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「ない」「無い」「ありえない」「可能性が無い」表記の話17 辞書

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【13】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929935424&owner_id=5019671

mixi日記2014年09月30日から

 下記の仲間だろう。
【「表記の話」のバックナンバー】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2902.html

 表記の話なんで、例によって深入りはしたくない。
「無い」とか「有る」の表記をどうするか。こんなものは全部ひらがなにしておくに限る。ということで終了。
 でもいいんだけど、Web辞書の記述があまりにもホニャララなんでメモしておく。
 話になったのは下記のトピ。当方のコメントは最後に回収しておく。
【気になってる日本語】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=222342&id=11795092

 なにがヒドいって、『大辞泉』の書き方が相当ヒドい。
http://kotobank.jp/word/%E7%84%A1%E3%81%84?dic=daijisen&oid=13597100
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
な・い 【無い】

[形][文]な・し[ク]
1 物事が存在しない。「あやしい節は―・い」「読書に飽きることは―・い」
2 持っていない。「金が―・い」「子供が―・い」「信用が―・い」「品が―・い」「魅力が―・い」
3 時間・数量などが、その表示された数に達していない。「開演まで五分も―・い」「海岸まで一〇〇メートルと―・い」
4 気持ちをもたない。心がはっきりしていない。「正体―・く酔っている」「まるでやる気が―・い」
5 経験していない。「見たことが―・い」
6 同じ物が二つと存在しない。類がない。「またと―・い珍品」
7 (亡い)すでに死んで、この世にいない。「母の―・い子」「私は―・い者と考えてください」
8 留守である。不在である。「老いらくの来むと知りせば門さして―・しと答へて逢はざらましを」〈古今・雑上〉

形容詞型・形容動詞型活用の語の連用形に付いて、打消しの意を表す。「あの映画はおもしろく―・い」「そんな話は聞きたく―・い」「後悔なんて君らしくも―・い」「人が言うほどきれいで―・い」「申し出は受け入れられそうに―・い」「見た目ほど忙しいようでは―・い」
(「…ないではない」「…ないこともない」などの形で)すっかり否定しきらないで、いくらかは認めるさま。「言い分はわからないでも―・い」「条件によっては承知できないことも―・い」
(「…ではないか」などの形で)確認したり念を押したりする意を表す。「あれほど説明したでは―・いか」「やればできるじゃ―・いか」
(「…しようではないか」などの形で)勧誘したり催促したりする意を表す。「ともに頑張ろうでは―・いか」「やってみせようじゃ―・いか」
(「…のではない」などの形で)否定・禁止の意を表す。「人をからかうものでは―・い」「頭で覚えるんじゃ―・い、からだで覚えるんだ」
(「…ともなく」などの形で)はっきりしないままそれが行われるさま。「聞くとも―・く話を聞く」「降るとも―・く降り続く雨」
(「お…でない」などの形で)禁止の意を表す。「調子に乗っておふざけで―・い」
10 名詞に付いて、否定の意を含む形容詞をつくる。「こころ―・い」「違い―・い」「面目(めんぼく)―・い」
[派生]なげ[形動]なさ[名]
[下接句]味も素っ気もない・蟻(あり)の這(は)い出る隙(すき)もない・合わせる顔がない・生きた空がない・痛くも痒(かゆ)くもない・一言(いちごん)もない・応接に暇(いとま)がない・影も形もない・神も仏もない・薬にしたくもない・芸がない・是非もない・只(ただ)より高いものはない・血も涙もない・取り付く島がない・鰾膠(にべ)もない・根も葉もない・恥も外聞もない・非の打ち所がない・方図(ほうず)がない・枚挙に遑(いとま)がない・身の置き所がない・身も蓋(ふた)もない・身も世もない・見る影もない・目がない・元(もと)も子もない・油断も隙もない・欲も得もない・埒(らち)もない・立錐(りっすい)の余地もない・渡る世間に鬼はない・瓜(うり)に爪(つめ)あり爪に爪なし・可もなく不可もなし・稼ぐに追いつく貧乏なし・顔色なし・眼中人無し・看板に偽りなし・鬼神に横道(おうどう)なし・国に二君なし・恋に上下の差別なし・恒産なきものは恒心なし・触らぬ神に祟(たた)りなし・三界に家無し・山中暦日なし・死人に口なし・備えあれば患(うれ)いなし・大事の中に小事なし・玉磨かざれば光なし・天に二日(にじつ)無し・名ありて実なし・武士に二言無し・目に一丁字なし・名所に見所なし・名物に旨(うま)い物なし・本木(もとき)にまさる末木(うらき)なし・野(や)に遺賢無し・勇将の下に弱卒無し・行くとして可ならざるはなし
==============引用終了

 話をうんと簡略化すると、「1」~「6」は存在を表わす(「有る」「無い」の話)だろう。これに関しては、「無い」と書いてもさほど異和感がない。
 問題は「9」「10」で、これを「無い」にするのは、ありえないだろう。
 しかし、この記述を見る限り、これも「無い」と書けるらしい。常々「表記の問題では辞書は役立たず」と書いているが、これはいくらなんでもヒドい。近年は「~の場合は仮名書きにするのが一般的」とか書いてあるのだが、それすらも見当たらない(ずいぶん探したんだけど、ないよね)。
 あまりにも悲惨なのは最後の「下接句」。辞書が表記について何も考えてないことがよくわかる。これを見る限り、一部の「なし」は「無し」と書く場合があるらしい。知らんよ。
 あと、「無くて七癖」「無いものねだり」などは漢字でもいいかも。でも平仮名のほうが無難だろうな。
『大辞泉』の名誉?のため、『大辞林』の記述もあげておく。
 根本的な問題として、見出し(項目?)が「無い・亡い」で、⑤にだけ《亡》と書いてあるのは、⑤以外は「無」ということなんだろうか。わからん。

http://kotobank.jp/word/%E7%84%A1%E3%81%84%E3%83%BB%E4%BA%A1%E3%81%84?dic=daijirin&oid=DJR_nai_-040
==============引用開始
大辞林 第三版の解説
ない【無い・亡い】

