「ニ」か「ト」か──~になる ~となる ~になった ~となった ~になりたい ~となりたい

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【13】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929935424&owner_id=5019671

mixi日記2014年09月04日から

 直接的には下記の続きだろうな。
29)【日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-305.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1127505631&owner_id=5019671
979)【日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い〈4〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2773.html

 あまり踏み込みたく話だけど、ちょっと気になるもんで。
 基本線は↑29)で書いたとおり。
================引用開始
 諸説あるようですが、個人的には意味はほとんど同じと考えています。
「と」のほうが少し堅苦しいニュアンスがあると感じるので、自分では極力「に」を使うことにしています。ただし、「一丸となる」の場合などは、「と」のほうが自然でしょう。
 この話もキチンと書こうとするとかなり長くなるので省略します。
================引用終了

「意思」がどうのとか「苦労」がどうのとか「結果を重視するなら」どうのとか主張する人がいるが、関知したくない。
 ただ、ちょっと注釈が付け加えたい。「意味はほとんど同じ」でどちらでもOKなのは、「ニ」と「ト」の両方が使える場合限定。一方しか使えない場合もある。
 Web辞書の記述やリンクがころころかわるので、最新のものをひいておく。
 今回は『大辞林』(第三版)を見る。
http://kotobank.jp/word/%E3%81%AB?dic=daijisen&oid=13940200
================引用開始

一( 格助 )
〔上代から用いられている語で,動作・作用が行われ,また存在する,時間的・空間的な位置や範囲を示すのが本来の用法〕

⑨変化する結果を表す。 「学者-なる」 「星-なりたい」
================引用終了

http://kotobank.jp/word/%E3%81%A8?dic=daijirin&oid=DJR_to_-220
================引用開始

一( 格助 )
③動作・作用などの帰結・結果を表す。 「学生-なる」 「名を一郎-改める」
================引用終了

 これを見るだけで、説明は違っても「ニ」と「ト」の両方が使える場合には「意味はほとんど同じ」ことがわかる。「学者になる」と「学生となる」はどちらも「ニ」でも「ト」でも大差がない。「名を一郎と改める」も「ニ」にできる。すでに書いたように、当方はこういう場合は「ニ」を使うことにしている。それでなんの支障もない。
 だから微妙なニュアンスの違いを主張したい人を否定する気はないって。そんなのは「単なる主観」と紙一重なんだから。強引な論理でもっともらしく違いをあげてどんないいことがあるのかサッパリわからないけど。
 問題は互換性がない場合。
「星になりたい」……これは「ト」にはできない。「星{ニ/ト}なる」「星{ニ/ト}なった」だとどちらもOK。なぜなんでしょう。
 ↑の過去日記で、同じような例が出てきた。29)の〈小学生が「〇〇ニなる」と答える〉。このほかに、と979)の「危篤ニ陥る」も「ト」にはできない。
 後者は「陥る」との親和性の問題だろう。「危篤{ニ/ト}なる」なら両方OKだから。たとえば「単純ミス{ニ/ト}わかる」なら「ニ」にできないのと同じだろう。とりあえず「~{ニ/ト}なる」に限っておこう
 さて、「星になりたい」だとSFみたいで非現実的なんで、「医師になりたい」で考える。下記のうち不自然なのはどれか。
 大前提として、個人的には「ニ」しか使わない。
  1)医師ニなる
  2)医師トなる
  3)医師ニなった
  4)医師トなった
  5)医師ニなりたい
  6)医師トなりたい
 
 1)~6)のどれも間違いではないだろうが、6)は不自然に感じる。この理由がわからない。
 未来のことだから×……最初に浮かんだのはこれ。ただ、「将来の夢は医師{ニ/ト}なること」「医師{ニ/ト}なる希望をもっている」を×にする度胸はない。
 あえて言うなら、「ニ」と比べて堅苦しいニュアンスになる「ト」は「~たい」というやわらかい表現と相性がよくないのかも。そうなのか?

「結果 となる  になる 助詞」でネット検索すると、例によって有象無象が(泣)。
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E7%B5%90%E6%9E%9C+%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B++%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B+%E5%8A%A9%E8%A9%9E&aq=-1&oq=&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&x=wrt

 わかりやすそうなのをひいておく。なんか、前に引用した書籍をそのままパクってるのもあるな(黒笑)。そういうのは相手にしないほうがよさそう。
 下記は本格的な論文。
http://www2.dokkyo.ac.jp/~esemi008/kenkyu/kumagai.html
================引用開始
 他にも「と」と「に」が交代可能な例はある。
「空き部屋を物置と/にする」(森田 1980:330)「先生と/になる」(森田 1980:331)などの動作の結果を表す場合である。
これも、前述のケースと同じように「と」と「に」の用法によって発想が異なる。
「空き部屋を物置とする」の場合、空き部屋の使用法として物置として用いるという事を意味するが、一方、「空き部屋を物置にする」の場合、空き部屋を工事、改造するという意味になる(森田 1980:330)。
「先生となる」のでは何かを教える師の立場に立つだが、「先生になる」は教職に就くという事態を表す(森田 1980:331)。
「に」を使用した場合はA→Bへの変化を表し、「と」を使用した場合はAが変化せずに存続しBと一つになる(A→←B)、と区別できる。

 森田(1980:331)はまた以下のように、動作の結果を表す場合でも「と」と「に」の用法の違いから、両者の交換が不可能な文も存在するとしている。
「氷を水にする」「車をスクラップにする」など変化を表す表現では「と」は使えない。
逆に「禍を転じて福となす」(森田1980:331)の場合、禍は変化せずに続くが、それを活用してかえって幸せになれるようにするという意味なので、禍→←福が一つになるのを表現できる「と」を用いる。
================引用終了
「空き部屋を物置{ニ/ト}する」
「先生{ニ/ト}なる」
 どちらも意味が違いますか。
 前者はパスして後者に関して。「教職に就く」は「先生トなる」と言ってはダメなの? じゃあ『大辞林』は間違いなんだ。何度でも書くが、個人的には「ト」は使わないけど、それは単に趣味の問題。
「何かを教える師の立場に立つ」と「教職に就く」で助詞を使い分けるものなんだ。そんなぁ……(笑)。
 できればその調子で「生徒{ニ/ト}なる」「学者{ニ/ト}なる」「医師{ニ/ト}なる」も解説していただけませんか。 

【「~になる」と「~となる」の使い分け】リンクが張れない(泣)。
「単なるアンケート」とも言えるけど、結論部を箇条書きにする。
・「に」よりも「と」のほうがフォーマルな文体に適している
・書き言葉では「と」が選ばれることがほとんど

【イメージで教える日本語の格助詞 - 名古屋大学】
https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/achivement/pdf/026.pdf#search='%E7%B5%90%E6%9E%9C+%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B++%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B+%E5%8A%A9%E8%A9%9E'
 この図は前にトピで見たな。

「~{ニ/ト}する」に関してはまた今度。
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