絶滅しつつある 絶命しつつある 辞書?
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html
テーマサイトは下記。
【「しつつある」という表現について】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9050839.html
==============引用開始
先日とあるニュース記事で「絶滅しつつある」という表現を見かけました。
そこでふと気になったのですが、「絶滅しつつある」という表現は正しいですか?
簡単に調べてみたら「つつ」の意味が「動作・作用が今も進行・継続していることを表す」とのことなので「絶滅が進行・継続している」ということですよね?
絶滅=ゼロの状態を表す言葉なので、進行も継続もおかしいと思うのですが…。
正しく表現するなら「絶滅に近付きつつある」「個体数が減りつつある」などではないでしょうか?
==============引用終了
非常におもしろい。
No.8のコメントまでを読むと、意見が2つに分かれている気がする。
質問者は「絶滅しつつある」という表現に疑問を感じている。同調する回答が多いような。
たしかに辞書の記述を見ると、「絶滅しつつ」あるはヘンな表現になりそう。たぶん下記だろう。
https://kotobank.jp/word/%E3%81%A4%E3%81%A4-571855#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
つつ[接助]
[接助]動詞・動詞型助動詞の連用形に付く。
3 動作・作用が今も進行・継続していることを表す。…し続けている。「成績が向上し―ある」「病状が快方に向かい―ある」
==============引用終了
この記述に従うなら「絶滅する」が「今も進行・継続している」のはおかしい。
これに対して「辞書の不備」という説も出ている。
たしかに、「絶滅しつつある」という表現はできそうだ。No.3のコメントにあるように「~という動作・作用が完結に向けて進行していることを表わす」と考えるべきかもしれない。
当方の考えは、「言葉&文脈による」。以下、できるだけ文法用語を使わずに考える。
たとえば、「(ある人が)絶命しつつある」と言えるかというと、それは×だろう。
ほかにNo.8のコメントに出てきた動詞を例に考える。
「死ぬ」「死亡する」「死に絶える」「絶滅する」「始まる」「終わる」……。このなかで「〜しつつある」にできそうなのは、「絶滅する」だけだろう。
似た印象の「絶命する」も×。
「到着する」あたりも×。「出発する」も×。
ではなぜ「絶滅しつつある」と言える気がするのか。おそらく複数のものを同時に考えることがあるからだろう。
「数多くの昆虫が絶滅しつつある」ならアリ。
これは多くの昆虫の「絶滅」が継続して起きているから。単独の昆虫の「絶滅」が続いた結果、ある種類の昆虫が「絶滅しつつある」ならOK。
ただし、単独の昆虫が「絶滅しつつある」と表現するのには異和感がある。このあたりから生まれた錯覚だろう。
対象を複数と考えれば「全国各地から応援の物資が到着しつつあります」という表現もありうる。まぁこの場合は、「到着しています」のほうが素直だろうか。
と書いているうちにNo.9のコメントが入った。
例文にある「絶滅」も「誕生」も、元々は複数の小さなものに変化が起きた結果、大きな変化になったのだろう。
明らかに単独のものに使えるか否かは現段階ではなんとも言えない。
本来は順次「絶滅する」場合限定だった「絶滅しつつある」が単独の場合にも広く使われるようになると、辞書の記述がかわる可能性は否定できない。すでに微妙な段階の気がする。↑の書籍の記述によって、辞書が採用する時期が早くなったかも。
ちなみにネットでは「絶滅しつつ」の使用例が多数ヒットする。
しかし、「中納言」では0件。やはり新しい使い方の気がする。
http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/search_result
以下は余談。
動詞の「瞬間性」「継続性」を書きはじめるとメンドーな話になるので、以前書いたものを引用しておく。
【発売開始 新発売 新発見 就航中】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1262.html
【【板外編15】「カラ」と「ニ」の話】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1710.html
これが「絶滅しつつある」に近い例かも。
==============引用開始
「から」と「発売する」を使っていても、「来年4月から順次発売する」なら、特殊ではあってもヘンではありません。この表現はシリーズ化された新製品が、4月に1点、5月に1点、という具合に順次登場するときに使われていました。断続的ではあっても「発売する」が「継続」しています。
==============引用終了
当方は基本的には辞書の記述を信用している。よほどのことがなければ逆らう気はありません。
そう思いながら、よほどのことが多数あるので困る。
【やっぱりWeb辞書は嫌い〈2〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2919.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html
テーマサイトは下記。
【「しつつある」という表現について】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9050839.html
==============引用開始
先日とあるニュース記事で「絶滅しつつある」という表現を見かけました。
そこでふと気になったのですが、「絶滅しつつある」という表現は正しいですか?