( 形 ) [文] ク な・し
①(人間や物が)存在しない。完全な非存在の場合も,ある場面に不在の場合もある。 「地獄は本当にあるか-・いか」 「ほめられて喜ばない人は-・い」 「ここに置いておいた消しゴムが-・い」 「家には相談する相手も-・い」
②(事柄が)起こらない。行われない。 「今日は授業が-・い」 「この川の絶ゆること-・く/万葉集 36」
③(人間や事物について)所有していない。
 ㋐人が財産などを所有していない。 「家も-・いし,妻子も-・い」 「今日は金が-・い」
 ㋑人や物がしかるべき属性を欠いている。 「風格が-・い」 「意味の-・い行為」 「迫力の-・い時代劇」 「このパンはひからびて味が-・い」
 ㋒人がある能力・経験や感覚などをそなえていない。 「学力が-・い」 「知恵も-・いし,度胸も-・い」 「いいアイディアが-・い」 「やる気が-・い」
④数量・時間などを表す語を受けて,その数量や時間に達していない意を表す。 「駅まで一キロも-・い」 「試験まで一週間と-・い」
⑤(人間が)生存していない。死んでいる。 《亡》 「今は-・い人」
⑥他に類がない。またとない。 「その時の情けなさそうな顔といったら-・かった」 「 - ・きすきものにて,朝夕琴を指しおくことなかりけり/十訓 10」
⑦(「…こと」を受けて)
 ㋐否定を表す。 「欲しくないことも-・いが,わざわざ買う気はしない」
 ㋑未経験であることを表す。 「まだ食べたことが-・い」 「こんなみじめな思いをしたことは-・い」
 ㋒不必要であることを表す。 「何も急ぐことは-・い」
 ㋓可能性がないことを表す。 「まさか死ぬことも-・いだろう」
⑧(補助形容詞)
 ㋐形容詞・形容動詞の連用形,および一部の助動詞「だ」「たい」「らしい」などの連用形の下に付いて,その状態の打ち消しを表す。 「それほど寒く-・い」 「あまり静かでは-・い」 「顔を見たくも-・い」 「学生らしく-・い」 「ここに使はるる人にも-・きに/竹取」
 ㋑動詞の連用形に助詞「て」の付いたものに付いて,「…ている」「…てある」という状態の打ち消しを表す。 「電車が全然動いて-・い」 「彼は死んで-・い」 「まだ夕食を食べて-・い」 「窓があけて-・い」
⑨名詞の下に付いて,否定の意を表す形容詞をつくる。 「頼り-・い」 「情け-・い」
[派生] -げ ( 形動 ) -さ ( 名 )
[慣用] 罪が- ・根も葉も- ・満更でも- ・身も蓋(ふた)も- ・目が- / 一も二も無く ・声なき声 ・手もなく ・武士に二言なし
[句]
無い袖は振れない ・ 無い物は無い ・ 無かったことにする ・ 無きにしも非ず ・ 無くて七癖有って四十八癖
==============引用終了


【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
[278] 2014年09月29日 10:45

>>[276]
>>[277]

> 言っているわけでは無い
> 感じた違和感は特別なことでは無いようなので

 個人的にはどちらも「ない」と書きます。
 新聞・雑誌の類いも「ない」のはずです。公文書のルールも「ない」のはずです。
 さらに言うと、当方は存在の「在る(有る)」「無い」もひらがなで書きます。これは漢字にしている媒体もあるかもしれません。当方にはこんな微妙な表記を使い分ける能力は〝ない〟もので。

 ただ、「無い」が誤用かと言うと微妙な話で、誤用では〝ない〟はずです。
http://kotobank.jp/word/%E7%84%A1%E3%81%84?dic=daijisen&oid=13597100

「9」「10」の例でしょう。実際に漢字で書いてある例を見たことはないのですが、「誤用」とは言え〝ない〟ようです。

「8」(※「7」です)を(亡い)にするなら、「9」「10」は「仮名書きが一般的」と書いてくれればいいのに……。
 ただ、そう書いてあったとしても「無い」は誤用では〝ない〟でしょう。


「感じた違和感」と「違和感を感じる」は少し違う気もしますが……。
 辞書の書き方も右往左往している感があり、笑うしかありません。
 詳しくは下記をご参照ください。
965)【違和感を感じる 違和感を覚える 違和感が生じる 違和感を持つ 違和感がある】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1893958517&owner_id=5019671
1185)【表記の話15──「違和感」「異和感」】 〈2〉辞書
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1928156325&owner_id=5019671

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【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
[284] 2014年09月29日 16:26

>>[281]

 辞書の記述がホニャララなことは、末尾の「下接句」を見ればわかります。
 ほとんどが「ない」です。漢字使用は「眼中人無し」など、一部の「無し」だけです。
 では有無の意味で「なし」なら漢字なのかというと、「瓜(うり)に爪(つめ)あり爪に爪なし」なんてのもあります(黒笑)。
 
 個人的には「気持ち悪い」と言うか「ありえない」(これも「誤用」?)と思います。近年のまともな出版物では見聞することがほとんどありませんし。
 金輪際使いたくありません。と言うよりこんな使い分けできません。
 でも「誤用」ではないでしょう。
 主観だけで「誤用」と主張する行為も「ありえない」と思います。

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