合は好きなほうを使えばいいということで、なんでもかんでもどちらかに統一、なんてムチャなことは言えない。

 関係しそうな話。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1317.html
================引用開始
 P.155~156〈「~に行く」と「~へ行く」の違いを知る〉。
 表題の「~に」と「~へ」の違いはよく見る。正直なところ、どう違うのかよく判らない。「~に」と「~へ」の違いに続いて「と」と「に」の違いについての解説がある。
【引用部】
 (1)「大学生となる」
 (2)「大学生になる」
 日没の光が失せ、夜になった、とは言うが、夜となった、とはめったに言わない。「~になった」は、自然にそのような状態に達した時に使う。よって、(2)は、たいして考えもせず、または苦労せずに、昼が夜になるように大学生になったというニュアンスである。それに対し、「~となる」は、能動的な意志を表すので、(1)からは、意思や苦労が伝わってくる。

 こんなことが言えるのだろうか。たとえば将来の夢を訊かれた小学生が「〇〇になる」と答える。これは受動的? よく判らん。
================引用終了

『大辞泉』の「自然」の項に出ていた副詞用法の場合も注意が必要だろう。
  A 無口だから自然(と)友だちも少ない
  B 大人になれば自然(と)わかる
 Bは「に」にできるが、Aは「に」にはしにくい。たいていの「自然と」は「自然に」に書きかえることができるのに、これはむずかしい。そういう例がのっているのは偶然なんだろうか?
 繰り返すけど、個人的には「自然と」は俗語、話し言葉のような印象なので使いたくない。Aの例なら下記のように書きかえる。
  A-2 無口だから友だちも少ない
  A-3 無口だから必然的に友だちも少ない
  A-4 無口なせいで友だちも少ない
 A-3には少し異和感がある。

【続きは】↓
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1235.html

【日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-588.html
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