fc2ブログ

すごい すごく すごい+用言〈1〉〜〈5〉

 下記をまとめた総集編です。
【すごい すごく すごい+用言】〈1〉〈2〉
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12020238695.html

【すごい すごく すごい+用言】〈3〉
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12146301584.html

【すごい すごく すごい+用言】〈4〉
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12148538335.html

mixi日記2010年06月27日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1524371205&owner_id=5019671

テーマサイトは下記。
【最近、「すごい○○」という言い回しが気になります。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1342841453

 古典的な問題とは思ったが、〈「すごい」 「すごく」〉のキーワードで検索して唖然とする。いっくらなんでも多すぎだろう。
「知恵袋」に限っても123件(グーグルにいたっては約14,500,000件だって(笑)。今回の「テーマトピ」のようにキーワードに引っかからない(いかん。「ように+否定形」になっている)ものを含めるとどれくらいあるんだろう。
http://search.chiebukuro.yahoo.co.jp/search/search.php?p=%E3%80%8C%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84%E3%80%8D%E3%80%80%E3%80%8C%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%8F%E3%80%8D&flg=3&fr=common-navi&dnum=2078297843

■「ように+否定形」に関しては下記参照。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1195.html

 辞書的には、「すごい+用言」は問答無用?で間違い。ただ、それではつまらない?ので少し屁理屈をこねてみる。
 以下はほぼヨタ話。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84&stype=1&dtype=0
================================
すご・い【×凄い】
[形][文]すご・し[ク]
1 ぞっとするほど恐ろしい。非常に気味が悪い。「―・い目でにらむ」
2 びっくりするほど程度がはなはだしい。大層なものだ。「―・い人気」
3 (連用形を副詞的に用いて)程度のはなはだしいことを表す。「―・く寒い」「―・くおもしろい」

[派生] すごさ[名]すごみ[名]

[用法] すごい・ひどい――「すごい(ひどい)嵐」「すごい(ひどい)寒さ」「すごく(ひどく)速い」など、はなはだしいの意では相通じて用いられる。◇ 「すごい」は俗語的な言い方で、「すごく険しい」「すごくおいしい」「すごく悪い点数」など副詞的に幅広く用いられる。また「すごい評判だ」「すごいあばら家」などプラス、マイナス両面の評価に使う。◇「ひどい」は「ひどい人」「ひどい仕打ち」「ひどいことを言う」のように、マイナス評価について用いられる。◇俗に連体形を副詞的に用いて「すごいおもしろい人だ」のような言い方もある。
================================

[用法] の最後に〈◇俗に連体形を副詞的に用いて「すごいおもしろい人だ」のような言い方もある。〉とあるから、「俗」ならOKってことになる。でも「俗」って何?
 そもそも「すごい」自体が「俗語的な言い方」とされている。これではよくわからない。当方はけっこう使いますが。
 Web辞書『大辞林』のほうはこういう余計?なことはいっさいなく、「すごい+体言」しかのせていない。

「知恵袋」のなかでは下記がおもしろい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1117443476
「すごい楽しい」は「すごい! 楽しい!」の短縮形……ものすっごく強引な気もするけど、一理あるのかな?
 別の解釈を出そう。
「すごいおもしろい人」は、「すごいおもしろい 人」と考えると「すごい+用言」で×になる。
 しかし、「すごい おもしろい人」と考えれば「すごい+体言」と考えることができなくはない。
「すごい バカなヤツ」ならさらに異和感がなくなるような……無理か。
 でも文法的に正しく書くと、「すごく変な人」で「すごい変人」ってことになってけっこうまぎらわしい。
 いっそ「すげー」にすれば、「すげー変な人」でも「すげー変人」でもOKかもしれない。


すごい すごく すごい+用言〈2〉

「すごいプロになった感。」

 マイミクさんのつぶやき(「mixiボイス」って呼称は亡きモノにされるのだろうか)で目にした。
 少し例文を加工しようと思ったが、ニュアンスがかわりそうでできなかった(ヘタレ?)。新しいツールを買ったという報告だった。
 通常、「すごい」と「すごく」の使い分けは下記のとおりだろう。
【すごい すごく すごい+用言】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1524371205&owner_id=5019671
================引用開始
 辞書的には、「すごい+用言」は問答無用?で間違い。ただ、それではつまらない?ので少し屁理屈をこねてみる。
================引用終了

