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「あはれ」と「をかし」をめぐって   独り言です36くらい──日本語教師関連編15くらい

 下記の仲間。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html

mixi日記2009年10月01日から

 下記の続き。
【独り言です35くらい──全方位毒吐き2(甘毒)】(当面公開制限あり)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1293941524&owner_id=5019671

 9月30日の夜に下記のトピが立った。
【『あはれ』と『をかし』】(日本語しつもん箱)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46749706&comm_id=398881
「0」のコメントを引いておく。

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『あはれ』と『をかし』
2009年09月30日 23:15
A

はじめまして
インドネシアのAです。
最近、出勤電車の暇つぶしに枕草子を読み始めました。無論、解説付と高校生向けの古典文法の解説本も一緒に読みます。そこで、解説には あはれ と をかし について少しは書いてありますが
をかし は 客観的でしみじみとした感情。
一方、
あはれ は主観的でしみじみとした感情。
と。

あまり 理解出来ないので皆さんの知恵を貸して下さい。
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 この人の名前はよく目にする。インドネシアの方らしいが、「日本語ネイティブ」(あえてこの言葉を使います)並みの日本語を使う。最初はインドネシア在住の日本人と勘違いしたほど。
 ただなぁ。このトピの立て方はどうなんだろう。このトピ自体は問題はないが、同じ人が9月17日に下記のトピを立てている。
【枕草子を読みたいです。】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46372144&comm_id=19124
 教材について訊くトピと、言葉の意味を訊くトピを使い分けたのだろう。
 結果的に、先行トピに返信コメントを入れずに放置して、その延長上の質問を別のコミュに立てていることになる。決してほめられる手法ではない。両方のコミュに入っている人は多いはずなのに、なんで誰も教えてあげないんだろう。こういうまともなことを指摘すると、「優しくない」とか「イヤなら書くな」とか噛み付かれるからだろうか。

 素朴な疑問なんだけど、こういう問題のときに、なんで辞書をひかないのだろう。
 質問するほうもそうだけど、答えるほうがひかないのもどうかと思う。「古語辞典」をもっている人は少ないだろうが、図書館にでも行けばあるだろう。「をかし あはれ 違い」をキーワードにネットで検索してもいろいろ出てくる。あまりにも多すぎて何がなんだか……orz。

>をかし は客観的でしみじみとした感情。
>あはれ は主観的でしみじみとした感情。

 どんな解説本だよ。何を根拠にそんなことを断言するんだ。そりゃどっちが主観的かと言えば「あはれ」のほうが主観的だろう。でもそんな微妙なことをいきなり断言されても、「日本語ネイティブ」だって理解できないよ。例によって主観によるコメントが続くのかと思ったら「3」のコメントが入る。ちょっとホッとした。
 そうか。ネット上にはいい古語辞典がないと思ったら、こういうものがあるんだ。この記述を見ると、〈「をかし」は概して対象を外部から余裕をもってみて〉とある。せいぜいその程度だと思う。ムヤミに断言するのは怖いよ。

 それはさておき、「あはれ」と「をかし」についてとりとめのないことを書いてみる。
「あはれ」に関しては、現代語の「あわれ」とほぼ同じだろう。
http://dic.yahoo.co.jp/search?stype=0&ei=UTF-8&dtype=2&p=%E3%81%82%E3%82%8F%E3%82%8C

 問題は「をかし」。ネット辞書(『大辞泉』)をひく。
================================
おかし〔をかし〕

平安時代、「もののあわれ」と並ぶ美的理念の一。枕草子の主調美で、知的興味をそそられる感覚的、直観的な明るい情趣。室町時代以降は、こっけいの意で用いられ、狂言・俳諧・狂歌などの笑いの文学の底流となる。→おかしい
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 これは現代語の「おかしい」とはちょっと違う。今度は「おかしい」をひく。
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おかし・い〔をかしい〕

[形][文]をか・し[シク]
1 (「可笑しい」と当てても書く)普通とは違うところがあって笑いたくなるさま。
珍妙な言動・状況などがおもしろくて、思わず笑いたくなる。こっけいである。「この漫画は実に―・い」
どこか不釣り合いで、嘲笑(ちょうしょう)したくなる。ばかばかしい。「彼が代表だなんて―・くって」

2 普通とようすが違うのに気づいて疑わしく思うさま。
普通ではないところが感じられる。変である。変わっている。「どうもからだの調子が―・い」
言動や状況が不審である。いぶかしい。怪しい。「なんとなくそぶりの―・い男」

3 普通とは違った格別の趣のあるさま。
興味をそそられる。
「―・しき事にもあるかな…興ある事申したり」〈竹取〉
景色などが興趣がある。風情がある。
「夕月夜の―・しきほどに出だし立てさせ給ひて」〈源・桐壺〉
かわいらしい。
「うへにさぶらふ御猫は…いみじう―・しければ」〈枕・九〉
美しい。魅力がある。また、りっぱである。
「―・しの御髪(みぐし)や」〈源・若紫〉
「身貧しけれど、よき人は、方異(かたこと)に操(みさを)に、―・しうぞある」〈落窪・四〉
じょうずである。
「琴いと―・しうなつかしう弾き臥し給へり」〈落窪・一〉
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 説明のために意味を簡略化する。次の3つということだろう。
1)滑稽
2)疑わしい
3)趣深い

 このうち3)は、例を見てもわかるように、現代的な用法とは言えない。現代では、1)と2)の意味で使われる。現代の国語辞典にここまで出ていれば、古語辞典の出番はないか。
 とか思いつつ古語の「をかし」の意味を調べて、のけぞる。手元の『古語辞典』(角川書店)には、1)の意味の【可笑し】と3)の意味の【可愛し】が別項になっている。古語ではもっぱら3)だと思っていたorz。

 ここで脱線。
 1)と3)の両方の意味がある言葉がもうひとつあって、これは現代でもほぼ同様の意味で使われる。古語だと「面白し」で。現代語だと「面白い」。福山雅治演じるガリレオが「実に面白い」と言う場合は、言うまでもなく3)の意味。笑うところではない。さらに外れると、2)の意味はチー語では「あやちい」です。

 えーと、気を取り直して……と書きつつ際限なく外れていく。
 昔、古文の授業(だったと思う)で教えてもらったこと。古文に出てくる「をかし」は「interesting」のこと。素直に納得したが、厳密に言えば1)の意味のときもあったのね(めったにないと思うが)。
『枕草子』あたりだとなんでもかんでも好ましいものを「いとをかし」で済ませていた印象がある。だから、『大辞泉』の3)もさまざまな意味をあげることになる。

 数年前(いまでもそうだけど)、女子高生なんかが、なんでもかんでも好ましいものを「可愛い」で済ます傾向が批判された。本来の意味の「可愛い」以外の広い意味で使われた。この影響は大きく、「キモ可愛い」などという言葉も残っている。
 あのときオジサンオバサンは「可愛いしか言葉を知らんのか」と憤慨していた。当方は若い世代の一員として悔しさに唇を噛み締めて呟いていた。
 ……清少納言に同じことを言えるもんなら言ってみろよ。「をかししか言葉を知らんのか」

【続きは】↓
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1300266487&owner_id=5019671
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