「最も○○な人のひとり」「最も○○なもののひとつ」

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【15】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941799128&owner_id=5019671

mixi2015年09月12日日記から

「もっとも○○な人のひとり」「もっとも○○なもののひとつ」と書くことが多いが、繰り返すとあまりにも間が抜けているので漢字で書く。以降は両方をまとめて「最も〜」と書くことにする。

 下記のコメントを読んでちょっと驚く。
http://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=223&community_id=125916&bbs_id=76241185
==============引用開始
たぶん、「もっとも~な(もの・ひと)のうちのひとつ、と言う表現は正しいとか正しくないとか、そう言うことを書いている文献なんて無いと思いますよ。でも、もう何十年も前、中学校のの教科書にも書いてありましたし、今更グレーかどうかと言うのもどうしたものでしょう。

例えばtobirisuさんは
”Ichiro is the most famous baseball player in the world."
これをどう日本語訳にしますか?
「彼(ママ)は世界で一番有名な野球選手だ」
多分コンナ感じですよね。

じゃあ
"Ichiro is one of the most famous baseball player in the world."
これ、どう訳しましょう。
==============引用終了

 そうか「中学校のの(ママ)教科書」にも書いてあったか。
 たしかに直訳でそう書いてあったのだろう。
 ただ、だから日本語として自然とは限らない。
「私の名前は花子です。私の父は大学で働いています」あたりも自然な日本語ではない。
 ともあれ、↑の書き方は新鮮だった。
 諸説あるところなのに、こんなにスッパリ断言調で書いてあるのは初めて読んだかも。
 けっこう微妙な問題なんだけどなぁ。

 当方が以前書いたものは下記あたりだろうか。
114)【板外編11】最上級がらみの誤用──「もっとも〇〇な~のひとり(ひとつ)」etc. 2009年12月28日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-935.html
128)【板外編12-2】最上級がらみの誤用──「最も適切なものを下記のなかから選びなさい」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1034.html
突然ですが問題です【日本語編34】──最初 最後 突然ですが問題です【日本語編34】──最初 最後 最高 最低【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1813.html

 まず辞書を確認する。
https://kotobank.jp/word/%E6%9C%80%E3%82%82-645899#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
もっとも【最も】

[副]《「尤(もっと)も」と同語源》比べてみて程度が他のどれよりもまさることを表す。いちばん。何よりも。「―人口が多い」「―信頼できる」
==============引用終了

==============引用開始
大辞林 第三版の解説
もっとも【最も】

( 副 )
〔「もっとも(尤)」と同源〕
①比べたものの中で程度が一番上であるさま。この上なく。最高に。 「学校で-足の速い生徒」 「世界で-高い山」
②きわめて。はなはだ。 「昔,天竺に一寺あり。住僧-おほし/宇治拾遺 12」
==============引用終了

『大辞泉』を見る限り、「最も〜」は誤用になりそう。
 問題は『大辞林』の「きわめて。はなはだ。」。これって古語限定では。

 次にネット検索してみた。前にもしたとことがある気がするが、こんなにいろいろ発見はなかった。そこまで真剣に読んでなかった、という説も否定できない。
【最も○○なもののひとつ】の検索結果。
約 13,500,000 件
http://www.google.co.jp/search?q=%E6%9C%80%E3%82%82%E2%97%8B%E2%97%8B%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A4&prmd=ivns&ei=edbyVeWEK8K2mwWFlaKIDQ&start=0&sa=N

 こんなものをマジメに読む気にならないのは当然。質問サイトの類いがズラリと並ぶ。
 岩石混淆だろう。信頼できそうな説がありますかね。どなたかご確認ください。

 質問サイトのなかでは、下記がちょっと気になる。
【「彼女は、今、最も美しい女優の中の1人」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/・・・/que・・・/q11149562796
==============引用開始
dendenko123さん
2015/8/2708:40:44

英語教育の些細な失敗の例でしょう。英語の先生がまず、「one of the 最上級+複数名詞」の意味を知らずに文字通りに訳すことに罪があるでしょう。そしてこの英語の訳の日本語に疑問を唱えない国語の先生の罪でもあります。
子供は習った通りに覚えます。「one of」があれば、「~のひとつ」と思ってしまいます。
高梨健吉先生の「総解英文法」によると、
この場合の最上級は、厳密に最高のものを表しているのではなく、「きわめて~」の意味である。従って複数名詞が用いられるわけである。
He was one of the bravest generals in Rome . (彼はローマで最も勇敢な将軍の一人であった)/以上、本文から引用。
「彼はローマの極めて勇敢な将軍であった」と訳し、教える必要があったのではないかと思っています。若し本当に最高級なら、「He is the very bravest general.」とでも言えばよいのではないでしょうか。極めて勇敢な将軍は何人かいたわけです。
==============引用終了