 で、冒頭の例文の場合。
「プロ」にかかるなら「すごい」が正解。
「プロになった」にかかるなら「すごく」が正解。
「プロになった感」にかかるなら「すごい」が正解。
 さらに付け加えると、冒頭の例文が「すごいプロになった感がある。」だったとすると、「プロになった感がある」にかかるなら「すごく」が正解……その場合は「ある」にかかっているのかもしれない。
 さて、どう考えるのが自然なんだろう。
 やはりメンドーなので、両方に使える「スゲー」にするべきかもしれない。(←オイ!)

●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html

すごい すごく すごい+用言〈3〉

 さらに関連性が深いのが下記。
1621)【「主に」の品詞と働き】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12146301275.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1951636850&owner_id=5019671

 一般的な考え方を再確認する。
 形容詞の「すごい」は体言に接続し、用言には接続しにくい。
  すごい美人 △すごい美しい
 副詞の「すごく」は用言に接続し、体言には接続しにくい。
  すごく美しい △すごく美人

 基本はこれでいいと思うが、「すごく美人」は間違いとは言えないらしい。
 考え方は2つある。
「すごく」は「程度副詞」なので、「名詞」を修飾することがある。
https://kotobank.jp/word/%E5%89%AF%E8%A9%9E-123983#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
ふく‐し【副詞】

品詞の一。自立語で活用がなく、主語にならない語のうちで、主として、それだけで下に来る用言を修飾するもの。事物の状態を表す状態副詞(「はる ばる」「しばらく」「ゆっくり」など)、性質・状態の程度を表す程度副詞(「いささか」「いと」「たいそう」など)、叙述のしかたを修飾し、受ける語に一 定の言い方を要求する陳述副詞(「あたかも」「決して」「もし」など)の3種に分類される。なお、程度副詞は、「もっと東」「すこしゆっくり」のように体 言や他の副詞を修飾することもある。
==============引用終了

 ただし、この場合の副詞と名詞の組み合わせは限られる。
 副詞が「もっと」「すこし」などの程度を表わす副詞であり、名詞も「右」「東」などの程度がある名詞である必要がある。
  もっと右  もっと東」
  もっと美人  ちょっと美人  すごく美人etc.……
 程度を表わす副詞や程度のある名詞であっても、こういう用法が向かないものもある。
 法則性がよくわからないが、とりえず程度を表わす副詞のなかでも、程度が極端なものは使いにくい気がする。
  △きわめて美人  △非常に東  △まったく右 
 さらに言うと、語感がかたいものは使いにくい気がする。
  △多少右  △いささか右  

 そう考えると、話し言葉的な用法に限られるような気もする。
 とりあえず、「少し」とか「ちょっと」のような話し言葉的な副詞がリトマス試験紙になるかも。
「妹のほうが△きわめて美人」「妹のほうが△非常に美人」あたりには異和感がある。
「妹のほうが少し美人」「妹のほうがちょっと美人」なら異和感はほとんどない。
 程度が極端でも話し言葉的ならアリの気がする。このあたりは微妙。
「妹のほうが段違いに美人」「妹のほうが圧倒的に美人」

「すっきり解決」とか「しっかり母さん」はどうなるのだろう。話し言葉と言うより、俗語のレベルだろうか。 
 質問板でご紹介いただいた下記をよく読んで勉強したい。ただ、ああいう文体って苦手なんだよなぁ。
【限定副詞の機能】
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~kudohiro/gentei.html


