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朝日新聞から(2007年8~10月)

●8月の朝日新聞から(忘れ物)
8-6
18日
ホッピーをあらかじめ焼酎で割った新商品は(朝刊別刷b1面)
 すっかり有名人になってしまったホッピービバレッジの石渡美奈副社長のインタービュー記事。書き手は吉野園子記者。ウイスキーを水で割ったものが水割り。割られるもののほうが量が少なく、割るもののほうが量が多い。ここまでは常識だよな。「ホッピーを焼酎で割った」らほとんど焼酎のロックでしょう。とは思うが、b2面には同様表現が頻出する。
「ホッピーをあらかじめ焼酎で割ってあるものが」
「リキュールで割るなど新しい飲み方」
「カンパリ、カシスなどで割る飲み方」
 あげくのはてには「焼酎割り」なんて表現も出てくる。ってことはホッピーってそういう飲み方をするものなの?

8-7
27日
自ら「ラッキー」という16勝目は難産のたまものだった。(朝刊17面)
 微妙。「苦労のたまもの」「努力のたまもの」などの場合は「成果」のような意味なので、「難産のたまもの」もアリかもしれない。語感的には相当イヤ。

●9月の朝日新聞から
9-1
2日
ともに1回戦で負けているので、もうこれ以上は負けられない。(朝刊27面)
 将棋の観戦記欄。書き手は遊記者。「ともに負けられない一戦」はスポーツ中継などで頻繁に耳にする。よせばいいのに「絶対に」なんかをつけることもある。話し言葉としてはおなじみだけど、書き言葉で見るのは珍しく、相当ヘン。本当に「どちらも負けられない」なら、すごい戦いになる。この表現は、なぜか本当に負けられないときには使えない。本当に負けられないトーナメント戦でこんな言葉を使ったら単なるバカ。正確には「負けなくない」なんだろうけど、それはそれでヘンだよな。まあ、百歩譲って、慣用表現として「ともに負けられない」は認めるとしよう。それでもこの用例はヘン。将棋のA級リーグ戦は10人の総当たりで先は長い。緒戦で負けても、まだ騒ぐようなことではない。「ともに連敗は避けたいところ」ぐらいだろうか。

9-2
4日
だが、結末を予想できない真剣勝負は東京ドームのファンをくぎづけにした。(夕刊1面)
 書き手は近藤幸夫記者。97年10月に開催され、格闘技ブームの火つけ役になった、(イヤな読点だな)高田延彦対ヒクソン・グレーシーの試合に関する記述。なんで異和感があるのか説明するのはむずかしい。試合が凡戦だったので「釘付け」にはしなかった、というのはインネンだろう。注目を集めたのは間違いないとわかっていても異和感があるのはなぜだろう。「釘付け」ってのがいかにも紋切り型だから気持ちが悪いのだろうか。たとえば、激しい路上の殴り合いが通行人を釘付けにする、ならマシな気がする。格闘技観戦に来たファンなら、試合に注目するのは当然だから? むずかしくて手に負えません。

9-3
12日
 攻守のバランスの取り方が難しい、濃密なせめぎ合いが続いている。(朝刊20面)
 将棋の観戦記。書き手は剣記者。これにインネンをつけるのはやりすぎかな。昔、何かの本で「せめぎ合う」は本来は肉親の相克のようなときに使う。安易に使ってはいけない……みたいなことを目にした。それ以来、使えなくなった語彙のひとつ。たしかに大げさだよな。

●10月の朝日新聞から
10-1
7日
近年の「心のとりで」になっている順位戦の不調は、忸怩(じくじ)たるものがあるだろう(朝刊25面)
 将棋の観戦記。大川慎太郎記者。誤用の問題でよくとりあげられる「忸怩たる」。正解は「深く恥じる」。よくある誤用は「悔しく思う」。この場合は微妙かな。

10-2
16日
嫌いな言葉の双璧は「生き様」と「こだわり」だ。(朝刊31面)
 天野祐吉のコラム「CM天気図」。「生き様」って言葉をイヤがる物書きは多い。よく目にするけど、もうダメでしょうね。同様に、肯定的な意味での「こだわり」ももうダメだろうな。コラム中でもふれているが、感動したときに「鳥肌が立つ」のもフツーになっている。こうして言葉は破壊され、個人的には使えない言葉がどんどん増えていく。

10-3
17日
 ロッテが緊迫感のあるしのぎ合いを制した。(朝刊14面)
 プロ野球のパリーグのクライマックスシリーズの第2ステージ第4戦(なんのこっちゃ)の記事。冒頭の文。書き手は志方浩文記者。文中には「チャンスをつぶし合うしのぎあいの末」なんて記述もある。まずね。冒頭は「しのぎ合い」で文中は「しのぎあい」はヘンでしょ。文中は直前に「つぶし合い」があるからですかね。そんな細かいことを気にするぐらいなら、こんな短い文章で「しのぎ合い」なんて特徴のある言葉を2回も使うなよ。それ以前の問題として、「しのぎ合い」はたまに目にするけど、現段階では誤用だろうな。

10-4
26日
150キロ台の直球に多彩な変化球を持ち、制球力も良い。普通に投げれば2勝は堅く、流れは日本ハムに傾く。(朝刊18面)
 プロ野球の日本シリーズを占う記事中でダルビッシュについての記述。書き手は志方浩文記者。見たことのある名前だな。まず、日本語の問題。「制球力も良い」は明らかな誤用。「制球もよい」か「制球力もある」。この「制球/制球力」ってのは新聞特有の表現かね。「主戦」とか「左腕」とかの仲間。無理矢理日本語にしている観が強い。フツーの言葉にすると「コントロール」だろう。「コントロールがいい」とはいっても「コントロールがある」とはいいにくい。ということは、「制球=コントロール」なのかね。「コントロールがない」はちょっと異和感があるが、なぜか「ノーコン」はアリ。だんだんわからなくなってきたので、文章の中身の話にする。「普通に投げれば2勝は堅く」ってなんなんでしょ。何を根拠にそんなことが断言できるの。実際、ダルビッシュは1勝しかできなかったはずで、きっと「普通」じゃない投げ方をしたのだろう。

10-5
27日
 今年の12球団で監督がチームを一番把握している日本ハムと中日が日本シリーズに駒を進めた。(朝刊27面)
 元プロ野球選手の衣笠祥雄の記事だからおおめに見るべきかな。「最も~なひとり」の類いはけっこう見るけど、ここまでひどい「一番」の使い方はめったに見ない。誰か教えてあげなよ。
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