将棋/名人の系譜3──記憶に残る名人・竜王戦
下記の仲間。
【将棋(と囲碁)の話 お品書き】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-947.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1385699944&owner_id=5019671
mixi日記2010年01月16日から
んでもって、下記の続き。
【将棋/名人の系譜2】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1388810499&owner_id=5019671
【1】【2】と書いてきて、書く予定だったのにスッポリ忘れていたことがある。
歴代の名人・竜王戦で印象に残るものは何か。
名人戦に関しては、毎年激闘が繰り広げられているのはたしかだが「コレ」と思えるものが浮かばない。「大勝負に名勝負なし」なんて言われるのもそのせいだろう。
そりゃ棋史に残るような名手とかもいくつか浮かぶ。でも、さほど強烈な印象ではない。どんなに輝いた一手も、番勝負の流れのドラマには勝てない。
その意味でスゴいのは、第34期(1975年)の中原―大内戦だろう。
大方の予想を覆して挑戦者の大内延行八段(当時)が3勝2敗で王手をかける。第6局を中原が制して「逆王手」(それは「誤用」だって)をかける。迎えた最終局で、大内が必勝態勢になる。しかし勝ちきれない。結果は持将棋になり、指し直しで中原が勝つ。
この流れはリアルで見たわけではないと思う。後年、河口俊彦の著書で読んだものと記憶がグチャグチャになっている。
もしこのとき大内が名人になっていたら……と考えてしまう。もしかすると翌年あっさり中原が奪い返したかもしれない。そのあとの歴史が物語るように、大内は「選ばれし者」ではなく、「功労賞」にも値しなかったのかもしれない(実際には名人戦の挑戦者になること自体が「選ばれし者」だと思う)。
たった1回の挑戦でつかんだ千載一遇のチャンス……しかし将棋の神様は大内を選ばなかった
一方の竜王戦だと、なんと言っても2008年の羽生―渡辺戦だろう。「百年に一度の大勝負」と言われた激闘である。将棋界初の3連敗4連勝という意味だけでもスゴい。内容も見応えがありすぎた。
ただ、個人的にはもっと印象に残っているものがある。
先日、A級順位戦で首位を走っていた谷川が藤井に敗れた。これで谷川は5勝2敗。藤井は2勝5敗。星取りはさらに混沌としてきた。今期の調子を考えると谷川が勝つとばかり思っていた。谷川に苦手意識があるのだろうか……とも思ったが、最近の対戦成績を見るとそんなことはない。
http://homepage3.nifty.com/kishi/taisen2/1/8/1131-1198.html
なんでそんな思い違いをしたかと言うと、原因はハッキリしている。第11期(1998年)の竜王戦の印象があまりにも強かった。それで、今回のテーマを思い出した。いつにもまして長い前ふりだな。
当時、まだ六段だった藤井が考案した「藤井システム」の破壊力はスゴかった。「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がふさわしい。第11期竜王戦では挑戦者決定戦で羽生を破って挑戦者になる。この挑戦者決定戦は3番とも熱戦で、非常におもしろかった。
迎えたタイトル戦の内容がヒドかった。あんなに無惨なタイトル戦がほかにあるのだろうか。谷川は何もさせてもらえずに4連敗を喫した。
将棋や囲碁の世界に「手合い違い」という言葉ある。「手合い」とは、簡単に言うと対局者の実力に開きがあるときにハンディをつけること。つまり、あまりにも実力の差が歴然としていることを指す。このときの谷川の惨敗ぶりはまさに「手合い違い」を思わせた。
たしか、まともな居飛車でまったく歯が立たず、苦し紛れに慣れない相振飛車を指して完敗している。
谷川には申し訳ないが、記憶に残る竜王戦としては、真っ先にこれをあげたい。
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んでもって、下記の続き。
【将棋/名人の系譜2】
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【1】【2】と書いてきて、書く予定だったのにスッポリ忘れていたことがある。
歴代の名人・竜王戦で印象に残るものは何か。
名人戦に関しては、毎年激闘が繰り広げられているのはたしかだが「コレ」と思えるものが浮かばない。「大勝負に名勝負なし」なんて言われるのもそのせいだろう。
そりゃ棋史に残るような名手とかもいくつか浮かぶ。でも、さほど強烈な印象ではない。どんなに輝いた一手も、番勝負の流れのドラマには勝てない。
その意味でスゴいのは、第34期(1975年)の中原―大内戦だろう。
大方の予想を覆して挑戦者の大内延行八段(当時)が3勝2敗で王手をかける。第6局を中原が制して「逆王手」(それは「誤用」だって)をかける。迎えた最終局で、大内が必勝態勢になる。しかし勝ちきれない。結果は持将棋になり、指し直しで中原が勝つ。
この流れはリアルで見たわけではないと思う。後年、河口俊彦の著書で読んだものと記憶がグチャグチャになっている。
もしこのとき大内が名人になっていたら……と考えてしまう。もしかすると翌年あっさり中原が奪い返したかもしれない。そのあとの歴史が物語るように、大内は「選ばれし者」ではなく、「功労賞」にも値しなかったのかもしれない(実際には名人戦の挑戦者になること自体が「選ばれし者」だと思う)。
たった1回の挑戦でつかんだ千載一遇のチャンス……しかし将棋の神様は大内を選ばなかった
一方の竜王戦だと、なんと言っても2008年の羽生―渡辺戦だろう。「百年に一度の大勝負」と言われた激闘である。将棋界初の3連敗4連勝という意味だけでもスゴい。内容も見応えがありすぎた。
ただ、個人的にはもっと印象に残っているものがある。
先日、A級順位戦で首位を走っていた谷川が藤井に敗れた。これで谷川は5勝2敗。藤井は2勝5敗。星取りはさらに混沌としてきた。今期の調子を考えると谷川が勝つとばかり思っていた。谷川に苦手意識があるのだろうか……とも思ったが、最近の対戦成績を見るとそんなことはない。
http://homepage3.nifty.com/kishi/taisen2/1/8/1131-1198.html
なんでそんな思い違いをしたかと言うと、原因はハッキリしている。第11期(1998年)の竜王戦の印象があまりにも強かった。それで、今回のテーマを思い出した。いつにもまして長い前ふりだな。
当時、まだ六段だった藤井が考案した「藤井システム」の破壊力はスゴかった。「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がふさわしい。第11期竜王戦では挑戦者決定戦で羽生を破って挑戦者になる。この挑戦者決定戦は3番とも熱戦で、非常におもしろかった。
迎えたタイトル戦の内容がヒドかった。あんなに無惨なタイトル戦がほかにあるのだろうか。谷川は何もさせてもらえずに4連敗を喫した。
将棋や囲碁の世界に「手合い違い」という言葉ある。「手合い」とは、簡単に言うと対局者の実力に開きがあるときにハンディをつけること。つまり、あまりにも実力の差が歴然としていることを指す。このときの谷川の惨敗ぶりはまさに「手合い違い」を思わせた。
たしか、まともな居飛車でまったく歯が立たず、苦し紛れに慣れない相振飛車を指して完敗している。
谷川には申し訳ないが、記憶に残る竜王戦としては、真っ先にこれをあげたい。
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