すごい すごく すごい+用言〈4〉

 いかんなぁ。

>基本はこれでいいと思うが、「すごく美人」は間違いとは言えないらしい。
>考え方は2つある。
>「すごく」は「程度副詞」なので、「名詞」を修飾することがある。

 と書いたキリ、もうひとつを書いていない。
 もうひとつは、下記で見たように、副詞が修飾するのは〈「用言のことが多いが、体言のときもある」〉とゆるーく考えること。こういうふうに考えないと、「~は、主に経済学だ」が説明できなくなる。この場合の「主に」は程度副詞ではなさそうだから。
1621)【「主に」の品詞と働き】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12146301275.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1951636850&owner_id=5019671 

 一般的な文法ではこういう考え方をするしかないみたい。
 一般的な文法というのはきわめて曖昧で、正確には「学校文法」とか言うらしい。まぁ、日本人が学校で習ってきた文法のことと考えてほぼ間違いがない。
 これが外国人に教えるための「日本語文法」だと話がかわるらしい。このあたりはあまり踏み込みたくない。正確に書こうとすると、専門書を何冊も読むことになる。
 以下、遅まきながら勉強しはじめた「日本語文法」的な解釈。
「日本語文法」だと「すごく」(たぶん「すごい」でも)は「美人だ」を修飾する成分のひとつでしかない。
「すごく美人」と体言止めにしたらどうなるのかは不明。まあ、これは体言止めがちょっと不自然なんだろう。
「彼にはすごく美人の奥さんがいる」だとどうなるのか。
 たぶん「すごく」は「美人」を修飾しているんだろう。現段階では、この程度しかわからない(泣)。
 だったら「彼にはすごい美人の奥さんがいる」にしとくのが無難なんだろうな。


すごい すごく すごい+用言〈5〉

 テーマサイトは下記。
【すごい と すごく の使い分けです。】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9749842.html
===========引用開始
最近、林先生が凄いと凄くの使い分けをTVで語っています。
日本放送協会もアナウンサーには使い分けを指導しています。民放も準じています。
しかし凄いは辞書に出てきますが、凄くは俗語であるためか辞書によっては出てきません。

俗語ではあっても凄くを使うべきか「たいへん」や「非常に」を使うべきかで悩みます。俗語はできれば使いたくないため!ひょっとして、日本放送協会は凄くは俗語から脱出したと判断しているのでしょうか?
連用と連体は理解しています。
凄くの使い方をご指導ください。

【補足】
私の手元の辞書には「凄い」の解説において①②③の3番目において明確に「凄く」は「凄い」の俗語表現であると区分しています。 
===========引用終了

 質問者の対応を待っていた。質問者がどこまで考えているかによって、書き方が大きくかわるから。
 ……締め切られてしまった(泣)。

 過去にウダウダ書いてきたが、辞書の記述も揺れているようなんで、現段階(2017年5月18日)の結論をまとめておきたい。いつもは「スゴい」「スゴく」と書くようにしているが、今回はすべて平仮名書きにする。
 辞書の引用の全文は末尾に。
 質問者がひいた辞書には、〈「凄く」は「凄い」の俗語表現〉と明記してあるらしい。なんという辞書に、正確にはどう書いてあったか教えてもらえまえせんか。あの書き方では資料にならない。
「すごい」「すごく」の俗用(またこれが曖昧な言い方で……)は、何段階かに分かれる。

■第1段階 「すごい」自体が俗用
 ↓の『大辞泉』には〈「すごい」は俗語的な言い方で、「すごく険しい」「すごくおいしい」「すごく悪い点数」など副詞的に幅広く用いられる。〉とある。辞書がこういう書き方をするのはやめてほしい。この記述は2通りの解釈ができる。
 まず、〈「すごい」は俗語的な言い方〉という解釈。これもよく目にする。元々「すごい」というのは程度が非常にはなはだしいことを表わし、俗っぽい表現らしい。当方は半信半疑。「凄まじい」「凄惨」なんかと混同している気もする。あんまり上品な言葉ではないだろうが、現代では女性が口にしてもおかしくはない。「でかい」とか「うまい」よりはずっとマシってレベル。 