 この説に従うなら、「最も〜」は誤訳から広まった妙な言い回しということになる。
 具体的な書名まであげてあるから、信頼できそうだ。

 信頼しているサイトもヒットした。
【「最もAAであるBBのひとつ」って(ぴ) ことば会議室】
 長いので全文は末尾に。
 専門家が集うサイトなんで、ムチャな断言はしない。ちょっと歯がゆい感じが残るのはしかたがない。古くはveryの意味でも使われていたようだ。

 これは大学の先生だろう。これだと「文献」だろうな。ちゃんと探せばほかにもいろいろありそうだが、先生の書いたもんは読んでもわからないことが多いから……。
 これくらいわかりやすく書いてくれると助かる。〈○○の中でもっとも××なひとつです、も行き詰まってきた〉って笑ってしまった。
【最上級の複数は何を意味するか?】
 長いので全文は末尾に。

 もっと詳しいものがあった。
【“最も”なのに1人じゃない? 最も気になる日本語――「最も~な10人」】
 長いので全文は末尾に。
 これも誤訳説かな。

 こうして見てみると、やはり「最も〜」は相当あやしい表現ってことになりそう。
 もちろん、当方は自分では使わない。


【「最もAAであるBBのひとつ」って(ぴ) ことば会議室】
http://kotobakai.seesaa.net/article/8180115.html

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2003年05月14日
「最もAAであるBBのひとつ」って(ぴ)

どこで聞いていいやらずっと困っていたことがあるので、場違い

かもしれませんが、相談させてください。

最近「最もAAであるBBのひとつ」という言い方が増えてきたと

思います。しかしこれは、英文を訳すときにしかたなくつかわ

れた用法で、正しい日本語ではないと聞いたことがあります。

(日本語の「最も」は単数であって複数ではないものだから)

本当はどうなのでしょうか?


もともと違和感があったのですが、先日NHKのニュースでも使

われていたのを聞いて、ぐっと違和感が高まりました。


道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 15日 木曜日 07:30:13)

英文和訳の影響はあるかもしれませんね。根拠はありませんが。

ニュースでは「最大級」「最古級」というような表現がよく出てきます。これも「最大」とか「最古」ではなく、「そう呼ばれているもののうちの一つ」ということなんです。そういう意味では、「最古級」は、その「最も古い」ものが確定していないような場合に使われています。「最大級」は「最大」であることがメリットである場合に、それに「あやかりたい」という、売り手側、宣伝側(マスコミなども含む)の意図によって生みだされたのではないでしょうか?


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 15日 木曜日 07:38:54)

 鎌倉時代の「宇治拾遺物語」には「昔、天竺に一寺あり。住僧もつともおほし。達磨和尚、この寺に入て、……」とあり、これはこの寺が住僧の人口において天竺第1位というわけではなく、「住僧が非常に多い」ということと解されます。

 すると、日本語では「最も」は古来only oneである必要はなかったことになります。

 「最も優秀な学生の一人」という言い方が欧文脈の直訳ということは間違いないでしょう。もとの言語では論理的に正しいのかどうか分かりませんが、もとの言語では、あるいは「最も優秀な学生(のグループ)の一人」という考え方なのかな、と想像しますが、いかがでしょうか。

 欧文脈が日本語にどのように取り入れられていくのか、もう少し勉強してみたいと思います。明治~大正~昭和とどのように移り変わっていくのか知りたいものです。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 15日 木曜日 07:41:24)

上記「宇治拾遺物語」の例は『日本国語大辞典』の用例にとられているものです。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 19日 月曜日 00:43:27)

「最も○○なものの一つ」の用例ですが、どうやら明治以降のようですから、翻訳による表現だ、ということがあるのでしょうが、Yeemarの書いておられるように、「最も」の意味が唯一である必要がない、ということは関係してくると思います。ただ江戸にも「もっとものひとつ」というように見えるのがあり、これを検討せねばなりません。


さて、明治以降の用例です。


漱石『三四郎』

この字は三四郎の覚えた外国語のうちで、尤も長い、又尤もむずかしい言葉の一つであった。意味はまだ分らない。


漱石『彼岸過迄』

敬太郎は、田口の義弟に当る松本が、叔父という資格で、彼の娘と時間を極めて停留所で待ち合わした上、ある料理店で会食したという事実を、世間の出来事のうちで最も平凡を極めたものの一つのように見た。


