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文化庁・国語世論調査2──この表じゃ読めんぞ

 下記の続き。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html

mixi日記2009年09月05日から


 昨日からあちこち見比べている。
文化庁・国語世論調査
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-617.html

【ネタ元】(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090904-OYT1T00983.htm
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KYイヤ…言葉で伝えず「察し合う」が人気

 言葉で伝えるより、察し合って心を通わせることを重んじる人が、この10年で1・4倍に増え、全体の3割を超えたことが4日、文化庁の「国語に関する世論調査」で分かった。

 控えめな言葉を好む傾向もうかがえ、同庁は「KY(空気が読めない)と言われることを恐れ、場の空気に合わせようとする風潮の表れでは」と指摘している。

 調査は今年3月、全国の16歳以上の男女3480人を対象に面接方式で実施し、1954人から回答を得た。人と付き合う時、互いの考えをできるだけ言葉にして伝えるか、全部は言わなくても互いに察し合うことを重視するか、という質問では、「言葉にする」は38%と前回調査(1999年度)から12ポイントも減少したのに対し、「察し合う」は10ポイント増えて34%だった。

 「美しい日本語とはどんな言葉か」との問いでは、控えめで謙遜(けんそん)する言葉との回答が、同じ質問をした2001年度比で11ポイント増えて40%に達した。これに対し、アナウンサーのような語り口を美しいと感じる意見は10ポイント減の17%。思いやりの気持ちを表現した言葉を好む意見は63%と最も多かったが、前回調査からは2ポイント減少していた。「日本語を大切にしている」という人は増えており、前回調査(01年度)比8ポイント増の77%にのぼった。特に、10代の若者(16~19歳)は44%から72%に28ポイントも増えていた。

 一方で、「来られる」を「来れる」とする「ら」抜き言葉を「言葉の乱れ」ではなく「言葉の変化」と考える人が9ポイント増の41%に達していたほか、書き言葉、話し言葉とも正しく使うべきだと回答した人は33%で、10年前との比較で10ポイントも減っており、言葉を大切にする意識と実態の間にギャップがうかがえた。

(2009年9月4日22時13分 読売新聞)
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 mixiニュースの表じゃ読めんだろ。ってことでこうしてみる。

読売


 今朝の朝日新聞(37面)にも記事が出ている。ネットニュース(mixiは提携していないのね)だと微妙に違う。
http://www.asahi.com/national/update/0904/TKY200909040319.html
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若者に「大切」と思われるだけで「御の字」か……日本語(1/2ページ)
2009年9月5日5時31分

 自分は日本語を大切にしている――と思う人が7年前に比べて増え、特に若い世代で増加していることが、文化庁が4日に発表した08年度の国語に関する世論調査でわかった。しかし「破天荒」や「時を分かたず」の意味を正しく理解している人は2割に満たず、意識と日本語の使い方の実態には隔たりがありそうだ。

 国語施策の参考にするため、全国で3月、16歳以上の1954人に面接調査した。

 「日本語を大切にしている」と答えた人は76.7%にのぼり、同じ質問をした02年調査時の69.1%を上回った。特に16~19歳が43.8%から72.2%に、20代が54.1%から70.9%に増えるなど、若い世代ほど増加が目立った。

 一方で人とのコミュニケーションでは「できるだけ言葉に表して伝え合う」という人が00年の50.7%から38.3%に減り、逆に「全部は言わなくても互いに察し合って心を通わせる」という人が23.3%から33.6%に増えた。

 文化庁国語課は「日本語ブームなどによって若い世代でも言葉への関心が高まっているのではないか。ただ、日本語を大切にするといっても、国語知識の習得を指す人もいれば、空気を読みながら話すことを指す人もいるので、これ以上の分析は難しい」としている。

 慣用句などの使い方では、「破天荒」(だれも成し得なかったことをすること)と「時を分かたず」(いつも)の意味を正しく理解している人がそれぞれ16.9%と14.1%にすぎず、質問した10例のうち6例で誤って使っている人の方が多かった。(編集委員・白石明彦)

     ◇

【どちらの言い方を使うか?】

(1)「チームや部署に指示を与え、指揮すること」を
  采配を振る(28.6%)
  采配を振るう(58.4%)

(2)「目上の人の気に入られること」を
  お眼鏡にかなう(45.1%)
  お目にかなう(39.5%)

(3)「はっきりとしていて、疑う余地のない様子」を
  火を見るより明らかだ(71.1%)
  火を見るように明らかだ(13.6%)

(4)「是が非でも。どんなことがあっても」を
  石にかじり付いてでも(66.5%)
  石にしがみ付いてでも(23.0%)

(5)「よく分かるように丁寧に説明すること」を
  噛(か)んで含めるように(43.6%)
  噛んで含むように(39.7%)

【どちらの意味だと思うか?】

(1)手を■こまねいて■待っていた。
  何もせずに傍観している(40.1%)
  準備して待ち構える(45.6%)

(2)事件の後には、■時を分かたず■、厳重な警備が行われた。
  いつも(14.1%)
  すぐに(66.8%)

(3)彼の人生は■破天荒■だった。
  だれも成し得なかったことをすること(16.9%)
  豪快で大胆な様子(64.2%)

(4)70点取れれば■御の字■だ。
  大いにありがたい(38.5%)
  一応、納得できる(51.4%)

(5)あそこは■敷居が高い■。
  相手に不義理などをしてしまい、行きにくい(42.1%)
  高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい(45.6%)

(いずれも上の選択肢が本来の言い方や意味)
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 紙のほうの新聞だと読売とほぼ同様の表が出ている。
 見出しも違って、下記のようになっている。

  「言葉で思い伝える」減少
  「互いに察し合う」は増加

 ネットニュースの見出しはヒネりすぎてわかりにくい。書き手の苦労はうかがえるから嫌いじゃないけどさ。
 3社の記事を見比べると、個人的には朝日の記事がイチバン素直に読める。アレ? 紙面には「編集委員・白石明彦」って書いてあるのに、なんでネットにはないの?
 
 じっくり読み比べるとおもしろいんだろうが、いまはその余裕がない(泣)。
 とりあえず気になったこと。

「手をこまねく」の例文が、読売は「手をこまねく」、朝日が「手をこまねいて待っていた」になっている。この違いは小さくない。
「手をこまねいて待っていた」は相当クドい。こういうふうに出されたら、間違う人が増えないかね。ちょっと気になる。
 原因は文化庁にある。文化庁のアンケートは、 

>手をこまねく (例文:手をこまねいて待っていた。)

 になっている。


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