簡単に調べてみたら「つつ」の意味が「動作・作用が今も進行・継続していることを表す」とのことなので「絶滅が進行・継続している」ということですよね?
絶滅=ゼロの状態を表す言葉なので、進行も継続もおかしいと思うのですが…。
正しく表現するなら「絶滅に近付きつつある」「個体数が減りつつある」などではないでしょうか?
==============引用終了
非常におもしろい。
No.8のコメントまでを読むと、意見が2つに分かれている気がする。
質問者は「絶滅しつつある」という表現に疑問を感じている。同調する回答が多いような。
たしかに辞書の記述を見ると、「絶滅しつつ」あるはヘンな表現になりそう。たぶん下記だろう。
https://kotobank.jp/word/%E3%81%A4%E3%81%A4-571855#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
つつ[接助]
[接助]動詞・動詞型助動詞の連用形に付く。
3 動作・作用が今も進行・継続していることを表す。…し続けている。「成績が向上し―ある」「病状が快方に向かい―ある」
==============引用終了
この記述に従うなら「絶滅する」が「今も進行・継続している」のはおかしい。
これに対して「辞書の不備」という説も出ている。
たしかに、「絶滅しつつある」という表現はできそうだ。No.3のコメントにあるように「~という動作・作用が完結に向けて進行していることを表わす」と考えるべきかもしれない。
当方の考えは、「言葉&文脈による」。以下、できるだけ文法用語を使わずに考える。
たとえば、「(ある人が)絶命しつつある」と言えるかというと、それは×だろう。
ほかにNo.8のコメントに出てきた動詞を例に考える。
「死ぬ」「死亡する」「死に絶える」「絶滅する」「始まる」「終わる」……。このなかで「〜しつつある」にできそうなのは、「絶滅する」だけだろう。
似た印象の「絶命する」も×。
「到着する」あたりも×。「出発する」も×。
ではなぜ「絶滅しつつある」と言える気がするのか。おそらく複数のものを同時に考えることがあるからだろう。
「数多くの昆虫が絶滅しつつある」ならアリ。
これは多くの昆虫の「絶滅」が継続して起きているから。単独の昆虫の「絶滅」が続いた結果、ある種類の昆虫が「絶滅しつつある」ならOK。
ただし、単独の昆虫が「絶滅しつつある」と表現するのには異和感がある。このあたりから生まれた錯覚だろう。
対象を複数と考えれば「全国各地から応援の物資が到着しつつあります」という表現もありうる。まぁこの場合は、「到着しています」のほうが素直だろうか。
と書いているうちにNo.9のコメントが入った。
例文にある「絶滅」も「誕生」も、元々は複数の小さなものに変化が起きた結果、大きな変化になったのだろう。
明らかに単独のものに使えるか否かは現段階ではなんとも言えない。
本来は順次「絶滅する」場合限定だった「絶滅しつつある」が単独の場合にも広く使われるようになると、辞書の記述がかわる可能性は否定できない。すでに微妙な段階の気がする。↑の書籍の記述によって、辞書が採用する時期が早くなったかも。
ちなみにネットでは「絶滅しつつ」の使用例が多数ヒットする。
しかし、「中納言」では0件。やはり新しい使い方の気がする。
http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/search_result
以下は余談。
動詞の「瞬間性」「継続性」を書きはじめるとメンドーな話になるので、以前書いたものを引用しておく。
【発売開始 新発売 新発見 就航中】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1262.html
【【板外編15】「カラ」と「ニ」の話】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1710.html
これが「絶滅しつつある」に近い例かも。
==============引用開始
「から」と「発売する」を使っていても、「来年4月から順次発売する」なら、特殊ではあってもヘンではありません。この表現はシリーズ化された新製品が、4月に1点、5月に1点、という具合に順次登場するときに使われていました。断続的ではあっても「発売する」が「継続」しています。
==============引用終了
当方は基本的には辞書の記述を信用している。よほどのことがなければ逆らう気はありません。
そう思いながら、よほどのことが多数あるので困る。
【やっぱりWeb辞書は嫌い〈2〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2919.html
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