鴎外『妄想』

凡ての人為のものの無常の中で、最も大きい未来を有しているものの一つは、やはり科学であろう。


伊藤左千夫 大正四年九月「アララギ」長塚節追悼号

いい加減にしておくことは、長塚君の最もきらいなことの一つであった。


島崎藤村『家』

その晩は、若いものに取って、一年のうちの最も楽しい時の一つであった。


寺田寅彦「映画時代」

そういう意味でニュース映画は自分にとって最もおもしろいものの一つである。


古そうなのだけ。

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【最上級の複数は何を意味するか?】
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~hiratuka/essays/plural-superlative.html
==============引用開始

平塚 徹(京都産業大学)

 翻訳調の文体をパロディー化した「永遠のジャック&ベティ」(清水義範作)という短編があります。かつて中学校で使われていた英語の教科書の登場人物だったジャックとベティが偶然久しぶりに出会うのですが、なぜか、中学時代と同じ言葉遣いしかできなくなってしまうという設定です。二人は、おかしな言葉遣いのせいで上手く会話ができず、苦し紛れに色々なことをしゃべりますが、その中で以下のようなくだりがあります。

 「私は今までにこんな暑い日を知りません」
 「今日は今まででもっとも暑い日のひとつです」
 「リンカーンは世界史上もっとも偉大な人のひとりです」
 「あなたはアメリカ中でもっとも美しい女性のひとりです」
 「それは私が聞いた中でもっとも見えすいたお世辞のひとつです」
 ○○の中でもっとも××なひとつです、も行き詰まってきた。

 清水義範がパロディー化していることからも分かるとおり、「○○の中でもっとも××なもののひとつです」は、翻訳調の文体にしか出てこない、非常に不自然な日本語です。しかし、この言い回しが不自然なのは、単に、日本語ではそのような言い方をしないというだけの問題なのでしょうか。

 日本語で「もっとも××なもののひとつ」が不自然なのは、「もっとも××な」という部分で一番だと言っておきながら、「その中のひとつ」と言うと、一番だということを否定しているように感じられるからでしょう。勿論、一番のものが複数個あれば矛盾しないのですが、一位タイはそれほど頻繁に起こることではありません。

 それでは、英語では、なぜ、≪one of the most ~≫のような言い方が可能なのでしょうか。問題は、最上級の複数にあるように思われます。そもそも一番のものが複数個あるのでしょうか。

 例えば、≪the three largest countries in the world≫という言い方を考えてみましょう。この場合、事実と照らし合わせて考えると、世界で一番大きな国が三つあるわけではないことは明らかです。この表現が指しているのは、世界で一番大きい国と、二番目に大きい国と、三番目に大きい国です。つまり、国を大きさでランキングした場合の、上位三カ国を指しているのです。

 ということは、最上級の複数は、一番のものだけを指しているわけではなく、上位グループを指しているということになります。そうすると、≪one of the most ~≫という表現も、一番のものの一つということではなく、上位グループに入っているものの一つを意味しているわけです。このようなわけで、「もっとも××なもののひとつ」という表現は不自然なのに、≪one of the most ~≫という表現は不自然でないのです。

 実は、同じことは、first についても言えます。≪the first 複数名詞≫は、最初のものだけを指しているのではなくて、最初の方のグループを指しているのです。ですから、≪one of the first 複数名詞≫も、「最初の××の一つ」ではなくて、「初期の××の一つ」なのです。last についても同じです。
 本来、唯一物を指すように思われる表現が、複数のものもさせるという意味では、alone も少し面白い言葉です。alone は「ただひとりの」などと訳したりします。しかし、≪We are not alone.≫という文はどうでしょうか。これは、スピルバーグ監督の地球外知的生命体を扱ったSF映画「未知との遭遇」の宣伝コピーですが、「我々はひとりではない」とは訳せません。この文の意味は、宇宙にいるのは、我々人類だけではないという意味です。alone はついつい一つのもだけを指すように思ってしまうのですが、複数のものでも、それが孤立していれば使えるのです。

 ≪the second largest country in the world ≫「世界で2番目に大きな国」とか≪the third largest country in the world ≫「世界で3番目に大きな国」という言い方にも最上級が現れているのは、面白いです。つまり、これらの国も、≪the largest countries in the world ≫に含まれているわけです。