■第2段階 「すごく」が俗用
 これも聞いたことがある。『大辞泉』の記述も、たぶんこの意味と思われる。〈俗語的な言い方で、「すごく険しい」「すごくおいしい」「すごく悪い点数」など副詞的に幅広く用いられる〉……余計な読点を打つから誤読される。質問者の趣旨もこれのような気がする。真偽のほどは不明。相当昔の話のようなので、実感がない。当方はかなり昔から使っている。『大辞林』には「副詞」として、注釈なしで立項されていることを確認してほしい。

■第3段階 「すごい+用言」が俗用
 これは『大辞泉』の〈俗に連体形を副詞的に用いて「すごいおもしろい人だ」のような言い方もある〉の話。『大辞林』にも同様の記述がある。近年問題視されているのはコレ。林先生がTVで語っているのもこれだろう。

 第1段階と第2段階に関しては、古い話なので、あまり興味がない。
 第3段階に関しては、「すごい+体言」「すごく+用言」が一般的と考えるのが無難だろう。
 ここで打ち切っておかないと泥沼にはまる。

 と言いつつ、泥沼にはまるためのメモ。
「すごい+体言」「すごく+用言」が妥当な使い分けだとする。
 ということは……。

■「すごい美人」「すごく美しい人」
 ↑のように使い分けるということですね。
 本当なんだろうか。

■「すごく美しい 人」「すごい 美しい人」
「すごく美しい人」の「すごく」は用言にしかかからないとすると、当然のことながら、「すごく美しい 人」ってことだろう。
 これを「すごい」が「美しい人」にかかると考えるのは邪道なんだろうか。「美しい人」はフツーに考えれば名詞だろう。名詞にかかるのは「すごい」ですよね。

■「美人」の品詞は
「美人」の品詞は名詞だろう。ここで質問です。「〜すぎる」の「〜」に入るの形容詞か形容動詞のはずです。ってことは、いまや一般的な表現になっている「美人すぎる」って誤用でしょうか。
【この違和感は何ですか? 「〜すぎる」】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9167850.html

■副詞は名詞にかからないのか?
 これが非常に微妙な問題で、「用言のことが多いが、体言のときもある」と考えるしかない気がする。
【続「主に」の使い方】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9220123.html  


https://kotobank.jp/word/%E5%87%84%E3%81%84-541501#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
===========引用開始
デジタル大辞泉の解説

すご・い【▽凄い】


[形][文]すご・し[ク]
1 ぞっとするほど恐ろしい。非常に気味が悪い。「―・い目でにらむ」
2 びっくりするほど程度がはなはだしい。大層なものだ。「―・い人気」
3 (連用形を副詞的に用いて)程度のはなはだしいことを表す。「―・く寒い」「―・くおもしろい」
[派生]すごさ[名]すごみ[名]
[用法]すごい・ひどい――「すごい(ひどい)嵐」「すごい(ひどい)寒さ」「すごく(ひどく)速い」など、はなはだしいの意では相通じて用いられる。◇「すごい」は俗語的な言い方で、「すごく険しい」「すごくおいしい」「すごく悪い点数」など副詞的に幅広く用いられる。また「すごい評判だ」「すごいあばら家」などプラス、マイナス両面の評価に使う。◇「ひどい」は「ひどい人」「ひどい仕打ち」「ひどいことを言う」のように、マイナス評価について用いられる。◇俗に連体形を副詞的に用いて「すごいおもしろい人だ」のような言い方もある。 
===========引用終了

https://kotobank.jp/word/%E5%87%84%E3%81%8F-302309#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
===========引用開始
大辞林 第三版の解説

すごく【凄く】

( 副 )
〔形容詞「すごい」の連用形から〕
程度がはなはだしいさま。大変に。大層。非常に。主に会話で用いられる。 「 −速い」 「朝晩−冷える」 「 −酔っぱらう」 〔近年、くだけた言い方で「すごく」の代わりに「すごいでっかい」「すごいきれいだ」などと言う場合があるが、標準的でないとされる〕 
===========引用終了
『大辞泉』の記述はほぼ前回どおりだろう。問題は『『大辞林』のほう。「すごく」なんて前はなかったと思う。以前は「連用形を副詞的に用いて」いたのが、めでたく副詞と認定されたのだろう。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

カレンダー
08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード