「怒髪天を衝く」「完璧」の語源〈毒抜き編〉※全体公開
【冒頭部は〈毒入り編〉と同じです】■■■■■■■■■■■■■■■
「怒髪天を衝く」「完璧」の語源〈毒入り編〉※公開制限あり
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1344646857&owner_id=5019671
下記の仲間。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1129089107&owner_id=5019671
mixi日記2009年11月22日から
少し前に下記のトピが立った。
【髪の毛が逆立つ】正しい日本語、外来語が好き。 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48132058
トピ主の「0」にはいろいろ書いてあるが、要は怒りの表現として使う「髪の毛が逆立つ」の語源が知りたいとのこと。猫の仕草が原点かという着眼点がおもしろい。気持ちはよくわかるけど、ちょっと違うと思う。
『ドラゴンボール』が原典に決まっている……当方の世代だとこの考え方がイチバン素直かも。
「1」のコメントで下記の辞書の記述が紹介される。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/140922/m0u/%E6%80%92%E9%AB%AA/
================================
どはつ 【怒髪】
激しい怒りのために逆立った毛髪。
――=冠(かんむり)(=天)を衝(つ)く
〔史記(藺相如伝)〕激しく怒って髪の毛が逆立ったすさまじい形相。
================================
真っ先に浮かぶのはたしかに「怒髪天を衝く」。あとでよく考えたら、実際に「髪の毛が逆立つ」なんて表現を使うことがあるのだろうか、って疑問が湧いた。マンガではよく目にするけどさ。
トピ主から「2」のコメントが入る。ツッコミどころが多すぎて、何をどう書いていいかわからなくなる。
かろうじて「3」のコメントを入れた。
【tobiクンのコメント】=====================
いくつか質問があります。
1)「1」のコメントのリンク先はお読みですか?
「怒髪衝冠」のことが書いてありますよ。
2)「他」ってどこのことですか?
>他でも質問して調べてみたら、
どこで質問してどのようなやり取りがあったのでしょうか。リンク先なりを教えていただけませんか。
3)文中の「壁」は「璧」ではありませんか(「完璧」は除く)
「壁」はもっていけないでしょう。
「璧」は「玉」の意味だと思います。
「完璧」の語源も「怒髪衝冠」と同様に『史記』(藺相如伝)のようです。
>何か関係はあるんですかね(∩)?
関係があると言うか、その話が語源のはずです。
================================
トピ主の「4」のコメントによると1)には気づかなかったらしい。2)は「質問広場」で訊いたらしい。
o( ̄ー ̄;)ゞううむ
mixi以外とのマルチポストか。実物に出会ったの初めてかもしれない。しかも先方のやり取りは削除してしまったとのこと。そうなると、もう何もわかりません。
あれ。3)に対する回答はないの?
【ここから先が新規原稿】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
手元の『成語林』などを頼りにコメントを入れたが、あんまり気になるのでいろいろ検索してみた。本来は、図書館にでも行って調べるべきだろうが、そこまで気力が湧かない。
結果。
泥沼にはまって、訳がわからなくなりつつある。やはりちゃんと調べないとダメだな。と言いつつ、主にネットで調べた結果をもとに書いてしまう。
こういうときに真っ先に調べるサイトに、「怒髪天を衝く」については書いていなかった。「完璧」については下記のように出ている。
『語源由来辞典』
http://gogen-allguide.com/ka/kanpeki.html
ここで問題は、こういう記述が何を原典にしているのかということ。
いろいろ見ると『史記』を引いているものと『十八史略』を引いているものがある。日本ではこの2冊の書物が同じようなものと考えられている。これは恐ろしいことらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B2%E8%A8%98
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%85%AB%E5%8F%B2%E7%95%A5
この2冊の違いに関して、以前読んだ『お言葉ですが…3) 明治タレント教授』(高島俊男)の文春文庫p.132から引く。正直に書くと、当方もこれを読むまでは「どちらも中国の歴史書」くらいの認識だったorz。いえ、一方は「史略」ですから、簡易版だろうくらいには思っていましたがorzorz。
高島先生によると、『十八史略』とは以下のようなものらしい。原文では“ ”は使わず傍点をつけている。
================================
この本ができたのは元の初め、西暦で言うと一三〇〇年前後のころ、書いたのは曾先之(そうせんし)という人である。『十八史略』という題は、『史記』『漢書』等々“十八”種の“史”書の“あらまし”という意味。分量は、もとの十八史の何百分の一という小さなものである。
================================
内容は〈子ども用の教科書〉といったところで〈今の日本で言えば『日本歴史ものがたり』〉なんだとか。室町時代後期頃に日本に入り、江戸時代以降に流行した。それでも江戸時代には、初心者用のものという認識があった。
ところが〈明治以後漢文教科書に多く採用され〉、『史記』などの〈スーパークラスの古典籍との区別がわからなくなってしまった〉。このあとの記述はいま読み直してもおかしい。
================================
これが自分の国のものなら、古事記や日本書紀は典拠になるが昭和になってからだれかが書いた『日本神話のおはなし』の類は典拠にならないことくらいだれでもわかるのだが、外国のものとなるとそれがわからない。一流と目される辞典が史記と十八史略とをならべて引く、というようなことがおこるのである。
================================
そういうこってす。ネットで「完璧」について検索するとよくわかる。
どうやって入力したか知らないが、典拠として『十八史略』を引いて書き下し文や現代語訳をつけているものがすごい数出てくる。
当方が検索した限り、「完璧」と「怒髪衝冠」の解説になっているのは下記だと思う。
【怒髪衝冠】※後半のみ
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1327630358
全文は下記だろうか。
http://homepage2.nifty.com/zaco/text/kan/shiki/shiki081_renpa.txt
これが『十八史略』になると下記のようになる。
【完璧而帰(璧を完うして帰る)】
http://orange.zero.jp/teru.oak/gakusyu/18/heki/top.html
両者を見比べると、「質問広場」で教えてくれた人も↑の『語源由来辞典』も、どちらを原典にしているのかはわからない。だから原典を明記しないとダメなのよ。
まあ、幸いなことにこの場合は『十八史略』を典拠にしても間違いではない。(←オイ!)
ただいずれにしても「壁」の話は出てこない。
肝心の「怒髪衝冠」の話も、原典と「2」のコメントとでは微妙に違う。原典では、「髪を逆立て」たのは璧を取り返したあと。「2」のコメントだと、取り返すときに「髪を逆立て」ている。それはヘンでしょ。このあたりは元のやり取りが削除されているので、何も確認できません。
段々訳がわからなくなりつつあるので、結論を確認しておくと、怒りで「髪を逆立て」るの原典は『史記』の「藺相如伝」(正確には「廉頗・藺相如列伝」?)に出てくるエピソード(おそらく「完璧而帰」というタイトル)。知名度では、同じ話に出てきてタイトルにもなっている「完璧」のほうが上だろう。
スーパーサイヤ人がこのことを知っていたか否かは不明である。
「怒髪天を衝く」「完璧」の語源〈毒入り編〉※公開制限あり
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1344646857&owner_id=5019671
下記の仲間。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1129089107&owner_id=5019671
mixi日記2009年11月22日から
少し前に下記のトピが立った。
【髪の毛が逆立つ】正しい日本語、外来語が好き。 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48132058
トピ主の「0」にはいろいろ書いてあるが、要は怒りの表現として使う「髪の毛が逆立つ」の語源が知りたいとのこと。猫の仕草が原点かという着眼点がおもしろい。気持ちはよくわかるけど、ちょっと違うと思う。
『ドラゴンボール』が原典に決まっている……当方の世代だとこの考え方がイチバン素直かも。
「1」のコメントで下記の辞書の記述が紹介される。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/140922/m0u/%E6%80%92%E9%AB%AA/
================================
どはつ 【怒髪】
激しい怒りのために逆立った毛髪。
――=冠(かんむり)(=天)を衝(つ)く
〔史記(藺相如伝)〕激しく怒って髪の毛が逆立ったすさまじい形相。
================================
真っ先に浮かぶのはたしかに「怒髪天を衝く」。あとでよく考えたら、実際に「髪の毛が逆立つ」なんて表現を使うことがあるのだろうか、って疑問が湧いた。マンガではよく目にするけどさ。
トピ主から「2」のコメントが入る。ツッコミどころが多すぎて、何をどう書いていいかわからなくなる。
かろうじて「3」のコメントを入れた。
【tobiクンのコメント】=====================
いくつか質問があります。
1)「1」のコメントのリンク先はお読みですか?
「怒髪衝冠」のことが書いてありますよ。
2)「他」ってどこのことですか?
>他でも質問して調べてみたら、
どこで質問してどのようなやり取りがあったのでしょうか。リンク先なりを教えていただけませんか。
3)文中の「壁」は「璧」ではありませんか(「完璧」は除く)
「壁」はもっていけないでしょう。
「璧」は「玉」の意味だと思います。
「完璧」の語源も「怒髪衝冠」と同様に『史記』(藺相如伝)のようです。
>何か関係はあるんですかね(∩)?
関係があると言うか、その話が語源のはずです。
================================
トピ主の「4」のコメントによると1)には気づかなかったらしい。2)は「質問広場」で訊いたらしい。
o( ̄ー ̄;)ゞううむ
mixi以外とのマルチポストか。実物に出会ったの初めてかもしれない。しかも先方のやり取りは削除してしまったとのこと。そうなると、もう何もわかりません。
あれ。3)に対する回答はないの?
【ここから先が新規原稿】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
手元の『成語林』などを頼りにコメントを入れたが、あんまり気になるのでいろいろ検索してみた。本来は、図書館にでも行って調べるべきだろうが、そこまで気力が湧かない。
結果。
泥沼にはまって、訳がわからなくなりつつある。やはりちゃんと調べないとダメだな。と言いつつ、主にネットで調べた結果をもとに書いてしまう。
こういうときに真っ先に調べるサイトに、「怒髪天を衝く」については書いていなかった。「完璧」については下記のように出ている。
『語源由来辞典』
http://gogen-allguide.com/ka/kanpeki.html
ここで問題は、こういう記述が何を原典にしているのかということ。
いろいろ見ると『史記』を引いているものと『十八史略』を引いているものがある。日本ではこの2冊の書物が同じようなものと考えられている。これは恐ろしいことらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B2%E8%A8%98
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%85%AB%E5%8F%B2%E7%95%A5
この2冊の違いに関して、以前読んだ『お言葉ですが…3) 明治タレント教授』(高島俊男)の文春文庫p.132から引く。正直に書くと、当方もこれを読むまでは「どちらも中国の歴史書」くらいの認識だったorz。いえ、一方は「史略」ですから、簡易版だろうくらいには思っていましたがorzorz。
高島先生によると、『十八史略』とは以下のようなものらしい。原文では“ ”は使わず傍点をつけている。
================================
この本ができたのは元の初め、西暦で言うと一三〇〇年前後のころ、書いたのは曾先之(そうせんし)という人である。『十八史略』という題は、『史記』『漢書』等々“十八”種の“史”書の“あらまし”という意味。分量は、もとの十八史の何百分の一という小さなものである。
================================
内容は〈子ども用の教科書〉といったところで〈今の日本で言えば『日本歴史ものがたり』〉なんだとか。室町時代後期頃に日本に入り、江戸時代以降に流行した。それでも江戸時代には、初心者用のものという認識があった。
ところが〈明治以後漢文教科書に多く採用され〉、『史記』などの〈スーパークラスの古典籍との区別がわからなくなってしまった〉。このあとの記述はいま読み直してもおかしい。
================================
これが自分の国のものなら、古事記や日本書紀は典拠になるが昭和になってからだれかが書いた『日本神話のおはなし』の類は典拠にならないことくらいだれでもわかるのだが、外国のものとなるとそれがわからない。一流と目される辞典が史記と十八史略とをならべて引く、というようなことがおこるのである。
================================
そういうこってす。ネットで「完璧」について検索するとよくわかる。
どうやって入力したか知らないが、典拠として『十八史略』を引いて書き下し文や現代語訳をつけているものがすごい数出てくる。
当方が検索した限り、「完璧」と「怒髪衝冠」の解説になっているのは下記だと思う。
【怒髪衝冠】※後半のみ
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1327630358
全文は下記だろうか。
http://homepage2.nifty.com/zaco/text/kan/shiki/shiki081_renpa.txt
これが『十八史略』になると下記のようになる。
【完璧而帰(璧を完うして帰る)】
http://orange.zero.jp/teru.oak/gakusyu/18/heki/top.html
両者を見比べると、「質問広場」で教えてくれた人も↑の『語源由来辞典』も、どちらを原典にしているのかはわからない。だから原典を明記しないとダメなのよ。
まあ、幸いなことにこの場合は『十八史略』を典拠にしても間違いではない。(←オイ!)
ただいずれにしても「壁」の話は出てこない。
肝心の「怒髪衝冠」の話も、原典と「2」のコメントとでは微妙に違う。原典では、「髪を逆立て」たのは璧を取り返したあと。「2」のコメントだと、取り返すときに「髪を逆立て」ている。それはヘンでしょ。このあたりは元のやり取りが削除されているので、何も確認できません。
段々訳がわからなくなりつつあるので、結論を確認しておくと、怒りで「髪を逆立て」るの原典は『史記』の「藺相如伝」(正確には「廉頗・藺相如列伝」?)に出てくるエピソード(おそらく「完璧而帰」というタイトル)。知名度では、同じ話に出てきてタイトルにもなっている「完璧」のほうが上だろう。
スーパーサイヤ人がこのことを知っていたか否かは不明である。
スポンサーサイト