 最上級の複数形はフランス語でもよく出てきますが、やはり、同じ意味です。例えば、次の文書を見てください。

Il [ = le Japon] ne possède pas d'armée offensive, n'a pas obtenu " encore" de siège au conseil de sécurité de l'ONU et l'on dit de lui qu'il est un nain diplomatique. Mais il faut savoir que l'armée dite d'Auto-Défense est l'une des plus puissantes au monde : la troisième, peut-être même la seconde.
(OVNI No574, 1er oct. 2005, p.16)

「「自衛隊」と呼ばれる軍隊は世界でもっとも強力なものの一つだ」と言っているのですが、その後に、「3番目、もしかしたら2番目かもしれない」と言っています。つまり、「もっとも××なもののひとつ」であることと、2番目や3番目であることは矛盾しないのです。つまり、フランス語でも、最上級の複数形は、上位グループを指しているのです。

 「フランスの最も美しい村」はいくつあるでしょうか。答は、151個です(2007年10月8日現在)。実は、NHKの番組にもなっていますが、「フランスの最も美しい村」というが選定されているのです。フランス語では、Les plus beaux villages de France というのですが、最上級の複数形です。最上級で指されるものが、百数十個もあるのです。
==============引用終了


【“最も”なのに1人じゃない? 最も気になる日本語――「最も~な10人」】
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0803/19/news132.html
==============引用開始
“最も”なのに1人じゃない? 最も気になる日本語――「最も~な10人」

新連載の「つい口に出る『微妙』な日本語」が好調だ。そこで日ごろからつい気になっている日本語表現のうち、最も気になる“最も”の使い方について調べてみると――英語との意外な接点が浮かび上がってきた。

[豊島美幸,ITmedia]


 今回のトップ10は、新連載の「つい口に出る『微妙』な日本語」が最高位と9位に入った。筆者も十年来気になっている日本語について改めて考えてみた。それは記者職に就くはるか前から気になっている“最も”という表現だ。

つい気になる「最も○○な人の1人」「最も○○な100枚」

 「最も優れた作曲家の1人」「最も美しい山の1つ」――など、「最も○○な△△の1人/1つ」というコトバをよく耳にする。あなたも実際に、この表現を使ったり耳にしたことがあるだろう。こうした言い回しの背後には、最も~な人やモノがすでに複数ある、という大前提がある。

 またよく似たものに、「最も有名な50人」「最も和む写真100枚」――といった表現がある。こちらもやはり、最も~な人やモノが複数存在していることになる。

 もしかしたらあなたはそうではないかもしれないが、実は筆者は昔からこれらの表現に遭遇するたび、ひどい違和感を覚えてしまうのだ。

 というのは、最愛の人は1人。最高位は1位。最低値は1つ。最大面積は1つ――“最も”に当てはまるのは1つだけ。振り返ると、小学校時代まではこうした解釈が当たり前だった。ところが中学に入ると、日本語しかなかった人生に英語という新しい言語が加わり、この認識が崩れる。授業で習った英文法、比較級の中の最上級がその“主犯”だ。

英語の教科書に出てきた「one of the most beautiful mountains」

 英語の教科書には、「one of the most~」という表現がよく出てくる。「最も~な1つ」と訳すから、例えば「one of the most beautiful mountains」といえば、日本語では「最も美しい山の1つ」となる。

 しかし現実には、例えばオリンピックの順位を見ても、雑誌やテレビのランキング企画を見ても、最高位は1位だけ。もちろん同点1位ということも時にはある。それでも基本的には最高位は1つしかないわけだから、皆が1位を目指して一生懸命になる。

 これこそ最高位が最高位たるゆえんだ。1位が10人もいたら、目指しがいがなくなってしまう。例えば恋愛モノのストーリーに出てくる最愛の恋人は、やはり1人だけ。この場合だって複数の恋人がいたら、話がややこしいではないか。


 とはいえ、英語表現に限らず、日本語でも「最も~な1つ」という言い回しはよく使われているのが現状だ。そこで改めて、国語辞典で「最も」を調べてみると、どの辞書にも、概ね「一番。第一に」といった単語が記されていた。ほら、やっぱり。「最も」は「1番」だった。

 辞書の“お墨つき”をもらい、長年感じていた違和感が1人よがりではなかったのだと安堵した矢先――念のため調べた最後の辞書になんと、「極めて。はなはだ」という意味も載っていた……。

