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突然ですが問題です【日本語編240】──おられる ~ておられる いらっしゃる

 下記の仲間。
【突然ですが問題です お品書き〈5〉】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1930761341&owner_id=5019671

 下記の仲間でもある。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671

【問題】
 おそらく正解はないのでアンケートに近い問題。

「おられる」という表現に関して答えなさい。
1)使わないほうがいい
※「いらっしゃる」を使うべき。「おいでだ」もありだろう。
2)本動詞の「おられる」は△。補助動詞の「~ておられる」は◯
3)本動詞の「おられる」も、補助動詞の「~ておられる」も◯

【参考】
 辞書類は、「おられる」を認めているものが多いようですが、「無条件」ではないようです。どの程度注釈をつけるのかはケースバイケースです。本動詞の「おられる」と補助動詞の「~ておられる」を区別してはいないと思われます。条件付きの3)でしょうか。
https://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%8A%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B
https://kotobank.jp/word/%E5%B1%85%E3%82%8B-436525#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89

 ネット検索するとウンザリするほどのサイトがヒットします。
【おられる 敬語】の検索結果。約438,000件
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%81%8A%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%80%E6%95%AC%E8%AA%9E&aq=-1&oq=&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&x=wrt
 質問サイトのやり取りや、個人のブログは基本的に無視します。大半は単なる主観でしかないからです(自説を並べるだけではなく「ちゃんと調べている」と思えるものは別です)。
 下記あたりが信用できそうです。

【1】ことばの使い方(社会言語学・敬語)
http://www.alc.co.jp/jpn/article/faq/05/175.html
==============引用開始
 このように考えますと、「おられますか」という表現は、謙譲語である「おります」に尊敬の助動詞「れる」をつけた形式であり、矛盾をはらむおかしな言い方であると言えましょう。

 ただし、この問題には方言差も関与しているように思われます。実際私の方言では「いる」の代わりに常に「おる」が用いられるため、「おられます」は尊敬語としてなんら矛盾のない自然な表現として用いられています。
==============引用終了
 1)寄りでしょうか。ただし、「方言」としてはアリのようです。それは一般にはナシということでは……。「私の方言」は言葉足らずでしょう。

【2】最近気になる放送用語
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/012.html
〈現在では必ずしも不適切ではない、と言われています〉
 3)ですが、相当消極的な許容でしょう。

【3】第22回「鈴木様はおられますか?」は誤用?
http://www.web-nihongo.com/wn/j_manner/22.html/
〈一般的には誤用ですが、厳密には正誤を断定しがたいとも言われます。なぜかと言いますと、地域によっては「いる」の尊敬語「いらっしゃる」を使わず、代わりに「おられる」を尊敬語として用いる所もあるため、一概に誤りと言えない部分があるようです。〉
 3)ですが、相当消極的な許容でしょう。
 2)の考え方も場合によってはアリ、としているようです。

【4】ビジネス敬語の達人 ※信頼性に疑問あり?
http://bizkeigo.koakishiki.com/mail-plural/scene-1.html
 1)です。〈目上の人の「いる」を「おられる」なんて言ってはだめ〉と断定しています。
 ネットで閲覧できるビジネスマナーの類いは、ほとんどが1)のようです。こういう意見が多くなると、例によって「使わないほうが無難」なのかもしれません。

【5】コミュニケーション講師に聞く。間違いがちな敬語マナー
http://news.mynavi.jp/c_career/level1/yoko/2011/10/post_1260.html
 1)です。ビジネスコミュニケーション講師の大嶋利佳さんは〈正しいと思って使っている人が多いようですが、自分から進んで使わないように心がけたい言葉〉としています。

【6】Wikipedia「敬語」 ※信頼性に疑問あり?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E8%AA%9E
 3)です。ただし、〈地域差が大きい〉と方言扱いしている観もあります。
 このWikipediaの有力な【ネタ元】と思われる三省堂のサイトは、「おられる」を許容していないようです。
http://www.sanseido.net/main/words/hyakka/sonkei/

【7】『敬語再入門』(菊地康人)の記述
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8666963.html
 微妙な感じもありますが、1)でしょう。
 以下は一部の抜粋(重言)。

 敬語の問題は、菊地本に従うのがイチバンと考えているが、困ったことにこの「鬼っ子」に関しては、『敬語再入門』の記述も煮え切らない。P.158~159に〈「おられる」──適否の断じにくい敬語(2)〉という項目がある。下記のような文章で始まる。
================引用開始
「申される」とはまた違った意味で、正誤の断じにくい敬語です。
 これも規範的には、「おる」は謙譲語IIなので、それに尊敬語「れる」を付けた「おられる」は誤り、ということになるはずです。しかも歴史的にも(前項の「申される」の場合と違って)、「おられる」を擁護する余地はありません。
================引用終了

 このあと、「おられる」が使われる理由がいろいろ書かれている。詳しいことは原本を読んでほしい。正確には全文を引用するしかないのだが、要点だけを箇条書きにする。
・地域差/個人差がある
「おる」が謙譲語だと思わない人は、尊敬語として「おられる」を使うことに抵抗がない。
・「おられる」全体でひとつの尊敬語と考える人もいる
 背景には「いる」をレル敬語の「いられる」にしにくいことがある。
・使う人が多くなれば、「本来」がどうであっても新しい言い方になる
 そうなりきらないのは、抵抗を感じる人も多いため。
 いろいろ書いて、結びは下記のとおり。
================引用開始
 以上のように「おられる」はすでに誤りともいえないほどではありますが、本来は誤りなのだとか、使わない人は使わないのだということも、知っておいてよいでしょう。
================引用終了

 『敬語再入門』の巻末には「敬語ミニ辞典」がついている。ここでは、「おる・……ておる」は「いる」・「……ている」の謙譲語II、としている。最後に「個人差・方言差」があるとはしているが。
「敬語ミニ辞典」の「おられる」の記述を引用する。
================引用開始
おられる・……ておられる 「いる」・「……ている」意の尊敬語として使うことがあるが、「おる」は本来謙譲語なので、規範的には問題がある。「いらっしゃる・おいでになる」を使えば問題ない。ただし、場面・文体によっては「いらっしゃる」はなじまない場合があり、「おられる」はそのかわりに使われる面もあるようである。
================引用終了

【8】『日本語力の基本』(野口恵子/日本実業出版社)
 〈2)本動詞の「おられる」は△。補助動詞の「~ておられる」は◯〉もよく見聞します。ネット検索ではあまりいいものが見つからなかったので、『日本語力の基本』をあげておきます。
 同書のP.115~では「話しておられます」を〈西日本式敬語〉と断定しています。標準語話者の間にも「~ておられます」がひろまりつつあるが、本動詞は×としています。〈「先生はご自宅におられます」とは言いません〉とのこと。





【解答?例】
 教えて! gooで質問してみた。
【「おられる」「~ておられる」という言葉を使いますか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9154673.html
 回答は7件。

 No.1。
 おそらく3)。ただし方言であると。

 No.2。
 おそらく1)。ただし方言?であると。

 No.3。
 おそらく1)。典拠はないらしい。

 No.4。
 おそらく??。

 No.5。
 おそらく??。昔はけっこう使用例があるらしい。そうだと思う。時代劇なんかではフツーに使われる。

 No.6。
 おそらく??。昔は「致され」「参られ」「申され」もけっこう使用例があるらしい。そうだと思う。

 No.7。
 1)。ただし他者が使うのをとがめる気はない。
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