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朝日新聞から(2007年5月)

5-1
2日
 「患者様」という呼び方が病院ですっかり定着した。しかし、好きで病気になったわけでもないのに、違和感を感じる人もいる。もともと患者の立場を尊重した医療の実現などを意識して使われ始めた言葉だが、「日本語としておかしい」という指摘もあり、「患者さん」に戻す病院が出てきた。(朝刊1面)

 いやあー。クォリティペーパーの1面トップ記事のリードで、これだけヒドい文章に出くわすとは思わなんだ。
 きわめて基本的なことを指摘すると、「違和感を感じる」なんて無神経な言葉を使っている段階でペケ。「違和感を覚える」くらいに逃げておけばいいでしょ。個人的には「違和感を覚える」も重言風だとは思うけど、これがいちばん手軽なもんで。この文脈なら、「違和感をもつ人」でも問題がないだろう。
 一番ヘンなのは、「好きで病気になったわけでもないのに、」って部分。そういう理由なら、「患者様」と呼ぼうが「患者さん」と呼ぼうが同じこと。「患者ども」「患者の野郎」と見下した表現なら一応筋は通るかも。問題は、必要以上の敬称が慇懃無礼な印象を与えるってことでしょ。さらに、「好きで病気になったわけでもないのに、」の直後に「と」とかを挿入しないと、後ろにつながらない気がする。少しくらい修正しても、何を言いたいのか不明ってことにかわりはないけど。「すっかり定着した」ってのも書き手の思い込みじゃないだろうか。ホントにこんな気持ちの悪い表現が定着しかけたら、もっと話題になる気がする。じゃあ病院側のお知らせでどう呼びかけるのが適切か、ってことになるとけっこう難問。

5-2
3日
大ヒット作『天才柳沢教授の生活』『不思議な少年』の背景を紐解き、豊穣な物語世界を紹介する。(朝刊1面)
 某出版社の広告。小うるさいことを言うと、「天才」のあとにアキが欲しいところだが、手元の資料本でもアキなしになっている許されるのかもしれない。問題は「紐解く」。
 goo辞書(大辞林)だと以下のとおり。

ひもと・く 3 【▼繙く/▼紐解く】
(動カ五[四])
(1)〔巻物のひもをほどいて広げる意〕書物を読む。ひもどく。《繙》
「史書を―・く」
(2)衣の下紐(したひも)を解く。男女が共寝する。
「にこ草の花つ妻なれや―・かず寝む/万葉 3370」
(3)つぼみが開く。
「御前の梅、やうやう―・きて/源氏(初音)」

 これだとよくわからないが、手元の『広辞林』だと、「繙く」と「紐解く」は別の項目になっている。「繙く」は上の(1)の意味で、「紐解く」は上の(2)(3)の意味とのこと。表記の問題だから、どちらでも間違いではないのかもしれないが、相当強い異和感がある。この「紐解く」の表記は定期的に読んでいる某週刊誌でよく見かけるもので、気になってしかたがない。いつからこんな気持ちの悪い書き方をするようになったのだろう。たしかに「繙く」が読みにくいには事実だけど、それを言ったら「紐」だって常用漢字表外でしょ。ルビをふるスペースがとれないなら「ひもとく」でいいじゃない。

5-3
14日
 頭の体操になって、壮快感が残った。(朝刊・25面)
 テレビ欄の投稿欄。見出しにも「壮快感が残った」とある。パッと見たときには、そりゃ「爽快感」でしょと思った。よく考えてみると、微妙。昔は「壮快」なんて言葉はほとんど見ることがなく、雑誌の『壮快』を知ったときには、「造語かな」と思ったほど。なんせ『特選街』を出してる版元だもの。この文脈だと両方ありそうだけど、70歳の投稿者が「頭の体操」になってるんだから「壮快感」でいいか。こんな微妙な使い方するなよ。
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