辞書名(出版社) 【最も】の意味
広辞苑(岩波書店) 【最も・尤も】(副)(モトモの促音化)第一に優れて。最高に。極めて
現代国語辞典(新潮社) 【最も】(副)他のものに比べて、その状態・属性を一番そなえていることを表す。第一に、一番に
国語辞典(旺文社) 【最も】(副)いちばん。この上なく。極めて
大辞泉(小学館) 【最も】(副)比べてみて程度が他のどれよりもまさることを表す。いちばん。何よりも
新明晰国語辞典(三省堂) 【最(も)】(副)程度に関して、同類の中の一方の極にあって、それ以上(以下)のものがない様子
大辞林(三省堂) 【最も】(副)(1)比べたものの中で程度が一番上であることを表す。この上なく。最高に
(2)極めて。はなはだ
 「極めて。はなはだ」と、わざわざ別項目を立ててまで言及していたのは、調べた6辞書のうち大辞林1つだけ。ほかの辞書は“認めていない”か“まったく眼中にない”、実にマイナーな意味づけだ。でもよく考えてみると、この「極めて。はなはだ」こそ、「one of the most~」の意味合いとして、“最も”ふさわしくはないだろうか。

 そこで「one of the most~」がどう記述されているか、英和辞典や英文法の参考書を調べてみた。

辞書または書名(出版社) 「one of the 最上級~」の日本語訳、または解釈
ジーニアス英和辞典(大修館書店) <例文内で>「one of the greatest mine disasters」
(最大の鉱山惨事の1つ)
コズミカ英和辞典(学研) 記述なし
プログレッシブ英和辞典(小学館) 記述なし
総合英語Forest(桐原書店) 記述なし
よく分かる英文法(学研) <例文内で>「one of the most famous succer players」
(最も有名なサッカー選手の1人)
実践ロイヤル英文法(旺文社) 日本語では「最も~な1人です」と、極めて不自然に訳されるが、英語ではぎこちないニュアンスはない。日本語に訳すなら「非常に~」といった程度で、あくまで並一通りではないことを示す言い回し(解説を要約)
 調べた専門文献6冊のうち、半分は触れられておらず、残る3文献のうち2つは「最も~なうちの1つ」となっていた。しかし、実践ロイヤル英文法によれば、この訳し方は「不自然で」「ぎこちなく」、英語圏では「非常に~」程度の意味合いでしかないと明記してある。

 実際、生きた英語を使っている現地ではどう使われているのだろう――。筆者はさらに、現在ニュージーランドで生活をして10年、「英会話初心者からの大逆転」というWebサイトでリアルな英会話術を披露している小松ヒロシ氏に聞いてみた。

「最も~な1つ」は日本だけ。直訳だけが1人歩きする「one of the most~」

 小松氏によると、「one of the most~」を日常生活で使うときは、「the most~」という表現と使いわけている。

That mountain is the most beautiful mountain I've ever seen.(あの山は今まで見た中で最も美しい山だ)
That mountain is one of the most beautiful mountains I've ever seen.(あの山は今まで見た中で極めて美しい山だ)
 この2文は、「one of」がついているかいないかが違う。ついていない上の文は、実際に体験した実感として使い、「the most~」は「最も」という意味。

 一方、下の「one of the most~」の文は、ポジティブな内容を賛辞するときや、ネガティブな実体験をやや大袈裟に表現する場合が多いという。日本語にすると、「最も~」という堅苦しいものではなく、「very」のようなニュアンスで十分らしい。

 例えば「You are one of the most greatest students.(君はとっても優秀な生徒だったよ)」「This is one of the most beautiful meals I've ever had.(この食事は素晴らしくおいしかったなあ)」Today is one of the most miserable days of my life.(今日はマジで悲惨な1日だったよ)」「That was one of the most awful experiences of my life.( あれは、はなはだひどい経験だったよ)」など。

 というわけで、現地では「one of the most~」は「最も~な1つ」ではなく、国語辞典に辛うじて出てきた「極めて、はなはだ」の方がしっくり来ることが分かった。

真相はいまだ闇の中に

 さて、この「最も~な1つ」なる“不自然”な日本語。対象になる人やモノを1つに限定しなくて済むから使い勝手がいい。だから今ではすっかりメジャーだ。いったいいつ、誰により持ち込まれたのだろう?

 「カステラ」はオランダから、「カルタ」はポルトガルから、「カルテ」はドイツから――現在、日本には多彩な外来語が定着している。もし「最も~な1つ」が米国から来た外来語なら、戦後の義務教育に英語を取り入れたことが一役買っている可能性がある。

 たかだかこの60余年間であっという間に広まった――かもしれない「最も~な1つ」。その真相はまだ明らかになっていない。どなたかルーツをご存知の方は、当編集部までぜひご一報を!
==============引用終了
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